著者
蔭山 雅洋 鈴木 智晴 藤井 雅文 中本 浩揮 和田 智仁 前田 明
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.517-535, 2016 (Released:2016-12-14)
参考文献数
37
被引用文献数
2 5

The purpose of this study was to clarify the profiles of lower limb and trunk motion during baseball pitching in relation to differences between the mound and the flat ground, and to determine the motion characteristics while pitching from the 2 locations.  The subjects were 12 baseball pitchers (age 18.6±2.5 yr, height 173.4±6.5 cm, weight 74.7±11.0 kg) who belonged to high school or university baseball teams. Three-dimensional positions of 36 reflective markers attached to each subject were tracked by an optical motion capture system (Mac3D System) with 12 cameras. The ground-reaction forces (GRF) of the pivot and stride legs during pitching were determined using 2 multicomponent force plates. Pitching motion was divided into two phases: phase 1 was defined as the period from when the knee of the stride leg reached maximal height (MKH: 0%time) until the point when the stride foot made contact with the ground (SFC: 100%time), while phase 2 was defined as the period from the SFC until the point when the ball was released (REL: 200%time). Ball velocity was measured using a radar gun.  The results were as follows: 1) The maximum and average ball velocities were significantly higher when pitching was performed from the mound than from the flat ground (p<0.05). 2) Hip/knee flexion angles and hip abduction/extension angular velocities on the pivot leg were significantly greater for mound pitching than for flat ground pitching, and the hip/knee extension angle and hip adduction/internal rotation/flexion angular velocities on the stride leg were significantly greater for the former (p<0.05). 3) The GRF of the stride leg was significantly greater for mound pitching than for flat ground pitching (p<0.01). 4) Upper torso and pelvis angle/angular velocities at SFC and the maximum pelvis, upper torso and trunk tilt angular velocities were significantly greater for mound pitching than for flat ground pitching (p<0.05).  The present results indicate that baseball pitchers show biomechanical differences in the kinematic and kinetic profiles of the trunk and lower limbs when pitching from the mound in comparison with the flat ground, and that high school or collegiate baseball pitchers can increase their pitched ball velocity by using the height of the mound.
著者
鈴木 天理 小松 崇志 角川 隆明 萬久 博敏 前田 明
出版者
日本水泳・水中運動学会
雑誌
水泳水中運動科学 (ISSN:18806937)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-12, 2021 (Released:2021-03-18)
参考文献数
15

The purpose of the present study was to evaluate the effectiveness of different step movement of relay starts with a back plate in competitive swimming. Twelve elite swimmers performed three different types of relay start and Kick Start. The start motions were recorded by six video cameras, and the 3D-DLT method was used to calculate the kinematic variables. As a result, there were no significant difference for male swimmers in the variables related to velocity and angle between No-Step and Single-Step, but the Advanced-Step attained a higher horizontal velocity at take-off. In female swimmers, there was no difference in all relay starts. In addition, Advanced-Step did not exceed the performance of the Kick Start. This fact shows that swimmers don't make the advantage that they don't have to make a pause in a relay start.
著者
肥後 昌男 磯部 勝孝 前川 富也 石井 龍一
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.3-10, 2011-04-01 (Released:2017-05-31)
参考文献数
43
被引用文献数
1

冬季に導入した種々の作物根に感染したAMFの群集構造の違いを明らかにするため,日本大学生物資源科学部附属農場(腐植質黒ボク土)において圃場試験を2箇年にわたり行った。2007年は11月にコムギを播種した11月播きコムギ区と4月にコムギを播種した4月播きコムギ区,ナタネ区の計3区を設けた。2008年はコムギ区,アカクローバ区,ナタネ区の計3区を設けた。両年とも冬作物の根におけるAMFの群集構造を調査した。2007年においては11月播きコムギ,4月播きコムギの根では共にGlomus属のAMFが共通して認められたが,Gigasporaceae科のAMFは4月播きコムギしか認められず,同じ作物でも播種時期の違いによって根に感染するAMFの群集構造が異なることが明らかになった。2008年では,コムギ,アカクローバの根ではGlomus属のAMFが共通して認められたが,Gigasporaceae科のAMFはアカクローバでしか認められなかった。本研究より,同一作物による播種時期の違いや栽培する作物の種類により根に感染するAMFの群集構造が異なることが明らかとなった。
著者
宮本 康 福本 一彦 畠山 恵介 森 明寛 前田 晃宏 近藤 高貴
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.59-69, 2015-05-30 (Released:2017-11-01)
参考文献数
49
被引用文献数
2

