著者
井手 淨 鈴木 弘明 古閑 仁美 嶋田 純
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.197-203, 2019-08-31 (Released:2020-03-04)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

熊本地域における地下水観測井の管頭標高値は,2016年4月に発生した熊本地震で変動している可能性が高いが,地震後の再測量に対する方針は管理行政団体毎に異なる。そこで,2017年3月に観測井管頭標高の一斉再測量を実施し,地震後の水位標高値が再測量した値を基準とするよう独自に補正値を求めた。また地震前後の管頭標高値の変動が地震による地盤標高の変動量と整合しないケースも確認された。検証の結果,地震以前の管頭標高値にエラーが考えられた。これについても熊本地震以降の一斉再測量値を基準に地震による地盤変動量を差し引くことで,地震以前の管頭標高値を再現する補正値を併せて求めた。本報告では補正値の導出過程を報告する。
著者
城間 吉貴 北條 優 福本 晃造 レンゼッティ アンドレア 宮国 泰史 古川 雅英 杉尾 幸司
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.335-336, 2020

<p>琉球大学では,科学技術振興機構の支援を受けて2018年度より琉球大学GSCプログラム(琉大カガク院)を実施している。この事業では,早期から高校生の基盤的能力を伸長させる機会を提供している。このプログラムによる受講生の能力・資質の伸長を把握するため,受講前と受講後に受講生の能力評価を実施した。その結果から,琉大カガク院の受講により,受講生の研究基礎力が多面的に成長していることが示唆された。</p>
著者
下田 義文 鈴木 真次 石川 信隆 古川 浩平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.480, pp.97-106, 1993
被引用文献数
2

本研究は, コンクリート製砂防ダムの耐土石流衝撃設計に資するため, まず個別要素法による衝撃応答計算モデルを作成し, 次にこのモデルを用いて土石流に含まれる巨礫の衝撃に対する砂防ダム袖部の衝撃応答解析を行った. この結果, 個別要素法による衝撃応答計算モデルが, 砂防ダム袖部の小型模型実験における衝撃応答, サンドバッグの緩衝効果および実砂防ダムの土石流による被害形態をよくシミュレートできることを確かめた.
著者
古井 秀法
出版者
人体科学会
雑誌
人体科学 (ISSN:09182489)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-10, 2020-07-15 (Released:2020-07-23)
参考文献数
30

近年、坐禅に興味のある人が増え、実際に坐禅指導を受けようとする人も増えているが、坐禅を行う際に適切な指導者を見つけることは比較的困難である。これでは、潜在的な坐禅体験希望者に対応できない状態である。本研究では、このような問題を解決するために、ICT (Information and Communication Technology) を活用することによって坐禅を遠隔指導することが可能であるかについて検討する。従来の対面による坐禅指導とビデオ通信システムを利用した遠隔指導を比較し、検証を行った。被験者の生体反応を記録し、心拍変動( HRV) と脳波( EEG) を指標として分析を行った。結果として、対面指導と遠隔指導に、有意な差はなく、坐禅を遠隔によって指導することが可能であることが確認できた。さらに、坐禅の熟達者における心拍変動と脳波における相互関係についても検討を行った。その結果、熟達者の坐禅に於いては、心身はリラックス状態であるが、脳は活動的になっていることが解析結果によって明らかとなった。
著者
堀池 洋祐 山口 弘誠 古田 康平 中北 英一
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2017

