著者
生田 久美子 北村 勝朗 前川 幸子 原田 千鶴 齊藤 茂
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は,スポーツ・看護・芸能領域の伝承場面における修辞的な言語(わざ言語)の分析を通して,「わざ」の伝承における「わざ言語」の意義を問い直し,学びの可能性を考究することにある。実際に卓越的技能の指導現場に触れている「わざ言語」実践者を対象とし,「わざ言語」が生起する文脈や役割の分析が行われた。本研究の成果として,行為の発現を促す役割,身体感覚の共有の役割,及び到達した状態の感覚へといざなう役割,を確認した点があげられる。
著者
船田 龍平 Baykas Tuncer Sum Chin-Sean Wang Junyi Lei Ming Rahman Azizur 木村 亮太 西口 嘉紀 荘司 洋三 原田 博司 加藤 修三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.518, pp.103-108, 2008-02-27
被引用文献数
1

マルチギガビット伝送を可能とする60GHz帯のミリ波PANシステムにおける主要なアプリケーションの一つとして,HDMI伝送等の数Gbpsの帯域を必要とするビデオストリーミングが有望視されている.このような高速かつ高品位な通信を行うためのフレーム設計においては,従来の無線LANのようなフレーム設計とは異なる手法が要求される.本稿では,高速且つ高品位な通信に適したミリ波WPAN用のフレームの設計手法を提案する.提案手法により,プリアンブル,ヘッダの誤りに起因したブロックノイズ,もしくはストリーミングの瞬断という問題に対処するため,60GHz帯WPANに求められる諸要件を考慮しつつ,プリアンブル,及びフレームヘッダをペイロードと同程度の簡易なアーキテクチャで,且つペイロード以上の良好な特性を有するように設計が行われる.また提案手法を用いて構築されたBeaconing・Signaling用の制御フレームと,データ通信用のフレームのフレーム構成にっいて述べ,特性評価を行うことにより提案フレーム構成の妥当性を確認している.
著者
原田 利宣
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

A)曲線(面),面構造に関する研究今日,ゲームやアニメ作品等で存在する2次元キャラクターを3次元CGや立体造形(フィギュアと呼ぶ)する傾向にある.人の顔を立体造形する技術の需要は増加傾向にあるが,その造形様式は漠然と存在している.そこで本研究では人の顔を表した造形物の中より日本人形,フィギュアおよびリカちゃん人形に着目し,これらを事例として取り上げ,3次元モデルと2次元画像の輪郭線の関係性を調査と事例に基づくキャラクターデザイン支援システムの作成を目的とした.まず,人形の顔の造形にはどのような相違があり,またどのように人の顔を抽象化しているかを明らかにした.次に,日本人形と浮世絵,フィギュアと2次元アニメキャラクターの顔の輪郭線の関係性を調査した.さらに,得られた人形の特徴を用いて,ある任意の人の顔の特徴を付加した人形の顔の断面線を出力するデザイン支援システムを作成した.B)システムの推論部に関する研究自動車の印象に対して,その設計において最も重要である最適なコンフィギュレーション項目を抽出する逆問題を解くことは,従来からいくつかの研究において行われてきた.このような感性に関する問題を扱うためには非線形問題を解く必要がある.しかし,非線形問題を扱うことができるラフ集合を用いた研究例は少ない.そこで,本研究ではこの逆問題を解くための手法としてラフ集合を適用した.また,本研究ではラフ集合を使用することにより非線形最適解の特徴の明確化と,実験計画法による線形最適解と非線形最適解の比較を目的とした.具体的には,C.I.値の高い決定ルール条件部と実験計画法による主効果の値の高い属性値を比較した.さらに,両方の解の特徴を考察し,それぞれの特徴を明らかにすることができた.最後に,両方の最適解の視覚化によりデザイン支援を行うシステムを開発した.
著者
曽根 敏雄 原田 鉱一郎 岩花 剛 森 淳子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

