著者
五十嵐 創 植野 研 尾崎 知伸 森田 想平 古川 康一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.30, pp.1-6, 2003-03-13
被引用文献数
1

チェロ演奏スキルは,訓練によって獲得される,筋骨格系の整合的な一連の動作を行う能力であり,、身体知の一種である.身体知の獲得の目的は,演奏,踊り,各種のスポーツなどのスキルを向上させることである.身体知のもんだいは,それが暗黙的であり,職業演奏家や,プロスポーツプレイヤーが自身で何をおこなっているのかを把握できない点である.本研究の目的は,身体知をモデル化し,その暗黙知を言語化することである.本論文では,特に基本的なチェロ演奏スキルのひとつとして,しなやかな弓の返し動作を取り上げ,そのモデル化にベイジアンネットワークを用いることを検討した.ここでは,その基本構想を明らかにする.In this paper, we discuss the problem of modeling human skill in Bayesian network. The purpose of skill modeling is to use the model to improve performances in such activities as playing instruments, dancing, and playing various kinds of sports. The difficulty of human skill analysis comes from its tacitness: even professional viloinists or cellists do not know how they are playing. This paper defines a basic framesork of the research by proposing possible representations and structures of the Bayesian networks for human skill, and by defining the purpose of model usage. We furthermore discuss how to assign conditional probability tables in each node of the proposed Bayesian networks by accumulating obserbational data by a motion capturing system as well as by a surface electromyogram. We also discuss how to compare profeessional players with amateurs using Bayesian network representations.
著者
長谷川 康弘 桝澤 美紀 桝澤 良和 小野寺 由香 古川 宇一
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.183-194, 1999-02-10
被引用文献数
2

本報告は,旭川市にある障害者地域共同作業所において,通所者の作業の一環として取り入れている乗馬活動を通して障害者は何を得たかを述べたものである。障害者の乗馬は,馬,障害を持つ乗り手,そして両者を理解する介助者の三者が揃って活動されるものである。特に障害児者を乗せる馬からは生きものと運動していることを馬の表情や動きから感じ取ることができ,馬にまたがる障害児者からは表情が生き生きとした笑顔に変わったり鼻歌が出たりといった心理的な変化を観察できた。また動物が苦手な障害児者が馬には触れることができたり,馬がきっかけで他の動物に興味を持ったりしている。そして馬の存在が障害のあるなしにかかわらずあらゆる人の交流のきっかけも作っている。
著者
持井 康孝 古畑 徹 志村 恵 東田 雅博 古市 大輔 弁納 才一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、日本全国の高等教育機関等に分散所蔵されている「青島旧蔵書籍」の全体像を調査・復元し、それを通して青島におけるドイツ租界の文化情況や中国人との接触情況、並びにドイツの対中国文化政策を明らかにすること、それらドイツ租界における情況を上海等におけるイギリス租界の情況と比較することにより、新旧帝国主義国家の対中国文化接触のあり方、並びにそれに対応する中国側のあり方の相違を明らかにすることの二点である。青島ドイツ租界に原蔵され、その後青島守備軍による接収を経て、日本の各高等教育機関に配分された「青島旧蔵書籍」に関しては、以下の作業を行なった。1)日本全国の高等教育機関等に現蔵される当該書籍や配分関連文書の逐件調査を行なった。2)その調査をふまえ、各冊ごとの書誌データ、青島における原蔵状況、守備軍による配分状況、現蔵機関における所蔵状況についての各種データを整理し、「青島旧蔵書籍」を各機関に配分したその計画リストの上に、その逐件調査によって得られた調査データを加えた新規データベースを作成した。青島ドイツ租界・上海租界におけるそれぞれの文化接触や文化政策についての比較検討を試みる「独・英の対中国文化接触」の研究に関しては、以下の作業を行なった。1)青島ドイツ租界・上海租界に関する記載を含むマイクロフィルム資料を収集・整理した。2)その資料の電子データ化を経て抽出した、租界内部やその周辺地域での文化・社会・経済政策に関連するデータ、並びに、青島及びその周辺地域の歴史やイギリスの対中国政策史に関わる中国側諸文献の分析を行なった。上記の調査・分析から得られたそれぞれの研究成果をまとめて、研究成果報告書として作成・公表した。
著者
手塚 耕一 河崎 悟朗 神頭 信之 下川 聡 中尾 古宏 内山 隆
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.28, no.12, 2004-12-01

