著者
大島 研郎 前島 健作 難波 成任
出版者
一般社団法人 植物化学調節学会
雑誌
植物の生長調節 (ISSN:13465406)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.131-136, 2014-12-20 (Released:2017-09-29)
参考文献数
24

Phytoplasmas are plant pathogenic bacteria associated with devastating damage to over 700 plant species worldwide. It is agriculturally important to identify factors involved in their pathogenicity and to discover effective measures to control phytoplasma diseases. Despite their economic importance, phytoplasmas remain the most poorly characterized plant pathogens, primarily because efforts at in vitro culture, gene delivery, and mutagenesis have been unsuccessful. However, recent molecular studies have revealed unique biological features of phytoplasmas. This review summarizes the history and recent progress in phytoplasma research, focusing on reductive evolution of the genomes and virulence factors involved in their unique symptoms, such as TENGU and Phyllogen.
著者
山本 圭彦 浦辺 幸夫 前田 慶明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1211, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】静的ストレッチング後に,筋力発揮が低下することは知られている。これは,神経筋の生理的反応とされている(Marek SM, 2005)。ストレッチング後に筋収縮を加えることで,筋力低下が解消できると考えた。本研究は,ストレッチング後に筋収縮を伴う抵抗運動を行わせ,筋力がどのように変化するかを検討した。仮説は,ストレッチング後に筋収縮を加えることで筋力低下が解消するとした。【方法】対象は,健康な男性15名(平均年齢:20.9±1.5歳,身長:169.9±7.1 cm,体重:68.4±7.4 kg)であり,ハムストリングを対象筋とした。一側の下肢を安静肢,他側の下肢をエクササイズ肢(以下,Ex肢)に分けた。なお,安静肢とEx肢の測定は1日あけた。筋力測定は,等速性筋力測定器(Biodex system3,BIODEX社製)を用いて300°/s,180°/s,90°/sの3種類の角速度で計測した。ストレッチングの方法は,背臥位で股関節屈曲90°,膝関節屈曲90°から検査者が膝関節を他動的に伸展させた。最大膝関節伸展可動域を1分間保持するストレッチングを2セット実施した。測定手順は,両肢ともにストレッチング前とストレッチング直後に筋力を計測した。その後,安静肢は5分間の安静,Ex肢は5分間のエクササイズを実施した後にストレッチング5分後の筋力測定を行った。エクササイズは,等速性筋力測定器にて角速度120°/sでの膝関節屈伸運動を5回3セット実施し,セット間は1分間の休息を入れた。統計学的解析は,測定時期(ストレッチング前,直後,5分後)と2条件(安静肢,Ex肢)を2要因とした反復測定二元配置分散分析を用いて検討し,有意な効果が得られた場合には,FisherのPLSD法による多重比較を行った。いずれも危険率5%未満を有意とした。【結果】ストレッチング直後はストレッチング前と比べ安静肢,Ex肢ともにすべての角速度で7.4~11.2%筋力が低下した(p<0.05)。安静肢はストレッチング5分後も筋力低下(4.8~8.9%,p<0.05)が持続したが,Ex.肢は有意な減少を認めずストレッチング後の筋力低下は解消した。【結論】ストレッチングによる低下筋力は,筋収縮を加えることで即時的に解消することが確認できた。静的ストレッチングは筋力低下をもたらすため,スポーツ現場ではウォーミングアップに静的ストレッチングを取り入れることは考慮すべきという意見がある。しかし,今回の結果から静的ストレッチング後に筋収縮を加えれば筋力低下に対する問題は解決できることが分かった。成長期には,柔軟性を改善することが成長期障がいの予防につながるため,ウォーミングアップ時に静的ストレッチングの励行は有効であると考える。
著者
生友 尚志 永井 宏達 西本 智一 田篭 慶一 大畑 光司 山本 昌樹 中川 法一 前田 香 綾田 裕子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0851, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】広背筋は上半身の中で最も大きい筋であり、その働きは多岐にわたる。この広背筋の筋電図学的研究は多くなされているが、その中でもPatonらは広背筋を6つに分けて筋活動の測定を行い、機能的な分化があることを報告している。また、前田らも同様の方法により行っているが、両者とも肩関節運動時の筋活動を測定しており体幹運動時の筋活動は測定していない。さらに広背筋の体幹伸展、回旋動作の研究は多く行われているが、体幹側屈動作時の筋活動の研究は少ない。本研究の目的は、体幹側屈動作を先行研究に加えて測定し、広背筋の体幹側屈時の筋活動とその機能的分化について筋電図学的特徴を明らかにすることである。【対象と方法】対象は上下肢及び体幹に整形外科的疾患のない健常成人男性10名(平均年齢24.9±3.0歳)とした。なお、被験者には本研究の趣旨を説明し同意を得た上で測定を行った。筋電図の測定にはNORAXON社製MyoSystem 1400を使用し、表面電極による双極誘導法にて行った。測定筋は右広背筋とし、Patonらの方法をもとに広背筋をC7棘突起と上前腸骨棘を結んだ線上で等間隔に4つ(広背筋上部、中上部、中下部、下外側部)に分け、筋線維に平行に表面電極を貼付した。また、体側のTh9の高さの筋腹(広背筋上外側部)にも貼付した。測定動作は腹臥位での右肩関節伸展・内転・水平伸展・内旋・下方突き押し、端座位での体幹右側屈・プッシュアップ、側臥位での体幹右側屈・右股関節外転・左股関節内転、背臥位での右骨盤引き上げ運動の計11項目とした。プッシュアップは端座位で臀部を床から持ち上げた状態で3秒間保持した時の積分筋電図値(以下IEMG)を、それ以外は3秒間最大等尺性収縮した時のIEMGを求め、それらを徒手筋力検査に準じた肢位にて測定した肩関節伸展最大等尺性収縮時のIEMGを100%として正規化し、各部位ごとに%IEMGを求めた。統計処理は反復測定分散分析を行った。【結果と考察】各動作において部位ごとの%IEMGを比較すると、全ての動作において有意な差がみられた。肩関節水平伸展、内旋においては広背筋上部が他の部位に比べて高値を示し、肩関節内転やプッシュアップは広背筋下外側部が高値を示した。肩関節下方突き押しについては広背筋上外側部、下外側部が高値となった。これに対して、体幹側屈動作では側臥位体幹右側屈において広背筋上外側部、中下部、下外側部が高値を示し、座位体幹右側屈、側臥位右股関節外転・左股関節内転、背臥位右骨盤引き上げ運動においては広背筋下外側部が高値となった。本研究の結果より、広背筋は筋線維により機能的に分化していることが確認できた。また、広背筋の上部線維は肩関節運動時に大きく働き、外側線維については体幹の側屈を伴うような運動時に大きく働くということが示唆された。
著者
前田 英作 南 泰浩 堂坂浩二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.624-640, 2006-06-15
被引用文献数
17