パルサは永久凍土の丘状の地形で、日本では大雪山だけにその存在が知られている。これまで大雪山のパルサには変化が生じていると考えられてきたが、基本的な情報が不足していた。そこでパルサの分布状態を記載し、地温観測、電気探査法による永久凍土核の推定を行った。その結果、2010年に生じた急激なパルサの分布面積の減少を捉えることができた。また永久凍土の温度が高いことが判った。大雪山の高山帯の気温変化を復元した結果、現在パルサの大部分が残存しているものであると考えられた。
著者
米田 文孝 中谷 伸生 長谷 洋一 木庭 元晴 原田 正俊
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

従来, インド国内の石窟寺院の造営時期は前期石窟と後期石窟とに明確に区分され, その間に造営中断期を設定して論説されてきました。しかし, 本研究で造営中断期に塔院(礼拝堂)と僧院を同一窟内に造営する事例を確認し, 5世紀以降の後期石窟で主流となる先駆的形態の出現確認と, その結果として造営中断期の設定自体の再検討という, 重要な成果を獲得しました。あわせて, 看過されていた中小石窟の現状報告が保存・修復の必要性を提起し, 保存修復や復元事業の契機になることも期待できます。
著者
原田 真由美
出版者
日本新生児看護学会
雑誌
日本新生児看護学会誌 (ISSN:13439111)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.20-31, 2001-03

本研究は,極低出生体重児を出産した母親の愛着の形成過程を明らかにし,それに関連する要因を検討し,母親の愛着を促進させる看護援助を考えることを目的とした.在胎週数26w~35w,体重886g、1484gで出生した極低出生体重児5名の母親に対して,子どもとの初回,2回目,3回目の面会,以降1週間毎に退院時までの期間で,面会場面を観察し,その後にMullerにより開発されたThe Maternal Attachment Inventory(1994)を参考にして作成した愛着感情質問票と関連要因に関する質問紙調査を行なった.加えてSTAIによる不安の調査と半構成面接を実施し,以下の結論を得た.1.母親の愛着の情動面は初期から比較的高く.望んだ出産であったことが関連していると考えられた.さらに面会の中で子どもの反応に感動したことや,夫や看護者などから得た心理的サポートにより危機的心理状態が立ち直っていったことなどが関連して早期に上昇した.2.母親の愛着の母親役割の認識面は情動面より低く,変動しやすかった.特に子どもの反応の認知が低かった.関連する主な要因としては,子どもの反応への感軌母乳,育児行動の実施があった.3.早期より育児行動にかかわった母親は,不安や母子分離感が軽減し,満足して退院を迎えていた.ただし早期に育児行動を促す時は,未熟な子どもの反応の読み取り方と対応に関する教育が不可欠であった.4.家族,特に夫からのサポートや第一子の状態が母親の精神状態の安定に影響して,愛着形成に間接的にかかわっていた.5.以上より,子どもの反応に感動できる機会や,早期の面会と育児行動の保証,母乳への援助,家族関係の調整などを通して主に母親役割の認識面を促す看護援助が重要であることが示唆された.The purposes of this study were: a ) to clarify the maternal attachment process in mothers of the very low birth weight infant, b) to clarify the influence factors for the process, and C) to examine the nursing interventions to promote the maternal attachment process.The subjects were the mothers of five very low birth weight infants who were born between the 26weeks and the 35weeks of gestational age and between 886g and 1484g birth weight. The data were collected in the first, second and third visit to their babies and also every other week till the baby's discharge. The data was included the maternal Attachment questionnaire that was made from MAI (Maternal Attachment Inventory, Muller 1994), the questionnaire of relational factors, STAI (State-Trait Anxiety Inventory), and the interview.Results were as follows;1 . Emotional aspects of maternal attachment were high point, because a l l mothers hoped to give birth. Ascending factors were the baby's reactions and the her crisis reduction through the support from her husband and the nurses.2 . Aspects of maternal roll cognition were lower than the emotional aspects, and easily changed. Especially the cognition of baby's reaction was low. Ascending factors were the deep impression to the baby's reaction, breastfeeding, and the caring of her baby.3 . The mother that took care of her baby from an early stage decreased her anxiety, and she was satisfied with baby's hospitalization. But, when nurses make the mother takes care of very premature baby, the nurses have to teach the premature baby's reactions and the ways to cope with them.4 . The support from her husband and the condition of the elder child had indirect influence on the maternal attachment.5. Nursing interventions to promote maternal attachment were : a) the assurance of chances t h a t mothers can be impressed by her baby's reactions, b) the assurance of early visits and taking care of her baby, c) the support for the breastfeeding, d) the adjustment of the relationship in their family members. The aspects of maternal roll cognition were promoted mainly through these nursing interventions, which are very important.
著者
森 清文 原田 昭夫 露重 美義
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.73, pp.41-43, 2007-05-15

