著者
梶原 洋
出版者
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館
雑誌
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館年報 (ISSN:21862699)
巻号頁・発行日
no.12, pp.43-50, 2021-06-23

1933 年に伊東信雄により樺太で発見された2 領のアイヌ鎧は、主としてその構造が古墳時代の挂甲に類似していることから、平安初期(9 世紀)の所産と推定されていた。しかし、11 から12 世紀に生まれ、鎌倉時代以降に盛んに用いられた「腹巻鎧」との構造的な類似性をもつと推定される。そして、鎧自体の特徴は、北東アジアのチュクチ族などの前合わせ式鎧と共通していて、その伝統に倣った上で、日本式鎧の縄目縅、菱縫などの製作技法を取り入れて作られた可能性が高い。また、サハリンに残されたアイヌ鎧に見られる巴文が、南北朝以降の型式であり、新たに確認された松皮菱文は、武田氏に関連することから、15世紀に蠣崎氏(武田氏)を中心とした道南の和人勢力とアイヌ民族との間で繰り広げられた戦いとの強い関連も推定される。したがって、この鎧は、平安時代9 世紀の所産ではなく、室町時代の15 世紀頃に奥州以北などで製作され、サハリン(樺太)にまでもたらされたとの説明が最も有力となり、従来の年代感は訂正されなくてはならないだろう。
著者
石原 洋平 中川 大 松中 亮治 大庭 哲治
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.829-834, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
5

近年、わが国では公共交通が見直されつつあり、公共交通のさらなる利用を求める声も高まっている。公共交通の利用を促すためには利便性の向上が不可欠であるが、運行本数の増加などの施策を直ちに実行することは難しい。そこで、運行間隔や所要時間だけでなく出発時刻の偏りといった要素まで考慮して、現状のダイヤをできるだけ改善することが重要となる。本研究では、単独もしくは複数の系統を利用できる状況に注目し、先述の要素をすべて考慮できる指標である「期待所要時間」を用いて、都市内公共交通のダイヤを分析する。そして、分析から得られた知見に基づいて実際の都市内公共交通のダイヤを改善し、改善前後の期待所要時間を比較すると同時に、期待所要時間が増加した場合はその原因を明らかにする。
著者
長谷川 誠 和田 信昭 井上 孝志 安原 洋 仲 秀司 黒田 敏彦 野尻 亨 新川 弘樹 藤田 尚久 古谷 嘉隆
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.852-857, 2000-04-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
28
被引用文献数
5 13

1986年5月から1999年6月までの14年1ヵ月間に,当院に来院した経肛門的直腸内異物症9例と,本邦報告例55例について臨床的検討を加えた. 患者年齢は最小年齢15歳から最高年齢43歳で,平均年齢は29.6歳,性別では男性が7人,女性が2人であった.主訴では異物が7人,腹痛が2人で,来院する患者の中には異物挿入の事実を隠している場合もしばしば認められた.原因としては性的行為に関係している症例が8例と最も多かった.そのため患者は羞恥心から夜間当直帯に来院することが多かった.また繰り返し経肛門的直腸内異物で来院する症例も2例認められた.摘出は穿孔性腹膜炎を発生していた1例を除き経肛門的に摘出された.異物の種類ではスプレー缶2例,ハンガー・針金2例,試験管1例,瓶1例,バイブレーター1例,キセル1例,鉛筆1例,お菓子の容器1例となっていた.
著者
石川 准 松原 聡 湯瀬 裕昭 菊池 尚人 松原 洋子 山口 翔 南谷 和範 河村 宏
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

100名の参加者による共同自炊型電子図書館実証実験を行った。情報提供施設に裁断・スキャン・OCR作業を委託し、3年間で1052冊をテキスト化した。参加者へのアンケート調査を毎年実施し、満足度や課題について分析を行った。参加者のコミットメントとインセンティブに影響を与える要素を検証するため、見出しマークダウン対応の読書アプリの作成や、OCR認識精度向上のための誤り補正ソフトウェアの開発を行い、その有効性を検証した。アメリカのBookshare、フランスの国立国会図書館、ジュネーブ国際電気通信連合において現地調査を実施し、電子書籍のアクセシビリティを推進するための制度・政策に関して知見を得た。
著者
角田 圭子 高木 潤野 臼井 なずな 冨岡 奈津代 梶 正義 金原 洋治 広瀬 慎一
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.47-55, 2022-11-30 (Released:2022-12-26)
参考文献数
21
被引用文献数
2

