著者
前島 信
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.97-110, 1971

この論文の目的は,待ち行列系に費用の概念を導入した上で,系を特長づける要素を逐次的に変化させることによって,系の最適な制御を考えることである.その要素としてはサービス機構をとりあげ,とくに現時点の行列の長さとサービス率とに依存して,次の時点のサービス率をきめるような政策を考え,単位時間当りの期待総費用を最小にするようなサービス率を変更する行列水準を決定する問題を考察する.行列水準によってサービス率を変える場合,ある客のサービス中に行列がサービス率変更水準に達したら,すぐサービス率を変えるか,あるいはサービス中の客だけは前からのサービス率でサービスを行ない,次の客から新しいサービス率にするかを区別しなければならない.そのことを指摘した上で,今まで一般的なかたちではとりあげられていない後者のタイプについて述べ,次に2つのモデルの違いを数値例を使って検討する.さらにこの問題がセミ・マルコフ決定過程で定式化できることについての考察もつけ加えておく.
著者
松石 豊次郎 石橋 紳作 山下 裕史朗 栗谷 典量 神谷 育司 福田 清一 橋本 武夫 原 淳二 東 宏 庄司 順一 前川 喜平
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.149-155, 1996-03-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

年, 周産期医療の進歩に伴い, 極低出生体重児の救命率は改善してきた.欧米諸国および本邦から極低出生体重児の短期, 長期の神経学的予後の調査が行われ, 従来, 正常および境界と思われていた児に学習障害などの少なくないことが指摘されてきた.また, 児の発達に影響を及ぼす家庭環境や両親の養育態度の重要性も強調されている.欧米で実施されているearly interventionの概念と適応, およびその有用性を紹介する.また日本の全国8施設で行われているearly interventionの実施状況と効果の紹介および将来の展望について述べる.
著者
梶谷 亮輔 前村 公彦 山元 康平 関 慶太郎 尾縣 貢 木越 清信
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.139-149, 2018-06-10 (Released:2018-06-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

The aim of this study was to examine the validity, reliability, and utility of a method for evaluating the characteristics of the counter movement jump. Fifty-two male track and field athletes (sprinters or decathletes) jumped from a 30-cm platform and consciously changed their counter movement times. This study determined the counter movement time required to achieve the highest jump. The results are summarized as follows: 1. The waveform between the counter movement time and jumping height was an inverted U-shape. 2. It is normally accepted that the optimum counter movement time is determined via the jump test. 3. There was a significant correlation between the first test and the re-test in terms of the counter movement time. 4. Participants were classified into 5 groups based on their optimum counter movement times and highest jumping heights. These results suggest that the newly developed jumping test discussed in this study is a valid method for evaluating the characteristics of counter movement.
著者
高橋 理喜男 前中 久行
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.24-37, 1977-02-20
被引用文献数
2 3