現行MOやDVDの約13倍の記録密度を達成できる光磁気記録用OFH(Optical Flying Head)を実用化しました.OFHは青紫LD光を回折限界まで集光する高NAレンズ(NA:0.9)と高速磁界変調記録を可能とする薄膜コイルを,ハードディスクドライブ(HDD)に使用されているのと同等の浮上スライダ上に搭載した高性能光ピックアップです.このOFHと最新の高密度光磁気媒体とを組み合わせることにより50Gb/in^2以上の高密度記録を達成することが可能となりました.また,0FHの浮上量は約3μmで,現行HDDの約300倍あり,媒体交換が可能なリムーバブル装置を実現するほか,通常実験室で使用可能なOFH搭敏光磁気媒体評価設備(媒体テスク)の製品化も可能としました.
著者
八木 行雄 古内 進 高橋 秀之 小山 弘之
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.389-395, 1989-04-15
被引用文献数
1

Theileria sergenti感染牛赤血球の浸透圧脆弱性および膜形態の変化について検討した.実験感染牛では,原虫寄生率の増加にともない赤血球浸透圧脆弱性は亢進し,等張域における溶血率は原虫寄生率よりも明かに高い値を示した.この現象は密度勾配分画された各寄生率の赤血球においても同様であった.血清浸透圧は感染牛,潟血牛ともほぼ一定の値で推移した.走査型電子顕微鏡による観察の結果,重篤時の牛の赤血球は変形し,ほとんどの赤血球はEchinocyteの状態に陥っていることが判明した.またEchinocyteの比率は原虫寄生率よりも著しく高い値を示した.同様の現象は小型ピロプラズマ病重篤時の放牧牛においても認められた.以上の成績から,赤血球の浸透圧脆弱性と膜形態の異常はT. sergenti寄生赤血球のみならず,非寄生赤血球においても起きていることが示唆された.
著者
吉崎 正憲 上清 直隆 瀬古 弘 高山 大 楠 研一 つくば域降雨観測実験グループ
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.19-33, 1998-01-31
被引用文献数
5

1995年8月10日に関東平野で発生した雷雨について, 総観(1000km)・関東(100km)・雷雨(10km)の3つのスケールから, アメダス, 気象台や地方自治体の自記紙, 高層観測, ドップラーレーダーなどのデータを用いて調べた. 総観スケールの寒冷前線が関東地方を通る時に発生したので, 解析対象の雷雨は界雷型であった. しかし, この雷雨の発生や発達には, 総観スケールだけではなく関東スケールの風系も関与した. 関東平野の地上付近には3つの風系(非常に高温の南寄りの風I, 高温の北西寄りの風II, 低温の北東寄りの風III), およびその間には温度や風の不連続なシアラインが見られた. 雷雨は3つのシアラインが交差する付近で発生して, 風系IIIの中で発達・成熟した. それぞれの風系の気塊は温度・湿度・相当温位がほぼ一様でミニ気団的な特性を持っていた. 雷雨の最盛期には, 激しい降水による強い下降流とそれによる地上付近の顕著な外出流の雷雨スケールの流れが見られ, またそうした流れによってアーク状の雲が発生した. 風系IIIの寒気と北東風の生成について定量的な考察を行った. 寒気は風系IIIにあった別の雷雨の降水の蒸発の冷却効果などによって作られたものであり, 北東風は雷雨から吹き出すガストであったと結論された.
著者
古川 忠延 亀田 尭宙
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.841-843, 2008-11-01

今回の学生フォーラムでは,東京工業大学精密工学研究所の奥村学准教授にインタビューを行った.言語処理の分野で活躍する氏は,blogWatcherやPRESRIなど,研究成果を積極的にシステムとして公開している.そうした氏の研究室の運営理念や,今後のWeb研究に対するお考えなど,さまざまなお話を伺うことができた.
著者
木村 豪雄 小尾 龍右 古田 一史 三瀦 忠道
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.253-259, 2004-03-20
被引用文献数
2 2

