著者
北川 善政 村松 真澄 井上 農夫男
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.133-138, 2007-08-31 (Released:2017-04-20)
参考文献数
22

死亡率の高い老人性肺炎のほとんどが不顕性誤嚥による誤嚥性肺炎で,口腔常在菌が原因になることが多い.多くは嚥下反射や咳反射が低下し不顕性誤嚥を繰り返している.日常生活活動(Activities of Daily Living;ADL)の低下とともに口腔内環境が悪化すると免疫力も低下し,結果的に肺炎が重篤化する.口腔ケアは老人性肺炎を防止する最後の砦といわれている.口腔機能と全身との関係,経口摂取の重要性について概説し,口腔ケアを通して呼吸器感染症の予防,摂食・嚥下障害の改善,ADL,QOLの向上に歯科が貢献できることをお伝えしたい.
著者
北川 可恵
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.360-368, 2020

<p>4歳5ヵ月時に人工内耳(CI)埋め込み術を受けた知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害(ASD)の症例を報告する.ASD特有の感覚の過敏さを認め,CIの調整を変更した後や感冒の罹患後にしばしばCIの装用が困難になった.CIの微調整と場面装用指導を繰り返し,推奨される装用閾値よりも児の受け入れられる範囲を優先した.CIの装用時間が延び,呼名への反応が確実になると,文字表出が増加した.11歳時にはみずからCIを装用したがり常時装用が定着したため,音声言語と文字単語の理解力が向上した.音声言語の表出は困難であったが,文字をコミュニケーション手段として使い,筆談でやりとりが行えるようになった.ASDの診断を受けてからCI埋め込み術を行ったため,児に対する保護者の理解や満足度は良好であった.ASDに知的障害を伴うCI装用児においてもCIにより聴覚活用を積み重ねることが外界に対する興味を広げ,コミュニケーション発達の基盤となることが示唆された.</p>
著者
北川 勝彦
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.53-75, 2006-06-15

1930年代、日本品は新市場アフリカへ進出した。日本品にとって重要な市場となったのは、エジプト、南アフリカ、イギリス領東アフリカ、フランス領アフリカおよびモロッコであった。本研究ノートでは、モロッコ市場への日本品、とくに綿織物と日本茶の進出状況について考察した。日本品の進出を可能にしたのは、カサブランカに開設された領事館における市場調査と通商情報の提供であったが、モロッコをめぐる国際秩序が関係していた。しかし、1938年7月にイギリスとフランスの間で締結された通商条約は1930年代中頃における日本品のモロッコ市場への進出を可能にした国際秩序に影響すると考えられた。
著者
北川 純子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 1 人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.27-43, 2011-02

日本の「語り物」の一ジャンルである浪曲では,うたいかたる声ならびに伴奏をうけおう三味線の双方が,演じるたびごとに異なるパフォーマンスを行なうという「即興性」をもつ。本論文は,浪曲三味線の即興性のありかたの一端を探る目的のもとに,過去の録音物における「弾き出し」(前奏部分)を対象とする分析を行い,どのような枠組に基づいて即興が行なわれるのかという「見えない音楽理論」の解明を試みたものである。考察の結果,「弾き出し」末尾に位置する明確な機能をもった音型と,浪曲の史的展開の過程でストックされてきた音型の二者が,即興の準拠枠としてはたらいていることが浮かび上がった。Rokyoku, which arose in Meiji era, is a subgenre of Japanese katarimono(a narrative music), performed by a pair of a rokyokushi(a vocalist) and a kyokushi(a shamisen player). There are no notation systems in teaching and learning of rokyoku and rokyoku shamisen, and the rokyoku performances constantly include some sort of improvisation. The purpose of this paper is to examine some aspects of improvisation in rokyoku shamisen. Through analyzing the "hikidashi", i.e. the instrumental prelude part in rokyoku, the author tries to clarify some aspects of "invisible musical theory" about rokyoku shamisen. The results show that there are "guiding motifs" at the end of hikidashi which guide rokyokushi to his her vocal pitch and that there are some "formulaic figures" which have been used in rokyoku shamisen. These motifs and formulaic figures are thought to serve as the "models" of improvisation in rokyoku shamisen .
著者
前川 喜久雄 北川 智利
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.46-66, 2002-03-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
28
被引用文献数
6

