著者
植木 行宣 宮田 登 神野 善治 大島 暁雄 樋口 昭 福原 敏男 植木 行宣
出版者
京都学園大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本年度は3年計画の最終年度にあたり、昨年度実施した20道県の山車祭りを中心とする都市祭礼の実態調査の報告をデータベース化した。報告はA4サイズの用紙で2000枚を越える膨大な量に及びこれらを整理し、各研究分担者ならびに一般の研究者が共有化できるようにデータベース化し、これを報告書に収録した。あわせて分担者による共同実地調査を富山県城端町で実施するとともに、各分担者が秋田県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県等で現地調査を実施した。平成11年5月には、共同調査を行った富山県城端町であわせて分担者会議、協力者会議を開き今年度の研究計画の方針、報告書のとりまとめについて検討した。また、前年度の実態調査報告書は副本を2部作成し、研究代表者の宮田と、文化庁、植木の3者に分けて保管し、利用の便をはかることとした。各分担者は、各研究協力者から提出された報告をもとに遂次現地調査実施し、都市祭礼の態様、山車等の実体についてデータの蓄積をすすめ、あわせて協力者に各地の事例についてまとめてもらい、分担者のまとめとあわせて後日印刷公開する予定である。本研究の成果としては、最終的にデータベースをCD-Rの形で作成し、各分担者、協力者等に配布した。また、最終年度にあたり、報告書を作成した。
著者
中澤 高清 青木 周司 菅原 敏 川村 賢二 遠嶋 康徳 パトラ プラビール 森本 真司 青木 周司 花輪 公雄 石戸谷 重之 菅原 敏 森本 真司 町田 敏暢 遠嶋 康徳 マクシュートフ シャミル 佐伯 田鶴 パトラ プラビール 石島 健太郎 豊田 栄
出版者
東北大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2005

大気中のCO_2、CH_4、N_2Oの濃度や同位体比およびO_2濃度を、地上基地や航空機、船舶、大気球を利用して広域にわたって測定し、全球におよぶ時間空間変動の実態を明らかにした。また、全球3次元大気輸送モデルを開発し、観測から得られた結果を解析して、変動の原因を究明すると同時に、近年における温室効果気体の循環を明らかにした。さらに、南極ドームふじ深層氷床コアを分析し、過去70万年にわたる温室効果気体の変動を復元し、その変動を解釈した。
著者
上村 博司 里見 佳昭 菅原 敏道 山口 豊明 岸田 健 石橋 克夫 原田 昌興
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.260-267, 1991-02-20

10年以上経過をみた前立腺癌症例70例を対象として, その予後調査を行った. 治療は内分泌療法を施行した. また, 除睾術を70例中54例 (77%) に施行した. 生存10例, 死亡60例で, 癌死は31例と半数を占めた. stageA, Bでは, 癌死は少なく, stageC, Dは癌死が10例と18例で高率にみられた. 一方, 長期生存例は, stageA_1 1例, A_2例, B1例, C4例, D2例とどのstageにおいても存在した. 病理組織別では, 高分化型群に癌死がみられず, またstageA, Bでは高分化・中分化型群に同様に癌死がなかった. ホルモン剤中断例では, 高分化型群で癌死は存在せず, 中分化型群でstageC, Dに癌死がみられた. 低分化型群は予後が悪く, とくに中断後は短期間内に癌死した. 高分化型群では癌死がいないと, stageA, Bでは高分化・中分化型群で癌死はなく, またホルモン剤中断後も癌死がないことより, 除睾術施行後の高分化型腺癌でstageA, Bの症例では, ある一定期間の継続的内分泌療法を施行後に, ホルモン剤の中断・中止の可能性が推察され, 一定の条件下でホルモン剤の中止ができるのではないかということを提唱した.
著者
菅原 敏
出版者
宮城教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

