著者
小川原 正道
出版者
慶應義塾福澤研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.21, pp.241-276, 2004

柏田盛文の名は、自由党幹事、鹿児島選出の衆議院議員、あるいは教科書疑獄事件で逮捕された新潟県知事、などとして記憶されている。彼については、『自由党史』や鹿児島の政党研究関係の諸文献をはじめ、人名辞典においても、『日本現今人名辞典』(日本現今人名辞典発行所、明治三十三年)から、『明治過去帳新訂』(東京美術、昭和四十六年)、『幕末維新人名事典』(新人物往来社、平成六年〉に至るまで多数紹介されており、その名は、自由党員の中でも比較的著名の位置にある。しかしながらこれまで、柏田についてのまとまった伝記や小伝はなく、川内郷土史編さん委員会編『川内市史』下巻(川内市発行、昭和五十五年)、野村英一「三田の政治家たち」(『塾友』昭和六十三年十月号)、森田美比『茨城県政と歴代知事』(暁印書館、平成三年)などに、ややまとまった経歴の記述がみられるにすぎない。筆者自身も前稿(「自由民権運動と西南戦争」『法学研究』七十七巻四号、平成十六年四月) において、主に西南戦争前後の柏田について論じたが、その人生全体については十分に論じられなかった。彼が自由党の幹部、鹿児島県会議長を経て、衆議院議員や文部次官、さらに各県知事を歴任したことを考えるとき、また近年、これまで研究の遅れが指摘されてきた鹿児島の民権運動研究が、出原政雄氏などによってようやく進展しつつあることに鑑みるとき、柏田の生涯について明らかにすることは、民権運動史上有意義なことだと考えられる。そこで本稿では、右の研究成果をふまえつつ、明治十年に柏田自身が記した「始末書」(「鹿児島征討始末二」国立公文書館蔵、所収)、大久保利夫『衆議院議員候補者列伝』(六法館、明治二十三年)、および衆議院の議事録や新聞各紙などを用いながら、柏田の出生から書生時代、西南戦争、そして国会開設運動を経て自由党幹事となり、やがて衆議院議員から県知事となるまでの思想および行動を論じ、もって自由党幹事柏田盛文の小伝としたい。未熟な一論に過ぎないが、大方の御叱正を仰げれば幸いである。
著者
森 明子 須田 礼仁 杉原 正顯
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.38, pp.49-54, 1999-05-14
参考文献数
9

1986年にOrszagはLegendre多項式変換を含むSturm?Liouville固有関数変換の評価計算に対する高速算法を提案した。彼の算法は固有関数のWKB近似を用いて計算の一部でFFTを利用することにより、直接計算でO (^) かかる計算量がO ( log^2N/log log) に改善できるというものである。しかし彼の算法は計算の無駄が多く、精度も悪く実用的ではない。我々はLegendre多項式変換の場合についてこのOrszagの算法を改良したので報告する。アルゴリズムの改良により計算量はO ( log ) に改善され、高精度近似公式の採用により、単精度程度の精度でN&ge;128,倍精度程度の精度でN&ge;256で直接法よりも高速となることがわかった。In 1986 Orszag proposed a fast algorithm for Sturm-Liouville eigenfunction transform including the Legendre polynomial transform. His algorithm, which exploits the high speed of FFT through the WKB approximation, runs in time O (N log^2 N/log log N), while the direct computation requires O (N^2) time. His algorithm is, however, not practical because of its low precision and algorithmic unsophisticatedness. We improve Orszag's algorithm in the case of the Legendre polynomial transform. The improved algorithm runs in time O (N log N), and the Stieltjes's higher order approximation formula enables high precision. Our scheme is faster than the direct method for N &ge; 128 with the error tolerance ε=10^<-6> and for N &ge; 256 with ε=10^<-12>.
著者
萩原 正敏
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第41回ケモインフォマティクス討論会 熊本
巻号頁・発行日
pp.1S01, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
5

