著者
原田 岳 坂口 孝宣 稲葉 圭介 中村 利夫 倉地 清隆 深澤 貴子 中村 光一 沢柳 智樹 原 竜平 井田 勝也 今野 弘之
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.107, no.3, pp.432-441, 2010-03-05
参考文献数
30
被引用文献数
1

症例は70歳男性.肝門部とドーム下に肝腫瘍を指摘され受診された.門脈腫瘍塞栓をともなうStage IVの肝細胞癌と診断し,近医経過観察の方針となった.その後は症状の増悪なく経過し,初診から28カ月後の画像診断で腫瘍は著明に縮小していた.退縮に関わる因子として,門脈腫瘍塞栓による腫瘍血流の減少と,イミダプリル,補中益気湯の抗腫瘍効果が考えられた.肝細胞癌の自然退縮症例はまれであり,文献的考察を含め報告する.<br>
著者
原田光著
出版者
林木育種協会
巻号頁・発行日
2008
著者
原田 勉
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.49-61, 2003-12-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
40

本稿では,ITに関するアウトソーシング,内部調達,並存型,という代替的な利用形態の可変費用削減効果を測定した.その結果,製造業では内部調達,アウトソーシング,非製造業ではアウトソーシングにコスト削減効果が確認された.しかし,並存型については費用削減効果は確認されなかった.したがって,組織能力の点では,短期的にはスタック・イン・ザ・ミドルの現象が確認されたのである.
著者
原田 勉
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.64-90, 2002-12-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
26

本稿の目的は,日本の製造業におけるNC工作機械の技術普及を分析対象とし,その規定要因を実証的に明らかにすることにある.本稿の基本的な主張は,NC化以前の旧技術における学習,知識の蓄積が新技術の採用を促進する要因であったというものである.換言すると,代替的な新・旧技術間には,技術能力の点でスピルオーバー効果が存在しており,それが技術普及に決定的に重要な役割を果たしていたのである.
著者
原田 勉
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.78-96, 1998 (Released:2022-07-27)

本稿の目的は,研究開発組織におけるゲートキーパーの役割について中堅工作機械メーカから収集したデータをもとに再検討を行うことにある.既存の研究では,ゲートキーパーの受け持つ機能として,①情報収集機能,②情報伝達機能,が指摘されてきたが,現在では,それに加え,③知識転換機能が重要な役割を果たしていることを議論する.そして,これらの機能のうち,情報収集機能と知識転換機能には別々の異なった,しかも相対立するスキルが要求されるため,ゲートキーパーとコミュニケーション・スターは一致せず,したがって,2段階ではなく3段階のコミュニケーション・フローが生じるというのが本稿の基本的な仮説である.
著者
松隈 聰 長島 淳 原田 俊夫 河岡 徹 平木 桜夫 福田 進太郎
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1+2, pp.57-61, 2012-05-01 (Released:2013-03-04)
参考文献数
16

症例は40代男性.入院2週間前から心窩部痛,背部痛を生じ,1週間前より微熱,全身倦怠感も伴うようになった.その後,40℃の発熱を来たし,体動困難となったため,救急車で当院搬送となった. 来院時,心窩部で肝臓を触知,軽度の圧痛を伴っていた.血液検査では高い炎症所見と軽度の肝酵素の上昇を認めた.腹部造影CT検査で肝左葉に70㎜大の境界明瞭,分葉形の低吸収域を認め,肝膿瘍と考えられた.経皮経肝膿瘍ドレナージを行い,赤褐色調の排液を認めた.細菌性肝膿瘍を考えセフメタゾール投与を開始したが,3日後にも解熱しないため,アメーバ性肝膿瘍を疑いメトロニダゾール2g/日の経口投与を開始,翌日から速やかに解熱した. 肝膿瘍内容液の培養では赤痢アメーバを検出できなかったが,血清抗体検査でアメーバ性肝膿瘍の診断に至った. 入院24日目に施行したCT検査では膿瘍腔はほぼ消失していたため,ドレーンを抜去,入院33日目に軽快退院となった. 入院中に施行したHIVスクリーニング検査の結果は陽性で,また患者本人から男性同性愛者であるとの情報が得られた. 肝膿瘍の原因として赤痢アメーバを鑑別に挙げることは重要であるが,男性同性愛者にみる腸管感染症(Gay bowel syndrome)からHIVの可能性を考え,未診断のHIVを拾い上げる努力が,さらに重要なことと考えられた.
著者
原田 勉
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.93-111, 1998 (Released:2022-07-22)
被引用文献数
1

