著者
石川 敏三 仲西 修 掛田 崇寛 山本 美佐 古川 昭栄 伊吹 京秀 徳田 信子 石川 浩三 鈴木 秀典
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

慢性疼痛はしばしば不安や鬱を併発し、極めて難治性である。そこで、痛覚ー情動系における分子メカニズムを解明し、また神経栄養因子(BDNF)治療応用について検討した。その結果、前帯状回や脳幹部(網様体)におけるモノアミン変調に随伴したBDNFの機能低下が慢性疼痛や気分障害に関連すること、またカテーコール化合物や磁気治療の有用性が判明した。慢性疼痛の治療法に新たな指針を提唱するものと考えられる。
著者
神野 透人 古川 容子 大河原 晋 西村 哲治 香川(田中) 聡子
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第38回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.20064, 2011 (Released:2011-08-11)

【目的】室内環境中の化学物質が発症の原因あるいは増悪因子となり得る疾病として、いわゆるシックハウス症候群や気管支喘息等があるが、その発症機序の詳細には未解明な部分も多い。本研究では主に塗料や粘着剤・接着剤、アクリル樹脂等の原料として利用されており、既に呼吸器/皮膚感作性が確認されている物質も含まれているアクリル酸及びメタクリル酸とそのエステル類について、侵害刺激受容体であり気管支喘息にも深く関与することが示唆されているTransient Receptor Potential (TRP) A1及びTRPV1 に対する活性化作用を検討した。 【方法】ヒト後根神経節Total RNAよりRT-PCRによってTRPA1及びTRPV1 cDNAをクローニングし、それぞれを安定的に発現するFlp-In 293細胞を樹立した。得られた細胞株の細胞内Ca 2+濃度の増加を指標としてTPRA1及びTRPV1イオンチャネルの活性化を評価した。 【結果】アクリル酸及びメタクリル酸とそのエステル類14物質について、ヒトTPRA1及びTRPV1に対する活性化能を評価した。その結果、TRPV1に対する活性化能は本研究で対象とした14物質には認められなかったが、アクリル酸ブチル及びメタクリル酸ブチルがTPRA1を活性化する作用を有することが明らかになった。我々はこれまでに家庭用品から放散される揮発性有機化合物の評価試験を実施し、パーソナルコンピューターやテレビ等多種多様な家庭用品からからある種のアクリル酸エステル類・メタクリル酸エステル類が放散することを見いだしている。本研究結果から、これら家庭用品から放散されるアクリル酸エステル類・メタクリル酸エステル類がTRPA1を介した感覚神経あるいは気道の刺激を引き起こす可能性が考えられる。
著者
古川 晶子 森川 秋月 早川 峰司 澤村 淳 松田 直之 石川 岳彦 亀上 隆 丸藤 哲
出版者
日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.219-222, 2005-07-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
16

横紋筋融解症は薬物中毒,外傷,電解質異常,神経筋疾患などさまざまな原因により惹起される。今回,我々は水中毒による希釈性低ナトリウム血症とその補正過程で横紋筋融解症を発症した症例を経験した。水中毒による横紋筋融解症の発症は少なく,今回の症例では,低ナトリウム血症とその補正に伴う急激な血清浸透圧上昇が相加的に作用して横紋筋融解症を来した可能性が示唆された。
著者
古川 真 高貝 慶隆
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.17-30, 2018-01-15 (Released:2018-01-15)
参考文献数
54
被引用文献数
1

90Srは,ウランから生じる代表的な核分裂生成物であり,半減期が約29年の放射性核種である。90Srは,純β線放出核種でありγ線を放出しないため,γ線放出核種と比べて計測が難しい。その迅速な計測のために多くの分析方法の開発が進められてきた。ここではそれらの技術を概説するとともに,特に,高周波誘導結合プラズマ四重極形質量分析計(ICP-QMS)の東京電力福島第一原子力発電所事故後の進展に焦点を当てて現状と展望を述べる。
著者
西岡 拓哉 北 和之 林 奈穂 佐藤 武尊 五十嵐 康人 足立 光司 財前 祐二 豊田 栄 山田 桂太 吉田 尚弘 牧 輝弥 石塚 正秀 二宮 和彦 篠原 厚 大河内 博 阿部 善也 中井 泉 川島 洋人 古川 純 羽田野 祐子 恩田 裕一
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