我々はスプライシングなどの遺伝子発現過程を、蛍光・発光プローブによって生体内で可視化する独自技術を開発し、創薬スクリーニングに用いることで、RNAスプライシングを操作できる合成化合物を開発してきた。その作用機序の検討やトランスクリプトーム解析などから、スプラシング操作薬の標的となり得る遺伝性疾患の条件が判明しつつある。遺伝病データベース等をもとに標的疾患をリストアップして、独自のスプライシングアッセイと、疾患iPS細胞および疾患モデルマウスによる薬効評価を行っている。このような新しい創薬手法を駆使して、従来は治療出来なかったライソゾーム病などの遺伝病や特殊な癌などに対する治療薬候補物質を見出している。また、脳梗塞や神経変性疾患などに対する再生医療も、小分子で実現できる可能性が見出されている。ケミカルバイオロジーに立脚した新しい創薬手法とその今後の可能性について議論する。
著者
小原 正芳 堀 良彰 櫻井 幸一
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.33(2004-CSEC-028), pp.37-42, 2005-03-22

近年,インターネット上のエンドホストに対してネットワークを介し無差別に行われる攻撃が増加している.攻撃者は脆弱なエンドホストを探すために TCP に対するポートスキャンを行うため,ポートスキャンは侵入の前兆とみなすことができる.それゆえ,攻撃者からのポートスキャンを早期に検知し必要な対策を行うことは,攻撃を事前に防ぐために重要である.ポートスキャン検知のために,これまでいくつかのアルゴリズムが考案され,それらはネットワーク侵入検知システムに実装されている.しかしながら,既存のポートスキャンの検知アルゴリズムでは,早期検知よりも精度に重点がおかれているため,精度を損なわず早期検知が可能な新たな手法が求められている.本稿では,ポートスキャンの特徴に基づく評価基準を用いることでポートスキャンを効率良く検知できる手法を提案し,その評価を行うことで提案手法の有効性を明らかにする.
著者
角谷 秀典 始関 吉生 小竹 忠 高原 正信 島崎 淳
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.1091-1096, 1991-07-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
15

内分泌異常による性機能障害19例について臨床的検討をおこなた. 性腺機能低下症によるものは, 低ゴナドトロピン性13例, 高ゴナドトロピン性3例の16例であり, 高プロラクチン血症6例 (うち3例は, 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症合併) であった. 主訴は, 性欲低下11例, 勃起不全12例, 射精障害14例であった. 性腺機能低下症では射精の障害されている例が多く, 一方高プロラクチン血症では射精の保たれているものが比較的多かった. 性腺不全症における血清テストステロン値は200ng/dl以下であり, 100ng/dl以下になると, 性欲低下を高率にみとめ, 勃起は保たれている例をみたが, 1例を除く全例で射精障害をみた. 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症例のゴナドトロピン療法の効果は, hCG負荷試験の反応良好なもの, 精巣容積の保たれている例では, 良好であった.
著者
浅原 正幸 河原 一哉 大場 寧子 前川 喜久雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.299-305, 2018-02-15

国立国語研究所は言語研究に資する258億語規模のウェブコーパス『国語研ウェブコーパス』を構築した.コーパスの構築は,ページ収集・言語解析・保存・検索系の構築の4種類の部分工程からなる.本稿では,『国語研ウェブコーパス』を概説するとともに,その検索系である『梵天』の機能について紹介する.この検索系は100億語規模のテキストコーパスを文字列だけでなく,形態素列・係り受け部分木に基づく問合せが可能である.
著者
菅原 正幸 三谷 公二 齋藤 敏紀 藤田 欣裕 末次 圭介
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.212-218, 1995-02-20
被引用文献数
25 4