本稿の目的は,日本工作機械産業における技術革新のプロセスについて汎用・専用技術の相互転換プロセスという独自の概念によって分析し,その背後にある学習メカニズムについて明らかにすることにある.われわれは,汎用・専用技術の相互転換プロセスは両技術の相互浸透したインターフェイス知識の増大を伴うということを議論する.インターフェイス知識は,汎用・専用技術の相互転換プロセスを助長する機能をもっており,技術革新を推進していく上で極めて重要な役割を担っている.このようなインターフェイス知識をいかに効率的に蓄積していくかが今後の工作機械産業のみならず技術融合が進むハイテク産業においても重要な課題となることを議論する.
著者
新宅 賀洋 原田 理恵 永藤 清子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.401-407, 2009 (Released:2011-10-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

The "Fundamental Law of Food and Nurture" was passed in 2005 and shows the importance of considering regional foods and the culture of dietary habits. Our interest is how to promote food education that adopts regional foods in traditional dishes and in cultivating dietary habits. The history of cultivating strawberries in the Naruo region and the changes in strawberry cultivars was therefore studied. Strawberry production grew from the Taisyo to Showa eras in the Naruo region as a subsidiary farming business. Strawberries were recognized as an indispensable seasonal food for residents in the surrounding areas. The kind of strawberry produced in Naruo is specified and there is a growth plan for the future. We will further study documents on how strawberries were eaten and how strawberry products were made in the Taisho era.
著者
田島 敬之 原田 和弘 小熊 祐子 澤田 亨
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.21-150, (Released:2022-06-30)
参考文献数
42

目的 本研究では,アクティブガイドの認知・知識・信念・行動意図の現状と,身体活動・座位行動,個人属性との関連を明らかにする。方法 オンライン調査会社に登録する20~69歳のモニター7,000人を対象に,横断的調査を実施した。アクティブガイドの認知は,純粋想起法と助成想起法により,知識は「1日の推奨活動時間(18~64歳/65歳以上)」と「今から増やすべき身体活動時間(プラス・テン)」を数値回答で調査した。信念と行動意図はアクティブガイドに対応する形で新たに尺度を作成し,信念の合計得点と行動意図を有する者の割合を算出した。身体活動は多目的コホート研究(JPHC study)の身体活動質問票から中高強度身体活動量を,特定健診・保健指導の標準的な質問票から活動レベルを算出した。座位行動は国際標準化身体活動質問表(IPAQ)日本語版を使用した。記述的要約を実施した後,従属変数を認知・知識・信念・行動意図のそれぞれの項目,独立変数を身体活動量,座位行動,個人属性(性別,年代,BMI,配偶者の有無,教育歴,仕事の有無,世帯収入)とし,ロジスティック回帰分析でこれらの関連を検討した。結果 アクティブガイドの認知率は純粋想起法で1.7%,助成想起法で5.3~13.4%であった。知識の正答率は,「1日の推奨活動時間(18~64歳)」で37.2%,「1日の身体活動時間(65歳以上)」で7.0%,「プラス・テン」で24.8%,3項目すべて正答で2.6%だった。信念の中央値(四分位範囲)は21(16~25)点であった(32点満点)。行動意図を有する者は,「1日の推奨活動量」で51.4%,「プラス・テン」で66.9%だった。ロジスティック回帰分析の結果,認知・知識・信念・行動意図は中高強度身体活動量や活動レベルでいずれも正の関連が観察された一方で,座位行動では一貫した関連は観察されなかった。個人属性は,評価項目によって異なるが,主に年代や教育歴,仕事の有無,世帯年収との関連を認めた。結論 本研究より,アクティブガイドの認知や知識を有する者は未だ少ない現状が明らかとなった。さらにアクティブガイドの認知・知識・信念・行動意図を有する者は身体活動量が多いことが明らかとなったが,座位行動は一貫した関連が観察されず,この点はさらなる調査が必要である。さらに,今後は経時的な定点調査も求められる。
著者
櫻井 聖大 山田 周 北田 真己 橋本 聡 原田 正公 木村 文彦 高橋 毅
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.367-373, 2013-06-15 (Released:2013-10-16)
参考文献数
17