鳥取県ではカラスガイの絶滅が危惧されているが、本種の個体群構造や繁殖の実態が明らかにされていない。そこで本研究では、本種の分布が確認されている3つの水域を対象に、サイズ組成、母貝の妊卵状況、本種の生息域における魚類相、およびグロキディウム幼生の宿主適合性を明らかにするための野外調査と室内実験を行った。多鯰ヶ池ではカラスガイのサイズ組成が大型個体に偏っていたことから、稚貝の加入が近年行われていないことが示唆された。しかし、母貝が幼生を保有していたこと、当池でブルーギルとオオクチバスが優占していたことから、これらの外来魚による幼生の宿主魚類の駆逐が本種の新規加入の阻害要因になっていることが併せて示唆された。一方で、他の2つのため池では大型個体に加えて若齢の小型個体も少数ながら発見された。これらの池ではブルーギルとオオクチバスが確認されない反面、室内実験より幼生の宿主と判定されたフナ属魚類が優占することが明らかになったことから、新規加入が生じる条件が揃っていることが示唆された。以上の結果より、現在の鳥取県ではカラスガイの個体群動態が魚類群集に強く依存していること、そしてブルーギルとオオクチバスが優占する多鯰ヶ池は本種個体群の存続が危ういことが示唆された。以上の結果を踏まえ、最後に当県におけるカラスガイ保全のための提言を行った。
著者
前田 弘
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.524-530, 1989-04-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
9

1987年クリスマスイブに,新しいBi-Sr-Ca-Cu-O系高温超伝導体がこの世に現れた.この物質は,超伝導遷移温度, Tcが初めて100Kの大台を超えたため,応用的観点から多くの注目を集めた.と同時に,超伝導を支配するCu-O面を積み重ね,その枚数を増やすことによって処を上昇させることが可能となる,という高温超伝導発現機構に関する理論的展開にも新しい知見を与えたといえよう.さらにこの発見は,当時漂いかけていた「Y-Ba-Cu-O系以上の高温超伝導体はもうないのではないか」という暗雲を払いのけるとともに,「まだまだ高温超伝導体はあるよ」という希望と勇気を多くの人に与えたように思われる.本稿では,この発見に至った経緯とそれに関連して研究に対する考え方,取り組み方について私見を述べる.
著者
大前 敦巳
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.165-184, 2002-05-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
26
被引用文献数
4 3

In recent years, a number of empirical studies have been carried out regarding the processof cultural and social reproduction in Japan. However, we are still confronted by many difficulties in applying the French theory of Pierre Bourdieu to the social realities of the Japanese educational system. This paper attempts to reexamine the possibilities of this prominent theory in the context of Japanese society's focus on academic credentials (the so-called “gakurehi, shahai”), using the data of the National Survey on Social Stratification and Social Mobility (the SSM national survey).We began by analyzingthe characteristics of the “objectified” and “embodied” states of cultural capital, according to the possession of higher education degree which represents the “institutionalized” state. In Japan, cultural capital tends to be gained in school education regardless of where it originated from, and Western modern cultures have a great influence upon these types of properties. We term this catching-up cultural capital.Next, we focused on the relationship between cultural and social reproduction using thisredefined concept of cultural capital. An intergenerational accumulation was observed for women. However, for both men and women, the social class of origin had little effect on the production of catching-up cultural capital compared to the effect of the educational levels of respondents and their parents.We therefore conclude that in Japan's credentialssociety, catchingup cultural capital depends on the school culture rather than the class culture. It follows from this that a sort of status inconsistency may be seen with culturalcapitalvis-à-viseconomic and social capital. In this structure of distribution between the different kinds of capital, individuals or families can practice “reconversion strategies” in order to maintain or improve their position in the class structure.
著者
前田 幸男
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社会科学研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.67-83, 2007

1994年の選挙制度改革は,衆議院の選挙制度として小選挙区比例代表並立制を導入することで,従来の中選挙区制下の候補者・利益誘導中心の選挙とは異なる政党・政策中心の選挙を実現することを目的とした.しかし,衆議院の選挙制度は総体として存在する複数の選挙制度の一部に過ぎない.衆議院議員・党中央組織が,地方議員・党地方組織と密接な関係を持っている以上,衆議院の選挙制度を変更した効果が地方レベルで相殺される可能性が存在する.本稿の目的は,予期される選挙制度改革の影響が有権者の態度において確認できるか,さらには,その影響が地方レベルの選挙制度により相殺されているかを,検討することにある.具体的には,JES IIのデータに地方選挙のデータを結合し,衆議院選挙における判断基準としての政党志向と候補者志向が,如何に都道府県議会選挙区定数の影響を受けているかを分析する.
著者
神楽岡 澄 大森 正子 高尾 良子 山田 万里 室井 雅子 長嶺 路子 深澤 啓治 永井 恵 和田 雅子 星野 斉之 吉山 崇 前田 秀雄 石川 信克
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.611-620, 2008-08-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
27
被引用文献数
1