小型で高性能なハイビジョンカメラを実現するための撮像方式として, CCDを4枚用いる4板撮像方式を提案した.本方式は, 撮像素子の枚数を増やして空間サンプル点数を確保し, 単体素子の画素数を抑え, 感度, ダイナミックレンジなど特性の優れたCCDを使い, 高画質化を図っている.色分解光学系は, G光に2枚の素子, R光, B光にそれぞれ1枚を割当てる4分解プリズムを新たに検討, 試作した.空間画素ずらし法の適用については, 2枚のG光用の素子間に加えて, RとBの素子の間でも画素ずらしを行う方式とした.この新たな画素ずらし法により, 本方式が(1)有光色光に対する折り返し, (2)レンズの倍率色収差による解像度の劣化, の2つの点でRGB3板方式と比べ優れていることを, 計算により明らかにした.2/3インチ130万画素CCDを用いてカメラを試作し, 上記2点について, 試作カメラとRGB3板式カメラについて実測し, 本方式が優れていることを検証した.
著者
小川原 正道
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法學研究 : 法律・政治・社会 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.1-26, 2014-09

論説一、 はしがき二、 留学の経緯三、 イエール大学時代四、 外交官・大蔵官僚として五、 日銀総裁として六、 むすび
著者
浅原 正幸 加藤 祥
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.463-499, 2016-12-15 (Released:2017-03-15)
参考文献数
26
被引用文献数
1

文書間類似度は,内容の類似度と表現の類似度の二つの側面を持っている.自動要約や機械翻訳ではシステム出力の内容評価を行うために参照要約(翻訳)との類似度を評価する尺度が提案されている.一方,表現を対照比較するための手段として,形態素(列)を特徴量とする空間上の計量が用いられる.本稿では,さまざまな文書間類似度について,距離・類似度・カーネル・順序尺度・相関係数の観点から,計量間の関係や同値性を論じた.さらに内容の同一性保持を目標として構築したコーパスを用いて,内容の差異と表現の差異それぞれに対する各計量のふるまいを調査し,文書間類似度に基づく自動評価の不安定さを明らかにした.
著者
西村 貴士 林 晃平 山田 外史 岩原 正吉
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.387-390, 2006 (Released:2007-02-21)
参考文献数
7

It is important to understand leakage magnetic fields surrounding magnetic machines and devices for facilitation of development and evaluating the environmental effects of the magnetic field level to determine whether it conforms to the EMC guideline. The magnetic projection method is a measurement technique that can detect a leakage magnetic field by means of a simple probe. The principles of 2-D magnetic field measurement and reconstruction have been previously reported. This paper proposes the principles of a spherical magnetic projection method, and reports on an experiment carried out to observe the overall leakage magnetic field around a sample object. As a result, it is shown that the projection method can easily measure and visualize a magnetic field on a spherical surface with good accuracy.
著者
大鷹 円美 菅原 正和 熊谷 賢 Ohtaka Marumi Sugawara Masakazu Kumagai Satoshi
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.8, pp.119-129, 2009