熱中症では様々な合併症を来すが,とくに肝機能障害や腎機能障害は頻度が高い。重症例になると意識障害を来し,横紋筋融解やショック,disseminated intravascular coagulation(DIC),多臓器不全などを来す。DICを来す機序は著明な血管内脱水による末梢循環不全や,高熱による直接的な組織障害・血管内皮障害,それらに引き起こされる高サイトカイン血症,腸管粘膜の透過性亢進からのbacterial translocation,また肝障害に伴う凝固因子の産生低下に伴う出血傾向などが原因と言われているが,選択される抗凝固療法については統一された治療法は確立されていない。今回,熱中症に伴うDICに対し,遺伝子組み換えトロンボモデュリン製剤(rTM)で抗凝固療法を行い,良好な成績を得た2症例を経験した。2例とも高齢女性で,非労作性熱射病であった。いずれも高度の意識障害を伴い,肝・腎機能障害を認め,日本救急医学会の急性期DIC診断基準では5点と7点であった。抗凝固療法として,前者ではrTM単剤で,後者ではメシル酸ガベキサートとの併用を行った。いずれも経過良好で,出血性合併症もなく第5病日と第14病日にDICを離脱でき,後遺症なく第57病日と第27病日に軽快転院となった。rTMは熱中症に伴うDICに対して有効な薬剤であると思われた。
著者
原田 洋平
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.121, 2009

【はじめに】<BR> 今回、脳血管障害を持ち、対人交流の拒否が強く身体機能訓練を拒否した一人の高齢女性に対して、興味を示した折り紙・お手玉を通じて関係を築き、ナラティブの語りから方針を再検討した。その結果、行動範囲や対人向流の拡大に至り、活動量の拡大に繋がった。訓練拒否から活動を広げていった経過を分析し、考察を加えて報告する。<BR>【事例紹介】<BR> Aさん。80歳代女性。左ラクナ梗塞。家族構成は夫と息子夫婦、孫夫婦、曾孫。職業は夫の農業を手伝いながら兼業主婦。家事全般をこなしながら、勤めに出ている孫夫婦に変わり曾孫の育児を行なっていた。<BR>【経過・結果】<BR> 初期評価時より常に表情は険しく日中臥床傾向であり他患との交流や離床を拒否。OTRが提案したベッドサイドでの身体機能訓練に対し「つまらない。」「リハビリなんて楽しくないと思う。」と拒否を続ける。Aさんの語りにより病棟でお手玉を使用。OTRは初心者であり、OTRに教えてくれるよう頼んだ。次第にAさんはお手玉遊びのコツや練習方法を教えてくれるようになり、指導的役割や、AさんがOTRへ指導をし、指導が上手く行くという成功体験を通じ、Aさんは達成感を得る。しだいにOTRの問いかけに対し、院内生活や過去の生い立ちについて自ら語るようになり、OTRはナラティブと傾聴をおこなっていく。また、他患のベッドサイドにある千羽鶴を指差し、「私も昔は孫と一緒に作ったものよ。」と折り鶴作製を希望した。その語りより、OT方針を再検討し、折り紙を追加した。他患や他患家族に対し「みんなと一緒に食事を取りたいから食堂でご飯を食べたい」等と話すようになる。そして自らOTRや他患へお手玉遊びの指導やおはじきの遊び方、折り紙の折り方を教えるようになりコミュニケーション・交流技能に変化が見られる。<BR>【考察・まとめ】<BR> 「今までは主婦業をこなしていたのに、助けてもらうばかりで何もできなくなった」「手が動かないからだめだ」と個人的原因帰属の低下や役割・自己効力感の低下により居室に閉じこもっていたAさんは、お手玉という作業を通じて、「今までは息子や孫にいろいろなことを教えていた」役割や達成感、「OTRが上手くお手玉できるようになった」成功体験を得ることができた。その結果、OTRとの関係が築かれ、活動への意欲が向上したと思われる。ナラティブと傾聴を基に方針を修正した後、楽しみとなる作業活動の提供によって意欲が引き出され、行動範囲や対人向流の拡大に至り、活動量の拡大ができたと考える。<BR> 今回の症例ではナラティブな関わりを通じてお手玉・折り紙という作業に注目した。このようにナラティブな関わりからセラピストとの関係を構築し、協業することの重要性が示唆された。
著者
沖潮(原田) 満里子
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.157-175, 2013 (Released:2020-07-09)
被引用文献数
1