自然環境の管理保全の目標に適合したレクリエーション利用の適正密度基準を求めるため,奈良公園若草山の自然草地を研究対象として,レクリエーション利用密度と草地植生の群落的形質との生態的関連性を解析した。もっとも利用者の集中する春秋2季のうち,1973年1月初旬の休日2日間をえらび,地上各出入口において,30分単位で入退山者数を記録するとともに,合計6回にわたって,草地における滞留者の分布状態を空中写真によって捉えた。その結果を25mメッシュに切った1/2500の地形図上に,各撮影時刻毎にメッシュ当り利用密度分布図を作成した。利用密度と植生タイプとの関連性を,空間的広がりの中で考察していくためには,利用密度階級によって分けたメッシュ群が,ある程度安定した恒常性をもっていることが条件となる。その点を「平均相対利用密度」を用いて検証を試みた結果,空からの調査回数が少いため若干のフレを伴っているけれども,恒常性の条件をほぼ満たしていると判断された。一方,春と秋の2回にわたって植物社会学的植生調査を実施し,草地の群落的組成を明らかにするとともに,その空間的配分を示す植生図を作成した。さらに利用密度との比較検討ができるように,1つは相観タイプにより,もう1つは群落タイプによって,それぞれメッシュ単位から成る植生図に編成した。相観タイプについては,ススキ優占草地とシバ優雨草地とがメッシュ内に占める被度の割合に応じて,ススキ型,シバ型それぞれ3種類と裸地化型の計7タイプを設定した。また群落タイプの方は,ススキ群落を除外し,ススキ群落からシバ群落への移行帯を特微づけているチカラシバ型と,シバ草地を形成しているネズミノオ型,典型シバ型,ギョウギシバ型の4タイプに分けた。そこで,年間を通じて,入山者の最も多いクラスに属する11月3日の,しかも最高滞留者数を記録した13時の5,512人を基準にして,前述の「平均相対利用密度」階級を具体的な利用密度階級に換算して植生タイプとの比較を試みた。その結果,ha当り20人以下の利用密度にとどめておく限り,ススキ草原としての景観的存続は保証され,400人ぐらいまでなら,ススキ優占がつづく。しかし,500人を境として,シバ型へ転向し,900人を超えると典型的シバ草原が成立する。さらに,1,300人以上になると,激しい踏圧によって裸地化の前駆相ともいえるギョウギシバ型がとって代ることになる。
著者
前田 正登
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
シンポジウム: スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.B-11, 2016

<p>In this study, throwing experiments were conducted with the participation of six javelin throwers using a wooden javelin produced to conform to the current regulations for javelin throw competitions and a normal javelin made by duralumin. In the experiments, the wooden javelin and duralumin javelin were thrown and the following release parameters were measured: initial velocity, release height, release angle, attitude angle, and angle of attack). The distances of the throws were measured and the effects of the release parameters were assessed. As a result, it was found that the thrown distance of the wooden javelin was slightly shorter than that of the duralumin javelin, but the difference was not significant. Similarly, no significant difference was observed in each release parameter. The standard deviation of each release parameter was relatively large, and individual differences between the throwers were considered to be one of the causes.</p>
著者
鹿住 祐子 前田 伸司 菅原 勇
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.551-558, 2006-09-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
27
被引用文献数
3

〔目的〕抗酸菌の同定にrpoB遺伝子シークエンスを利用できるか評価を行うために16SrRNAシークエンス(RIDOM)と比較し,さらにこの2つの方法を使い分けてDDH法にて菌種不明であった38臨床分離株を同定した。〔対象および方法〕ATCC標準菌株を中心とした抗酸菌(106株)とNocardia属,Rhodococcus属,Gordona属合わせて計112株を用いて,rPoB遺伝子シークエンスと16SrRNAシークエンスを行った。そしてDDH法不明菌38臨床分離株のシークエンス結果を2つの方法のデータベースで相同性を調べ,菌種を決定した。〔結果・考察〕研究対象となった112株のうち16SrRNAシークエンス(RIDOM)では69,6%,rpoB遺伝子シークエンスでは89。3%が同定可能であった。16SrRNAシークエンス(RIDOM)では同定できないM.kansasiiなど11菌種をrpoB遺伝子データベースでは分けることが可能であったが,2つのシークエンスを用いてもM.tubereulosisなど12菌種を分けることができなかった。DDH法不明菌種の38株はM.heckeshomense,M.branderiなど21菌種として同定され,両方の方法を組み合わせることによって97.4%が同定可能であった。
著者
前田 学 山崎 隆治 藤沢 智美 永井 美貴 周 圓
出版者
日本皮膚悪性腫瘍学会
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.210-218, 2005-09-30 (Released:2010-08-05)
参考文献数
13