近年,線状メソ対流系による豪雨災害が日本各地で増加する傾向にある.このような豪雨災害の被害を減少させるためには,数値予報モデルを用いた高精度な予測情報が求められている.モデルを用いた短時間降水予測では,最適な初期値を与えることが予測精度向上に大きく影響する.そのため,データ同化は最適な初期値を与えるための有効な手法の一つである.線状メソ対流系の初期の同化による発達の予測はある程度成果が出始めているが,気象レーダーを用いたデータ同化によるメソ対流系の発生段階の予測に取り組んだ既往研究はほとんどない.本研究では,中国地方4基・近畿地方4基のXRAINから得られるレーダー反射強度Z<sub>HH</sub>から推定した雨水混合比<em>q<sub>r</sub></em>,偏波レーダーから推定した固相降水粒子混合比を同化することでメソ対流系の発生段階における予測精度向上を狙う.<br />本研究では,2012年7月15日に京都,亀岡で起きた豪雨事例を対象とした.メソ対流系が発生した原因の一つとして,中下層の低温化の気塊が六甲山上空を通過した際に大気不安定をもたらしたと考え,メソ客観解析の気温データをメソ対流系発生前にあたる23:00-23:45に同化した.その結果,中層が低温化し,対流セルが発生した.この結果を踏まえ,雨滴の蒸発による低温化を期待してXRAINの同化を行った.結果として,六甲山系中層の温位低下と水蒸気混合比の増加が確認できた.しかし,対流不安定になるほどの気温低下は起こらず,強いメソ対流系を発生させるには至らなかった.<br />そこで,六甲山でメソ対流系が発生する約5時間前に山口県で降り続いた降水が蒸発しながら東進し,中下層の低温化をもたらしていると考え,同化する時間帯をメソ対流系が発生する時間帯から大幅に早め,同化領域を山口県が含まれるように西側に広く取った.山口県沖から東進する雲をターゲットにして同化を行うことにより,中下層の低温化を引き起こし,メソ対流系初期の降水予測精度を向上させることを目指した.その結果,XRAINの同化によって中下層で低温化が起こり,低温域が六甲山域に到達するタイミングで40メンバー中の7メンバーにおいて対流セルを発生させることに成功した.今後は,雲微物理モデルスキームの改善による予測精度の向上や,アンサンブル予測情報の有効な利用手法の検討について考察していく.
著者
古川 昭雄
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.77-85, 1975-06-30 (Released:2010-06-22)
参考文献数
14
被引用文献数
1 3

明・暗両条件下におけるポプラ葉のCO2交換速度に対する通気速度の効果を種々の光・温度・CO2条件下において調べた.純光合成速度に対する通気速度の効果は, 温度によってはほとんど影響されなかった.照射光強度が高い時は通気速度を高めると純光合成速度は著しく促進されたが, 光強度が低い時は通気速度の促進効果は低かった.明呼吸 (明条件下の呼吸) 速度は高い通気速度の時に高い呼吸速度を示したが, 暗呼吸速度はほとんど通気速度によって影響されなかった.明条件下においては光呼吸によって葉外に放出されたCO2が光合成の再固定作用のために再吸収されるが, 暗条件下においては光合成の再固定作用がない.すなわち, 通気速度を高めると再固定作用が阻害され, 見かけ上, 明呼吸速度が高められるからであろう.また, CO2補償点も通気速度によって影響されなかった.この原因は, CO2補償点下での光合成に対するCO2供給は細胞内で光呼吸によって放出されたCO2によっているためであろう.通気速度によって光合成速度が高められる一因は, 葉へのCO2供給を良好にするためと考えられる.CO2供給速度は, 今回の実験においては, CO2濃度と通気速度の1/3乗の積によって定められた.
著者
高澤 麻理絵 町田 治郎 上杉 昌章 古谷 一水 押木 利英子 田中 宏和 野原 友紀子 平井 孝明 松波 智郁 鈴木 奈恵子 岩島 千鶴子 廣田 とも子 脇口 恭生 本吉 美和 岸本 久美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BbPI1161, 2011