Transmission of paralinguistic information (speaker's attitude or intention, PI here-after) was examined by means of phonetic experiments. The two basic issues examined were a) how does PI influence the speech signal? and b) how do listeners perceive PI? Utterances of six selected PI types—‘Admiration’, ‘Suspicion’, ‘Disappointment’, ‘Indifference’, ‘Focused (or raised vocal effort)’ and ‘Neutral’— were elicited from 3 speakers of standard Japanese and analyzed acoustically. Results of acoustic analyses revealed significant influence of PI on all acoustic parameters, i.e., fundamental frequency, duration, amplitude, and frequency spectrum. Moreover, multiple regression analyses showed highly significant correlation between the acoustic measures and the three-dimensional perceptual space of PI, which was constructed by means of an MDS analysis of confusion data. All experimental results obtained in this study suggest unanimously that PI can be accurately transmitted by speakers to listeners. Another important finding was the local nature of PI: PI's influence was observed often as the phonetic perturbation of phonological features like phrase-initial pitch rise, phrase-final pitch movement, and lexical accent. The local nature of PI is clearly different from the more global phonetic effects due to non-linguistic information, such as speaker's emotion.
著者
北川 晃 成田 晶子 山本 貴浩 池田 秀次 泉 雄一郎 萩原 真清 太田 豊裕 石口 恒男
出版者
日本脈管学会
雑誌
脈管学 (ISSN:03871126)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.163-168, 2017-11-10 (Released:2017-11-10)
参考文献数
7
被引用文献数
3

四肢は動静脈奇形の好発部位であり,血管内治療の果たす役割は大きい。その理由として,表在(皮下)病変,深部(筋・骨)病変のいずれにも経動脈的,経静脈的あるいは直接穿刺によるアプローチが比較的容易であることがあげられる。また,硬化療法を併用する場合,硬化剤の中枢静脈への流出を防止し,標的血管内に長時間停滞させることがポイントとなるが,そのための血流コントロールを確実に行うことが可能である。病変の解剖,血流動態を正確に評価し,症例に応じた適切な治療方法を選択することが,治療効果の向上と合併症の予防に重要である。
著者
北川 勝彦
出版者
関西大学出版部
巻号頁・発行日
2001-03-31
著者
満園 憲治 黒田 満 村上 勝彦 北川 一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.325-326, 1994-09-20

ボロノイ図を各ボロノイ領域内に再帰的に描くことでフラクタルパターンが生成できる。これを発展させて,母点の数や配置に変化をもたせるとともに表示方法を工夫することで異なるパターンを生成する方法を示す.ボロノイ図の構造を変えることなく一部の情報を強調するだけで,通常のボロノイ図のイメージからかけ離れたパターンがえられる.
著者
北川 夏樹 鈴木 春菜 羽鳥 剛史 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_327-67_I_332, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
21