暖地加工用バレイショの収量性,デンプン価向上を達成するための栽培要因解析を行った結果,以下のことが明らかとなった.1.収量性の向上には,施肥窒素量,種いも1個重の効果が認められ,施肥量がN:1.5kg/a,種いも1個重40g使用で増収する.2.デンプン価は,マルチの色,種いも1個重,株間,施肥量のいずれの要因効果は認められず,生育期間と植付期についてのみ要因効果が認められた.3.デンプン価は,植付けを2月1日までに行い,5月中句の収穫によって低下を防ぐことができる.
著者
原田 大介
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.67-74, 2010-09-30

The purpose of this paper is to point out the new directionality of research on Japanese language education while assessing and confirming the problems inherent therein from the viewpoint of special needs education. The method adopts the following three measures: (1) assessing the present conditions in the special needs education from the viewpoint of developmental disabilities, special educational needs, and inclusion, (2) confirming the problems in Japanese language education based on (1), and (3) pointing out the new directionality of research on Japanese language education based on (1) and (2).
著者
原田 慈久
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

低温域の水の電子状態を軟X線発光分光を用いて観測し、水素結合の切断に相当するピークが氷の領域でも一部残り、これが内殻正孔ダイナミクスによるものである可能性を示した。一方、アセトニトリル-水混合系においては、低温域で水混合のミクロ不均一性が増大しても電子状態の変化は小さく、ゆらぎのサイズは軟X線発光で電子状態変化を捉える領域に比べて十分大きいことが示唆された。
著者
原田 保
出版者
Japan Management Diagnosis Association
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18834930)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.3-14, 2007

