著者
青木 智史 小島 和人 金原 正明
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 自然科学 (ISSN:05472407)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.1-7, 2013-11-30

In the present paper, the authors report the results of thermoluminescence (TL) dating of the bricks from a modern structure, and discuss the validity of this method. TL method is a typical and well-used tool for estimating the age of heated relics. In this research, TL dating method applied to the bricks of the brickwork foundation of an officer' s mess hall which were excavated at the site of the 53th Infantry Regiment on the campus of Nara University of Education. In 1909, the 53 Infantry Regiment was located in the site, where the campus of Nara University of Education is now located. The Infantry Regiment site was first discovered in 2008. This site was excavated continuously between 2008 and 2011. And, the samples were collected at the Infantry Regiment site in 2011. The samples were measured according to the protocol of multiple aliquot additive dose. The TL age averaged for all samples is 96±10 years before present. Thus the results of the present work indicate that the bricks were burnt in the period around the early 20th century. The results are consistent with the ages shown from the archaeological aspects of view. The TL dating method was successfully applied to the modern burnt bricks. And the above result suggest that TL dating method is a valid technique for the research on the history of modern times.
著者
松岡 篤 山北 聡綜 榊原 正幸 久田 健一郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.104, no.9, pp.XXI-XXII, 1998 (Released:2010-12-14)
被引用文献数
1

秩父累帯の主要部は, ジュラ紀の付加体からなる. 付加体に含まれるチャートや石灰岩などの海洋性物質について, その堆積年代や含まれる化石の古生物地理学上の特徴を明らかにすることにより,秩父累帯の形成モデルに制約を与えることができる. また, 地質構造の特徴は, 付加体形成から現在にいたるまでのプロセスを反映している, 秩父累帯を構成する主要なユニットについて, 露頭のようすや山塊の表情を紹介する. 斗賀野ユニットと三宝山ユニットは南部秩父帯に, 柏木ユニット, 住居附ユニットおよび沢谷ユニットは北部秩父帯にそれぞれ属する.
著者
阿部 佑一 坂井 優美 鬼立 めぐみ 原 正 久保田 隆廣
出版者
一般社団法人 日本薬局学会
雑誌
薬局薬学 (ISSN:18843077)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.85-91, 2019 (Released:2019-05-17)
参考文献数
10

要旨:皮膚疾患に多用されるステロイド外用剤は,著しい治療効果をもたらす重要な成分である.外用剤の混合による配合変化に関する情報は必須であるが,十分な検討は行われていない.本研究では,実臨床でもステロイド外用剤と混合されることのあるザーネ® 軟膏との配合変化について検討した.油脂性基剤であるステロイド軟膏はザーネ® 軟膏と混合すると高温になるほど基剤が不安定になり,ステロイドの種類によっては含量が著しく低下した.ザーネ® 軟膏とo/w 型ステロイドクリームの混合では基剤は安定していた.ステロイド含量は高温条件下で低下したが,ステロイド軟膏との配合変化より緩やかであった.そのためザーネ® 軟膏との混合はステロイドクリームのほうが好ましいと考えられる.しかし,ステロイドの種類や製品によっては配合変化する組み合わせがあるため,患者の症状や薬剤の保存状態,コンプライアンスに合わせた薬剤選択が重要である.
著者
亀田 尭宙 貴志 俊彦 原 正一郎
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2019-CH-119, no.12, pp.1-4, 2019-02-09

京都大学東南アジア地域研究研究所では,戦前戦中に発行された東アジアの絵葉書をデータベースとして整理 ・ 公開している.これまで国際連携のために,Linked Open Data や International Image Interoperability Framework に対応した公開を進めてきた.また,それぞれの弱点である,ドメイン研究者によるデータの簡便な登録と更新や応答の早い検索 API について,当研究所が構築してきた My データベースや Elasticsearch との連携によって補っている.本稿では,データの具体的な形式やシステム間の連携について詳述し,活用に至るまでの課題について議論する.
著者
原 正彦
出版者
医学書院
雑誌
理学療法ジャーナル (ISSN:09150552)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.90, 2020-01-15

