著者
久我 健一 萩原 学 山本 光晴
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

我々は幾何的トポロジーにおいて位相同型写像を作る基本的な手法を提供するビング収縮定理を証明支援系Coq/SSReflectを用いて形式化した。この定理は直感的には異なるように見える空間の間に位相同型写像を与える時に用いられる。この定理の重要な応用例の一つはフリードマンによる4次元ポアンカレ予想の解決であり、そこでは、キャッソンハンドルと標準的ハンドルの間の位相同型写像が構成される。我々は、この定理を形式化するために、まだ多くの形式化を必要とするが、本質的な困難は形式化に必要な膨大な時間だけであると考えている。我々は形式化の負担軽減の目的で、Coqへの簡単なpythonインターフェースも作った。
著者
河野 友宏 塚平 俊貴 川原 学
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第102回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.136, 2009 (Released:2009-09-08)

[目的] 寿命に性差が認められることは良く知られており、ヒトでは女性が男性に比べ長命である。しかしながら、長命性において性差が生じる理由は良く理解されていない。哺乳類では、雌ゲノムのみを持つ単為発生胚は致死であることから、その寿命を正常個体と比較することは出来ない。しかし、我々が作出した二母性マウスは父性ゲノムを持たないことから、寿命と父母ゲノムの関係を探る上で良いモデルとなり得る。そこで、雌ゲノムのみから誕生した二母性マウスの寿命を調べた。[方法] 2005年10月から2006年3月の間に生まれた二母性マウス13個体を使用し、寿命を調べた。なお、二母性マウスは既報(Nature protocols, 2008)に従い作出した。対照区には同時期に誕生した受精卵由来の雌マウス13匹を用いた。実験に用いたマウスの系統は共にB6D2F1xC57BL/6である。すべての被検マウスは、単飼ケージで飲水および餌とも自由摂取としSPF環境で飼育した。 [結果] 二母性マウスの平均寿命は841.5日で、対照群の655.5日と比べ185.9日間も長く、Kaplan-Meier analysisにより(p<0.01)有意差を認めた。すべてのマウスは同一の飼養管理条件下で飼育されたにも係わらず、二母性マウスは対照より約30%長く生きたことになる。二母性マウスは父方発現インプリント遺伝子Rasgrf1の発現を欠くことから小型で、出生後20ヵ月における二母性マウス体重をコントロールと比較すると有意に軽かった(29.4g vs 44.9g)。また、血液の生化学的検査から、好酸球が有意に増加していた。これらの結果から、母性ゲノムが長命性に何らかの役割を果たす可能性が示唆される。
著者
山下 大輔 杉原 学 山香 修 諫本 義雄 戸畑 裕志 真茅 孝志 加納 龍彦
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

輸液による体液量の管理は,重症患者の循環や栄養管理に関して重要である.現在,輪液ポンプが低価格となり全国的に普及してきたが,すべての患者に輸液ポンプを使用することは器械の台数確保など現実的には困難であり,クレンメの手動設定による自然落下式輸液(点滴)が行われている.われわれは第76回日本医科器械学会学術大会で,各社製の自然落下式輸夜セットの設定流量に対する時間的変化について検討を行い,経時的に流量が減少することを報告した.その際,室温(25℃)の蒸留水を用いて実験を行ったが,患者へ実際輸液される薬液は粘度の違いに差がある.今回,輸液の種類(粘度の相違)や輸液薬剤の温変の変化によって,設定流量に対して実際の流量変化の検討を行ったので報告する.方法は輸液セットを輸液バッグに装着,プライミングを行い,輸液セットの患者接続側をメスシリンダに入れる.バッグとメスシリンダの落差は1mとし,輸液セットの点滴筒を流量測定専用に変更したフローサインに装着する.フローサインの信号はパソコンとRS232-Cケーブルで接続し,メンテナンス用プログラムを起動させ,経時的変化を測定した.
著者
阿久 沢昇 南部 隼外 萩原 学 千綿 司雄 岡本 龍也 今川 博
出版者
THE CARBON SOCIETY OF JAPAN
雑誌
炭素 (ISSN:03715345)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.233, pp.119-123, 2008
被引用文献数
5

The resistivity of graphite cathode in alumina molten salt was determined along with electrolysis at 945°C. The resistivity decreased monotonically with the progress of the electrolysis and finally reached to a steady value. For HTT-2000 cathode graphite, the steady value was about 70% of that of the original one before electrolysis. The resistivity turned to increase from the steady value just after interruption of the electrolysis current. A characteristic 2-step curve was observed in the resistivity vs. time plot. It increased fairly steeply at first and then became almost constant at a value corresponding to 87-88 % of that of the original value. The resistivity again increased after the plateau and finally returned to the original value. Several experiments including SEM and X-ray diffraction measurements showed that the resistivity change is closely related to the intercalation and de-intercalation of sodium. For HTT-2400 and -2800 cathode graphite, sodium concentration fixed in the matrix after electrolysis was less than that of HTT-2000.
著者
市原 学 ICHIHARA Manabu
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大學研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.1-9, 2016