〔目的〕結核対策事業の展開を軸にDOTS事業成績を評価し,都市結核対策のあり方を検討する。〔方法〕ハイリスク者結核検診の受診率と患者発見率の推移を検証した。DOTS拡大の前後で,治療成績を比較するとともに,再治療率と薬剤耐性率の推移を検討した。〔結果〕新宿区の結核罹患率(2006年)は人口10万対425までに低下したが,全国の罹患率と比較すると依然2倍以上の高さである。日本語学校検診およびホームレス検診からの患者発見率はともに有意に低下していた。治療成績のうち脱落率は,DOTS実施前には17.9%(1998~99年)と高かったが,65%(2002~04年)に減少した。再治療率は2000~06年にかけて23.0%から7.8%へ,年平均17.2%の減少(p<0.001)を示した。多剤耐性率は2000~02年から2003~06年にかけて1.6%から0.2%(p=0.042)へ,その他の耐性率は12.0%から9.7%(p=0.298)へ低下した。〔考察〕ハイリスク者結核検診による患者の早期発見・早期治療に加えて,地域の関係者と連携を図りながらライフスタイルに合った様々な服薬の支援方法を開発し,患者自身が選択できるDOTS方式を推進した。その結果,脱落率,再発率の低下につながったと考えられる。耐性率の低下の要因については,感染ルートの検証も含めてさらに検討する必要があろう。
著者
小林 真之 武知 茉莉亜 近藤 亨子 大藤 さとこ 福島 若葉 前田 章子 廣田 良夫
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.605-611, 2010 (Released:2014-06-12)
参考文献数
27

目的 不活化インフルエンザワクチン接種とギラン•バレー症候群(GBS)の関連について文献的に考察する。方法 米国予防接種諮問委員会(The US Advisory Committee on Immunization Practices: US-ACIP)の勧告に引用されている文献を中心に,不活化インフルエンザワクチンと GBS の関連についてこれまでの報告を要約するとともに,考察を加える。結果 1976年,米国において接種キャンペーンが実施された A/New Jersey/76インフルエンザワクチンについては GBS との因果関係が明らかであった。その後の季節性インフルエンザワクチンと GBS については,一貫した論拠は得られなかった。統計学的に有意な関連を報告した文献では,研究の限界を考慮した寄与危険は最大で100万接種あたり1.6例と推定されていた。考察 通常の季節性インフルエンザワクチンと GBS の因果関係について,結論は得られなかった。しかし,これまで報告されているインフルエンザの疾病負担およびワクチン有効性と対比すると,インフルエンザワクチン接種が疾病負担を軽減する有益性は,観察されている季節性ワクチン接種後の GBS のリスクを大きく上まわると考察された。
著者
田城 翼 浦辺 幸夫 内山 康明 山下 大地 前田 慶明 笹代 純平 吉田 遊子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.935-940, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
21

〔目的〕大殿筋および股関節外旋筋群への静的ストレッチングがしゃがみこみ動作に及ぼす影響を検証した. 〔対象と方法〕対象はしゃがみこみ動作が不可能な健常大学生26名として,大殿筋のストレッチングをする群(SGM群)13名と,股関節外旋筋群のストレッチングをする群(SER 群)13名に分けた.セルフストレッチングを各群で1週間実施し,しゃがみこみ動作時の股関節屈曲角度,安静時股関節屈曲角度,指床間距離,椎体間距離を測定した. 〔結果〕介入後,しゃがみこみ動作が可能となった者はSGM群3名,SER群9名であった.SER群は,SGM群と比較して, しゃがみこみ動作時の股関節屈曲角度が有意に増加した.〔結語〕SERは, SGMに比べてしゃがみこみ動作の獲得に効果が期待できることが示された.
著者
濵田 浩司 菅谷 明子 片岡 祐子 前田 幸英 福島 邦博 西﨑 和則
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.23-28, 2012 (Released:2012-12-28)
参考文献数
10

生後11ヶ月で人工内耳埋込術を施行した髄膜炎後難聴の 1 例を経験したので報告する。症例は生後 8 ヶ月で,細菌性髄膜炎に罹患し,治癒後の聴性脳幹反応検査では両側 105 dBnHL で反応がみられなかった。内耳 MRI の 3D 再構築画像で右内耳は既に閉塞し,内耳内腔の骨化が急速に進行していると考えられた。左内耳は今後閉塞が高度となる可能性が考えられ,直ちに左人工内耳埋込術を施行した。髄膜炎後の難聴にはしばしば蝸牛内骨化を伴うが,中には髄膜炎罹患後約 2 週間から内耳骨化が進行するような,急速な骨化例もある。髄膜炎直後の乳児では難聴の早期発見のための ABR 検査や,難聴の存在を疑われた場合の迅速な MRI 検査は不可欠である。
著者
前嶋 直樹 真鍋 友則
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

名刺交換に基づくビジネスネットワークは、従来の社会科学では明らかにできなかった経済的・社会的行為や価値に関する問題への計算社会科学的アプローチを可能にする。本講演では、転職や企業成長、ブランド価値、業界による「人脈作り」の違いなど、様々な観点から、名刺交換ネットワークを理解することでどのような新たな知見を創出できるのかについて報告する。