著者
古川 一実 田中 淳一
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.109-115, 2004 (Released:2004-09-18)
参考文献数
16
被引用文献数
2 4

チャでは形質転換体の作出が数多く試みられてきたにも関わらず,再現性のある形質転換系が確立しているとは言い難い状況にある.これは効率的で安定した培養系が確立していないことが最大の要因である.効率的で安定した培養系を確立するためには,培養条件のみならず,その材料も検討する必要がある.我々は材料の遺伝的能力に着目し,チャ遺伝資源130系統の自然交雑種子を用いて高い体細胞胚形成能を示す系統のスクリーニングを行った.外植体には,自然交雑で生じた果実の未熟種子内部の子葉を用いた.次亜塩素酸ナトリウムによる表面殺菌後,幼葉および幼根を切除した外植体をMS培地(3.0 mg/l 6-benzylaminoprine(BA),3.0%ショ糖および0.2%ゲランガムを含む)に置床し25 °C,暗黒条件下で培養を行った.外植体の反応は,まったく変化のなかったもの,肥大したもの,体細胞胚の形成が認められたものの3タイプに大別でき,品種・系統間でその反応は明らかに異なった.体細胞胚は,カルスを経由せず子葉の表面から直接形成された.中国導入系統‘枕 -Ck2’を種子親とした自然交雑種子の子葉培養において高い体細胞胚形成率が認められ,この系統が形質転換系の確立のための有望な材料であることが明らかとなった.
著者
髙岡 昂太 坂本 次郎 橋本 笑穂 北條 大樹 古川 結唯 菊池 愛美 佐藤 瑛洋 先光 毅士 山本 直美 鈴木 聡
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1D4GS1305, 2020 (Released:2020-06-19)

日本では推計で毎年500人の子どもが虐待で死亡している。親が嘘をつく場合や、子どもが加害者から脅され話せないなど、正確な情報収集が難しい課題がある。ベテラン職員であっても判断を誤ることがあるため、虐待対応には判断の質の向上が喫緊に求められる。さらに、増加する虐待通告件数に対応する施策も満足に打てていないことが問題である。申請者らは現場職員の判断を支援し、かつ虐待件数増加に対応する施策決定に向けたAI実証実験を2019年7月より始めた。現場と達成目標をすり合わせた上で、一時保護すべきケースの見過ごしを無くすため、予測精度の高い勾配ブースティングを実装した。また、将来的な再発率や重篤度の算出には、現場の説明責任を担保するため、因果推論を行う確率モデリングを採用した。試行の進捗として①現場の業務フローの差異の把握、②データ収集の調整、③パラメーターチューニング、④UI/UXの改修を含むアジャイル開発、⑤ICTが得意または苦手なユーザーへの研修の配慮など、社会課題解決に向けた社会実装で得た知見について発表を行う。
著者
古川 洋子 平田 京子 石川 孝重
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.80, no.713, pp.1587-1596, 2015 (Released:2015-08-18)
参考文献数
22
被引用文献数
3 4

This study estimates the number of evacuees that can be accommodated in 32 shelters in Bunkyo Ward and investigates shelters' refugee-acceptance preparations. Across shelters, the estimated evacuee number ranges from 500 to 2,500, with 2 shelters having an excess of approximately 1,000 people, who arrive because of house destruction and fires. Some shelters underestimate the number of these evacuees. Regarding the check-in procedure, counter-plans prove insufficient for large-scale evacuations and for shelters that do not follow the local government's policy regarding stranded commuters. Therefore, each shelter must estimate the number of refugees and establish an appropriate situation-based individual system.
著者
澤井 秀次郎 福田 盛介 坂井 真一郎 櫛木 賢一 荒川 哲人 佐藤 英一 冨木 淳史 道上 啓亮 河野 太郎 岡崎 峻 久木田 明夫 宮澤 優 植田 聡史 戸部 裕史 丸 祐介 下地 治彦 清水 康弘 芝崎 裕介 島田 貞則 横井 貴弘 藪下 剛 佐藤 賢一郎 中村 和行 久原 隆博 高見 剛史 田中 伸彦 古川 克己
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
pp.JSASS-D-16-00050, (Released:2017-08-03)
被引用文献数
8 7

