著者
前川 和也 前田 徹 依田 泉 森 若葉 松島 英子
出版者
国士舘大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

前4千年紀末にメソポタミア南部で成立したシュメール文字記録システムが、遅くとも前3千年紀中葉にはシリア各地で受け入れられ、シリア・メソポタミア世界が一体化した(「シュメール文字」文明)。アッカド語などセム系言語を話す人々も膠着語であるシュメール語彙や音節文字を容易に利用できたのである。本研究は、「「シュメール文字」文明」の展開過程、またセム諸民族がこれを用いてどのように社会システムやイデオロギーを表現しようとしたかを考究した。
著者
前田 博司
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.383-387, 2007-05-15

2005年12月から2006年2月にかけての豪雪で,岐阜県において発生した被害について調査した.この地域では,人的被害は死者4人・重傷49人・軽傷36人,住家被害は全壊なし・半壊2棟・一部破損601棟・床上浸水なし・床下浸水7棟,非住家被害は451棟であった.被害状況は全国的な傾向とは異なり,高齢者の人的被害が特に多いとはいえず,建物の被害数も多かった.しかし,被害の程度は必ずしも甚大ではなかった.
著者
前田 将宏 三浦 昭順 宮本 昌武 加藤 剛 出江 洋介 中野 夏子 比島 恒和
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.565-571, 2010-05-01 (Released:2011-12-27)
参考文献数
24

症例は23歳の男性で,インド旅行帰国後の下痢・腹痛・嘔吐を主訴に受診,CTにて回盲部腸重積症と診断し,同日緊急手術を施行した.術中所見では回盲部腸重積症を認め,用手的に整復が可能であった.しかし,盲腸は腫大し腫瘤様に触知され,周囲の腸間膜リンパ節の腫大も認められたため悪性病変も否定できず回盲部切除術を施行した.病理組織学的診断では,パイエル板の著明な肥厚と盲腸の鬱血・浮腫性変化を認め,非特異的腸炎の診断であった.後日,便培養からカンピロバクター(Campylobacter jejuni)および赤痢菌(Shigella flexneri)が検出され,細菌性腸炎関連性腸重積症と診断した.発生機序は回盲部の解剖学的要因に加え,急激な回盲部粘膜の炎症性変化に伴う先進部形成に腸管蠕動異常亢進が契機となったと考えられた.保存的治療の報告例もあり,細菌性腸炎が腸重積症の一因となることを認識し治療にあたることが肝要である.
著者
添田 愼介 明石 健志 前田 清 川北 毅
出版者
日本生物工学会
雑誌
生物工学会誌 : seibutsu-kogaku kaishi (ISSN:09193758)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.389-397, 1998-09-25
参考文献数
11
被引用文献数
2

Tacrolimus is an immunosuppressant macrolide isolated from Streptomyces tsukubaensis. It is used clinically to prevent the rejection of tissue transplants. To achieve the industrial production of tacrolimus, development research was aimed at breeding strains that efficiently produce tacrolimus, optimizing the cultivation conditions, determining an effective purification method, and establishing a means of rapid quantitative analysis. The wild-type S. tsukubaensis was sequentially treated with ultra violet light to furnish various types of morphologically altered mutants, from which a desired strain was selected and bred. For the fermentation of the new strain, a cultivation medium was formulated with a low viscosity and resistant to thermo-denaturation on sterilization. In a scale-up study, in which the fermentor size was increased from 30l to 25kl, the productivity of tacrolimus was found to be well reproduced by keeping both the dissolved oxygen and the agitation at low levels during the growth phase of the producing strain. As a result of these procedures, the concentration of tacrolimus in the fermentation broth was increased 300-fold over that obtaind in the early stages of the research with the wild strain. S. tsukubaensis produces many kinds of proteins and oligosacchalides as well as various types of tacrolimus related compounds. To remove these impurities effectively, the cultivation broth was directly extracted with acetone. The extract was successively purified with a high porosity absorbance resin, and acidic and natural silica gel column chromatography, followed by recrystalization in aqueous acetonitrile, to obtain tacrolimus monohydrate. Tacrolimus itself is readily converted to optical and steric isomers in an aqueous solution. When tacrolimus was analyzed by HPLC at lower temperatures, the peaks corresponding to the macrolide were complex because of cis-trans isomerization in the column. The problem was overcome by heating the column to 50℃, when the isomerization rate was so high that the peaks were fused into a single, sharp one. The epimerization ratio was found to depend on the concentration of water in the solution, but the ratio remained constant when a Brij-35 solution used as a diluent. By these procedures, a simple, rapid and reliable analytical method was established. The industrial production of tacrolimus was thus achieved by a combination of fermentation, purification, and analytical investigations.
著者
御前 明洋 永広 昌之
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.3, pp.129-145, 2004 (Released:2005-01-07)
参考文献数
27
被引用文献数
9 10