背景・目的東京電力福島第一原子力発電所の事故によって、原子炉施設から多量の放射性物質が周辺地域に飛散・拡散し土壌や植生に沈着した。地表に沈着した放射性核種が今後どのように移行するか定量的に理解していくことが、モデル等により今後の推移を理解する上で重要である。重要な移行経路の一つとして地表から大気への再飛散がある。我々のグループのこれまでの観測で、山間部にある高線量地域では、夏季に大気中の放射性セシウムが増加していることが明らかになっている。夏季の森林生態系からの放射性セシウム再飛散過程を明らかにすることが本研究の目的である。観測2012年12月より浪江町下津島地区グラウンドにおいて約10台のハイボリュームエアサンプラーによって大気エアロゾルを高時間分解能でサンプリングし、Ge検出器で放射能濃度を測定している。この大気エアロゾルサンプルの一部を取り出し化学分析及び顕微鏡観察を行っている。2015年よりグラウンドおよび林内で、バイオエアロゾルサンプリングを月に1-2回程度実施している。また、感雨センサーを用い、降水時・非降水時に分けたサンプリングも行っている。200mくらい離れた林内でも同様の観測を行っている。さらに、パッシブサンプラーによる放射性核種の沈着フラックスを測定するとともに、土壌水分と風速など気象要素を自動気象ステーション(AWS)にて、エアロゾル粒子の粒径別濃度を電子式陰圧インパクタ(Electric Low-Pressure Impactor, ELPI)、黒色炭素エアロゾル濃度および硫酸エアロゾル濃度をそれぞれブラックカーボンモニタおよびサルフェートモニタにて連続的に測定している。結果と考察2015年夏季に行った観測と、そのサンプルのSEM-EDS分析により、夏季の大気セシウム放射能濃度は炭素質粒子濃度と正相関していることが分かった。夏季には粒径5μm程度の炭素質粒子が多く、バイオエアゾルサンプリングとその分析の結果、真菌類の胞子、特にキノコが主な担子菌類胞子が多数を占めていることが分かった。但し、降水中には、カビが多い子嚢菌類胞子がむしろ多い。大気粒子サンプルの抽出実験を行った結果、夏季には放射性セシウムの半分以上が純水で抽出される形態(水溶性あるいは水溶性物質で付着した微小粒子)であることもわかった。そこで、2016年夏季には、大気粒子サンプル中の真菌類胞子の数密度と大気放射能濃度の関係を調べるとともに、キノコを採取してその胞子の放射能濃度を測定して、大気放射能濃度が説明できるか、また大気粒子サンプルと同様に、半分程度の純水抽出性を持つか調べた。その結果、大気放射能濃度と胞子と思われる粒子の個数とは明瞭な正相関を示し、降水時には子嚢菌類が増加することが示された。また、採取したキノコ胞子の放射性セシウムは、半分以上純水で抽出され、大気粒子サンプルと同様に性質を示すこともわかった。但し、採取した胞子は放射能は高いものの、それだけで大気放射能を説明できない可能性がある。
著者
古川 智恵子 豊田 幸子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.29-39, 1979-03-15