本研究の目的は,場面緘黙(SM)児の発話行動を評価する日本版SMQ(SMQ-J)を作成し,その信頼性と妥当性を検討することである。4歳から12歳のSM児の養育者139人を対象に日本語に訳されたSMQ及びCBCL/4-18を実施した。原版SMQは3因子構造であるが,探索的因子分析の結果,4因子が抽出された。「社会場面」と「家族関連場面」の他は,原版の「学校場面」因子が「教師」と「同級生」に区別された。各下位尺度の信頼性が確認された。また,本研究のSM児と冨岡(2016)の統制群101人との比較から,SMQ-Jの判別的妥当性が示された。さらに,SMQ-JとCBCL/4-18との関連から弁別的妥当性は示されたが,SMの程度と不安の高さとの関連性は明確には示されなかった。本研究の結果から,SMQ-Jの信頼性と妥当性が概ね確認され,SM児の発話行動の評定ツールとしての有用性が示唆された。
著者
小河原 洋平 田浦 扶充子 島谷 幸宏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_355-I_360, 2018 (Released:2019-12-05)
参考文献数
13
被引用文献数
2 4

善福寺川上流域において,一つの合流式下水道の雨天時越流水(CSO)越流口の集水域を対象とし,グリーンインフラ(GI)を導入した場合のマンホール溢水量及びCSOの抑制効果を検証した.溢水量は2つの年超過確立1/100および極端豪雨として2017年7月に発生した九州北部豪雨の降雨波形を用い,CSOについては観測降雨による年間の降雨波形を用いた.GIは,戸建住宅では50%の樋と桝との連結を切り,前庭は雨水を浸透させる雨庭(浸透型植栽空間)にする.また,道路や学校,公園等でも透水性の舗装や緑地等による流出抑制を行う等の計画を行った.全対策を導入することで,(1)溢水量はどの降雨波形においても90%以上の抑制がみられ,(2)年間のCSO発生回数・発生量を大幅に削減できた.都市の洪水及びCSO対策として,GIの導入は非常に有効であることが明らかとなった.
著者
梶原 洋
出版者
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館
雑誌
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館年報 (ISSN:21862699)
巻号頁・発行日
no.12, pp.43-50, 2021-06-23

1933 年に伊東信雄により樺太で発見された2 領のアイヌ鎧は、主としてその構造が古墳時代の挂甲に類似していることから、平安初期(9 世紀)の所産と推定されていた。しかし、11 から12 世紀に生まれ、鎌倉時代以降に盛んに用いられた「腹巻鎧」との構造的な類似性をもつと推定される。そして、鎧自体の特徴は、北東アジアのチュクチ族などの前合わせ式鎧と共通していて、その伝統に倣った上で、日本式鎧の縄目縅、菱縫などの製作技法を取り入れて作られた可能性が高い。また、サハリンに残されたアイヌ鎧に見られる巴文が、南北朝以降の型式であり、新たに確認された松皮菱文は、武田氏に関連することから、15世紀に蠣崎氏(武田氏)を中心とした道南の和人勢力とアイヌ民族との間で繰り広げられた戦いとの強い関連も推定される。したがって、この鎧は、平安時代9 世紀の所産ではなく、室町時代の15 世紀頃に奥州以北などで製作され、サハリン(樺太)にまでもたらされたとの説明が最も有力となり、従来の年代感は訂正されなくてはならないだろう。
著者
菅原 洋一 SUGAWARA YOICHI
出版者
三重大学
巻号頁・発行日
2013-05-17