理学療法士の未来が変わる.そんなことを感じさせる医療機器が登場した.仮想現実(virtual reality:VR)技術を応用して歩行に必要な姿勢バランスと二重課題型の認知処理能力を定量的に可視化し,セラピストがより適切に治療介入を行えるようにしたリハビリテーション用医療機器「mediVRカグラ」の導入施設が増えている. mediVRカグラは,座位で行うトレーニングで歩行機能が改善することが最大の特徴で,一見するとごく一般的なVRゲームのようにしか見えないが,その開発に神経内科医や理学療法士,作業療法士が深く関与している点が既存のVR製品とは明確に異なる.その結果はまさに目を見張る効果であり,姿勢バランス制御系の脳内モデルの再構築だけでなく,これまで改善が難しかった注意障害を中心とした認知機能をも劇的に改善させるという報告が相次いでいる.
著者
梶原 正昭
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.24-38, 1982-03-05
著者
伊東 博美 太田 和俊 池辺 哲郎 篠原 正徳 岸田 剛 伊東 隆利
出版者
一般社団法人 日本有病者歯科医療学会
雑誌
有病者歯科医療 (ISSN:09188150)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.55-60, 2003-09-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7

本邦において, HIV感染症およびAIDS患者は増加傾向にあり, 治療薬の開発などHIV医療の著しい発展も加味され, 歯科外来を通院する患者は年々増加している. そこで, HIV感染患者の歯科治療の実態を把握するため, 過去3年間に熊本大学医学部附属病院を受診したHIV感染患者60名のうち歯科口腔外科を受診した23名について臨床的検討を行った. 男女比は9: 1で, 男性が有意に多く, 平均年齢は34.9歳で, 年齢分布では20代から40代に集中していた. 感染経路は, 約半数が血友病患者であった. HIV感染者は, 年々増加傾向にあったが, 歯科受診者は減少していた. 当科受診時のCD4細胞数は, ほぼ半数が600/ul以上であったが, 100/ul以下の重度免疫抑制状態の症例も2例みられた. ウイルス量では, 50コピー/ul未満の症例が7例, 50コピー/mm3から10,000コピー/ul未満の症例が13例, 10,000コピー/ul以上の症例が3例であった.23名に対して3年間で266回の診察機会があったがその中には, 除石が53回, 抜歯が18回含まれていた. 抗生剤の予防投与は1例のみで, 治療後特に問題とはならなかった.
著者
天野 要 岡野 大 土屋 卓也 緒方 秀教 杉原 正顕 遠藤 慶一
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

代用電荷法を適用し,非有界な多重連結領域から,(a)平行/共線スリット領域,(b)直線スリット領域,(c)円弧放射スリット領域,という正準スリット領域への数値等角写像の方法を提案し,その有効性を数値実験的に検証した.また,代用電荷法の性質を調べ,周期Stokes方程式に対する基本解法を提案した.これらの研究は理工学への応用上も重要である.本研究の主題に関連の深い特異積分方程式,悪条件連立1次方程式の数値解法についての基礎的研究も進められた.
著者
柳原 正治 植木 俊哉 明石 欽司 岩本 禎之 三牧 聖子 丸山 政己
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2019年5月に『世界万国の平和を期して―安達峰一郎著作選』(研究代表者が編者)を出版した。公表された学術論文や随筆のみならず、外交官として書き記した口上書や調書や報告書、日露戦争の捕獲審検所評定官としての調査書や判決、国際連盟や万国国際法学会での報告書、常設国際司法裁判所所長としての報告書や命令・勧告的意見に対する反対意見などを一冊にまとめた、安達峰一郎の最初の著作集である。フランス語を主とする欧文著作(書簡を含む)も巻末に一括して掲載した(100頁あまり)。この著作集の出版によって、安達の業績が内外に一層広く知られることとなることが期待される。また、6月15日には東京で、安達峰一郎記念財団の主催で「よみがえる安達峰一郎―世界が称賛した国際人に学ぶ」という記念シンポジウムが開催された。200名近くの参加者を得て、安達の思想と行動が現在の混迷する国際社会にとって持つ意義について、熱心な討論が行われた。研究代表者が基調報告を務め、複数の研究分担者も個別報告を担当するとともに、パネルディスカッションにも参加した。また、国際法協会日本支部が主催して、2019年4月27日に「日本における国際法学の誕生」という共通テーマでの研究大会が行われた。研究分担者の三牧が「大戦間期の戦争違法化と安達峰一郎」というテーマで報告を行った。海外の史料館の一次史料の収集作業も引き続き行った。ベルギーの外交史料館で再度の一次史料の収集作業を行った。これまでほとんど知られていない、黒澤二郎関連の史料をかなりの数収集できた(“Correspondance politique Japon”や13.584など)。
著者
木原 正夫 鈴木 仁 鈴木 祐介
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