私たちの身近にいつも寄り添い,見守り,そっと支えてくれる存在,かつて私たちはそれを「妖精・妖怪」と呼んでいた.物質的な利便性より精神的な安定と豊かさを追うべきこれからの時代に,情報科学技術が取り組むべき課題はこの妖精・妖怪の復権である.本論文では,それを新しい「環境知能」と呼ぶ.復権すべき妖精・妖怪の世界とは何か,情報科学技術との接点は何か,それにより実現される生活様式は何かについて論じるとともに,環境知能の実現に向けて今後取り組むべき具体的課題を提起する.
著者
前田 太郎 安藤 英由樹 渡邊 淳司 杉本 麻樹
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.82-89, 2007 (Released:2008-07-04)
参考文献数
19
被引用文献数
4 5

両耳後に装着された電極を介する前庭器官への電気刺激 (Galvanic Vestibular Stimulation,以下 GVS)は装着者にバーチャルな加速度感を生じさせることが出来る.この刺激は従来メニエル氏病などのめまい疾患の原因部位特定に際して前庭機能の異常を検出する方法としての caloric testに代わる手法として用いられてきた.本解説ではこの刺激を感覚インタフェースとして能動的に利用する工学的手法について論じる.
著者
前川 友香里 鈴木 馨
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-11, 2017-04-10 (Released:2017-05-02)
参考文献数
5

