著者
矢澤 順根 古川 善也 中島 健一郎
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.16-24, 2020-07-31 (Released:2020-07-31)
参考文献数
36

Although previous studies suggest that critical thinking may be beneficial to interpersonal relationships (e.g., Hirooka et al., 2000), no empirical studies investigated this effect. Therefore, to investigate the same, we focused on empathic accuracy as an important factor in establishing and maintaining good interpersonal relationships. One hundred and forty-three individuals participated in our web experiment and survey via a crowdsourcing service. We measured critical thinking ability and orientation using the Japanese Watson-Glaser Critical Thinking Appraisal and the critical thinking orientation scale. We conducted the Asian Reading the Mind in the Eyes Test to assess participants’ empathic accuracy. We also measured systematic thinking skills using the Cognitive Reflection Test as a relevant variable. Multiple regression analysis showed that empathic accuracy was positively related to critical thinking ability, but not to critical thinking orientation and systematic thinking. These results suggest that critical thinking ability, especially reasoning ability, may be particularly important for increasing empathic accuracy toward nonverbal information.
著者
石川 耕資 南本 俊之 一村 公人 本田 進 蕨 雄大 古川 洋志
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.22-26, 2014 (Released:2014-01-01)
参考文献数
14

壊死性筋膜炎と重症蜂窩織炎の鑑別に LRINEC (Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis) score の有用性が報告されている。われわれは 2005 年から 2012 年までの間に経験した壊死性筋膜炎 11 例と重症蜂窩織炎 110 例を後ろ向きに解析し,LRINEC score の有用性について検討した。壊死性筋膜炎群の LRINEC score (6~12,平均 9.2)は,重症蜂窩織炎群(0~10,平均 2.7)と比較して有意に高値であった。LRINEC score 6 以上を壊死性筋膜炎とするためのカットオフ値とした場合,感度 100%,特異度 85.5%,陽性的中率 40.7%,陰性的中率 100%であった。LRINEC score は,臨床,画像所見に加えた壊死性筋膜炎の補助的診断ツールとして有用であると考えられた。
著者
古川 咲 Saki Furukawa
雑誌
共立女子大学博物館 年報/ 紀要 = Kyoritsu Women's University Museum annual report & bulletin
巻号頁・発行日
no.3, pp.43-55, 2020-03

Ordinary women in the late Edo period wore different types of kosode for special occasions (Hare) and for everyday use (Ke). However, it remains unclear what types of kosode were worn specifically for each occasion. This study investigates this matter using Morisada Mankou, which is highly regarded as a resource for the clothing customs of that time because of its detailed descriptions of manners and customs of the late Edo period.It is found that the situations of special occasions and everyday use in Morisada Mankou were further divided, producing four broad types (Rei, Hare, Ryaku, and Ke) ; women wore different types of kosode for each of these occasions. It is also found that the material from which kosode were made was considered to be particularly important with regard to the choice of the appropriate types of kosode for the four types of situations. It is clear that high-quality materials such as silk and ramie were used for kosode worn on special occasions; cotton, which is a cheap, durable material, was chosen for kosode worn in everyday life.
著者
神田 鉄平 前田 憲孝 井口 亜弥乃 柴田 和紀 野村 千晴 山本 達也 村尾 信義 加計 悟 古本 佳代 古川 敏紀
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.14, no.Suppl, pp.Suppl_77-Suppl_78, 2011-10-01 (Released:2011-12-20)
参考文献数
2

イヌにおけるBCS評価の客観性および妥当性の向上を目的に、腹部CT撮影画像から算出された体脂肪組織量との相関性についての検討を行った。BCS評価はCT画像から得られた体脂肪組織量と有意に相関し、その基準が外観や触感といった間接的なものではあるものの、イヌの体脂肪組織量をある程度正確に反映していることが示唆された。
著者
松井 和輝 古川 正統 安藤 英由樹 前田 太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.243-252, 2015