Since the 1990's, many researchers have clarified that children with Attention DeficitHyperactivity Disorder (ADHD) had unrealistically positive self-perception (positive illusorybias; PIB). That is, children with ADHD consistently have shown high self-perception despitethe fact that they could only achieve low performance. For the mechanism of the PIB, someexplanations have been made, such as cognitive immature, neuropsychological deficits,ignorance of incompetence, or self-protection. Additionally, it has been suggested thatcomorbid disorders (depression, aggression, or academic difficulties) or subtype(predominantly inattentive type or predominantly hyperactive/impulsive type) might modifythe PIB in ADHD. The author pointed out the symptom similarities between bipolar disorder(BD) and ADHD, so that some children with BD might have misdiagnosed as ADHD, andBD might take over the PIB in ADHD. Finally, the future investigation should include BD tounfold the PIB in ADHD and is recommended analogue study on the PIB.
著者
坪井 潤一 寺島 祥子 高野 倫一 森 広一郎 鈴木 俊哉 石原 学 高木 優也 小森 謙次
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.17-00065, (Released:2018-05-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1

友釣りおよび投網を用いて879個体のアユを捕獲しEdwardsiella ictaluriのPCR保菌検査を行った。週の平均水温が高いほどE. ictaluriの陽性率が高く,最も陽性率の高かった7/31-8/6には,週の平均水温が25℃以上を記録した。同期間中,投網で捕獲されたアユの陽性率は20.4%であったが,友釣り個体では陽性個体は確認されなかった。日中の平均水温が高いほど友釣りのCPUEが低かった。E. ictaluri感染は友釣りでの漁獲不振を招く可能性があることが示唆された。
著者
市原 学 小林 隆弘 藤谷 雄二 尾村 誠一 市原 佐保子
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.40, 2013

ナノテクノロジーは,並行して発展してきた分子生物学との融合を通じ新しい学術分野と革新的な技術を生み出すことが期待されている。ナノテクノロジー全体の中で,工業ナノマテリアルはその第一段階を形成するものである。一方,工業ナノマテリアルの健康,環境への影響,安全性についての研究は十分とは言えない。なかでもヒト健康へのリスク評価は優先順位の高い課題である。暴露評価はハザード評価と統合され,リスクを評価するために用いられる。工業ナノマテリアルに暴露された労働者を対象とした疫学コホート研究を立ち上げる構想が国際的にも議論されているが,その基盤としても暴露評価は重要な課題となっている。暴露評価におけるナノマテリアルに特異的な問題の一つは用量計測基準として何を選ぶかということである。この問題に関して国際的なコンセンサスはまだ得られていない。ナノマテリアルの個数,表面積が生体分子との反応性に貢献していると考えられていることから,従来の重量濃度に基づく計測基準が,ナノマテリアルの暴露を定義する上で十分かどうか疑問がある。走査式モビリティーパーティクルサイザー(SMPS)によりナノ領域を含む粒子を分級し連続的にモニターすることが可能であるが,高価で可動性に問題があり,労働現場でより簡易にナノ粒子を測定する機器の開発の必要性が唱えられてきた。米国国立労働安全衛生研究所は凝集粒子カウンター(CPC)と光散乱粒子計測装置(OPC)の併用を提案している。また,比較的安価で小型化されたSMPS,あるいは新しい小型計測機器も開発されている。長期の累積的な暴露の評価には多くの困難が伴う場合があることも指摘しなければならない。生体試料を用いた内部暴露評価のためにバイオロジカルモニタリング法の開発も求められ,そのためには様々な分野の研究者の共同が必要である。
著者
中島 淳博 福村 文雄 富永 隆治 久原 学 鐘ヶ江 靖夫 深江 宏治 宮本 和幸 安井 久喬 徳永 皓一
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.600-604, 1993-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
19

雑種成犬閉胸正常心モデル10頭に対し左心バイパスを行い, 左心補助(LHB)施行時に呼気終末陽圧呼吸(PEEP)が右心機能に及ぼす影響について検討を加えた. 0, 5, 10, 15cm水柱のPEEP負荷に伴い右室拡張末期圧の上昇, 右室拡張末期容積, 収縮末期容積の減少, 後負荷の上昇と心拍出量の低下が認められた. これらのPEEPによる血行動態の変化はLHB施行の有無にかかわらず同様であった. LHB on, offの比較では心拍出量はPEEP 0cm水柱時にはLHB on, offによる差は認めなかったが, PEEP 15cm水柱時にはLHB onによって肺動脈入力部抵抗の15%の上昇と共に(1968±736 dynes・sec・m2/cm5LHB off vs 2254±790dynes・sec・m2/cm5LHB on: p=0.056)心拍出量の20%の有意な低下を認めた. (1.07±0.45L/min, LHB off vs 0.86±0.34L/min, LHB on:p<0.05)PEEP負荷時には左心補助は心拍出量の低下をもたらす可能性が示唆された. よってLHB施行中にはPEEPの適用に対し, より慎重である必要があると考えられた.
著者
及川 佐枝子 市原 学 久保 雅敬
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、近年化粧品や食品などに広く利用されている二酸化チタンや酸化亜鉛のナノ粒子について、THP-1マクロファージ様細胞および大腸癌細胞Caco2を用いて炎症反応の誘導および炎症性疾患増悪作用の検討を行った。その結果、二酸化チタンのナノ粒子による炎症反応誘導作用は、ルチル型よりアナターゼ型で強く認められた。また、THP-1マクロファージ様細胞において、酸化亜鉛のナノ粒子により粥状動脈硬化進行の原因とされるマクロファージ泡沫化の促進が認められたが、二酸化チタンのナノ粒子では認められなかった。酸化亜鉛ナノ粒子はマクロファージの泡沫化を促進し、粥状動脈硬化症を増悪する可能性が示唆された。
著者
市原 学 那須 民江 上島 通浩 前多 敬一郎 束村 博子
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

