著者
久保 雅義 小林 英一 林 美鶴 原田 賢治 辻 啓介
出版者
大島商船高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、津波が沿岸・港湾域に来襲したときの船舶の被害を最小限にとどめる対応方策を検討することを目的として実施した。まずAIS(船舶自動識別装置)データの活用により、実際の航行および在港船舶の実態が把握でき、津波来襲時に船舶がとるべき行動解析のための基礎データが収集できた。次に今回開発した多数船舶が同時に避難行動をとる場合の挙動シミュレーション手法により、このAISデータをベースとして船舶避難シミュレーションを実施した結果、備讃瀬戸海域では今回想定した避難水域へ船舶が安全に避難できることが分かった。またLNG船について、津波来襲時の避難挙動の解析をシミュレーション計算により実施した結果、接岸場所よりある程度離れた場所で津波発生を認知した場合には、概ね安全に津波から逃れることができることが分かった。一方で入船係船状態からの港外避難では、途中で津波と遭遇する可能性も示唆されたが、出船係船とすることにより安全に避難できることを示した。さらに津波来襲時に係留中のLNGがその係留状態のままやりすごす状態について検討を行った。この計算を実施するに先立ち、係留状態の把握・検証用データ取得のため係留LNGについて現地実験を実施した。計測された係留張力や船体動揺のデータを計算結果と比較することにより、今回使用する係留シミュレーション手法の妥当性を検証するとともに、実係留状態での津波来襲時の挙動解析を行い安全性の検証を行った。また今回複数船舶が相互に係留された状態で津波来襲を受ける場合の挙動解析コードを開発した。これを用いた解析ではシンカー係留では係留索張力が課題となり安全使用荷重を超える懸念があるものの、たとえばアンカー係留に変更することなどにより係留索破断を避けることができることも分かった。今回開発した津波来襲時の船舶挙動解析手法群は、様々な状態での津波来襲時の挙動を解析でき、この結果を活用して津波対策指針策定につなげることができることが分かった。
著者
中島 謙一 原田 幸明 井島 清 長坂 徹也
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会誌 (ISSN:18802761)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.152-158, 2006 (Released:2007-08-21)
参考文献数
11
被引用文献数
13 20

TMR (Total materials requirement), which refers to the total amount of overburden and rock, were estimated as a fundamental data in this study. 10 kinds of TMR of energy resource and power generation and 62 kinds of TMR of industrial material were approximately estimated based on LCI data. Moreover, a recycle flow analysis based on TMR was proposed. From a result of a study on ELV (End-of-Life Vehicle) recycle flow, followings were shown. 1) A dismantling process which is a pretreatment process for shredding was main process for ELV recycle. Most of Metals, which have large amount of TMR, were collected in the dismantling process. 2) Copper is main component of ASR (Automobile Shredder Residue).
著者
野口 定久 埋橋 孝文 後藤 澄江 原田 正樹 武川 正吾 牧里 毎治 大橋 謙策 杉岡 直人 井岡 勉 上野谷 加代子 宮城 孝 和気 康太 金 成垣 沈 潔 金 貞任 韓 榮芝 包 敏 徐 明?
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

包摂型福祉社会の推進をリードする地域福祉専門職養成の方法論を共有化し、各国・地域(メゾ)レベルにおいて両側面の好循環システムを構築することであった。ソーシャルキャピタルの概念を用い、日本・韓国・台湾における地域福祉拠点型及びコミュニティ型の調査を実施した。基礎的作業として「日中韓台における社会保障・社会福祉の制度比較研究」一覧表の改定版を作成し、さらにこれまでの研究成果を6本の報告書にまとめた。
著者
原田 基弘
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.131, pp.23-26, 1987
著者
原田 基弘
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.131, pp.4-22, 1987
著者
吉本 富士市 原田 利宣 高木 佐恵子 岩崎 慶
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

