著者
梶原 洋生
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.44-50, 2019-03

日本では、1946年1月21日に総司令部覚書「日本に於ける公娼制度廃止に関する件」が発せられ、1946年11月26日には、厚生省社会局長通知の「婦人保護要綱」が発出された。しかし、のちに「売春防止法」が成立したのは1956年5 月21日のことだったので、この立法過程は概ね11年間にも及んだことになる。そこで、国政の難航を横目に各自治体は国とは別に対処を講じたものと考え、「売いん」等に係る条例の制定はどのような動向であったかを明らかにする。とりわけ、1946年から1957年までの期間に着目し整理を図ることとした。「売いん」等に係る条例は一定の時期に集中しており、戦後の悲哀を背負った条例制定論争が各地で広がった。女性の救済は社会的課題とされ、国法による生活保障が不可欠となり、その法整備の一環として各地的な条例の制定という議論の機運も全国に生まれた。これらの側面が合わさって、日本の一つの時代が形作られた。
著者
篠島 直樹 前中 あおい 牧野 敬史 中村 英夫 黒田 順一郎 上田 郁美 松田 智子 岩崎田 鶴子 三島 裕子 猪原 淑子 山田 和慶 小林 修 斎藤 義樹 三原 洋祐 倉津 純一 矢野 茂敏 武笠 晃丈
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.235-242, 2019 (Released:2019-11-15)
参考文献数
14

【背景・目的】当院では難治性てんかんの患児に「ケトン食」を40年以上提供してきた.その経験に基づきIRB承認の下,悪性脳腫瘍患者を対象にケトン食の安全性,実行可能性,抗腫瘍効果について検討を行った. 【対象・方法】2012年11月から2018年10月までの悪性脳腫瘍患者14例(成人10例,小児4例).栄養組成はエネルギー30~40kcal/kg/日,たんぱく質1.0g/kg/日,ケトン比3:1のケトン食を後療法中ないし緩和ケア中に開始し,自宅のほか転院先でもケトン食が継続できるよう支援を行った. 【結果】ケトン食摂取期間の平均値は222.5日(5‐498日),空腹時血糖値および血中脂質値はケトン食摂取前後で著変なかった.有害事象は導入初期にgrade1の下痢が2例,脳脊髄放射線照射に起因するgrade 4の単球減少が1例でみられた他,特に重篤なものはなかった.後療法中に開始した10例中9例が中断(3例は病期進行,6例は食思不振など),緩和ケア中に開始した4例中3例は継続し,うち2例は経管投与でケトン食開始後1年以上生存した. 【考察】後療法中にケトン食を併用しても重篤な有害事象はなく安全と考えられた.長期間ケトン食を継続できれば生存期間の延長が期待できる可能性が示唆された.中断の主な理由として味の問題が大きく,抗腫瘍効果の評価には長期間継続可能な美味しいケトン食の開発が必要と考えられた.
著者
相原 洋子
出版者
日本老年社会科学会
雑誌
老年社会科学 (ISSN:03882446)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.394-402, 2012-10-20 (Released:2020-01-30)
参考文献数
26

経済や教育といった社会要因と健康格差について,世界的な関心が高まっている.社会要因は食生活行動,栄養状態と強い関連を示し,その背景として食や栄養に関する情報量や知識との関連が示唆されている.高齢化が著しいわが国では,介護予防や医療費抑制のうえで,高齢者の栄養状態の改善を検討することは,重要な保健課題であるとし,本研究では社会要因と食と栄養の情報源,さらに多様な食品摂取との関連について分析した.分析対象者は地域の75歳以上高齢者645人であり,経済,教育年数によって情報源,食品摂取の多様性に違いがある結果が得られた.多変量解析の結果,本・雑誌,新聞から栄養情報を得ている人は,多様な食品を摂取する傾向にあった.活字を媒体とした情報源が,高齢者の食生活行動を促すうえで有用であることが示唆された.一方で社会経済状況の低い人に対して,アクセスならびに理解しやすい情報媒体の検討が重要であると考えた.
著者
藤原 洋
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-7, 1997
参考文献数
2

画像圧縮技術の研究は, 1950年代に始まり, アナログ帯域圧縮から, 今日のディジタル情報圧縮の研究へと発展した.特に, 1970年代のDCTと動き補償の発明が1980年代から1990年代前半にかけての国際標準化の基盤を作った.この画像のディジタル情報圧縮は.今日, ISDN用のテレビ会議, インターネット上の簡易テレビ電話や簡易放送などの通信メディア, そしてビデオやCDやDVDなどの蓄積メディアから, ディジタル衛星放送など放送メディアへと用途が拡がりつつある.現在の課題は, コンピュータとテレビジョンの仕様統一を如何に行うかにかかっているといえる.本報告では, これら一連の技術動向について報告する.
著者
田坂 さつき 島薗 進 一ノ瀬 正樹 石井 哲也 香川 知晶 土井 健司 安藤 泰至 松原 洋子 柳原 良江 鈴木 晶子 横山 広美
出版者
立正大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、日本学術会議第24期連携会員哲学委員会「いのちと心を考える」分科会委員のうち9名が参画し、同分科会委員長田坂さつきを研究代表者とする。本研究には、政府が主催する会議などの委員を歴任した宗教学者島薗進、倫理学者香川知晶に加えて、医学・医療領域の提言のまとめ役でもあり、ゲノム編集による生物医学研究の黎明期から先導的に発言してきた石井哲也も参画している。医学・医療領域におけるゲノム編集に関する提言に対して、哲学・倫理の観点からゲノム編集の倫理規範の構築を目指す提言を作成し、ゲノム編集の法規制の根拠となる倫理的論拠を構築することを目指す。
著者
永見 智行 小宮山 悟 彼末 一之 諸星 潤 大室 康平 茶川 剛史 勝亦 陽一 氏原 洋輔 子安 大士 前川 仁
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ジョイント・シンポジウム講演論文集:スポーツ工学シンポジウム:シンポジウム:ヒューマン・ダイナミックス
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.108-111, 2008
被引用文献数
1 1