末期皮膚悪性腫瘍 (悪性黒色腫と有棘細胞癌) の2例に対してモーズ法と灸療法の併用を試みた。症例1; 77歳, 男性, 1996年夏より左足第I爪が黒色化し, 1997年5月, 外科で抜爪術施行。6月左鼠径部リンパ節腫脹出現, 悪性黒色腫のリンパ節転移の診断下, 8月18日に当科入院後DAV-feron療法3クール施行, 1998年1月22日に左第1趾切断, 6月より左鼠径部に転移巣数十個以上出現, 腫瘍巣36×30cmを拡大切除・植皮施行, 8月同部に再発, 切除。以後, 再燃・切除を4回施行。鼠径部転移巣に1999年10月よりモーズ法を施行・切除。2000年1月14日に再入院。骨盤内の腫瘍巣は小児頭大, 肺転移出現。1月24日, 鼠径部転移巣に灸3荘施行後, 黒色壊死・潰瘍化し, 同部の腫瘍細胞は消失。易出血のため計5回で中止, 3月9日, 黒色舌苔・カンジダ症併発し, 3月15日心不全で死亡。症例2; 63歳, 男性, 1999年11月右鼻孔部に丘疹を生じ, 2000年3月, 急速に増大, 耳鼻科の生検では良性と判断されたが, 以後増大し, 6月13日当科紹介。有棘細胞癌 (SCC) の診断後, 鼻中隔を含め広範切除。8月よりPM療法2クール施行。2001年4月25日下顎に腫脹出現, 5月25日同部の結節もSCCのため, 放射線60G照射, CF療法2クール施行, 一時的に腫瘍は縮小したが, 深部に癌浸潤し, 手術不可能と判断。3月25日モーズ法を試み, 隆起部は平坦化し, 4月10日に退院後もモーズ法継続。7月16日, 腫瘍巣周辺部の小結節に灸療法併用し, 自宅でも継続。8月6日には腫瘍巣は壊死・痂皮化し, 病理像で壊死化 (+) 。10月より急速に腫瘍巣は増大・易出血性となり, 12月3日再度入院。腫瘍巣は小児頭大壊死性潰瘍となり, 2002年2月23日, 多臓器不全で永眠。灸は文献的にも各種の不定愁訴の改善のみならず, 腫瘍増殖抑制効果も報告されているので, 末期で完治困難な癌症例に対してQOL向上面からモーズ法と灸療法の併用も積極的に考慮する必要がある。
著者
前田 経雄 土井 捷三郎
出版者
富山県水産試験場
雑誌
富山県水産試験場研究報告 (ISSN:09156542)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-9, 2006
被引用文献数
2

1988年7月、1989年5・6月、および2001年3・10月に富山湾をはじめとする日本海から採集された標本を用い、オオエッチュウバイBuccinum enuissimumの成熟サイズを推定した。本種の貝殻は薄く割れ易いため、殻長が計測できなかった個体については、蓋長径(OD)と殻長(SL)の回帰式(SL=63.859×Log(OD)-111.15、r2=0.94、p<0.001、n=281)により蓋長径から殻長を推定した。成熟度の指標には、生殖腺係数(生殖腺重量/蓋長径(3)×10(4))を用い、雄ではペニス長も併せて使用した。雌雄とも殻長90mm未満では生殖腺係数はほぼ0であったが、雄は殻長100-130mmにおいて、雌は殻長100-140mmにおいて、殻長の大きい個体ほど生殖腺係数の増加する傾向が認められた。ペニスは殻長100mmを境にして急速に大きくなり、殻長120mmでは長さが約60-110mmであった。以上のことから、オオエッチュウバイの雄は殻長100-130mmで、雌は100-140mmで成熟すると推定された。
著者
田家 哲彦 前山 巌 山崎 堯二 大森 俊一
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.43-46, 1976-06-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
9

Three femoral heads with non-traumatic aseptic necrosis were excised surgically, and then investigated histologically.Case 1: 57 year-old female with aseptic necrosis of femoral head associated with osteoarthritic features.Case 2: 47 year-old female, after steroid therapy for sarcoidosisCase 3: 34 year-old male, following steroid therapy for systemic lupus erythematosus.There were no specific histological findings in three cases, which are related to the original disease.
著者
前田 真治 杉田 淳 齋藤 雅人 萩原 摩里 池本 毅
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.179-186, 2006 (Released:2010-04-30)
参考文献数
7