【目的】Dynamic spine brace(以下DSB)は、梶浦らにより開発された脳性麻痺の側彎変形に対する体幹装具で、従来の硬性コルセットと比較し可撓性に富み、利用者の受け入れが良く、長時間の装着が可能という特徴を持つ。また介助者側からみた特徴としては、装具の着脱が行い易い、患児の体幹が安定するなどがあり介助量の軽減も報告がされている。今回、当院においてDSBを作製した患者に対し、介助者の主観的評価として満足度・介助負担感、機能的評価として側彎進行度・1回換気量について調査を行ったので報告する。<BR>【方法】対象は当院でDSBを作製した患者で、使用前と使用1M後、3M後に比較可能であった男児1名女児5名であった。GMFCSはレベル4が2名、レベル5が4名であり、装具使用開始の平均年齢は9歳5か月であった。評価項目は、介助者の主観的評価として、1) DSBへの満足度、2)介助負担感(装着・移乗・更衣動作・排泄)、3)動作や姿勢の変化点、その他の気づいたことを自由意見として聴取した。満足度と介助負担感は10点満点で、負担感は大変なほど点数が高くなり、満足度は、満足しているほど高くなる。介助者への聴取は同一検者が行った。機能的評価として、1) コブ角測定 ( 整形外科医師によるレントゲン画像読影 ) 、2) 1分間の平均1回換気量測定(IMI社製Haloscaleを使用)を行った。平均1回換気量は、分時換気量を呼吸数で割って求め、これを3試行し平均値をとった。主観的評価は、6人分を平均して、使用後1M後と使用3M後の2群に分けて比較した。機能的評価(コブ角、平均1回換気量)は使用前と使用1M後、使用1M後と使用後3Mにおいて対応のある2群の中央値の差の有無をウイルコクソン符号付順位和検定を用いて調べた。<BR>【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者および保護者には事前に書面および口頭にて説明を行い、アンケートの提出をもって同意を得るものとした。<BR>【結果】主観的評価:1)DSBに対する満足度は使用1M後7.2点、使用3M後7.3点であった。満足度の主な減点理由として、全員から熱がこもる、汗をかくという意見があった。2)装着に関する負担感は、使用1M後3.5点、3M後3.3点で、装着する位置が難しい、装着動作が大変という意見があった。移乗介助の負担感は使用1M後5 点、3M後4.5点で、身体にフィットせず抱きにくいという反面、低緊張なので装具がある方が抱きやすいという意見もあった。更衣介助の負担感は使用1M後3M後ともに平均3.0点、排泄介助の負担感は使用1M後4.5点、3M後6.5点であった。排泄介助に関しては、1日に何度も着脱し汚れの配慮が必要との声があった。3)家族から聴取した動作や姿勢の改善は全例で認められ、臥位・座位姿勢の改善、座位時間の延長、座位で上肢が使いやすい、座位が自立した等があった。機能的評価:コブ角は使用前平均49.5度と使用後1Mで44度、3Mで45.9度であった。使用前と使用1M後、使用1M後と3M後で統計学的有意差は認められなかった。平均1回換気量は、使用前平均108.4 ml、使用1M後94.3 ml、 3M後133.3mであり、使用前と使用1M後間で有意な低下(p<0.05)、使用1M後と3M後間に有意な改善がみられた(p<0.01)<BR>【考察】DSB使用後の動作や姿勢に関する家族の評価は概ね良好であり、満足度も高い評価を得られたが、介助負担感(装着・排泄・移乗・更衣)については、先行研究のような長所のみでは必ずしもないことが明らかになった。装具適応については介助者に対しての事前の十分な説明や教育が必要であると思われた。今回の対象者は、全員が初めての装着であり負担感が少なからずあったと考える。さらに調査期間が3Mと短かったことから、もっと長期の使用があれば装具を常用することへの習熟や慣れが生まれて負担感は軽減する可能性があると考えた。機能的評価でも、コブ角は有意な改善が見られず、平均1回換気量に関しては使用前と使用1M後間で有意に低下し、その後の使用1M後と3M後間で有意な改善がみられた。このことから機能的改善も使用直後には見られず、改善がみられるには3M以上を要することが推察された。今後、機能改善の評価に適切な評価項目を吟味するとともに、追跡調査を続け長期間にわたるDSB使用に関する機能評価をする必要があると考えた。<BR>【理学療法学研究としての意義】脳性麻痺などの中枢神経系障害に起因する二次的な側彎変形に対して、新たに開発された装具の効果について検討を行った。重度重複障害児の側彎変形は児の生命やQOLに関わる重要な問題であるにもかかわらず科学的根拠を求める研究は少ない。本研究は重度重複障害児の側彎変形に対する試みであり、得られた知見は小児分野の理学療法学研究に寄与するものである。
著者
野末 俊比古
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.1-8, 2017-03-15 (Released:2017-09-22)