We manipulate equipment naturally as an extension of physical ability. However, it is unclear whether we can transform supernumerary body parts to our body image to use the equipment as a similar body parts. So, this study suggests that ownership is formed by the simultaneity of visual and tactile stimulation, and that this perception of ownership is important to form the body image. In addition, we propose that if the equipment appears to be extended continuously from our body and ownership of the equipment occurs, then the body image will be transformed to include the equipment. Therefore, in this study, the equipment was arranged to appear as extending from the body, and visual and tactile stimulation were used to elicit ownership of the equipment. The results confirmed that body image was transformed to include the equipment. Furthermore, this suggested that it is possible to incorporate equipment into one's body image, and that we could use the equipment as a supernumerary our own body-part.
著者
古川 善吾 野木 兼六 徳永 健司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.736-744, 1984-09-15

ソフトウェアの機能テストのためのテスト項目を系統的に作成するAGENT技法を提案した.AGENT技法は 機能図式(Function Diagram)という形式的な記法によってソフトウェアの機能仕様を表現した後 機械的にテスト項目を作成する技法である.機能図式は 入力や出力の順序に依存した対応関係を表す状態遷移(状態遷移図で記述する)と 状態遷移の各状態での入力データと出力データや遷移先状態との対応関係を表す論理関係(原因結果グラフあるいは決定表で記述する)とから成っている.AGENT技法では この機能図式から 通過すべき状態の列と各状態での入出力データの条件の組合せとして 以下の条件を満たすテスト項目を機械的に作成する.?各状態での入出力データの条件を確認するのに十分である.?状態遷移を構造化した構造化状態遷移の各遷移を少なくとも1回は辿る.?構造化状態遷移の繰返しは0回と1回の2通りを実現する.このテスト項目作成を自動的に行うためにAGENTプログラムを開発した.本論文では テスト項目作成の考え方 AGENTプログラムの概要について述べた.
著者
古川 不可知
出版者
日本南アジア学会
雑誌
南アジア研究 (ISSN:09155643)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.29, pp.144-177, 2017-12-31 (Released:2018-10-31)
参考文献数
30

本稿では、トレッキング/登山観光の一大メッカとして知られるネパール東部のソルクンブ郡クンブ地方を対象として、ヒマラヤの山間部で荷を運ぶとはいかなる営みであるかという問いを中核に次の三点について論じる。①クンブ地方では観光産業の発展に伴って荷運び労働が階層化してきたこと、②周辺地域から流入して商店などの荷をキロ単価で運ぶ、「ローカル・ポーター」と呼ばれる人々の具体的な実践を報告すること、そして③ローカル・ポーターたちが、自らの仕事よりも相対的に良い仕事とみなすトレッキング・ポーターへの参入に、荷運びを通した階層上昇の希望を見出していること。これらの考察を踏まえたうえで、観光地化が進んだエベレスト地域のポーターたちは、苦痛(ドゥカ)に満ちた荷運びのなかに、外国人を介した発展(ビカス)の場への接近という希望を見出していることを指摘する。
著者
古川 聡子 河口 勝憲 岡崎 希美恵 辻岡 貴之 通山 薫 佐々木 環
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.563-568, 2018-07-25 (Released:2018-07-28)
参考文献数
6