近年,我が国においては少子化と核家族化が進み,急激に人間関係は希薄化している。物が溢れている反面,子どもたちの対人関係能力やソーシャルスキルを育むことが困難になっている。不登校,ひきこもり,いじめ等の増加に歯止めがかからず家庭の中でさえ個室化し,地域社会ではお互いを知らず孤独である。親の養育力の低下に伴い,養育態度は二極化して,放任又は過保護・過干渉といった養育態度が問題となっている。一般的に,子どもが生まれて初めてこの世で出会い強い杵を形成する相手は母親およびその家族であり,家族は子どもの社会化の最初の大切な担い手となる。子どもはそのプロセスの中でソーシャルスキルを獲得していくが,特に母親がどのような養育態度で育てるかは,スキル獲得に強い影響を及ぼす。 戸ケ崎ら(1997)は,母親の拒否的な養育態度は,子どものソーシャルスキルの獲得を低くすることを報告し,Hoffman(1963)は,罪や脅しを用いて社会的行動をとらせようとする養育態度は子どもに恐怖心や怒りを引き起こし,向社会的行動を育てないと報告している。生まれてまもない乳児の行動にも様々な特徴的個人差が見られ,またそれらは乳幼児期以降も一貫性を持つことが明らかにされている(三宅,1983;Rutter,1987こうした乳幼児期の個人的特性を,HtemperamentHという概念で捉え直し,子どもの環境-の適応や対人行動の発達,愛着形成,人格形成等との相互作用を追求する研究が盛んになってきている。Temperamentに関する研究において,Thomasとchessらは9年間にわたる縦断研究HNewYorkLongitudinalStudyHにより,多くの子どもたちが元来持っていた気質的特長は何年も変わらずに残っていると結論づけた。彼らは環境要因だけでは子どもの行動障害の発生を説明しきれないとして,個人差要因の可能性を示唆し9つの気質カテゴリーを見出した(Thomas&Chess,1986)。Cloninnger(1993)らは,1988年,自ら開発した自己記入式質問紙TridimensionalPersonalityQuestionnaire(TPQ)(Cloninger,1987)を更に発展させ,TemperamentandCharacter\Inventory・(TCI)を開発した。cloninrerの気質と性格の7次元モデルにおける気質とは遺伝性であり,主として幼児期に顕われ,認知記憶や習慣形成の際に本人の意思とは無関係に行動に影響を与えるとされている。母子関係においても母からの一方的な働きかけだけではなく子どもからの積極的働きかけが関係しており,母子の相互交流が形成されることが明らかになった。村井(2002)は,子どもの問題行動が(母親の現実的育児態度ではなく)「子どもからみた親の態度」と関係していることを指摘している。子どもの気質が母親の行動特性の変化と養育態度に及ぼす影響について森下(2006)は,男児と女児では母親に及ぼす影響が異なり,男児より女児の方が影響力が強いことを報告している。次に親の養育態度研究において看過できない要因の中に,ⅠnternalWorkingModel(以下IWM)がある。Bowlby(1969,1973,1980)によると,ⅠWは,乳幼児期,児童期および思春期という重要な発達過程において徐々に形成され,少なくとも15歳までは可塑性は継続し,その後生涯を通して比較的変化は少なく持続する傾向があると考えられている。数井・遠藤(2000)は,日本人母子を研究対象として,親の愛着が子の愛着にどのように影響を及ぼすかという注目すべき愛着の世代伝達を調べた。その結果,自立・安定型の母親の子どもは,不安定型の母親の子どもよりも愛着安定性が高いことと,相互作用や情動制御においてポジティブな傾向が高くなるという世代間伝達傾向の存在を報告している。金政(2007)は,青年期をむかえた子どもと母親双方の愛着スタイルを検討した結果,母親の愛着スタイル-母親の養育態度の認知-子どもによる母親の養育態度の認知-千どもの愛着スタイルというプロセスを辿って愛着の世代間伝達が起こり得るとしている。養育の送り手と受け手が変わったとしても,愛着スタイルと養育態度との関連性が変化することなく,つまり養育の受け手である子どもが,親となった際に,自身が親から受けた養育態度の認知によって形成された愛着スタイルが自身の子どもに対する養育態度に同様の形での愛着の伝達が継承されていくと報告している。 IWM のタイプについてはAinsworthら(1978,1991)により,乳幼児期の愛着パターンを安定型(secure),アンビバレント型(ambivalent),回避壁(avoidant)の3タイプに分類され,その後の対人関係のスタイルやパーソナリティの形成に影響していくと考えられている。Hazan,C.とshaver,p.(1987)は,現在の自己にあてはまる愛着の分類と想起した過去の愛着の質との関わりは,現在の対人関係スタイルや社会的適応性との関連性があることを指摘している。IWM とソーシャルスキルの研究において,相谷ら(2000)はsecure得点が高いものはソーシャルスキルが高くなり,ambivalent且つavoidant得点の高いものはソーシャルスキルが低くなると報告している。三浦(2003)は子どものIWM の安定性が学校適応に影響を及ぼし,また養育者からの暖かい指示(情緒的指示)を高く認知する子どもは社会的ルールを受け入れやすくなることから,IWM は学校適応にも影響を及ぼすとしている。ソーシャルスキルに影響を及ぼしていると思われる要因に養育態度がある。戸ケ崎(1997)の研究では,母親の養育態度一家庭におけるソーシャルスキル-学校における社会的ソーシャルスキル-クラス内地位というモデルが探索的に支持された。 かくして,気質・養育態度・IWM ・ソーシャルスキル等に関する研究は個々になされているが,気質・養育態度・IWM ・ソーシャルスキルの因果関係を総体的に明らかにした研究は皆無に等しい。そこで本研究は,中学生・大学生を調査対象に社会化の最小単位と考えられる母子関係に注目して,生得的であるといわれる気質に焦点をあて,「損害回避」と「中学生・大学生から見た二極化した極端な養育態度」「IWM」の構造を明らかにし,如何なる要因が「ソーシャルスキル」の低下に影響を与えるかを共分散構造分析のモデリングによって解明しようとする。
著者
野口 竜也 西原 正典 西田 良平
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.206-213, 2007 (Released:2010-11-22)
参考文献数
8