SLIM (Smart Lander for Investigating Moon) is the Lunar Landing Demonstrator which is under development at ISAS/JAXA. SLIM demonstrates not only so-called Pin-Point Landing Technique to the lunar surface, but also demonstrates the design to make the explorer small and lightweight. Realizing the compact explorer is one of the key points to achieve the frequent lunar and planetary explorations. This paper summarizes the preliminary system design of SLIM, especially the way to reduce the size.
著者
竹内 雄毅 樋口 恒司 坂井 宏平 文野 誠久 青井 重善 古川 泰三 木村 修 田尻 達郎
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.76-80, 2014-02-20 (Released:2014-02-20)
参考文献数
16

11 歳女児.初潮以降3 回の月経周期に伴う右下腹部痛,腹部腫瘤および同部位圧痛を主訴に近医を受診したところ,腹部超音波にて骨盤内腫瘤を認め,精査目的に紹介となった.腹部CT にて重複子宮・膣と右膣閉鎖による右子宮膣留血腫を認めた.また右腎は無形成であった.Herlyn-Werner-Wunderlich 症候群(HWWS)と術前診断し,待機的手術を施行した.右膣閉鎖と膣壁膨隆を認め,膣中隔切開・内容液ドレナージ後,膣壁形成を施行した.以降,下腹部痛と腹部腫瘤は消失し,術後経過,月経発来も順調である.HWWS は,見かけ上,月経が正常に起こるため他の女性性器奇形(処女膜閉鎖,膣閉鎖)よりも診断が遅れることがある.治療は膣中隔切除と留血腫ドレナージで良好な成績を得られる.下腹部腫瘤と片側腎無形成を伴う二次性徴期女性の急性腹症に対しては,HWWS を考慮に入れて診断と治療を行うべきである.
著者
池田 幸夫 酒井 啓雄 古川 博
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.17-18, 2007 (Released:2018-04-07)

潮汐現象は高校地学で学習する身近な自然現象の一つである。高校地学の教科書では、潮汐は次のように説明されている。①潮汐は主に月の引力と地球の公転による遠心力の合力によって起こる、②月に面した側とその反対側で満潮となる。③満月と新月の時に干満差が最大になる(大潮)。④満潮と干潮は一日にほぼ2回起こる。このうち満潮と干潮の時刻については、問題があるのである。満月の日に月が南中するのは真夜中の 0 時である。したがって、①が正しいならば、大潮の日の満潮は真夜中と真昼に起こらなければならない。ところが、実際には朝と夕方に満潮となり説明と矛盾している。この矛盾は、潮汐の波の速度(約 200 ㎞/s)が地表面に対する月の移動速度(約 470 ㎞/s)に比べてはるかに遅く、月の動きについて行けないことが原因である。本研究では、潮汐を単振動モデルで表し、月の引力の変動に対する海水の運動を力学的に考察して、月の運動に対して潮汐波の位相が 180 °のときに周期的に安定した運動になると考えれば、この矛盾を説明できることが明らかになった。
著者
古川 睦久
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.406-414, 2018 (Released:2019-04-23)
参考文献数
37

Polyurethanes are synthesized by reaction of polymer glycols, diisocyanates and active hydrogen compounds as chain extenders (curing agents). Chain extenders are low molecular glycol and diamine. Elucidation of the reaction mechanism of isocyanate with active hydrogen compound is indispensable to expand the dream to create new polyurethane. Recent advances in computer chemistry has greatly contributed to understand the reaction mechanism of active hydrogen-containing compound and isocyanate. This article, at first, reviewed the progress of the reaction mechanism of isocyanate, and then described the features of the new diisocyanates, polyol, curing agent, and catalyst.
著者
古川 敏明 ハウザー エリック 大野 光子
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.197-212, 2023-09-30 (Released:2023-10-31)
参考文献数
14