日本酒濃縮物 (日本酒濃縮入浴剤) 添加温水が人体にどのような影響をもたらし、有用な作用があるかをみるために、健常成人を対象に日本酒濃縮物添加温水、またその特異成分であるα-エチルグルコシド添加温水、水道水温水とを比較検討した。その結果、血圧・脈拍は3者間で差がなく心肺への負担は水道水温水と同じであった。前額部の表面皮膚温で日本酒濃縮物添加温水が他2者に比して出浴後緩徐な低下であり、保温効果が示唆された。深部体温計の経過から日本酒濃縮物添加温水が、熱吸収効率の高い要因としてα-エチルグルコシドの関与が考えられた。皮膚血流量増加も加味した結果から、日本酒濃縮物添加温水は、温水中の熱が身体内に入りやすく、かつ出にくい環境を作り出すと考えられる。その要素として、α-エチルグルコシド以外の溶存物質が関与することで、より強い熱運搬作用と保温作用をもつと結論した。皮膚水分量の測定から、温水中に入っている部分では、出浴後早期の潤いはあるが、早期に以前の状態に戻ることがわかった。温水中に入っていない顔面は、皮膚の角層水分量が日本酒濃縮物添加温水の方が良好であり、保湿量が増加していることが認められた。
著者
田口 精一 平石 知裕 高瀬 和真 前田 理久
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

バイオオポリエステル生合成酵素の質的改変をとおして、ポリエステルの生産性・物性を積極的に改善する研究を展開している。今年度は、3HBをベースとしたPHA共重合体を合成できるPseudomonas sp.61-3重合酵素(PhaC_<Ps>)を対象に、望みの共重合組成(3HBとそれ以外のモノマーユニットとのモル比)を有するPHAの合成を実現する進化酵素をさらに多数創成すると同時に変異解析に基づく本酵素の構造と機能の相関について総括的考察をおこなった。対象酵素PhaC_<Ps>は、3BベースのPHA共重合体を合成できるが、3HB基質取り込み能力が微弱であるという課題があった。そこで、この性質を利用することによって、3HBだけから成るPHBホモポリマーの蓄積能力が向上する(PhaC_<Ps>の3HBに対する基質特異性向上あるいは全活性の向上)ということを指標としたスクリーニング系を構築した。この人工進化実験の特徴は、野生型酵素だと微量のポリマーしか蓄積できない組換え大腸菌(JM109株使用)との比較で、より多くポリマー蓄積する進化酵素保有大腸菌株を精度高く識別できる(ポジティブセレクション)という点にある。すでに確立した人工進化システムから得られた複数の優良変異点のうち、477番目のSerと130番目のGlyに着目し、これらのサイトにおいて総アミノ酸置換を実施した。全変異酵素を保有する組換え大腸菌(β酸化系変異株LS5218使用)によって生成されるポリマーの含量およびモノマー組成は、HPLCおよびGCにて分析した。その結果、JM109株でのPHBホモポリマー蓄積量において野生型を上回る変異体酵素が得られた。さらに、LS5218株にC4からC12までのモノマー基質を供給できる酵素遺伝子(phaA<Re>B_<Re>J_<Pa>)を補強した状態で、各変異酵素遺伝子を導入した。その結果、PHA共重合体の生産性が向上すると同時に、モノマー組成の多様性が生じていた。このインビボでのPHA含量の向上あるいはモノマー組成変化から、477番目のポジションが酵特に基質特異性決定に関与することが、130番目のポジションが特に比活性向上に関与することが推定された。これらの結果は、一部インビトロでの活性測定結果とよい一致を示し、立体構造情報が無くてもPHA重合酵素の機能マッピングができることを始めて示すことができた。