昨今,流通業の競争戦略は熾烈であるが,それでも次から次へと新たな覇権企業が立ち現われてきた。そうなると,最初は辺境から生まれた,まさに取るに足らないような企業がいかにして短期間で業界のヘゲモニーを確立できるのか,という疑問が湧いてくる。そして,これに応えるべき解が本稿で示される「コンテクスト・ドリブン・ビジネスモデル」に見出される,ということが著者の主張である。 なお,著者はかねがねビジネスモデルとはコンテンツ(提供内容)とコンテクスト(提供方法)からなるものと考えているが,後者のコンテクストとはコンテンツが保持する潜在的価値を顕在化するための,あるいは価値を増大するための装置である,ということにその戦略性が見出されるのである。このある種の装置としてのコンテクストの優位性によって成功した企業が,すなわち,そのポジションを「辺境」から「中心」に転換した代表例が「ファースト・リテイリング」「良品計画」「デル」「吉野家」「ディズニーランド(拠点名)」である,と考えることができる。
著者
原田 淳 宇佐美 繁 野見山 敏雄 谷口 吉光 久野 秀二 中島 紀一 大木 茂 細川 允史 原田 淳
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では対象とした事例はいずれもWTO体制下にあっても確実な成長を実現してきた産直産地組織と総称される農家グループである。その特徴は、新政策がサブ戦略として打ち出した環境保全型農業を早い時期から経営の基本戦略に位置づけ、主として生協との産直という形で、卸売市場への無条件委託販売ではなく、産地組織自身の手で消費をつかみ、継続的な事業システムを構築してきたという点にあった。産直産地組織は環境と安全性重視の農業生産体制の確立と戦略的マーケティングによる農産物販売を機軸とした農家の連合組織であり、法人形態としては農事組合法人、有限会社、株式会社、系統農協、法人格のない任意組織などさまざまである。既存の農業組織のなかでは組織形態や活動内容は農協に類似している。本来ならば系統農協が果たすことを期待された諸機能を、現実には多くの農協が果たし得ていないなかで、意志のある生産者たちが自ら農協類似の組織を作り上げ、時代を生き抜く道を拓いてきたと理解できる。マーケティングを軸とした戦略的経営についてのこれまでの議論は個別経営に視点をあてたものが多かったが、本報告の事例は意志のある農家によるグループとしての組織的な経営展開である。環境・安全など新時代農業のポリシーが確立されているという点、先端的マーケティングを展開する活力ある集団的経営構造が構築されているという点、地域における幅広い農家の結集などの諸点に際だった特色があり、個別経営主義に傾斜しがちだった戦略的経営論と農業を面として集団として捉えようとする地域農業論・産地形成論との断絶を埋める方向としても注目すべき取り組みである。
著者
中村 生雄 岡部 隆志 佐藤 宏之 原田 信男 三浦 佑之 六車 由実 田口 洋美 松井 章 永松 敦
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、日本および隣接東アジア地域の狩猟民俗と動物供犠の幅広い事例収集を通じて、西洋近代率会において形成された「供犠」概念の相対化と批判的克服を行ない、東アジアにおける人と自然の対抗・親和の諸関係を明らかにすることを目的とした。言うまでもなく、狩猟と供犠は人が自然にたいして行なう暴力的な介入とその儀礼的な代償行為として人類史に普遍的であるが、その発現形態は環境・生業・宗教の相違にしたがって各様であり、今回はその課題を、北海道の擦文・オホーツク・アイヌ各文化における自然利用の考察、飛騨地方の熊猟の事例研究、沖縄におけるシマクサラシやハマエーグトゥといった動物供犠儀礼の実地調査などのほか、東アジアでの関連諸事例として、台湾・プユマ(卑南)族のハラアバカイ行事(邪気を払う行事)と猿刺し祭、中国雲南省弥勒県イ族の火祭の調査をとおして追求した。その結果明らかになったことは、日本本土においては古代の「供犠の文化」が急速に抑圧されて「供養の文化」に置き換わっていったのにたいして、沖縄および東アジアの諸地域においては一連の祭祀や儀礼のなかに「供犠の文化」の要素と「供養の文化」の要素とが並存したり融合して存在する事例が一般的であることであった。そして後者の理由としては、東アジアにおけるdomesticationのプロセスが西南アジアのそれに比して不徹底であったという事実に加え、成立宗教である仏教・儒教の死者祭祀儀礼や祖先観念が東アジアでは地域ごとに一様でない影響を及ぼし、そのため自己完結的な霊魂観や死後イメージが形成されにくかった点が明らかになった。またく狩猟民俗と動物供犠とに共通する「殺し」と「血」の倫理学的・象徴論的な解明、さらには、人間と自然とが出会うとき不可避的に出現する「暴力」の多面的な検証が不可欠であることが改めて確認された。
著者
原田 和典 大宮 喜文 松山 賢 鈴木 圭一 土橋 常登 長岡 勉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