本稿は近年注目されつつある自己エスノグラフィの手法を発展させ,対話的に実践した試みを紹介し,その有用性と意義を検討することを目的としている。自己エスノグラフィとは,自分自身の経験を探求し,自身の意識のありようや文化について明らかにしていく質的研究のひとつの方法である。従来は研究者本人による想起的な記述がその手法として広く知れ渡っていたが,筆者は対話者を設定して,障害を抱える妹との関係を中心としたライフストーリーを語り,それに対して継続して共同的に分析・解釈を行なうことを試みた。従来の自己エスノグラフィについては,データの信頼性の問題,物語としての読みやすさやわかりやすさの欠落,分析よりも自己語りへの過度な依存,そして他者との相互的なつながりが見えにくい点が批判されてきた。また,自己を客観視することの困難さ,自己探究に伴う精神的苦痛への対応の問題も研究の実践において指摘されてきた。それに対して対話的な自己エスノグラフィはそういった批判に応えた上で,さらには他者の介在により新たな視点が生まれ,研究の拡がりが増す等の有用性があると考えられた。最後にこの方法を施行する上での留意点として,対話者の資質,研究者と対話者の関係性についても考察を行なった。
著者
村田 晃 小林 千恵 神田 康三 加藤 富民雄 原田 嘉文
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.12, pp.573-578, 2000-12-25 (Released:2017-12-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1

In urine the vitamin C values obtained by using the α,α'-dipyridyl method were often elevated due to urinary reducing substances. Ascorbate oxidase is highly specific for oxidizing vitamin C. An improved method using ascotbate oxidase is described for the determination of urinary vitamin C. The method is specific, sensitive and reproducible, and it is also rapid and simple enough for many measurements. Using the method the urinary vitamin C was determined for 176 male students, 61 female students, 352 male staff members and 81 female staff members of our university. There was little difference in overall frequency distribution of vitamin C values in the four groups. However, somewhat lower vitamin C levels were found in students compared with staff members, and in male groups compared with female groups.
著者
志水 宏吉 中村 瑛仁 若槻 健 西 徳宏 伊佐 夏実 原田 琢也 新谷 龍太朗 鈴木 勇 濱元 伸彦 佐古 清
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-07-30

本研究の目的は、医療・ビジネス・国際協力等幅広い分野で注目されている「社会関係資 本」概念を、教育分野、具体的には「学校づくり」の分野に応用し、すべての子どもたちの学力のみならず、彼らの非認知能力の発達にも寄与する「力のある学校」を生み出す筋道を理論的に明らかにすることにある。教育分野における社会関係資本の指標化と小中学校(10校を予定)におけるアクションリサーチが中心的作業となる。