18匹の雄F344ラットを6匹ずつの3群にわけ、それぞれに1-ブロモプロパン1000ppm、2-ブロモプロパン1000ppm、新鮮空気を8時間曝露した。16時間後に断頭し、精巣を取り出し、液体窒素で急速凍結した。液体窒素にて冷却しながら凍結精巣をハンマーにて粉砕し、凍結粉末からRNA抽出キットを用いてRNAを抽出した。電気泳動にてRNAの分解がないことを確認し、ラット精巣用DNAマイクロアレイ(DNAチップ研究所)を用いて遺伝子発現の変化を調べた。5082遺伝子中、263の遺伝子が1-ブロモプロパンと2-ブロモプロパンの曝露で共通して抑制されており、それには、S100,Creatinine kinase、glutathione S transferaseが含まれていた。37の遺伝子は1-ブロモプロパン曝露のみによって抑制され、119の遺伝子は2-ブロモプロパン曝露によってのみ抑制されていた。選択した遺伝子の遺伝子発現変化をリアルタイムPCRにより確認した。また、アロマターゼ遺伝子は1-ブロモプロパン,2-ブロモプロパンの曝露により発現が抑制されていた。1-ブロモプロパン曝露によって、ナトリウムチャンネル関連遺伝子の誘導、ATP結合、イオンチャンネル系の抑制、2-ブロモプロパン曝露により、DNA損傷関連遺伝子が誘導されており、1-ブロモプロパンが神経毒性が強く、2-ブロモプロパンが精租細胞アポトーシスを誘導するという過去の実験結果を説明するものであった。
著者
加藤 博之 西原 学宣 大森 啓造 須永 俊明 徳永 蔵
出版者
日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.38-44, 1993-02-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
26

A case of drug-induced fulminant hepatitis is reported. A 48-year-old female was transferred to Saga Medical School Hospital because of fever, general fatigue, jaundice and marked liver dysfunction after being treated by her private physician with several drugs containing antibiotics and aspirin DL-lysine. On admission, prothrombin time was prolonged (13%), but the patient's consciousness was clear. Viral markers for hepatitis A, B and C were negative. On the fourth hospital day, consciousness disturbance (hepatic coma: grade IV) developed, and despite intensive treatment including glucagon-insulin therapy and plasma exchange, the patients died of hepatic coma with multiple organ failure on the eleventh hospital day. The liver weighed 710g, and exhibited features of massive necrosis histologically. The lymphocyte stimulating test was positive for cefmetazol and aspirin DL-lysine. A review of literature showed that in Japan about 5% of cases of fulminant hepatitis are due to drugs other than halothane. In most cases reported recently, the lymphocyte stimulating test has been positive for the causative drugs.
著者
中澤 勇夫 雨宮 将稔 清水 裕之 秦 正治 広瀬 敏之 佐藤 英昭 木村 滋 小寺 隆三 阿部 宗男 杉田 邦博 水谷 太蔵 光武 雄一郎 工藤 栄亮 野原 学 吉川 憲昭 鈴木 文雄 関 和彦 小川 博世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.568, pp.141-148, 2000-01-20
被引用文献数
1

第三世代移動通信システム(IMT-2000)は、世界各国で使用可能なグローバルサービスを目指す位置づけから1992年ITUにおいて世界共通の周波数(2GHz帯)の割当が行われた。国内のIMT-2000の2GHz帯導入に際しては、既存システムとの干渉特性を明らかにする必要がある。このため、(社)電波産業会(以後ARIB)では平成8年度より調査検討会を設置し、導入が期待されているCDMA方式による移動無線と、IMT-2000に割り当てられた周波数帯を用いている既存の固定無線との周波数共用の可否、及び周波数共用を可能とする条件を明らかにするために、計算機シミュレーションおよびフィールド実証試験について調査及び試験分析を行ってきた。本報告はこの内、フィールド実証試験についての調査及び試験結果の報告であり、相互干渉モデル、試験システム、広帯域伝搬路特性、電界強度特性等について述べる。