描画の素人にとって,高品質な絵を描くことは容易ではない.コンピュータの支援により,素人が高品質な作品を容易に製作できれば,多くの人にとって福音となる.しかし,絵の一般的な評価基準を作り,それに基づいて素人の絵を評価・修正することは極めてむずかしい.そこで本研究では描画の初心者が,コンピュータを用いて心地よい手描き風曲線を生成するための支援システムと,それらの周辺の研究を行った.その成果の要点は以下のとおりである.まず,手描き風曲線の形とともに太さを玄人風に表現する,手描き風曲線の生成支援システムを研究した.手描き曲線の輪郭線の骨格から手描きの概形的特徴をフラクタル次元と曲率の符号変化数で抽出する.骨格線から輪郭線の縁までの距離をフーリエ変換して,そのスペクトルの高周波領域から太さの特徴を抽出する.それらについて,素人の特徴を玄人の特徴に近づけることにより,高品質な手描き風曲線を生成する.プロトタイプシステムを開発して評価実験を行った.その結果,玄人が描いた手描き曲線の特徴を用いて,素人が描いたぎこちない手描き曲線の概形的特徴を残しつつ,高品質な手描き風曲線を生成できることがわかった.また,周辺研究として以下の研究を行った.1.モバイル環境で素人が手軽に美しいイラストを作成するシステムを開発した.2.曲率半径と周波数分析を用いた人形の顔を構成する曲線の特徴解析3.VRシステムを用いた自動車コンフィギュレーション印象評価4.日本刀の曲線の性質を解析し,どのような共通点があるかを調べた.5.カーナビの情報デザインを構成する要素とユーザが持つ印象との関係を明確化した.
著者
池田 智子 鈴木 康江 前田 隆子 原田 省
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.129-138, 2011-04
被引用文献数
1

本研究の目的は,(1)高校生における月経痛と関連する因子の実態調査,ならびに(2)リラクセーション法による月経痛の軽減効果を検討することである。実態調査は,高校生1,339名を対象に無記名自記式質問紙法で実施した(有効回答953名)。その結果,月経痛がある者は865名(90.8%)で,日常生活に影響があるとした者は448名(51.8%)であった。月経痛に関連する因子として,睡眠状態の不良(オッズ比:1.43,95%Cl:1.06〜1.92),生活上のストレス感(オッズ比:1.42,95%Cl:1.06〜1.90),冷えの自覚(オッズ比:1.84,95%Cl:1.40〜2.41)などが見出された。そこでストレス感と睡眠に着目し,呼吸法とアロママッサージ併用によるリラクセーション法の月経痛軽減への効果を検討した。月経痛のある高校生で研究協力の得られた者を無作為に介入群(16名)と対照群(16名)に割り付け,介入群にはリラクセーション法を実施した。介入群では,対照群に比べ月経1日目,2日目の月経痛は有意に軽減し(P<0.05),日常生活への影響は2日目で有意に減少した(P<0.05)。POMSの緊張-不安が有意に低下した(P<0.05)。リラクセーション法の実践により月経痛の軽減効果が示され,有効な対処法として活用できると考えられた。
著者
佐藤 祐一 市田 隆文 原田 武 伊藤 信市 朝倉 均 加藤 仁 橋倉 泰彦 池上 俊彦 川崎 誠治 松波 英寿 幕内 雅敏
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.684-689, 1997-11-25
被引用文献数
2

症例は52歳の成人女性で, 1984年に皮膚掻痒感で発症し, Scheuer I期の原発性胆汁性肝硬変 (PBC) と診断され, 外来で経過観察されていた. 1992年頃より黄疸が出現し, 1993年3月に当科入院したが, 黄疸の高度進行, 腹水の増加, 肝性脳症の悪化, 肝腎症候群を認め, 血漿交換を含めた内科的治療も奏功しなかった. そこで本人と家族が肝移植を強く希望したため, 正式にインフォームド・コンセントを得て, 1993年10月20日信州大学第1外科へ移送し, 同年11月2日, 長男 (25歳) をドナー (グラフト肝重量402g) とする成人間生体部分肝移植を施行した. その後, 原病の再発とも思われる組織像と, 抗糸粒体抗体, 抗PDH抗体, IgM, ALPの上昇を認めた. 術後約3年半を経た現在, 上述のように血清学的には原疾患の再発が示唆されるが, QOLはよく, 日常生活に支障は生じていない. 一方, ドナーである長男も結婚し, 普通と全く変わらない生活を送っている. 以上PBCに対する治療として, 生体肝移植は我が国で選択されうるべき治療法の一つであり, 今後その推進に力を注ぐ必要があると思われた.
著者
小村 健 鈴木 晴彦 竹内 洋介 原田 浩之 前田 顕之 嶋田 文之
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頚部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.49-54, 2001-03-25
被引用文献数
3 1