日本の保育所は共感の社会化を主要な目的とし,従来に比べ,保育士が子どもたちの間で生じた揉め事に介入するようになったと指摘されている.本稿は東京都区部にある保育所の2歳児クラスを対象として,大人と子ども間の相互行為をマルチモーダルに会話分析する.特に,遊びの最中に生じた子ども間の揉め事に養育者が介入する場面において,2人の養育者が発話と身体資源を用いて「行なっていること」にどのような核心的相違があるかを記述する.また,養育者たちの発話や身体資源をモラル性の社会化におけるどのような志向の違いとして記述できるかも探究する.養育者が子どもを自らの行為に責任を負う主体として扱う発話を行ない,かつ,視線,身体の配置,道具の使用を含むマルチモーダルな働きかけを行った介入では,子どもから望ましい応答を引き出し,モラル性の社会化が達成されている.
著者
古川 雄大 崎山 翼 若宮 千武 一甲 絢子 松村 翼
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.640-643, 2020-11-01 (Released:2021-11-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

ヤマトシジミは幼虫時期に単食性であるにもかかわらず,外来種のオッタチカタバミに産卵していることに気づいた.そこでカタバミ,アカカタバミ,オッタチカタバミ,ムラサキカタバミの4種を材料として,ヤマトシジミの産卵数や成長量,食草の色調や成分について調査をした.その結果,ヤマトシジミはムラサキカタバミ以外の3種で成育した.さらに,ムラサキカタバミをシュウ酸量以外の要因で区別している可能性が示された.
著者
吉敷 由起子 チン ギルバート シー 岡村 航 岩﨑 慧 古川 玲 杉山 健斗 呉 聖屹 白川 正之 川村 雅彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.11, pp.862-871, 2022-11-01

Society5.0の時代では,サイバー・フィジカル空間が相互に作用し,電波システムに関しても新たな設計・評価,検証を短時間で実現することが求められる.本論文ではサイバーフィジカルシステム上でエミュレーションを可能とする電波伝搬モデルの開発を目的として,レイトレーシングベースでの研究開発を行っている取り組みについて紹介する.広域環境として,ドローンによる橋梁のインフラ点検業務などを対象としたシナリオでの電波伝搬モデルの検討を,狭空間では,スマート工場を想定して,人や機械が動く環境を対象としたシナリオでの伝搬モデルの検討について述べる.また電波伝搬の解析には構造物の3Dモデル化が重要になってくるので,点群データからレイトレーシング解析用の3Dモデル化の研究内容についても述べる.
著者
張 暁彦 伊藤 真人 渋谷 和郎 塚谷 才明 古川 仭
出版者
Japan Otological Society
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.232-234, 2001-07-25 (Released:2011-06-17)
参考文献数
14

Lyme disease is Borrelia infection that primarily affects the skin with a characteristic rash, erythemamigrans (EM), but recently the neurologic manifestations (Neuroborreliosis) of this disease have beenreported.A 27 year-old woman presented with unilateral acute sensorineural hearing loss and tinnitus in her leftear. These symptoms were progressive. Vision in her left eye has been hampered considerably after threeweeks, and it was diagnosed as post-ocular neuritis. And paralysis of the left side body was developed withina month. Because this patient didn't have a history of tick bite nor skin rash (EM), the diagnosis wasextremely difficult. After taking minocycline hydrochloride to treat atheroma with infection in her left auricle, incidentally the symptoms were improved.Systemic infection was considered and Borrelia burgdorferi serum antibodies was examined. IgM-antibodiesof B. garinii and B. afzelii were detected in her serum, so Lyme disease was diagnosed. The left sensorineuralhearing loss and other symptoms were recovered in some degree after treatment for Lyme disease.After half-year the left sensorineural hearing loss with other neurologic manifestations were recurred, and the periodical observation should be required.
著者
古川 俊治
出版者
一般社団法人 日本計画行政学会
雑誌
計画行政 (ISSN:03872513)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.33-38, 2023-05-15 (Released:2023-06-08)
参考文献数
21