エキゾチックペットとして広がりつつあるデグーは粗食に適応した草食齧歯類であり、飼育下での高栄養食給餌は糖尿病や脂質異常症の発症などが危惧されている。本研究では、デグーとのコミュニケーションをはかるための高嗜好性食物の検討とそれらの食餌による血糖への影響を検討した。臨床的に健康な成熟個体(n=6)を用いて、あらかじめ空腹時血糖値(64.2±2.2mg/dl、平均値±標準誤差)を測定後、通常食(ペレット)、高繊維質食(チモシー)、高糖質食(乾燥パイン)、および高脂質食(ヒマワリの種)の嗜好性、ならびに給与後の食後血糖値変動を調べた。17時間絶食後の摂食量は最も多いものから、高脂質食(2.7±0.2g、平均値±標準誤差)、高糖質食(2.4±0.2g)、高繊維質食(1.6±0.3g)、通常食(0.6±0.1g)の順序であった。食後血糖値は、高糖質食で最もピーク値が高く(91.8±7.8mg/dl)、高脂質食で最も低かったが(68.7±3.9mg/dl)、いずれも生理的変動の範囲内であり、150分以内で空腹時血糖値付近に戻った。以上より、常用・長期の場合は除き、高嗜好性食物の利用がデグーの健康に直ちに悪影響を及ぼす可能性は低いことが示唆された。
著者
大月 龍 前田 新一 石井 信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.500, pp.275-280, 2014-03-17

近年、囲碁をプレイする人工知能エージェントにおいてUCT探索に基づく先読みアルゴリズムの有効性が示され、注目を集めている。本研究では、ぷよぷよの大連鎖を目的として、UCT探索に基づく新しい先読みアルゴリズムを提案する。ぷよぷよは、落下型パズルゲームの一種であり、落下してくるピースを操作して大連鎖を構築するが、将来どんなピースが落下してくるかを事前に知ることがで.きない。このような場に晒されていない情報が存在する不完全情報ゲームでは、その隠れた情報のために多くの可能性を考慮する必要が生じ、先読みを困難にする。提案するアルゴリズムでは、自分が選択可能な手と場から確率的に与えられる手を区別し、その区別をもとにした探索と評価値の更新を行う。これにより、ぷよぷよのような不完全情報ゲームにおいても、限られた計算時間内に、大連鎖を実現するような効率的な先読みが可能であることを示す。
著者
吉川 裕之 前田 平生
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

HLAクラスIIと子宮頸部発癌の関連を解明するために健常者341名、CIN1/2 591名、CIN3/子宮頸癌321名を横断的研究で比較し、CIN1/2 454名ではCIN 3進展についてコホート研究も行った。健常者・CIN1/2と比べて、DRB1*0901、DRB1*1302頻度はCIN3/子宮頸癌で有意に低かった(P=0.00001, P=0.006)。CIN1/2 454名のコホート研究では、10年間のCIN3への進展リスクは、DRB1*1302患者で有意に減少していた(3.2% vs.23.7%, P=0.03)。DRB1*1302はCIN3/子宮頸癌進展への予防効果を有する。
著者
井川 美智子 中山 奈々美 前田 史篤 田淵 昭雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1251-1255, 2006-07-15