鳥取県内の50観測点で得られた 1464地震 (延べ 4833個) の計測震度データの分析を行った. 各観測点において, 距離減衰式による推定震度と観測による震度の差の平均を求め, 地盤増幅による増幅効果の指標とした. この指標と地盤特性を比較し関係を調べた. 地盤の深さ 30mまでの平均 S波速度 (AVS30) とは良い相関がみられ, AVSが小さいほど揺れやすい地点である関係がみられた. より深い地盤構造を反映している重力異常との比較では, 特に相関がみられなかった. また, 従来から境港市の近接 2地点で震度差が生じる地点においては, AVS30がほぼ同じあるにも関わらず, 今回の分析による増幅効果の指標においても同様な差異がみられた.
著者
荒木 茂 山越 言 王 柳蘭 原 正一郎 村上 勇介 柳澤 雅之 北村 由美 舟川 晋也 水野 啓 梅川 通久 竹川 大介 有川 正俊 池谷 和信 竹川 大介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

諸科学が提示するグローバルな認識、イメジと、地域研究で集積されるミクロな情報とのギャップを埋め、両者を統一的に理解してく道筋の一つとして、可変的なスケールをもつ『仮想地球空間』を想定し、地域情報をインタラクティブに集積していくツールの開発と、データ集積を行なった。地域研究が提示する地域のメッセージを、地点情報、主題図の形で地球上に貼り付けていくことによって、地球を多様な世界観からなる地域のモザイクとして描き出し、グローバルな認識と接合させる道が開かれた。
著者
山内 眞義 平川 淳一 木村 和夫 中島 尚登 中原 正雄 中山 一 北原 敏久 大畑 充 片山 辰郎 高原 仁 藤沢 洌 亀田 治男
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.643-648, 1989-06-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
15

雌と雄ラットに慢性アルコール投与を行い,アルコール性肝障害の発症と伸展に及ぼす性差の影響を検討した.雌アルコール群で最も肝ハイドロオキシプロリンの増加を認め,雌のほうが雄に比べてアルコール性肝障害になりやすいことを実験的に明らかにした.雌アルコール群では,雌コントロール群に対して,アルコール脱水素酵素(ADH),アルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性及びエタノール除去率はいずれも低下するのに対して,雄アルコール群では雄コントロール群に対してADH,ALDHは高活性を示し,エタノール除去率も速やかとなった.以上より女性のアルコール性肝障害に対する高感受性の原因として,男女間の常習飲酒に対するアルコール代謝の変動の差異が一因と考えられた.
著者
原 正利
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.137-152, 2006
被引用文献数
3 3