Multiple Chemical Sensitivity (MCS) is a controversial disorder characterized by a recurrent set of diverse clinical manifestations, involving a broad spectrum of organ systems, that are induced by environmental chemicals at doses far below those usually harmful to most persons. To prevent MCS and other adverse effects on human health from environmental chemicals, concentration thresholds of frequently used chemicals in homes, workplaces, and schools are defined by several legal and administrative regulations. However, only a small percentage of the tens of thousands of environmental chemicals in use have been evaluated for toxicity and accumulation, and recent amendments of laws and regulations are directed toward comprehensive management of chemicals as a whole.
著者
古川 正紘 永谷 直久 橋本 悠希 梶本 裕之 稲見 昌彦
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 32.22 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.73-77, 2008-06-02 (Released:2017-09-20)
参考文献数
7

This paper reports detection threshold of human hairy skin when a vibration is presented on a skin via the hair human has. This vibration is provided from a tip of an instrument which travels horizontally against the human skin also the tip holds the hair. And the stimulation point is the middle of hair on the back of human finger, then the instrument does not contact with the surface of the skin directly. Presented stimulations have any frequency and amplitude, we measured threshold this vibration is detected. After some tentative experiments with three persons, the detection thresholds of human hairy skin represent a curve similar to the threshold curve of Patinian. This result has a suggestion that the stimulation infects Patinian capsule.
著者
古川 浩 高橋 一雄
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.66-74, 1981-04-15 (Released:2018-02-28)

昭和53年2月28日に地下鉄東西線の上り電車が荒川・中川橋梁上で転倒した原因は,橋梁の下をくぐり抜けている防潮堤に事故当時西南方より吹きつけていた強風がつき当たって水平から9.17°上向きに風向きを変えて橋梁に達し,更に現場では橋梁の中間中桁に遮られて強い“吹き上げ”現象を起こした.そのため,車両の側壁に及ぼす西南風の水平分力と車両底面を突き上げる“吹き上げ”の合力によって事故が発生したことが明らかになった.本論文はこの現象の解明を調査結果を踏まえて理論及び計算によって 示したものである.
著者
中村 祐介 吉富 秀幸 清水 宏明 大塚 将之 加藤 厚 古川 勝規 高屋敷 吏 久保木 知 高野 重紹 岡村 大樹 鈴木 大亮 酒井 望 賀川 真吾 宮崎 勝
出版者
一般社団法人 日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.258-264, 2015-04-20 (Released:2015-05-08)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

【目的】膵腺房細胞癌(以下ACC)は稀な膵腫瘍であり,その発生頻度は全膵腫瘍の約0.4%とされる.本疾患の臨床病理学的特徴には未だ不明な点も多く,自験例での検討を行った.【対象】2004年から2011年までに当教室で経験し,組織学的に確認し得たACC 4症例.【結果】平均年齢は68.2歳,全例男性で,CT検査画像では境界明瞭で内部不均一な低濃度腫瘤影を呈し,血液検査では血清エラスターゼ1,AFP値の上昇を認めた.治療は3例に根治的切除が施行され,切除不能例には5-FU+放射線照射併用療法が施行された.切除例全例に肝転移再発を認め,追加切除または全身化学療法を施行した.治療成績では追加切除例で68.4ヶ月,切除不能例で70.0ヶ月の長期生存例を経験した.【結論】今後も症例の集積により,再発・転移例に対する積極的な制癌治療を含む治療戦略の検討が必要と考えられた.
著者
櫻井 悟 青山 一真 宮本 靖久 古川 正紘 前田 太郎 安藤 英由樹
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.239-242, 2015-09-30 (Released:2017-02-01)
被引用文献数
3

In this work, we demonstrated that cathodal direct current stimulation to the tongue inhibits salty and umami perception and investigated the relationship between magnitude of current and the effect size of the taste suppression. The acknowledgement from our work would contribute to the virtual reality and human health fields e.g., any tastes can be presented to human virtually and tastes modification would assist the diet.