IgA腎症は原発性糸球体腎炎のなかで最も頻度が高いが、有効な治療法が確立されておらず予後不良である。IgA腎症の病態には糖鎖異常IgA1 と糖鎖異常IgA1 免疫複合体が深く関与しており、その産生にはToll like receptor(TLR)などのPattern recognition receptors(PRRs)を起点とした粘膜免疫応答異常が考えられる。本邦においては扁摘パルス療法が一定の効果を示している一方で、北欧においては腸管選択的ステロイド薬の効果が示されており、その議論が分かれている。本研究では、腸管におけるPRRsを介した糖鎖異常IgA1 免疫複合体形成機序を検証することを目標としている。ヒトIgA腎症の自然発症モデルであるddYマウスを用いて、血中・消化管関連リンパ組織におけるIgA、糖鎖異常IgA、IgG-IgA免疫複合体を測定したところ、IgA腎症発症マウスの方が未発症マウスに比較して、血中・脾臓の細胞培養液中のGd-IgA, IgG-IgA免疫複合体が有意に高かったが、腸間膜リンパ節においては両者に有意差はなかった。今後は、腸管におけるPRRsがIgA腎症発症・増悪に寄与しているか調べるため、IgA腎症発症/非発症ddYマウスを用いて、TLR4/9やその下流のサイトカインの発現を検証し、さらにはTLR4/9のリガンドを投与することで、IgA腎症を惹起できるか検証する。また、グルテンフリー食、腸管選択性ステロイド薬、中和抗体・siRNA を用いて、Gd-IgAおよびIgG-IgA免疫複合体産生の抑制効果を検証する。
著者
前原 正美
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
no.46, pp.51-86, 2015

本稿の目的は,総じていえば,石田三成の御旗「大一大万大吉」(だいいちだいまんだいきち)に見る政治思想を,『老子道徳経』ならびに聖徳太子の政治思想との関連で考察すること,また石田三成の経済観を明らかにすることにある。 本稿においては,従来の研究ではまったく考察されてこなかった石田三成の旗印「大一大万大吉」に焦点をあてて,石田三成の政治思想と経済観を考察した。本稿の独創的研究は,① 石田三成の旗印「大一大万大吉」の政治思想の原点を老子の政治思想に見いだしたこと,② 石田三成の政治思想は,老子の思想,聖徳太子の《「和」の政治思想》を受け継いで,《「愛」の政治思想》にまで昇華させた内容であること,③ 石田三成の旗印の意味内容には「大一」「大万」「大吉」にそれぞれ対応させて,石田三成の政治思想(「大一」),政治体制(「大万」),人間の幸福=生命いのちの尊さ(「大吉」)という意味内容が示されていること,④ また「公」儀=豊臣「政権」の政治思想は,公武合体思想であること,⑤ そして「公」儀=豊臣「政権」の二重性のゆえに,豊臣秀吉と石田三成との政治経済思想の見解の相違がしだいに浮き彫りになってゆくこと,⑥ 石田三成は,明国,朝鮮国との和平交渉によって貿易利益の増大や商工業の発展に伴う社会的生産力の向上→経済力の向上を通じて,豊臣「政権」の強化を企図したが,こうした考え方のなかに,石田三成の経済観を見てとることができること,などを明らかにした点にある。
著者
岡原 正幸 木田 邦治
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.25-46, 1993-01