The authors have recently developed a system for analyzing the spin on a baseball (Koseki et al., 2007). In the present study we analyzed the spin pitched by a professional pitcher. He pitched eight different pitches, each twice, from official pitching mound. The image of ball in the period from just before to 500 ms after the ball release was taken with a high speed video camera at 1000 fps. English alphabets E, M, A, and I were marked on the ball for image processing. Feature points from the image stream were assembled into a set of linear equations that represents orientation change between consecutive two frames by rotation matrix R, and the direction of spin axis and spin rate were obtained. Both values varied considerably depending on pitches. The recording of spin was suggested to be valuable for training if the data could be combined with those of motion analysis.
著者
土屋 雅春 石井 裕正 宮本 京 荒井 正夫 奥野 府夫 山内 浩 海老原 洋子 高木 俊和 神谷 知至 陶山 匡一郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.21, no.12, pp.1606-1613, 1980-12-25 (Released:2010-01-19)
参考文献数
13
被引用文献数
2

肝細胞固有の機能の一つとして重要視されている糖新生能を,糖原性アミノ酸であるL-Alanine (以下Ala)を負荷したときの血糖上昇度および糖代謝調節諸因子の動態を観察することにより判定し,本検査の肝細胞予備能判定法としての有用性につき検討した.対象は慶大内科において確診した肝硬変症17例(代償期8例,非代償期9例)および健常対照例6例の計23例である.15時間絶食後に10% Ala溶液300mlを30分間で静注し経時的に180分まで血糖, IRI,乳酸,アラニン,IRG値を測定した.Ala負荷後,対照群では,点滴終了直後に約10mg/dlの血糖上昇を認め,以後速やかに下降したが肝硬変代償期群では血糖上昇度は7mg/dlと低下傾向をみたが有意差はなかった.これに対して非代償期群では血糖上昇度は全くみられず,むしろ低血糖傾向すら示した.この非代償期群ではAla負荷後の血中乳酸・アラニン値も停滞しAlaの利用障害が示唆された.Ala負荷後血糖上昇のみられなかった群の予後は不良であり,本試験は肝細胞予備能判定の手段として有用であることが示唆された.
著者
増岡 秀一 大坪 寛子 小笠原 洋治 酒井 紀 小林 正之 海渡 健 吉田 真弓 関田 徹 佐伯 明子 西脇 嘉一 島田 貴 落合 成正
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.156-158, 1995

Bilateral ankle skin ulcers developed in a 61-year-old man in the chronic phase of chronic myelogenous leukemia receiving hydroxyurea therapy. The circulating immune complex (anti-C<sub>3d</sub> antibody) was high in this case, but vasculitis was not observed in the pathological findings of biopsied skin materials. This association has been reported in patients who had chronic myelogenous leukemia or other myeloproliferative disorders and were treated with hydroxyurea. It is likely that skin ulcers are caused by hydroxyurea.
著者
丹野 宗彦 中山 雅文 京増 芳則 川上 睦美 間島 寧興 遠藤 和夫 千葉 一夫 山田 英夫 丹野 瑳喜子 笠原 洋勇
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.190-197, 1992-03-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
16
被引用文献数
1

脳幹部に疾患が疑われ, 脳幹部のMRIを施行した97症例のMRI所見につき検討した. 対象は昭和63年6月より平成元年3月迄に施行した97症例である. その内訳は男性53症例, 女性44症例である. 平均年齢は共に71歳である. 病変の判定はT1強調像, T2強調像およびプロトン像で行った.その結果, 1) 61歳以上の高齢者では脳幹部, 特に橋部に病変を認めた症例が多く, その内訳では梗塞例が最も多かった. また橋部にT2強調像で高信号域を認め, T1強調像で同部の異常信号を認めないMRIの画像診断上, いわゆる典型的な梗塞パターンを示さない症例も多く認められた. 2) この二つの所見を呈した症例では共に高い頻度で基底核, 視床などに病変を合併していた. 3) 高血圧症の既往を有する症例では, 認めない症例に比して, 橋部により高い頻度で病変を認めた (α<0.01)
著者
菅佐原 洋
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.24-34, 2018

<p>発達障害児の発話指導では、対象児の発声が有意味語や見本音声に近づくことが求められる。従来は指導者や第三者による印象評定が用いられることが多かったが、効果的な支援や訓練者の技術向上のためには、より客観的で定量的な指標を用いる必要がある。そこで、本稿ではフリーウェアであるPraatを用いた音声解析を利用した定量的評価の手法について紹介する。</p>
著者
上原 洋一 潮田 資勝
出版者
一般社団法人 日本真空学会
雑誌
Journal of the Vacuum Society of Japan (ISSN:18822398)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.796-800, 2008 (Released:2009-01-15)
参考文献数
21

Scanning tunneling microscope (STM) light emission spectroscopy provides a powerful tool for characterization of individual nanometer scale structures on solid surfaces. However, the light to be detected is usually very weak. It is desirable to improve the intensity level for measurements with good signal-to-noise ratio. For this purpose the role that the STM tip-sample gap plays in the light emission is analyzed by the dielectric theory of STM light emission. Based on the theoretical predictions, we discuss how one can obtain strong STM light emission and problems associated with the enhancement of emission.