2008年にクレアチニン(Cre)から算出した推算glomerular filtration rate: GFR(eGFRcre)が,2012年にはシスタチンC‍(Cys)から算出した推算GFR(eGFRcys)が公表され,推算GFRは臨床現場で簡便な腎機能の指標として活用されている。しかし,しばしばeGFRcreとeGFRcysが乖離する症例に遭遇する。そこで,今回eGFRcreとeGFRcysはどの程度一致するのか,また乖離症例にはどのような特徴があるのかを検証した。全症例(n = 226)での相関関係は回帰式y = 0.92x + 2.44,相関係数r = 0.868と良好な結果であったが,CKD重症度分類のGFR区分におけるeGFRcreとeGFRcysの一致率は55.8%と約半数であった。不一致例はeGFRcreと比較し,eGFRcysの区分が軽い症例と重い症例が同等に存在し,どちらか一方への偏りは認めなかった。さらにGFR区分が2段階以上異なる症例は8症例で全体の3.5%であった。eGFRcys/eGFRcre比の比較では,その比が最も1.00に近かった60歳代を基準とすると,若年では高く,高齢では低くなる傾向を認めた。また,eGFRcys/eGFRcre比は体表面積が大きいほど,血清アルブミンが高値なほど高くなる傾向を示し,高度蛋白尿では低値となった。腎機能評価においては,各推算式の特徴や乖離要因を把握した上で使用することが重要である。
著者
古川 洋和
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.213-222, 2010-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、歯科恐怖症に対する認知行動療法(CBT)の効果研究について展望を行うことであった。文献検索の結果、12編の研究が抽出された。主な結果は、以下のとおりであった。(1)CBTの技法として、エクスポージャー、リラクセーション(応用リラクセーションを含む)、認知的再体制化、ストレス免疫訓練、系統的脱感作が行われていた。(2)すべての治療技法は、治療前後にかけて主要評価項目の値を改善していた。(3)治療後において、エクスポージャーと系統的脱感作は、統制条件と比較して大きな効果サイズが認められた。(4)治療後において、応用リラクセーションは、統制条件と比較して中程度以上の効果サイズが認められた。(5)治療後において、認知的再体制化は、統制条件と比較して中程度以下の効果サイズが認められた。最後に、わが国においても統制研究を行うことの必要性が提示された。
著者
澤木 優治 山本 裕泰 本村 和也 山本 正彦 古川 研治 斉藤 修
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001706, (Released:2022-08-26)
参考文献数
27

左頭頂葉白質を中心とした脳梗塞により第一言語である日本語と第二言語である英語の混同および音韻性錯語を呈した左利きバイリンガル症例について報告した.症例は日本語および英語のバイリンガルである46歳の左利き女性であった.本症例では発症急性期より理解面は聴覚・視覚のいずれの経路も良好に保たれた一方で,表出面においては日本語発話時に日本語と英語の混同を認めた.拡散テンソル画像の分析から,本例の言語症状の出現には左下頭頂小葉直下の白質線維である上縦束や弓状束の関与が示唆された.
著者
古川 健司 重松 恭祐 岩瀬 芳江 三上 和歌子 星 博子 西山 孝子 大塚 藍 阿部 宏子
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.1139-1146, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
25

【目的】がんに対する糖質制限食として、medium chain triglyceride(以下、MCTと略)オイルの少ない修正MCTケトン食を導入し有効性を検討した。【方法】ステージⅣ進行再発大腸癌患者10例に、ケトン比が1.4:1の修正MCTケトン食を1年間抗がん剤と併用し、RECIST判定、血中総ケトン体、quality of life(以下、QOLと略)の評価を行い、ステージⅣで抗がん剤治療のみを行った群14例と比較検討を行った。【結果】抗がん剤単独群は、CR0例、PR3例、SD6例、PD5例で、奏効率21%、病勢コントロール率64%で、ケトン食併用群は、CR5例、PR1例、SD1例、PD3例で、奏効率60%、病勢コントロール率70%で、1年継続することで、CR率が50%に上がった。【結論】ケトン食併用の抗がん剤治療は、抗がん剤単独群と比較し、奏効率、病態コントロール率が高く、ステージⅣ大腸癌の支持療法になると思われた。
著者
内田 智也 古川 裕之 松本 晋太朗 小松 稔 佃 美智留 土定 寛幸 大久保 吏司 藤田 健司
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.105-112, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
26

【目的】投球動作におけるステップ脚膝関節動作と肘外反トルクとの関連から肘関節負荷を増大させる動作を検討する。【方法】中学生投手20 名のFoot Contact(以下,FC)以降のステップ膝動作を膝関節位置の変位が生じない固定群と投球方向へ変位する前方移動群の二群に群分けした。FC・肩関節最大外旋位(以下,MER)・ボールリリースのステップ膝屈曲角度,投球中の肘外反トルク(身長・体重での補正値)および投球効率(肘外反トルク/ 球速)を群間比較した。【結果】固定群は14 名,前方移動群は6 名であり,前方移動群のステップ膝屈曲角度はFC からMER にかけて増大することが示された。また,肘外反トルクおよび投球効率は固定群が前方移動群より有意に低値を示した。【結論】前方移動群はFC 以降に膝の縦割れが生じていることで,肘関節に過度な負荷が加わっていることから,ステップ膝動作の評価は野球肘の理学療法において重要であることが示唆された。