以上の調査結果をまとめると,今回の調査の範囲内では次のとおりである.(1)和・洋服の所持率については,学生は洋服が83%,和服が17%と和服が少なく,主婦はそれぞれ55%, 45%である.これらの和服の着用機会は,学生では正月,お盆,成人式等であり,主婦では冠婚葬祭,正月,人学式,卒業式等である.また,和服を自分で着装できる者は,学生では約17%と極めて少ないが,主婦では日常着については約90%,礼服についても約半数を占める.(2)将来の衣生活設計については,学生,主婦層とも96%以上の者が和服をとり人れ,和・洋両式の衣生活をしてゆきたいと答えた.この結果から,和服は今後も長く伝統的な民族衣裳として日本人に愛され続けるものと思われる.(3)和・洋服の所持服の製作別割合では,学生,主婦共に洋服では既製品が多く,和服では注文が最も多く,既製はごく低率であった.家族の衣生活を担当する主婦の和服の縫製技術所持者は約80%であり,持に中・高年層に高度な縫製技術があったが,家庭製作より注文する割合が多くみられた.これは余暇時間に趣味的な事を行なったり,あるいは社会に出て生産的活動をする人が多くなってきたことによるのではないかと考えられる.(4)和装既製品の購人状況では,両者共に,たび,長襦袢,裾よけ等の下着類が多く,上着類では注文が多いことがうかがえる.和装既製品の選択重視項目順位では,学生,主婦共に"必要な時すぐ着られる"という利点を第1位にあげており,次に"価格が手ごろ","時間の節約"をあげている.また,これらの購入場所は専門店が最も多く利用され,日常着ではなく晴着としての和服は,衝動買いせず信用ある専門店で購入し,仕立てもそこで頼むという状態である.(5)既製和服に対する学生および主婦の意識差は,両者の生活経験により多少異なり,学生は概念的な思考が多いが,主婦は,より具体的な生活的思考をしている.しかし共通して不満意識が多く,大体次の3点にしぼられた.1)サイズの種類が少なく体に合いにくい.2)ミシン縫いが多く,縫製が雑である.3)材質面では表地に対して裏地が悪く,同一柄のものが多い.しかし,以上のイメージはそのまま購入経験者による,既製和服の問題点へと直結している傾向が見られた.既製和服購入低率の一要因が,このあたりにあるのではないかと考えられる.かって,洋服における既製服が,戦前→戦中→戦後の歴史を経て,安かろう,悪かろうの「つるし」の時代から,現代の「ファッション」の時代に到着し,量・質共に飛躍的な発展をし,消費者イメージも今や,外出着,日常着共に満足度の大きいものに変化して来た.一方,和服の既製服が伸びないのは,和服の構造そのものが,洋服的な量産体系にのりにくいという基本的な問題があるが,最近になって,大手の化繊企業がシステム化の研究に着手し,システム方式を開発した.これにより,化繊製品については,今までの既製服の機械縫製にみられた,パツカリング発生率を極限までに押える持殊ミシン使用により,品質向上を期待することが出来るようになった.また,W&W性と,仕立上りの品質が明らかに優れているようである.しかし,これもサイズ面,材質面等については未だ完全なものではなく,今後の研究の余地があろう.このように最近は,企業も消費者ニーズをよく研究している現状であるが,消費者もこれまでのような「上手なお買物」的な消極的なものだけでなく,消費者と企業とのすれちがいを解消する消費者のための生産へとリードしていく,より積極的姿勢が望まれる時代に来ている.短大の被服教育においてもこれに答える為には,これまで以上に高い知識や,問題解決への能力養成の必要があろう.今後は既製和服の問題点とされた,サイズ,および縫製面における検討を重ねてゆきたいと考えている.本研究にあたり,調査に御協力下さった主婦の方々及び本学被服コースの学生に感謝いたします.
著者
伊藤 英之 脇山 勘治 三宅 康幸 林 信太郎 古川 治郎 井上 昭二
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.427-440, 2005
参考文献数
27

The Yakedake volcano is located in the southern part of the northern Japan Alps, central Japan. Yakedake volcanic hazard map was published in March 2002, and in June 2002, it was distributed to the inhabitants of Kamitakara village, Gifu prefecture, where is located 4-20km west from the volcano. In January 2003, the questionnaire survey was carried out on the inhabitants in order to know their attitudes to the volcanic hazard map and the level of their understanding of the contents of the hazard map. The Kamitakara village office distributed the questionnaires to 1,102 families through the headman of each ward, the headman collected 802 answers. The results of analysis were as follows. 89% of the respondents knew the existence of the hazard map and 35% read it well, but about 11% have not read the map at all. The elders have a tendency to have deeper understanding of the hazard map than younger ones, especially in elders who have experiences to meet some kinds of natural hazards. And the people who once attended the explanatory meeting of the hazard map, which was held for the residents living inside the disaster-prone area four times after the publication of the hazard map, also tend to have more proper understandings. The people who are engaged to the tourism give more attention to the volcanic hazard than others. The respondents have strong tendency to require more knowledge about the volcanic activities and hazards. We can say that the further activities by scientists, engineers and administrative officers are expected in order to establish an informed consent, that is, there should be a decision-making by inhabitants themselves and support by officers in charge with detailed explanations.
著者
古川 雄嗣
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.71-84, 2008-03-31

The subject of this paper is overcoming Nihilism on Shuzo Kuki's philosophy, which is able to be characterized by overcoming contingency through contingency. The fundamental question of Kuki's philosophy was the contingency of being. If it IS a contingency that I am or I am I, our being has no bottom, no sense, and no end. But, Kuki quested for exactly the sense in no-sense and the end in no-end. Kuki's analyses on various aspects of contingency (categorical, hypothetical, and disjunctive) ultimately arrive at the "Primitive Contingency (Urzufall)", but exactly there, we witness the "Metaphysical Absolute necessity," Kuki terms this the "Metaphysical Absolute," which can be characterized by "Necessity-Contingency." This means that the contingency recognized empirically is the necessity metaphysically, i.e. contingency is the "Other Being (Anderssein)" of necessity. Furthermore, this metaphysical view reveals that each contingent part and the necessary whole are mutually restricted to each other, therefore, some empirically contingent phenomenon is the reflection of metaphysical necessity. In this way, a contingent being which seems to be no-end appears to be a reflection of the metaphysical necessary end. It comes to be termed "Fate." When we accept the metaphysical necessary end which is revealed on the contingency as our own necessary end, we will hear the commandment "Do not pass a contingency in vain."
著者
高田 秀行 益井 比呂志 古川 秀一 足立 博樹
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
昇降機・遊戯施設等の最近の技術と進歩技術講演会講演論文集 : Elevator, Escalator and Amusement Rides Conference
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.29-32, 2003-01-22