南部北上山地, 気仙沼北方上八瀬-飯森地域のペルム系を, 下位より, 石灰岩や砂岩主体の中平層, 主に黒色泥岩よりなる細尾層, 石灰岩, 石灰質泥岩および砂岩主体の上八瀬層, 黒色泥岩が卓越する黒沢層に区分した. 上八瀬層は岩相の側方変化が大きく, 北部では石灰岩や石灰質泥岩が, 南部では砂岩が卓越する. また, フズリナ類やアンモノイドを中心に多くの化石の産出層準を明らかにし, 細尾層中部からDemarezites, 上部からWaagenocerasやParaceltites, 細尾層上部~上八瀬層最下部からPseudodoliolinaの産出を報告した. また, Monodiexodina matsubaishiがLepidolinaの初産出層準より上位からも産出することを初めて確認した. 従来報告されたフズリナ類・アンモノイド化石データと今回のそれを合わせて判断すると, 中平層~細尾層下部はSakmarian~Kungurian, 細尾層中部はRoadian, 細尾層上部~上八瀬層下部はWordian, 上八瀬層上部~黒沢層下部はCapitanianに対比される.
著者
齋藤 和樹 前田 潤 丸山 真理子 Kazuki SAITO Jun MAEDA Mariko MARUYAMA 看護学科(臨床心理学) 室蘭工業大学共通講座(災害心理学) 秋田赤十字病院心療センター
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.10, pp.23-32, 2006-03-15
被引用文献数
1

日本赤十字社から海外に派遣された救援要員のストレス要因を50人のアンケート結果から分析した。アンケートでは、時系列に沿って「I.海外派遣が決まってから出発するまで」、「II.現地に到着直後」、「III.現地で活動中」、「IV.帰国が決まって帰国するまで」、「V.帰国後仕事に復帰して」の5つの時期に、「1.どのようなストレスを感じたか」、「2.それらにどのように対処したか」、「3.その対処はどの程度有効であったか」、「4.感じているストレスに対して所属する機関や周囲の人にどのように対応してもらいたかったか」を聞いた。各時期にさまざまなストレスがあり、対処法もさまざまであったが、いくつかの時期に共通して見られるストレス要因も見いだせた。それらは「情報不足」、「コミュニケーション・言語の問題」である。これらを解決することは、派遣要員のストレスの軽減になるだろう。また、対処法の効果の10段階評価を見ると、「V.帰国後仕事に復帰して」が他の時期に比して低かった。帰国後の職場での派遣員への理解と配慮の必要性も伺われた。Stress factors of 50 delegates who were sent abroad from the Japanese Red Cross Society were analyzed. A special questionnaire was created to analyze stress factors at 5 situation points throughout the time line, which included" I. Pre-departure", "II. Initial arrival in the field", "III. During the mission", "IV. Mission completion, before returning to Japan.", and "V. After returning to Japan and the workplace." There were 4 questions for each situation included; "1. What kind of stress did you experience?", "2. How did you cope with the stress?", "3. How effective was your coping strategy?", "4. What did you want your workplace to do to assist you in coping?". Various kinds of stress factors in each situation and various coping styles are found. "Lack of information" and "communication and language problems", however, were common stress factors throughout all the situations. Solving these problems is expected to reduce their stress levels. In addition, the mean score of question 3 (coping effectiveness) in Situation V (after returning) showed lower scores than the other situations. The necessity for understanding and care given to the delegates after they come back to Japan was suggested.
著者
前野 育三
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.11-26, 2002-10-26 (Released:2017-03-30)