荻野先生の略歴0. 荻野恒一先生を追悼する1. 慶應義塾時代の荻野先生2. まよい出づる旅の思想Professor med. Dr. Kohichi Ogino, ein immer uns alle stutzender und von neben uns out der Reise zur echt wissenschaftlichen Uberlegung begleitender Lehrer, 1st am 15. Okt. 1991 mit Tode abgegangen. Es lag auf der Hand, dass wir alle in tiefste Trauer und in grauen Schock versetzt wurden. Aber deswegen ist unbedingt notwendig, daruber hinaus eine neue Beziehung mit unserem grossen Lehrer, die nicht mehr "wirklich" sondern seelisch und wissenschaftlich sein muss, mit aller Kraft zu stellen. Wir beide sollen, semen Tod betrauend, diesen Aufsatz mit dem Ziel schreiben, etwas Wichtiges fur unsere Gesellschaft vom psychiatrischen (phanomenologischen, Daseinanalytischen, vergleichend, trans-kulturellen) Denken Oginos heraus in die sozialwissenschaftliche Diskurse uberzuleiten.
著者
正岡 顕一郎 西田 幸博 菅原 正幸 中須 英輔
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 35.16 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.133-135, 2011-03-08 (Released:2017-09-21)
参考文献数
5

実物感を提供するために実物感と画像解像度の関係を求めた.解像度の異なる画像と実物を提示し,実物に近く見える方を選択させる一対比較法を用いた実験を行った。両眼視差はシノプターにより除き,画像の大きさ,パースペクティブ,輝度,色度は実物と同一になるように提示した.その結果,角解像度が30cpd(cycles per degree)を超えても実物感は上昇し,60cpd辺りから緩やかに実物との差が分からなくなる傾向が見られた.
著者
正岡 顕一郎 西田 幸博 菅原 正幸 中須 英輔
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.133-135, 2011
参考文献数
5
被引用文献数
4

実物感を提供するために実物感と画像解像度の関係を求めた.解像度の異なる画像と実物を提示し,実物に近く見える方を選択させる一対比較法を用いた実験を行った。両眼視差はシノプターにより除き,画像の大きさ,パースペクティブ,輝度,色度は実物と同一になるように提示した.その結果,角解像度が30cpd(cycles per degree)を超えても実物感は上昇し,60cpd辺りから緩やかに実物との差が分からなくなる傾向が見られた.
著者
北川 裕久 田島 秀浩 中川原 寿俊 牧野 勇 中沼 伸一 林 泰寛 高村 博之 二宮 致 伏田 幸夫 萱原 正都 太田 哲生
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 = The Journal of Japan Pancreas Society (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.178-184, 2013-04-25
参考文献数
13
被引用文献数
3

膵頭部癌の膵頭十二指腸切除術後消化吸収障害に対する,腸溶性高力価膵消化酵素剤パンクレリパーゼの有効性を,従来の膵消化酵素剤から本剤に切り替えた7症例で評価した.消化吸収障害は下痢の程度,体重の増減,日常生活の活動性,消化不良の症状を織り交ぜWong-Bakerのフェイススケールにあわせて,0から5までのGrade分類を新たに作成して評価した.1例で重度の下痢がみられ投与中止した.他の6例では腸溶性パンクレリパーゼへの変更によって,5例で体重増加がみられ,4例で止痢剤減量を要した.消化吸収障害Gradeは,体重増加のなかった症例,止痢剤減量ができなかった症例も含め6例全例で0または1にまで改善していた.膵頭部癌術後の消化吸収障害の改善に,腸溶性パンクレリパーゼの投与は,有用であることが示唆された.また,今回考案した臨床に即したGrade分類は,消化吸収障害の評価に有用であった.<br>
著者
竹原 正也 永浜 政博 小林 敬子
出版者
徳島文理大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

宿主は、細菌感染に対して好中球の産生を亢進し対抗するが、一部の細菌感染は致死的である。我々は、ウエルシュ菌が感染したマウスや、α毒素を投与したマウスでは成熟好中球が減少することを発見した。また、本菌の感染は末梢の成熟好中球を減少させた。骨髄細胞をα毒素で処理すると、脂質ラフトが変化し、好中球の分化が抑制された。脂質ラフトの阻害剤を処理した骨髄細胞では、好中球の分化が抑制され、脂質ラフトの阻害がα毒素による好中球の分化抑制に関与することが示唆された。以上の結果より、ウエルシュ菌α毒素は好中球の分化を阻害し宿主免疫を障害する、本菌の新しい免疫回避機構が明らかとなった。