難治性の腹痛を繰り返す周期性好中球減少症に対して漢方治療を行なった。症例は44歳の男性。18歳より約1カ月周期で繰り返す全身倦怠態と腹痛にて発症した。急性腹症の手術を契機に周期性好中球減少症と診断された。ステロイド,顆粒球刺激因子および免疫抑制剤などによる様々な治療が行われたが,寛解には至らなかった。さらに好中球減少の周期性は徐々に乱れ,激しい腹痛が持続するようになったため腹腔内神経叢ブロックを施行されたが,効果は持続しなかった。漢方医学的所見では著しい虚証かつ寒証に陥っていたため,通脈四逆湯と大建中湯合附子粳米湯で対応した。その後は,刻々と変化する腹痛に対して建中湯類を中心とした方剤を適宜変更することにより症状の軽減のみならず,好中球減少の周期性を改善することが出来た。
著者
古賀 崇
巻号頁・発行日
2009-12-19

第129回記録管理学会例会発表(2009年12月19日、大阪・富士ゼロックス)
著者
神場 知成 古関 義幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.354-359, 1999-04-25
被引用文献数
7

各人の興味などに合わせて情報を加工して提供するパーソナライゼーション技術について, 事例をもとに解説する. この技術は, World Wide Web (WWW)の発展により玉石混合の大量情報にアクセスできるようになった中で, 個人が情報の山に埋もれることなく役立つ情報を簡単に手に入れるための手段として最近注目を集めている. 本稿では, パーソナライゼーションを行うために必要な, ユーザ情報の取得, ユーザ興味の推定, 情報の加工と提示などの要素技術のほか, プライバシー保護のための活動, パーソナライゼーションとマーケティングとの関係についても述べる.
著者
嶺 竜治 亀山 達也 高橋 寿一 古賀 昌史 緒方 日佐男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.6, pp.868-875, 2009-06-01
被引用文献数
1

文字認識と単語レイアウト解析技術を用いて,紙文書の文字情報とサイバー空間のディジタル情報のリンクを張る手法を提案する.これまでに,WebサイトのURLが埋め込まれた二次元コードをカメラ付き携帯電話で認識し,そのWebサイトへ接続する技術が実用化されている.しかしながら,二次元コードを印刷するために文書レイアウトが制約を受けたり,印刷する二次元コードの数に制限があるという問題があった.提案する手法は,文書やページごとに紙面上の単語の並びが異なることに着目し,認識した複数の単語の相対位置関係を解析し,文書の種別や読取り位置を特定する手法である.そして,読取り位置とURLを対応づけたデータベースを作成しておけば,二次元コード等を文書に印刷することなくハイパリンクが実現できる.文書数4種,総単語数約9400の文書テキストデータを用いた原理実験で,97%の精度で文書種の特定を,また文書種が特定できれば約98%の精度で正しい単語位置を特定できることが分かった.また,カメラ付き携帯電話とPCを用いたプロトタイプを開発し,実際の携帯電話通信網での動作を確認した.今後は実験の規模を拡大するとともに,本方式を用いた様々なサービスの検討を行う予定である.
著者
市古 太郎
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.640-645, 2006-10-01

大都市は地震に対して脆弱である.この脆弱性は帰宅困難者問題のような直後期だけでなく,影響が長期間にわたる問題もある.その1つが本稿で論じる都市復興である.本稿では「事前に復興に備える」という視点で阪神淡路大震災以降,主に東京で取り組まれてきた「事前復興」の考え方を示し,その考え方に基づいて実施されている2つの訓練プログラムを紹介する.この訓練はこれまでの防災まちづくりに新たな可能性を付与するものであり,紹介と同時にその論点を提示したい.
著者
平古 場朗 森木 弘樹 石橋 龍吾 森本 昌宏
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.342-346, 1972
被引用文献数
1

An examination was made on the sensitive spectrophotometric determination of ammonia-nitrogen in water. Ammonia was determined indirectly by measuring the blue complex produced by reaction with potassium iodide-starch reagent and chloramine compound, which was formed by the reaction of ammonia and hypochlorite at pH 5.4. Unreacted hypochlorite was destroyed with ferrous sulfate before addition of potassium iodide-starch reagent. The absorbance of developed color of the blue complex was measured at 570 mμ. The method was applicable for the determination of ammonia-nitrogen in the range of 0.01 to 0.4 ppm, at between 21 and 26°. The standard deviation was 2.2% on an average absorbance 0.496 of a sample containing 0.2 ppm of ammonia-nitrogen.