16年度には、前年度に完成した測定装置を用いて水素濃度の広域分布を明らかにするための観測を拡充した。さらに、標準ガスの整備や、極域雪氷中のフィルン空気などの解析を同時に進め、以下の項目が明らかとなった。★高精度分析の結果、これまでに用いてきた一次標準ガスが、長期的に濃度変化する現象が確認された。このため、比較的濃度が安定する体積の大きなシリンダーを用いて製造された作業用標準ガスを基準にして、一次標準ガスの濃度変動を推定しすると同時に、今後新たなシリンダー内面処理を施した標準ガス製造方法が必要であることがわかった。★航空機や船舶を用いた全球的な定期観測を継続し、観測領域を拡充した。その結果、水素濃度の季節変動や緯度方向の南北勾配などが見られた。また、北極や南極などでの空気採集を行っている国立極地研究所、東北大学と協力し、その試料空気を分析した結果、さらに広域的な緯度帯での分布が明らかになった。★南極や北極の極域表層のフィルン層で採取された過去の空気を分析した結果、金属容器内面における長期間にわたるサンプル空気の変質の影響のために、正しい過去の水素濃度の変遷の推定が難しいことが判明した。このため、フィルン空気のサンプリングをガラス容器で実施することや、サンプリングサイトにおいてフィルン空気の吸引中にリアルタイムで測定するなどの改善が必要であることがわかった。
著者
笠原 敏史 福島 順子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

(1)2頭のサルに対する訓練と手指機能パフォーマンステストの有用性について検討を行い,(2)サルの大脳皮質第一次運動野の上肢領域(主に手指領域)梗塞作成前の上肢動作をVTRにより,(3)第一次運動野の上肢領域を皮質内微小刺激によってマッピング、(4)さらに梗塞作成後の麻痺の状態ならびに機能回復過程について,上肢運動障害,代償動作を比較した.(1)アクリル板で深さの異なる5つの円柱状の穴(Kluver board)を作成した.訓練前のテスト結果では,2頭のサルとも深さが徐々に増加するにつれ所要時間は増加した.(2)サルの把握動作は,浅い穴では栂指とII指の間にリンゴを挟み,穴が深くなるとIIからIV指を穴の中に差込み,屈曲して掻き上げる方法であった.これは2匹のサルで同様であった.(3)GOFとネンブタール麻酔下で開頭し優位半球の第一次運動野(A12L18)に微小電極を用いて刺激し,マッピングを行った。その結果、中心溝の吻側に内側から外側にかけて,肩領域、肘〜前腕領域,手〜手指領域の順序で筋収縮が観察された.手指領域は,運動野の内側から外側にかけて第Vから第II指の屈曲、伸展が順に誘発された.これらの結果は,従来の運動野上肢領域の体部位局在に一致していた.(4)マッピング終了後,手指領域に梗塞を作成した.両サルとも術後翌日に対側上肢に麻痺を認めた.術後は麻痺側を使うも失敗が多く非麻痺側を用い,数日間は麻痺側を使わなかった.麻痺側を使う際,隣接する肘関節と肩関節に麻痺による運動障害を代償する動作が確認され,特に,肘や肩関節を用いて手先を前後に動かす,身体を傾けるまたは移動する行為が見られた.運動障害からの機能回復が見られると,所要時間の減少とともに代償動作の頻度も減少し,術後1ヶ月と術前でほぼ変わらない成績であった.