本研究は、明治期の銅版画による商家営業案内等の目録を整備し、これを主資料として、商家の活動形態、建築形態を把握し、情報伝達手段としての銅版画の特質を明らかにするものである。東北・四国の一部、沖縄を除く資料約100点の収集と目録作成、分析の結果、これらは①刊行時期が明治10~30年代の20年間ほどに限られる、②作成目的や表現方法が類似する、③全国各地域を対象とする刊行物がある、等の特色があり、明治期商家の実態を全国的な視野で把握できる学術資料として価値があることが明らかになった。 This study aims to clarify the actual conditions of merchants and their houses in the Meiji era by analyzing the merchants guide books illustrated with copper plate engravings. And at the same time, this study aims to clarify the characteristics of the copper plate engravings as the means of communication. By analyzing about 100 books all over Japan, it became clear. 1. They were published only in the Meiji 20s and the 30s all over Japan. 2. The purpose and the expression method of each documents are similar each other, and it is possible to institute comparison between them to grasp the actual conditions of the merchants and their houses. As conclusion, these documents are valuable as the academic resource to analyze the actual conditions of the merchants and their houses in the Meiji era.
著者
佐藤 達哉 望月 昭 滝野 功 松見 淳子 下山 晴彦 小林 亮 松原 洋子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

平成19年度は最終年度にあたるため、これまでのまとめを行った。日本心理学会第71回大会においてワークショップ「欧米諸国における臨床心理学資格の実際とその歴史」(2007年9月18日)を開催し、その記録を『ヒューマンサービスリサーチ』NO 10「心理学の歴史に学ぶ」として刊行した。このワークショップは欧米における臨床心理学関連の資格について英仏独米の現地調査に基づいた結果をもとに議論したものであり、企画趣旨は以下の通りである。「資格は学問と社会をつなぐメディア(媒介)の一つである。日本の臨床心理学関連資格のあり方を相対化して考えるためには歴史研究と比較研究が必要である。このワークショップでは企画者が日本の臨床心理学史を簡単に紹介した後、欧米のいくつかの国を例にとって臨床心理学の資格の内容や成立の過程や訓練のカリキュラムについて検討していく。イギリスについて下山が、ドイツについて小林が、フランスについて滝野が、それぞれの国における現地調査をふまえて報告を行う。これらの報告を受け松見が、アメリカの資格の状況もふまえて、文化的視点に配慮し討論を行う。各国の歴史的文化的な背景が資格制度の成立にどのように影響しているのか、資格付与機関のあり方は社会によって異なっているのか、費用は誰が負担するのか、資格は社会に対してどのような機能を持っているのか、などについて差異と共通点を考えていく」。公刊した論文の執筆者とタイトルは下記の通り。小林亮「ドイツにおける心理療法士-資格制度とその活動状況」下山晴彦「イギリスの臨床心理学の歴史-日本との比較を通して」滝野功久「独自な主張をするフランス臨床心理学の歩み」松見淳子「欧米諸国における臨床心理学資格の実際とその歴史」。
著者
笹原 洋二 土屋 滋
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.140-147, 2005 (Released:2005-06-30)
参考文献数
19
被引用文献数
2

Wiskott-Aldrich症候群(WAS)は,WASP遺伝子変異により発症するX染色体連鎖性原発性免疫不全症である.WASPは主に造血細胞に発現しており,様々な細胞刺激,特にT細胞受容体シグナル伝達系刺激に反応してアクチン細胞骨格系を司る分子であり,T細胞-抗原提示細胞間やNK細胞-標的細胞間の免疫学的シナプスに局在する分子である.近年のWASの基礎的,臨床的な研究の蓄積によって,WASPとその関連分子群,結合分子群や,細胞骨格系の制御,WAS患者での免疫不全の病態や臨床的予後の予測に果たす役割についてより深く理解されるようになってきた.特に,筆者らはWIP (WASP-interacting protein)がWASPの分子制御に重要な役割を果たすことを報告した.ここでは,これらの最近の知見を総説し,加えてWASに対する遺伝子治療の最近の基礎的研究の現況について概説する.
著者
本郷 研太 小山田 隆行 川添 良幸 安原 洋
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.799-803, 2005-10-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
33
被引用文献数
2

フント則の交換エネルギーによる解釈は誤りである.2電子系, 軽分子の低励起状態についてこの事実が指摘されて以来, 既に20年以上経つ.スピン最多重度状態の安定性は, 運動エネルギーはもちろん電子間斥力エネルギーをも増加させる代償として得られる原子核電子間引力エネルギーの低下に起因する.本稿は, 炭素, 窒素, 酸素原子の基底状態について同結論を拡散量子モンテカルロ法によって初めて検証し, 相関の役割を解析した.
著者
久田 信行 金原 洋治 梶 正義 角田 圭子 青木 路人
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.31-45, 2016-12-31 (Released:2016-12-31)
参考文献数
45
被引用文献数
6