修復的司法は,数年前までは,日本では,ごく少数の人以外にはまったく注目されていなかった.今日では実践例も現れ,修復的司法について論じられることもずいぶん多くなった.それとともに,修復的司法とは何か,についても,見解の相違が目立つようになってきた.本稿では,日本社会で今なぜ修復的司法が求められるのかを論じ,ついで,それに適した修復的司法は,どのような条件を備えた,どのようなタイプのものであるかを論じることにしたい.
著者
前田 高弘
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.67-81, 1999

注意されたいのは,私はスワンプマンがある種の生物学的機能や心的特性(ないしそれに似た何か)をもつことを否定してはいないということだ.スワンプマンが通常の照明の下で赤いリンゴを目の前にしたとき,彼はあなたが同様の条件下でもつ経験と同じ経験をもつという直観は,内在主義というより,物理的スーパーヴィニエンスに基づく自然主義に由来するものであるように思われる.だが他方で,心的特性を進化論的な観点によって捉えようとする外在主義も同様の自然主義によって動機づけられており,本稿は,この自然主義の内部における対立を調停する試みであると言える.この試みによって,外在主義者たちがスワンプマンに悩まされなくなれば幸いである.だが,たとえそうならなくても,スワンプマンを自然法則に関する形而上学的問題の中に位置づけることによって,志向性や感覚質に関する哲学的議論の場そのものからはスワンプマンに別れを告げることができれば私は満足である.そこではドッペルゲンガーだけで十分だろう.
著者
梶本 五郎 笠村 貴美子 前場 佳子 真鍋 恵子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.358-361, 1963

3月, 6~7月の梅雨期と, 夏を越した9月の3時期に市販の各種油脂食品, すなわちドーナツ, クラッカー, チョコレート, ポリコン, いかり豆, グリンピース油揚げ, カリントウ, お好み, チキンラーメン, トンメン, バター, マーガリン, ラード, マヨネーズ, 豚ハム, 鯨ハム, 魚肉ソーセージ, イカのクン製物, いりこ, ミリン干し, しらす佃煮, 花かつを, うまいか等23種を, それぞれ異なった店より無作為的に購入し, エーテル抽出油の過酸化物価および酸価を求めた.<BR>その結果<BR>1. 食品別では油脂の過酸化物価および酸価の高いもの, すなわち変敗度の高いものは, ミリン干し, いりこ, イカのクン製物, しらす佃煮, ハム等で, ついで花かつを, 油揚げ豆類, お好み, ドーナツ等で, 比較的, クラッカー, チキンラーメンは低くラード, マーガリン, バター類が最も低い.<BR>2. 季節別では概して3月頃より夏を越した9月頃の食品の方が変敗度高く, とくにいりこ, 油揚げ豆, お好み等は気温に影響され, マーガリン, バターなどは年中ほとんど一定であった.
著者
古庄 敏行 吉丸 博志 前田 徹
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.205-215, 1987-06-30