要約 目的:縦書きと横書きの文章を読むときの眼球運動の比較。対象と方法:19~23歳の健康人19名を対象とした。読書時の眼球運動は赤外線眼鏡型眼球運動記録装置で記録し,自覚的な読みやすさを聴取した。読書材料として,1辺が3.5mmの明朝体の文字を,A4用紙に1行45文字,15行で縦または横に印刷したものを使った。結果:眼球運動波形は,縦書きと横書きともに視線移動(saccade)と固視からなる階段状波形を示した。視線移動の速度は横書きのほうが速く,固視回数は縦書きのほうが有意に多かった。自覚的には横書きのほうが読みやすいという回答が多かった。結論:縦読みでは固視回数が多くなり,視線移動速度が遅くなることが読みやすさに影響していると解釈される。
著者
山本 裕 前田 廉孝
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は,戦後復興期日本の闇物資流通・取締とそれに対する民衆の認識を考察し,双方間の関連性を解明する。本研究は,甲府専売支局が闇煙草の摘発時に作成した『専売取締事件簿』と山梨の地方紙に掲載された関連記事を分析し、①闇物資の流通実態,②闇物資取締の実態と限界,③闇物資流通・取締に対する民衆の認識を解明する。これにより本研究は,(ⅰ)闇物資流通の解明から経済史研究,(ⅱ)闇物資流通と取締に対する民衆の認識の解明から社会史研究にそれぞれ貢献し得る。近年は海外でも闇市場(black market)の考察が進展しつつある研究動向を踏まえれば,本研究は闇市場の国際比較へ向けた端緒を開く意義も有する。
著者
前田 しほ
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-07-10

旧ソ連の独ソ戦の記念碑を中心に戦争記憶を調査し、文化史的視座から旧ソ連諸国の愛国主義のメカニズムを分析・考察することを目的とする。敗戦国である日本にとって、戦勝国の戦後イデオロギーは理解しがたい。総力戦の栄光の勝利の記憶は、ナショナル・アイデンティティの基盤である。そして、ソ連の愛国主義プロパガンダの戦略は、後継国家であるロシアをはじめ、中国・北朝鮮・モンゴルなど、北東アジア地域一帯に影響を及ぼしており、ソ連の戦争についての記憶研究を充実させることが肝要だ。このような観点に基づき、旧ソ連全体を調査対象として、今日残っているソ連の戦争記念碑と、ソ連崩壊後に造られた戦争記憶を広く収集した。
著者
藏本 裕信 真砂 聖 柏木 佑貴 前田 翠
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.12, pp.1591-1600, 2019-12-01 (Released:2019-12-01)
参考文献数
24
被引用文献数
6

Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) is a useful antimicrobial agent with broad antibacterial activity. Hypokalemia is considered a rare side effect of TAZ/PIPC; however, it may occur more often than previously thought. In this study, hypokalemia frequency and risk factors were examined in 420 patients treated with TAZ/PIPC. Our results demonstrated that the hypokalemia incidence was 24.8% (grade 1-2: 18.3%, grade 3-4: 6.4%). In addition, multivariate analysis revealed that age [odds ratio 1.057, 95% confidence interval 1.024-1.090, cutoff value 80.5 years] is a risk factor. Although the “Daily dosage/creatinine clearance” was not significant in multivariate analysis, univariate analysis indicated it be to be significant, with a cutoff value of 294.9 mg/mL/min. Furthermore, a “body mass index of 19.7 kg/m2 or higher”, “serum potassium level before administration of 3.95 mEq/L or more”, and “no empirical treatment for administration purposes” appeared to prevent the hypokalemia development. Overall, the hypokalemia incidence rate in TAZ/PIPC-administered patients was as high as 20%, with patients aged >80.5 years considered a high-risk group. Thus, careful monitoring of potassium levels in patients treated with TAZ/PIPC, particularly those aged >81 years, is warranted.
著者
北口 善明 近堂 徹 鈴田 伊知郎 小林 貴之 前野 譲二
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-36, no.13, pp.1-8, 2017-02-24

各オペレーティングシステムの IPv6 実装が進んだことで,IPv6 ネットワークが提供されればクライアント端末は IPv6 通信が優先となるケースが増えてきている.一方で,現在 IP アドレス自動設定の手法としては RA や DHCPv6 を用いたステートレス ・ ステートフル設定が RFC で策定され,その組み合わせによってはクライアントの意図しない挙動を誘発するだけでなく,ネットワーク環境へ与える影響も考慮しなければならない.本発表では,各種クライアント OS における IPv6 実装状況の検証結果を報告するとともに,これらがネットワーク運用管理に与える影響について考察する.