わが国における,場面緘黙(選択性緘黙)の診断,治療,教育における捉え方について概観した。DSM-5から不安症群に移動したことで,場面緘黙の理解と成人例への注目が促進されるものと推察した。場面緘黙を多く診察しているK小児科の実践を基に,初診時の対応など重要な観点を示した。特に,発話以外の行動や動作に関連する諸症状について検討した。場面緘黙の出現率については,議論のあるところであるが,わが国で最近行われた大規模調査を紹介し,あわせて,学校での対応について述べた。その調査では,小学校段階で,男児0.11%,女児0.20%,全体で0.15%の出現率であった。最後に,国際保健機構(WHO)のICFと,そこから派生したWHODAS2.0を紹介し,場面緘黙の場合,生理レベルや個人レベルの問題もさることながら,社会参加のレベルの問題へ,当事者視点の研究も含めて接近していくことの重要性を論議した。
著者
江馬 眞 原 洋明 松本 真理子 広瀬 明彦 鎌田 栄一
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第34回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.5026, 2007 (Released:2007-06-23)

食品添加物として使われているpolysorbate 80 (PS80)のラットにおける発生神経毒性をOECD試験ガイドライン・ドラフトに準拠して実施した。ラットの妊娠0日から分娩後21日まで、0, 0.018, 0.13, 1.0または7.5%のPS80 (0, 0.04, 0.25, 1.86, or 16.78 ml/kg bw/day)を含む飲水を自由摂取させた。妊娠ラットは自然分娩させ、児は21日に離乳させた。妊娠中及び授乳中の母ラットの体重は7.5%投与群で有意に低かった。繁殖指標へのPS80投与に関連した影響は認められなかった。児の生後14-15日、 17-18日、 20-21日、 33-37日及び60-66日の20時、2時、8時及び14時に測定した自発運動量にはPS80投与の影響はみられなかった。耳介開展、毛生及び切歯萌出等の発育指標、性成熟、正向反射、負の走地性、瞳孔反射、耳介反射、疼痛反応、空中正向反射にはPS80投与の影響は観察されなかった。条件回避反応については、生後23-27日の検査において7.5%投与群の雌雄の児で回避反応率の低下がみられたが、生後60-67日の検査ではいずれのPS80投与群にも投与の影響は認められなかった。離乳前及び離乳後の児体重は7.5%投与群の雌雄で対照群に比べて有意に低かった。生後22日及び70日の雌雄の児の主要器官重量にPS80投与の影響はみられず、脳、脊髄及び座骨神経の病理組織学的所見にもPS80投与の影響は観察されなかった。以上の結果から、ラットの妊娠中及び授乳中にPS80を含む飲水を与えたとき、母体及び児の体重低下を引き起こす7.5%投与群において一過性の条件回避反応率の低下が惹起されることが明らかになった。本実験におけるNOAELは1.0% (1.86 ml/kg bw/day)と考えられた。
著者
常磐 肇 三浦 不二夫 桑原 洋助 脇本 康夫 鶴田 正彦
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.11-24, 1996-06-30
参考文献数
25
被引用文献数
23