遺伝的形質の中には,支配する遺伝子が常染色体上に座位するものでも,表現や浸透度などに性差を表わすものがある。それらは程度の差こそあれ,従性遺伝の傾向がある。しかしながら,Snyderら^<4)>による若禿に関する有名な報告以来,従性遺伝の分析に関する報告はほとんどない。また,完全浸透と無淘汰を仮定した従来の分析法では必ずしも現実に適合せず,解析が困難な場合もある。そこで著者らは,浸透度,出生前淘汰,突然変異率,遺伝子頻度を考慮した上で,4つの従性遺伝モデル(A: 男女とも優性,B: 男で優性かつ女で劣性,C: 男で劣性かつ女で優性,D: 男女とも劣性)を仮定し,その検定法について考察した。その結果,(1)男女別発端老の両親の近親婚率,(2)両親の表現型組合せ別に,男女別発端老の男女別同胞における分離比,を推定することにより有効な検定が可能であることが示唆された。
著者
前田 亜紀子 井上 桃香 山崎 和彦 井上 桃香 イノウエ モモカ Inoue Momoka 山崎 和彦 ヤマサキ カズヒコ Yamazaki Kazuhiko
出版者
群馬大学教育学部
雑誌
群馬大学教育学部紀要. 芸術・技術・体育・生活科学編 (ISSN:05336627)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.145-150, 2015

Gunma prefecture is famous for a strong wind in winter. For this reason, this study examined how anatural feature influence clothes by seeing fixed point observation images which were recorded with videocamera. The images were recorded from 8:10 to 8:40 in a morning.Also,the period of this recording was fromDecember 12th in 2013 to January 22nd in 2014. The number of people who were analyzed is 745 males and597 females. The total is 1,342 people.The air temperature and Wind Chill Index (hereafter WCI)is effectivein order to assess the relationship between a natural feature and the rate of clothes worn by the people.As aresult, females usually put on a coat regardless of the air temperature. Males were likely to put on a coatdepending on the lowest air temperature. In addition,when a strong wind blew, females fastened the buttonson their coat and stooped. In case of males,the lower temperature became,the more males were likely to puton down coats. As we can see, there were differences between males and females. Also, females were morelikely to put a mask on their mouth regardless of weather.
著者
前田 紘弥 関本 義秀 瀬戸 寿一 樫山 武浩 小俣 博司
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.A_1-A_8, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)
参考文献数
15

課題先進国と言われる日本のインフラ維持管理は、財源・専門家不足が深刻な問題となっている。一方で、ここ数年の深層学習等の技術発展により高度な画像認識が可能になっており、さらに世界中広く普及しているスマートフォンのカメラ機能は高精細化している。そこで本研究では、7 つの自治体の道路管理者と連携し、深層学習により路面損傷のリアルタイム検出を行うとともに、ランダムフォレスト法により自治体ごとの修繕対応決定における各特徴量の重要度比較を試みた。その結果、一般的なスマートフォンのみを用い、路面損傷を検出率(真陽性率)87%で検出することができ、自治体ごとの維持対応基準の違いを定量化することができた。この成果により、安価で簡易なインフラ点検が可能となり、財源・専門家不足に悩む諸地域においてブレークスルーとなる可能性がある。
著者
笠井 章次 唐崎 秀則 前本 篤男 古川 滋 伊藤 貴博 河野 透
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.91-96, 2018 (Released:2018-01-29)
参考文献数
15
被引用文献数
1

急性感染性電撃性紫斑病(acute infectious purpura fulminans:AIPF)は感染に惹起され急速に進行拡大する末梢の紫斑,皮膚壊死を特徴とする疾患である.死亡率は30%以上と高率で,救命し得た例でも最終的に四肢切断を要することが多い重篤な病態である.われわれはクローン病腸管切除手術後の重篤な麻痺性イレウス治療中にCitrobacter freundii菌血症からAIPFを発症したが,複数科の協力による集中治療で救命し得た40歳代女性の1例を経験したので報告する.クローン病患者は易感染状態であり,また血栓性イベントの高リスク状態でもあることから,AIPFを発症しやすい条件下にあるといえる.現時点で自験例以外にAIPFを合併した症例の報告はないが,クローン病の管理において知悉すべき病態であり,その治療においては複数科との協力の下,集学的に行うことが重要であると考えられた.