&nbsp;&nbsp;1. 八溝山地,阿武隈山地,北上山地を中心とする関東北部以北の太平洋側地域において,ブナの分布域を水平的,垂直的にカバーするように,54地点に植生調査区(投影面積111.3-1039.2m^2)を設置し,ブナを含む森林群落について,上層木(胸高直径5cm以上)の毎木調査と下層の植生調査を行った.<BR>&nbsp;&nbsp;2. 各林分における種の存否に基づいたTWINSPANによる第3水準までの植生分類によって,調査林分はA-Eの5林分群に分かれた.A-Dの4林分群は,太平洋側の温帯,特に下部温帯の気候的極相と考えられる自然林であるイヌブナ林やモミ林,あるいはブナ林に広く出現する種を多く含んでいた.一方,E群は日本海型のブナ林と共通する種群を多く含んでいた.<BR>&nbsp;&nbsp;3. 優占型の点からは,A-Cの3林分群はブナのほかコナラ,アカシデ,イヌブナ,モミなど多様な種の混交した林分が多かった.D・E群は優占種数が少なく,ブナが優占する林分が多かった.<BR>&nbsp;&nbsp;4. A群からE群に至る林分群の配列は,気候傾度に沿ったもので,A群からE群に向かって暖かさの指数WIが低下し,これと並行的に冬期降水量と最深積雪深が増加していた.<BR>&nbsp;&nbsp;5. 地形的には全ての林分群を通じて,尾根や斜面上部に成立した林分が多かった.<BR>&nbsp;&nbsp;6. ブナの個体群については,A群からE群に向かって,1)優占度(胸高断面積の相対値RBA)の増加,2)局所的な個体群密度の増加,3)稚樹や小径木の少ない断続的なサイズ構造から連続的なサイズ構造への変化が認められた.<BR>&nbsp;&nbsp;7. 当地域のブナは本来,温帯域全体にまたがる広い垂直分布域を持ち,上部温帯域において優占林分を形成するだけではなく,下部温帯域においては,混交林の1要素として,密度こそ低いものの広範囲にメタ個体群構造をとりつつ分布していたと考えられる.<BR>&nbsp;&nbsp;8. 低海抜域に低密度で分布するブナ個体群の維持再生機構については未解明な点が多く,保全上からも今後の重要な課題である.
著者
柳原 正明
出版者
東京大学 工学系研究科航空宇宙工学専攻
巻号頁・発行日
2007-03-16

報告番号: 乙16756 ; 学位授与年月日: 2007-03-16 ; 学位の種別: 論文博士 ; 学位の種類: 博士(工学) ; 学位記番号: 第16756号 ; 研究科・専攻: 工学系研究科航空宇宙工学専攻
著者
福嶌 五月 仲原 正明 荻野 信夫 城戸 哲夫 黒住 和史 久原 章雄 西 宏之 木村 一隆 中尾 量保 辻本 正彦
出版者
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1321-1325, 2001
被引用文献数
3

症例は15歳の女性. 主訴は下腹部痛. 13歳時, 腹痛にて施行したCT検査で脾腫 (容積1,150cm<SUP>3</SUP>) を指摘されるも位置異常を認めなかった. 今回, ジェットコースターに乗った後に下腹部痛を来し来院.CT検査にて脾臓を正位に認めず, 下腹部に腫瘤 (容積810cm<SUP>3</SUP>) を認めた. 超音波検査, 血管造影にて広範な脾梗塞を伴う遊走脾と診断し, 腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した. 術中所見では脾周囲靭帯は欠失し, 脾臓は腹腔内に遊離していた. 脾動静脈をEndo GIA40mm<SUP>R</SUP> にて切離後, 腹腔内で脾臓をTissue Morcellator<SUP>R</SUP> を用いて粉砕し摘出した. 手術時間は145分, 出血量は50mlであった. 病理所見は梗塞を伴った正常脾であった. 第6病日に退院し, 術後2年目の現在経過良好である. 遊走脾に対する腹腔鏡下手術の報告は自験例を含め5例で, メッシュによる脾固定3例, 脾摘2例であった. 自験例は広範な脾梗塞と脾腫をともなっていたため, 脾摘を行った.
著者
四井 恵介 関野 樹 原 正一郎 桶谷 猪久夫 柴山 守
雑誌
じんもんこん2010論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.15, pp.211-216, 2010-12-04

近年,Google Mapsをはじめとして地理情報を扱うことが当たり前となり,様々な地理データも整備されつつある.しかしながら歴史的な地理データとしては,江戸時代はもとより明治・大正期の地理データについては,ほとんど整備されていない.本稿では明治・大正期に陸軍陸地測量部によって作成された旧5万分の1地形図をベースとして,日本全国を対象とした地名辞書および地理データの作成を行い,その作成方法,問題点等を報告する.