情報リテラシー教育を中心に,大学図書館における教育・学修支援について,概念・動向の整理を試みつつ,「新しい学び」に向けて検討を要すると思われる論点のなかからいくつかを取り上げ,考察を行った。具体的には,カリキュラムに基づく教育・学修支援として図書館サービスを位置づけたうえで,情報リテラシー教育について二つの側面を提示し,デザインにおける枠組みを指摘した。また,体系的なプログラムの構築にあたって必要な三つの観点を提案した。最後に,アクティブラーニングとの関わりに言及した。
著者
鬼柳 善明 加美山 隆 古坂 道弘 宇野 彰二 持木 幸一 篠原 武尚 木野 幸一 佐藤 博隆 長谷美 宏幸 甲斐 哲也 塩田 佳徳 岩瀬 謙二 矢代 航 大竹 淑恵
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

パルス中性子源を用いたエネルギー分析型透過イメージング法の高度化と応用分野の拡大を行った。まず、解析コードを改良し、焼き入れ鉄のマルテンサイト相、日本刀や新材料の結晶組織構造情報の分布を得、硬さ分布の非破壊測定法を見いだした。さらに、CT法の開発を行った。水素貯蔵合金への適応可能性を示すとともに、小角散乱イメージング法を開発し、共鳴吸収スペクトルの定量解析を可能とした。磁気イメージング法の定量性の評価と磁性薄膜への応用、さらに、世界初のパルス中性子による位相コントラスト測定を成功させた。また、高計数率2次元検出器やカメラタイプで短時間チャンネル飛行時間測定ができる検出器の開発に成功した。
著者
古森 元章 佐々木 邦雄 芝 啓一郎 山野 耕一郎 植田 尊善 浅川 耕司 森永 政博 吉浦 光三 Nobuaki Tsunoda
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.284-288, 1985-07-25 (Released:2010-03-16)
参考文献数
4

It is important to grasp sufficiently general and neurological findings in acute cervical cord injuries. In rare cases, It is difficult to grasp exact neurological findings due to disorder of serum electrolyte concentrations. To take an accurate neurological findings, it is necessary to improve serum electrolyte disorder. We examined serum sodium concentration in 85 patients of acute cervical spinal cord injuries. In one case, we could not take accurate neurological findings at the emergency room, probably because of serum electrolyte disorder.
著者
本田 泰弘 井上 博雅 義田 博 藤原 秀雄 古谷 生 小坂 二度見 杉原 正晟
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.57-61, 1985-06-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7

最近3年間の鍼灸学校卒業者の進路と実態についてアンケートを行なった。回収数288で, 回収率は28.8%であった。結果, 鍼灸学校卒業者の進路は, 鍼灸院開業41%, 鍼灸院関係勤務27%, 病院関係勤務25%であった。現在開業している者と将来開業を希望している者とを合わせると, 76%であり, 卒業生の多くは開業を目的としており治療費, 患者数, 年収などについてはそれぞれの進路により差があることが判明した。
著者
橋本 隆志 濱田 郷子 羽渕 琢哉 杉山 和雄 古屋 繁
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

本研究ではサービスを増幅させるための、5つの方法を考えた。<br>サービス工学の分野において、サービスの増幅方法は「強化」と「増殖」の2パターンが存在すると定義されている。<br>「強化」では、プロダクトライフサイクルにおける、様々なサービスを複合的に組み合わせて提供する方法を"サービスのカプセル化"と定義し、製品を持続させる10個の提供方法を考えた。<br>また、既存のサービスを発展させる"ホリスティックサービス"では、周囲の環境を利用して、共有サービスの本来の価値を高めることがわかった。<br>「増殖」では、使い手を増殖させるサービスを"カスタマイゼーション"と定義し、個別サービスのレベルを3段階に分けた。<br>ニーズに合った提供方法でサービス増殖させる"機器の目的"では、委託,代役,適応の3つの拡大方法を示した。<br>情報の窓口を増殖させる"ポータルサービス"では、既存の共有サービスのwebサイトを解析し、再分類をおこなった。