From the end of 2000,as the beginning of the project, we installed over 100 escalator units on the subway Oedo line. Due to the depth involved we had to develop supplementary devices to support our installation. This process and the problems involved are outlined in this report
著者
澤井 秀次郎 福田 盛介 坂井 真一郎 櫛木 賢一 荒川 哲人 佐藤 英一 冨木 淳史 道上 啓亮 河野 太郎 岡崎 峻 久木田 明夫 宮澤 優 植田 聡史 戸部 裕史 丸 祐介 下地 治彦 清水 康弘 芝崎 裕介 島田 貞則 横井 貴弘 藪下 剛 佐藤 賢一郎 中村 和行 久原 隆博 高見 剛史 田中 伸彦 古川 克己
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.35-43, 2018 (Released:2018-03-02)
参考文献数
35
被引用文献数
8 7

SLIM (Smart Lander for Investigating Moon) is the Lunar Landing Demonstrator which is under development at ISAS/JAXA. SLIM demonstrates not only so-called Pin-Point Landing Technique to the lunar surface, but also demonstrates the design to make the explorer small and lightweight. Realizing the compact explorer is one of the key points to achieve the frequent lunar and planetary explorations. This paper summarizes the preliminary system design of SLIM, especially the way to reduce the size.
著者
丸山 裕美子 古川 仭
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.95, no.5, pp.513-520, 2002-05-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
13

We report 7 cases of acute and recurrent inspiratory dyspnea in which no organic cause could be identified. Patients were from 12 to 68 years old (43.6 in average), consisting of five males and two females. In three of the seven cases, fiberoptic laryngoscopy during an attack of dyspnea revealed laryngospasms following symmetric adduction of the vocal cords. Each patient experienced loud, stridorous noise during inspiration at the beginning of an attack as well as the subsequent inability to inspire. The attacks ranged from several tenths of a second to a few minutes in duration and occurred frequently, several times a day in some cases. Results of physical examinations, lung function tests, roentgenograms of the chest and larynx, and CTs of the lungs and the neck were unremarkable. Laboratory findings including blood gas analysis between attacks were within normal limits. No atopic stigmata were found.Drinking water or swallowing could sometimes relieve the grade of the attack, and the patient could completely prevent attacks once they understood the condition of the dyspnea and mastered a breathing maneuver during the attack. Previous upper respiratory infection, cough, and sleep apnea were suggested to correlate with the episodes. Our patients did not require drastic maneuvers such as tracheostomy or intubation. Administration of Eperisone hydrochloride and Etizolam proved effective in some cases.Laryngospasm as a cause of recurrent inspiratory dyspnea is functional, and we suspect that it is not such a rare occurrence. An awareness of this entity could prevent unnecessary tracheotomies.
著者
古川 博史
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.603-606, 2012-06-25 (Released:2012-06-26)
参考文献数
11

高齢者四肢高度拘縮内シャント造設困難症例に対して,4~6 mm tapered graftを使用した腋窩動脈-腋窩静脈前胸部交叉シャント(ネックレスシャント,arteriovenous axillary crossover grafts; AVACG)を作成した2例を経験した.症例1:91歳,女性.約6カ月前に左前腕内シャント閉塞で左上腕レベル尺側皮静脈転位内シャントを造設したが,四肢高度拘縮でシャント血流不全を繰り返すためPTFE 4~6 mm tapered graftを使用しAVACGを作成.術後14日目に穿刺にて透析可能,術後40日目に退院.症例2:84歳,女性.約3カ月前に右前腕内シャント閉塞で再度右前腕に内シャント再建したが,シャント静脈発達不良にて再閉塞.四肢高度拘縮で四肢への作成困難にて4~6 mm tapered graftでAVACGを作成.術後8日目に穿刺可能となったが,誤嚥性肺炎の悪化で術後31日目に呼吸不全にて死亡した.四肢が高度に拘縮した内シャント造設困難症例に対して4~6 mm tapered graftを使用したAVACGは,長期留置型カテーテルを念頭に置きつつ検討されるバスキュラーアクセスのオプションと考えられた.