臨床歯学にとって顎口腔機能を評価することは形態学的検査と並んで必須事項になりつつある.これまで顎口腔機能に関する研究は節電図, あるいは顎運動といった単独の分野では発達があったものの, これらを総合的に解析し臨床に応用するための検査システムは必ずしも満足するものがないのが現状である.そこで我々は, 顎口腔機能診断を目的とした本学独自の汎用型顎口腔機能総合解析システムを開発した.これはステレオ画像法を応用した画像処理システムを用い, LEDをCCDカメラで捉えることによる非接触式3次元6自由度顎運動記録装置と多チャンネルアナログ信号同時記録システムおよび各アナログ信号センサーユニットから構成されている.本システムは以下に示すような特徴を有している.(1)本システムは顎運動, 節電図, 咬合音, 顎間接雑音など顎口腔機能に関連する諸現象を同時記録することが容易に行える上, 被験者に対する負担軽減に配慮した結果, 可及的に生理的条件下での測定が行える.(2)本システムの顎運動記録装置の測定精度は±0.15mmと十分な顎運動記録が行える.また任意点指示機能により, これまで煩雑であった操作を解消し, 容易に下顎骨内の任意の点の運動状態についての記録が行える.以上のことから本システムは顎口腔機能に関する諸現象を簡易にかつ的確に捉え, 顎口腔機能診断を行うための有効な検査機器になるものと考えられる.
著者
札野 順 飯野 弘之 山本 凉市 堀 幸夫 松原 洋 LUEGENBIEHL Heinz 西村 秀雄 HEINZ Luegenbiehl CLARK Scott
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.高等教育や企業などの違いを越えて、倫理教育・研修を行う上で、Plan-do-check-actといういわゆるPDCAサイクルを持った「価値共有プログラム」という概念が有効であることを提案した。2.「Ethics across the Curriculum(以下EAC)」、すなわち、カリキュラムを通して行う科学技術倫理教育の可能性に関して総合的な検討を行ない、1)金沢工業大学が平成16年度から実践するカリキュラムの具体的内容、2)EACの歴史、理論、応用、評価、3)倫理教育を専門科目と統合する方法とその問題点、4)技術者教育と人文科学を再統合する試み、6)大学全体での倫理に関する測定と評価を行う方法、8)倫理的ジレンマ解決能力の測定と評価の方法、などに関する具体的な成果を挙げた。3.原子力産業に関連する企業、研究組織などを中心に、技術者や研究者が持つ「価値」群を明確化するためのアンケート調査を実施した結果、学協会が示す価値群と優先順位などについて差があることがわかった。4.実効性のある企業倫理プログラムに不可欠な要素(倫理綱領、トップのコミットメント、教育・研修、ヘルプラインなど)を抽出した。5.技術倫理教育のための教材を開発し、教科書および視聴覚教材を作成した。(平成16年度開講の放送大学科目「技術者倫理」)6.科学技術倫理プログラムを構築する上で、今後、最大の課題となるのは、プログラムの実効性を測定する手法であることを確認し、具体的なツールとして、学習者のベスト・ワーク登録するe-portfolioや倫理的価値判断能力を測定するための手法ethics rubricなどの有効性について検討した。7.今後、科学技術倫理を国際的・学際的に研究するための組織、Ethics Crossroads Centerの基本構想を練り上げた。
著者
半谷 吾郎 好廣 眞一 YANG Danhe WONG Christopher Chai Thiam 岡 桃子 楊木 萌 佐藤 侑太郎 大坪 卓 櫻井 貴之 川田 美風 F. FAHRI SIWAN Elangkumaran Sagtia HAVERCAMP Kristin 余田 修助 GU Ningxin LOKHANDWALA Seema Sheesh 中野 勝光 瀧 雄渡 七五三木 環 本郷 峻 澤田 晶子 本田 剛章 栗原 洋介
出版者
一般社団法人 日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
pp.36.014, (Released:2020-11-30)
参考文献数
23

We studied the island-wide distribution of wild Japanese macaques in Yakushima (Macaca fuscata yakui) in May 2017 and 2018. We walked 165.4 km along roads and recorded the location of 842 macaque feces. We divided the roads into segments 50 m in length (N=3308) and analyzed the effect of the areas of farms and villages or conifer plantations around the segments and also the presence of hunting for pest control on the presence or absence of feces. We divided the island into three areas based on population trend changes over the past two decades: north and east (hunting present, population decreasing); south (hunting present, no change) and west (hunting absent, no change). According to conditional autoregressive models incorporating spatial autocorrelation, only farms and villages affected the presence of feces negatively in the island-wide data set. The effect of hunting on the presence of feces was present only in the north and east and the effect of conifer plantations was present only in the west. Qualitative comparisons of the census records from the 1990s with the more recent census indicated that feces were no longer found in the private land near the northern villages of Yakushima, where macaques were previously often detected in the 1990s. In other areas, such as near the southern villages or in the highlands, macaques were detected both in the 1990s and in 2017-2018. Our results further strengthen the possibility that the macaques have largely disappeared around the villages in the northern and eastern areas. Since the damage of crops by macaques has recently reduced considerably, we recommend reducing hunting pressure in the north and east areas and putting more effort into alternative measures such as the use of electric fences.