舌全摘出例の中には術後の誤嚥を防止するために喉頭全摘出術を併施せざるをえない症例がある。今回, 舌全摘出例における喉頭保存の限界について舌周囲の合併切除範囲との関係から検討した。<br>舌全摘出例における喉頭保存の条件としては, 心肺機能が良好で, 喉頭保存に対するモチベーションが高いことに加え, 上喉頭神経が温存され, 下顎骨の連続性が確保あるいは再獲得され, 中咽頭切除が一側壁までに限局することが挙げられた。また喉頭保存例では喉頭挙上術, 喉頭形成術, 輪状咽頭筋切断術等の誤嚥防止策が有効であるが, 甲状舌骨筋神経の温存は喉頭挙上術を補完する上からも重要と考えられた。
著者
小村 健 原田 浩之 前田 顕之
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.391-395, 2000-12-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
7
被引用文献数
3 3

顎関節部の悪性腫瘍は極めてまれであり, 顎関節に原発するもの, 周囲組織に発生し顎関節に進展するもの, および顎関節に転移するものに大別される。症状は他の顎関節疾患に類似しているが, 進行は急速である。診断には詳細な病歴聴取, 視診, 触診, CT, MRI, 99mTcや67Gaシンチなどの画像診断が必須であり, 確定診断には生検ないし細胞診を必要とする。その中で超音波ガイド下穿刺吸引細胞診は有用である。治療は, 原発性腫瘍では拡大手術が第一選択となり, 経耳下腺的アプローチが有用である。進展性や転移性腫瘍では原発腫瘍の状況により放射線治療, 化学療法あるいは手術を選択し, 転移性腫瘍でもQOLの向上のための手術を検討すべきである。
著者
小村 健 原田 浩之 島本 裕彰 竹内 洋介 林崎 勝武
雑誌
頭頚部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.34-40, 2003-03-25
被引用文献数
2
著者
小村 健 原田 浩之 島本 裕彰
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.61-68, 2010-06-15 (Released:2011-10-20)
参考文献数
17
被引用文献数
3 4

現在,下顎再建には金属プレート,遊離骨,有茎の骨筋皮弁,血管柄付き骨皮弁が用いられている。こうした中,血管柄付き骨皮弁は成功率が高いこと,骨量に制限がないこと,理想的な形態付与が可能である等,多くの利点を有している。1995年3月から2006年4月の間に遊離血管柄付き骨により下顎再建を施行した57例,59再建について検討した。下顎骨切除に至った原疾患は悪性腫瘍44例,良性腫瘍10例,放射線性下顎骨壊死3例で,Boyd分類による下顎骨欠損はL型が74.6%,軟組織欠損はm型が81.4%と多くを占めた。59再建中,58再建は即時再建であり,1再建のみが二次再建であった。骨皮弁は欠損部の形状と患者の要望とから選択し,16腓骨皮弁,43肩甲骨皮弁を用いた。下顎骨形態付与のために14骨弁に1部位の骨切り,3骨弁に2部位の骨切りを加えた。16腓骨皮弁再建例では,13骨皮弁は生着したが,2皮弁は部分壊死,1皮弁は全壊死を来した。一方,43肩甲骨皮弁再建例では,41骨皮弁が生着し,2骨皮弁が部分壊死を来した。術後の平均開口量は4.1cm,インプラント・義歯装着率は31.6%,常食摂取率は68.4%,顔貌満足率は85.4%であった。以上の結果から,下顎再建には血管柄付き骨が第一選択になるものと判断された。