本研究では,「家族」,「学校や会社等の組織」,「地域」,「国家」という4つの共同体を取り上げて,これらの共同体からの疎外意識が主観的幸福感に及ぼす影響について実証的に検討することを目的とした.この目的の下,主観的幸福感を構成する「感情的幸福感」と「認知的幸福感」に関する既存尺度とヘーゲルの理論を基に作成した「人間疎外尺度」を用いて,両者の関連を検討した.その結果,共同体に対する疎外意識と主観的幸福感との間に負の関連性が示され,共同体からの疎外意識を感じている人ほど,その幸福感が低い傾向にある可能性を示唆する結果が得られた.特に,「家族」と「国家」に対する疎外意識は,感情的幸福感と認知的幸福感の双方に対して直接的な負の影響を及ぼし得る可能性が示唆された.
著者
北川 孝 寺田 茂 三秋 泰一 中川 敬夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0508, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】近年,超音波診断装置を用いた筋内脂肪増加の評価方法として筋エコー輝度(以下,筋輝度)の有用性が注目されている(Euardo 2012, Fukumoto 2012)。また機器による筋輝度測定の違いをキャリブレーションした指標として輝度比(Luminosity ratio,LR)が報告されている(Wu 2010)。大腿四頭筋の筋力発揮には筋厚や羽状角などの筋の形態的要因が影響するとされているが,筋力と筋輝度およびLRとの関連についての報告は十分にはない。また筋輝度と筋力の関係を検討したものは対象者が限られた年代を対象としているものが多い。本研究の目的は幅広い年代の健常者における大腿四頭筋の筋厚,筋輝度およびLRが膝伸展筋力に及ぼす影響を調べ,その値から膝関節伸展の最大等尺性筋力の予測式を立てることである。【方法】対象は成人男女各20名(平均年齢38.7±11.5歳,身長165.9±7.5cm,体重58.8±10.0kg,大腿周径50.2±4.4cm)とした。選択基準は20-59歳の健常者で日常生活が自立している者とし,除外基準は体幹または下肢の手術歴のある者,神経学的疾患および筋骨格系疾患を有する者とした。測定項目は皮下脂肪厚・輝度および大腿直筋(RF)・中間広筋(VI)の筋厚・筋輝度,膝関節伸展等尺性筋力とした。超音波診断装置(GEヘルスケア社製LOGIQ P5)を使用し,安静端座位での利き足の大腿四頭筋の横断画像を記録した。10MHzのリニアプローブを使用し,ゲインなどの画質条件は同一の設定で測定した。記録部位は上前腸骨棘と膝蓋骨上縁の中点とし,プローブは皮膚面に対して垂直に保持し,筋肉を圧迫しないよう皮膚に軽く接触させた。画像解析ソフト(Image J)を使用して3回の画像の皮下脂肪厚(fat-T)および皮下脂肪輝度(fat-EI),RFの筋厚(RFMT)および筋輝度(RFEI),VIの筋厚(VIMT)および筋輝度(VIEI)を測定し,平均値を算出した。またRFEI,VIEIをfat-EIで除したものをそれぞれRFLR,VILRとした。膝関節伸展等尺性筋力の測定には筋力測定装置(ミナト医科学株式会社製コンビット)を使用し,膝関節屈曲60°位の端座位にて利き足の膝関節伸展等尺性筋力(Nm)を測定した。筋力値は3回測定したうちの最大値を使用した。統計学的解析としてPearsonの相関係数およびSpearmanの順位相関係数を用い対象者の筋力値とその特性および画像所見との関連性を検討した。また筋力値を従属変数,対象者の特性および画像所見の中から筋力値と有意な相関がみられた項目を独立変数とし,ステップワイズ法を用いて重回帰分析を行った。すべての統計の有意水準は5%未満とした。また本研究での皮下脂肪輝度および筋輝度の信頼性を調べるためにfat-EI,RFEI,VIEIそれぞれの同一検者による2回の測定値について級内相関係数を求めた。【結果】輝度測定の級内相関係数は0.99であった。筋力値は151.3±52.3Nm,fat-Tは0.54±0.25cm,fat-EIは94.1±11.3pixel,RFMTは1.87±0.42cm,RFEIは71.9±13.8pixel,RFLRは0.77±0.17,VIMTは2.02±0.50cm,VIEIは54.7±11.8pixel,VILRは0.59±0.14であった。相関分析の結果,筋力値と身長,体重,大腿周径,fat-T,fat-EI,RFMT,RFEI,RFLR,VIMT,VIEI,VILRに有意な相関がみられた。重回帰分析の結果,筋力値に影響を与える有意な因子として身長,VIMTが抽出された。標準回帰係数は身長が0.57(p<0.001),VIMTが0.49(p<0.001)であった。筋力値の予測式は,[筋力値(Nm)=-585.1+3.95×身長(cm)+40.5×VIMT(cm),p<0.001]であり,その決定係数は0.67であった。【考察】級内相関係数で求めた輝度の信頼性は0.99であり,高い信頼性が認められた。本研究の結果より,膝関節伸展の最大筋力には身長および中間広筋の筋厚が影響することが示唆された。【理学療法学研究としての意義】臨床では膝関節周囲の疼痛や臥床状態などにより膝関節伸展筋力を測定することが困難な患者が多く見受けられる。そのような症例においても本研究における結果が応用できれば,非侵襲的に筋の量および質の評価が可能となると期待される。
著者
住谷 雄樹 堀江 和正 塩川 浩昭 北川 博之
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.455-456, 2018-03-13

生体データ解析において、データの時系列特徴は重要な役割を担っている。例えば、機械学習を用いてデータに何らかのラベル付けを行う場合に、特徴抽出が上手くいくデータ群とそうでないデータ群がある。後者のデータ群に対しては、何らかの処理で上手く特徴が取れる状態にする必要がある。他にも、次元削減やノイズ除去など、データから有用な情報を得るためには様々な処理が必要である。本稿では、ニューラルネットワークで構成された生成モデルであるGANを応用し、データ変換を行う手法を提案する。本手法で使用するGANは、データ群間の分布における対応関係を学習し、データを変換する。本稿では提案手法の概要と、性能評価の結果について述べる。
著者
大澤 昇平 天笠 俊之 北川 博之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第72回, no.データベースとメディア, pp.827-828, 2010-03-08
著者
北川 誠子 藤井 哲英 二宮 洋子 河口 豊 平田 早苗 東田 志乃 寺田 喜平
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.418-421, 2015 (Released:2016-01-26)
参考文献数
10

調理従事者からのノロウイルス感染集団発生は,特に病院などでは注意が必要である.病院調理従事者のべ370便検体について,イムノクロマト法による迅速抗原検査を実施した.またその1ヶ月以内に本人で嘔吐下痢症状のあった職員および陽性者はリアルタイムPCRで測定した.その結果,迅速抗原検査の陽性者はいなかったが,リアルタイムPCR法で2/44名が陽性であり,陰性化するまで1ヶ月以上かかった.迅速抗原検査法は簡便であるが,無症状の健康成人に対するスクリーニング検査では漏れのある可能性を示した.スクリーニングよりも現場で手指衛生の教育や徹底が重要である.
著者
北川 佳子
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2003-03

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1754号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2003/3/6 ; 早大学位記番号:新3517