著者
小玉 美意子 白水 繁彦 吉田 文彦 小田原 敏 音 好宏 鈴木 弘貴
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1)本研究の研究対象テレビ局の夕方のニュース(午後6時から8時ごろの時間帯に30分程度放送する全国向けの番組)、即ち、ブラジルーGloboのJurnalNacional、イギリスーBBCのSixO'ClockNews、アメリカーCBSのCBSEveningNewswithDanRather、日本一NHKの『NHKニュース7』である。2)研究方法(1)各局の番組担当者、その他関係者とのインタビュー調査(2)各番組を2004年11月〜12月にかけての連続しない3週間にわたって録画し、ニュースの長さ、範域、分野、伝え手、情報源、画像素材などについてコーディングして分析する内容分析調査(3)上記の調査をもとに特定項目に着目して研究し考察する3)各国ニュース番組の特徴CBSは、自国と直接関係のある海外ニュースは多かったが外国ニュースは極めて少ない自国中心主義である一方、局独自のテーマ設定で医療番組に多くの時間が割かれた。NHKは地方ニュースをよく扱っており、社会ニュースが多いのだが、「発表もの」の比率が極めて高く、女性とマイノリティの参画は非常に少なかった。Globoは経済ニュースが多く、取材情報源は多様で、女性の参画比率が高かった。BBCは外国ニュースの比率が他国より高く、議会における政策論議を中心とする政治ニュースが多かった。4)9/11事件以後の国際テレビニュースの内容変化(1)9/11以後、世界のジャーナリズムは感情的になったといわれるが、CBS以外では認められなかった。(2)4番組とも政府情報源に大きく依存し、特に国際および外国ニュースにおいてそれは著しい。(3)同じ事件も番組により、視点や使う言葉で違った枠組みが作られ、それにより出来事の印象が変えられる。(4)"国際"を「外国で発生する自国ニュース」と捉えると、CBSは4つの番組の中で最も「自国志向」である。(5)9/11のような出来事は、ニュース制作過程、中でもニュース情報源に大きな影響を与えた。しかし、どの局も基本的な番組制作の方針は変えていない。
著者
福田 アジオ 周 正良 朱 秋楓 白 庚勝 巴莫曲布む 劉 鉄梁 周 星 陶 立ふぁん 張 紫晨 橋本 裕之 福原 敏男 小熊 誠 曽 士才 矢放 昭文 佐野 賢治 小林 忠雄 岩井 宏實 CHAN Rohen PAMO Ropumu 巴莫 曲布女莫 陶 立〓
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

