- 著者
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久田 信行
金原 洋治
梶 正義
角田 圭子
青木 路人
- 出版者
- 日本不安症学会
- 雑誌
- 不安症研究 (ISSN:21887578)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.1, pp.31-45, 2016-12-31 (Released:2016-12-31)
- 参考文献数
- 45
- 被引用文献数
-
6
わが国における,場面緘黙(選択性緘黙)の診断,治療,教育における捉え方について概観した。DSM-5から不安症群に移動したことで,場面緘黙の理解と成人例への注目が促進されるものと推察した。場面緘黙を多く診察しているK小児科の実践を基に,初診時の対応など重要な観点を示した。特に,発話以外の行動や動作に関連する諸症状について検討した。場面緘黙の出現率については,議論のあるところであるが,わが国で最近行われた大規模調査を紹介し,あわせて,学校での対応について述べた。その調査では,小学校段階で,男児0.11%,女児0.20%,全体で0.15%の出現率であった。最後に,国際保健機構(WHO)のICFと,そこから派生したWHODAS2.0を紹介し,場面緘黙の場合,生理レベルや個人レベルの問題もさることながら,社会参加のレベルの問題へ,当事者視点の研究も含めて接近していくことの重要性を論議した。