建築物の性能的火災安全設計を行うためには、「設計火源(設計用入力火災)」を設定することから始まる。しかし、建築物内の可燃物の燃焼は、種々の要因により大きなばらつきがあって、告示式で与えられるように一義的なものではない。設計火源は、どのような可燃物を建築設計上考慮すべきか(用途区分別の特性的可燃物配置)という建築計画学としての整理を行った上で、特定された可燃物の燃焼性状を工学的にモデル化することが必要である。本研究においては、建築空間内に存在する可燃物の代表寸法と可燃物間の配置、壁面や柱等の建築要素との位置関係に注目して、建物用途、室用途の組み合わせ毎に、典型的な可燃物の配置パターンを作成すべきことを提案し、例題として事務所の廊下、教育施設の玄関ロビー、鉄道駅などの配置パターンを抽出してモデル化を行った。また、可燃物の燃焼性状に関しては、既往の文献資料を整理して、可燃物の一般的呼称毎に発熱速度曲線を集積して統計処理を行った結果、椅子、ソファ、クリスマスツリーなどの設計火源を提案した。これらを用いて、鉄道駅のプラットホーム構造物の耐火設計ケーススタディを行い、調査結果に基づき可燃物を想定し、燃焼性状の予測を行う標準的方法を提案すると同時に、現時点での知見で不足している点を指摘した。以上の成果は、(社)日本建築学会・防火委員会・火災安全設計小委員会の傘下に設置された「局所火災に対する耐火設計ワーキンググループ」との連携の下に行われ、シンポジウムを開催して成果を公表するとともに、建築設計者の意見を収集した。
著者
原田 慶恵 谷 知巳 三木 俊明
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

切断された神経軸索は神経成長因子(NGF)存在下で再生することが知られている。我々はこれまでに蛍光色素Cy3で標識したNGFを1分子イメージングする技術を使って、成長円錐におけるNGFの受容と成長円錐の運動反応の連関や、NGFと受容体の複合体形成に引き続く細胞内への取り込みの過程を、NGF1分子単位の精度で明らかにしてきた。そこで、本年度は神経軸索の再生過程とNGFの受容、取り込みの関係を調べる実験を開始した。ニワトリ7日胚から脊髄後根神経節を取り出し、ポリリジンコーティングしたカバーガラス上で2pMのNGFを加えて一晩培養した。神経節から多くの神経軸索が伸長する。カバーガラスで作製したガラスナイフでこの神経軸索を一気に数十本切断し、微分干渉顕微鏡で神経軸索の再生を観察した。神経軸索の再生には、NGFの添加が必須であることやRNA合成阻害剤の添加によって再生が阻害されることなどを確認した。次に微小ガラス針を使って神経軸索を一本ずつ切断し詳しく観察した。観察の結果、再生までの過程は切断後30分以内に神経軸索の切断部先端に小さな塊ができ、そこから成長円錐が再生した後に神経軸索の再生、伸長がおこっていることがわかった。神経軸索の再生には成長円錐の再生が不可欠で、成長円錐のNGFを取り込む機能が神経軸索の伸長に重要だと考えられる。このことから、再生に伴い、成長円錐のNGFを取り込む機能がどのように獲得されていくのかが今後の課題である。そこで今後の研究方針としては、蛍光標識したNGFを用いてこれらの再生過程のメカニズムを調べていく予定である。
著者
益田 昭彦 夏目 武 中村 國臣 小野寺 勝重 原田 文明 堤 晴雄 小渋 弘明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.542, pp.7-14, 2002-12-13

2002年のIEC総会は中国北京市で開催され、TC56(ディペンダビリティ)の会議も同地で10月28日から11月1日まで行われた。今回、日本から7名が参加したため、これまでより充実した討議を行うことができた。特記すべきはIEC62309のリユース電子部品の信頼性に関する規格の討議が初めて行われたことで、環境問題、特に資源循環型社会の構築に寄与する案件である。SAG(戦略諮問会議)でも、ディペンダビリティの対象範囲を狭義の信頼性から安全性へ、さらに環境へと広げることが容認された。リユースに関する規格はその尖兵的役割を担っているため、各国の関心を集めた。他の案件の大部分は審議継続または定期的見直しであるが、改版するにあたり、現状を鑑みて大幅な改訂を行っているものもかなりある。開催国である中国はWTOへの加入を契機に国際規格への関心が高まり、この総会への肩入れには多大なものがあった。