平成計年〜3年度にわたり中国江南地方において実施した本調査研究は当初の計画どおりすべて実施され、予定した研究目的に達することができた。江蘇省常熟市近郊の農村地帯、特に白茆郷を対象とした揚子江下流域のクリ-クに広がる中国でも典型的な稲作農村の民俗社会の実態とその伝承を記録化することができ、また浙江省の金華市および蘭渓市や麗水市における稲作の民俗社会を調査することが出来た。特に浙江省では中国少数民族の一つであるシェ族の村、山根村の民俗事象に触れることができ、多大な成果を得ることが出来た。2年度は前年度の調査実績を踏まえ、調査地を浙江省に絞り、特に蘭渓市殿山郷姚村、麗水市山根村、同堰頭村の3か所を重点的に調査した。ここでは研究分担者は各自の調査項目に従って、内容に踏み込み伝承事例や現状に関するデ-タを相当量収集することができた。また、この年度には中国側研究分担者8名を日本に招聘し、農村民俗の比較のために日中合同の農村調査を、千葉県佐倉市および沖縄県読谷村の村落を調査地に選び実施した。特に沖縄本島では琉球時代に中国文化が入り込み、民俗事象のなかにもその残存形態が見られることなどが確認され、多大な成果をあげることが出来た。3年度は報告書作成年度にあたり、前年度に決めた執筆要項にもとずき各自が原稿作成したが、内容等が不備がありまた事実確認の必要性が生じたことを踏まえ、研究代表者1名と分担者3名が派遣もしくは任意に参加し、補充調査を実施した。対象地域は前年度と同じく蘭渓市殿山郷姚村、麗水市山根村の2か村である。ここでは正確な村地図の作成をはじめ文書資料の確認など、補充すべき内容の項目について、それを充たすことが出来た。さらに、年度内報告書の作成をめざし報告書原稿を早急に集め、中国側研究分担者の代表である北京師範大学の張紫晨教授を日本に招聘し、綿密な編集打合せを行った。以上の調査経過を踏まえ、その成果を取りまとめた結果、次のような点が明らかとなった。(1)村落社会関係に関する調査結果として、中国の革命以前の村落の状況と解放後の変容過程に関して、個人の家レベルないし旧村落社会および村政府の仕組みや制度の実態について、また村が経営する郷鎮企業の現状についても記録し、同じく家族組織とそれを象徴する祖先崇拝、基制について等が記録された。特に基制については沖縄の基形態がこの地方のものと類似していること、そして沖縄には中国南方民俗の特徴である風水思想と干支重視の傾向があり、豚肉と先祖祭祀が結びついていることなどから、中国東南沿海地方の文化との共通性を見出し、日中比較研究として多大な成果をあげることが出来た。(2)人生儀礼および他界観といった分野では、誕生儀礼に関して樟樹信仰が注目され、これは樹木に木霊を認め、地ー天を考える南方的要素と樹木を依り代と見立て、天ー地への拝天的な北方的要素が融合した形と見られる。また成人儀礼ではシェ族に伝わる学師儀礼の実態や伝承が詳細に記録され、さらに貴州省のヤオ族との比較を含めた研究成果がまとめられた。特に中国古代の成人式の原始的機能が検出され、また先祖祭祀との関わりや道教的要素の浸透など貴重なデ-タが集積された。その他、中国民俗の色彩表徴の事例などの記録も出来た。(3)民間信仰および農耕儀礼として、年中行事による季節観念と農業生産との関係、農耕社会における祭祀の心理的要因や農耕に関する歌謡によって表出された季節的意味などに焦点をあて、ここではさらに日本の沖縄との比較を含めて分析された。さらに建築儀礼に関しても詳細に報告され、沖縄の石敢当を対象に中国との比較研究もまとめられた。(4)口承文芸および民俗芸能については稲作起源神話の伝承例を初めとし、江南地方の方言分布とその特徴ならびに文化的影響の問題について、さらに金華市と沖縄の闘牛行事の比較研究などに多大な成果を得ることが出来た。(これらは報告書として刊行予定)
著者
曽根原 理 牧野 和夫 福原 敏男 佐藤 眞人 大島 薫 松本 公一 岸本 覚 山澤 学 大川 真 中川 仁喜 和田 有希子 万波 寿子 クラウタウ オリオン 青谷 美羽 杉山 俊介
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本の近世社会において、東照宮が果たした役割を考えるため、関係する史料を各地の所蔵機関などで調査した。また、近世初期に東照宮を設立する際に基盤となった、中世以来の天台宗の展開について、各地の天台宗寺院の史料を調査した。加えて、年に二回のペースで研究会を行い、各自の専門に関する報告を行い議論した。そうした成果として、日本各地の東照宮や天台宗寺院に関する著作と論文を公表することが出来た。
著者
阿部 なつ江 馬場 聖至 荒井 章司 富士原 敏也 杉岡 裕子 鈴木 勝彦 山野 誠 平野 直人 中西 正男 道林 克禎 石川 正弘 町田 嗣樹 志藤 あずさ 伊藤 亜妃 仙田 量子 水上 知之 清水 健二 森下 知晃
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

海洋プレートの非活動域に発見された新種の火山「プチスポット火山」海域において、地球物理学的・地質学的調査および岩石試料採取を実施してきた。同試料・データは、東北沖日本海溝に沈み込む前の海洋プレートそのものであり、陸側プレートに与える影響や島弧における火山および地震活動を評価する上で、重要な試料・データをもとに、海洋プレートとその下のマントル構造について総合的な研究・調査を行った。
著者
青木 周司 菅原 敏 佐伯 田鶴 中澤 高清
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

人間活動によって大気に放出された二酸化炭素が陸上生物圏と海洋にどのくらい吸収されているかを定量的に評価するために、二酸化炭素濃度と炭素同位体を組み合わせて解析する方法と、酸素濃度と二酸化炭素濃度を組み合わせて解析する方法を実施した。まず二酸化炭素濃度と炭素同位体を組み合わせて解析することによって得られた人為起源二酸化炭素の陸上生物圏と海洋による吸収量を1984-2000年の期間について評価した。その結果二酸化炭素吸収は、陸上生物圏について1.21GtC/yr、海洋について1.59GtC/yrとなり、観測期間全体を平均すると陸上生物圏も海洋も二酸化炭素の吸収源となっていたことが明らかになった。これらの吸収源の強度は年々変動しており、特に陸上生物圏による吸収がエルニーニョ現象や火山噴火による異常気象の影響を強く受けて変化することが明らかになった。一方、酸素濃度と二酸化炭素濃度を組み合わせることによって評価した1999-2003年の二酸化炭素吸収は、陸上生物圏について1.1±1.0GtC/yr、海洋について2.0±0.6GtC/yrと見積ることができた。2つの独立した研究から得られた成果を観測期間がほぼ重なっている時期について比較した。陸上生物圏による二酸化炭素吸収量は、二酸化炭素濃度と炭素同位体から得られた1994-2000年の値が0.90GtC/yrであり、酸素濃度と二酸化炭素濃度から得られた値が1.1±1.0GtC/yrと評価された。また、海洋による二酸化炭素吸収量は、二酸化炭素濃度と炭素同位体から得られた1994-2000年の値が1.73GtC/yrであり、酸素濃度と二酸化炭素濃度から得られた値が2.0±0.6GtC/yrと評価された。2種類の全く異なった研究方法によって得られた結果が良く一致しているため、本研究によって信頼性の高い結果が得られたと考えられる。
著者
中澤 高清 森本 真司 塩原 匡貴 和田 誠 青木 周司 山内 恭 菅原 敏
出版者
東北大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1997

1998年7月、1998年12月〜1999年3月にスバールバル諸島ニーオルスンにおいて、大気中の温室効果気体やエアロゾルなどの実態の把握を目指し、集中観測を行った。これらの観測から、北極域におけるCO_2、CH_4、O_3の変動が詳細に捉えられると同時に、CO_2データは海水表層でのCO_2交換の評価のための基礎データとなった。エアロゾルについては今回の集中観測で多くの基礎データの蓄積がなされ、冬から春にかけての極域におけるエアロゾルの特徴をとらえることができた。北極域における大気微量成分の広域3次元分布、特に極渦の形成・崩壊期に着目した輸送・循環・変質の過程を調べるため、1998年3月6日〜14日の期間、航空機にオゾンおよびCO_2の連続測定装置、大気サンプリング装置、エアロゾル計測装置、エアロゾルサンプリング装置等を搭載し、観測を実施した。観測は北極点を通過し北極海を横断する長距離高高度飛行(巡航高度12km)を基本とし、その他、スピッツベルゲン島近海上空およびアラスカ州バーロー沖合上空では海面付近から高度12kmまでの鉛直プロファイルの観測を行った。機器は概ね順調に動作し、良好なサンプルやデータを取得することができた。その結果、(1)CO_2やO_3濃度は圏界面高度で不連続に変化し、圏界面を挟んで鉛直混合が大きく妨げられる様子が確認された、(2)CH_4とN_2O濃度に見られた正の相関は前年度にスウェーデンで実施された大気球による北極成層圏大気の観測結果と良い一致を示した、(3)硫化カルボニル(COS)の高度分布測定から、COSが成層圏エアロゾルの硫黄供給源であることを示唆する結果が得られた、(4)北極ヘイズ層は多層構造をなし対流圏上部まで到達することがあった、(5)エアロゾルの直接サンプリングにより、成層圏・自由対流圏では主に硫酸粒子、下部混合層では海塩粒子の存在が確認された。
著者
岡西 哲夫 大橋 哲雄 梶原 敏夫 奥村 庄次
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.535-541, 1991-09-10
被引用文献数
2

肘関節拘縮著明な6症例(骨折3例, 授動術3例)に対し, 他動的ROM訓練として徒手による方法と, ターンバックル式肘装具による方法を筋電図学的に検索した。他動的ROMの目的は, 筋の防御的収縮を低下させ, 結合組織の因子まで到達することにある。筋の防御的収縮の因子により制限されたものは徒手の方法であり, 装具による方法は疼痛は少なく, この因子を比較的低下できた。ターンバックル式肘装具は, 徒手では限界である弱い伸張力と長い時間の組み合わせと, ROMの長時間の保持等の利点から, 訓練後のROMのもどりを減少できたものと考える。本装具は開始時期を従来より早め, 使い方をきちんと教育すれば最も理にかなった方法と言える。