著者
藤部 文昭 瀬古 弘 小司 禎教
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.777-786, 2003-10-31
被引用文献数
8

23年間のアメダス1時間値資料を使って,夏の午後に関東平野で発生する降水の分布と地上風系との関係を調べた.日最高気温が28℃以上で,午前中に降水がほとんどなく午後に降水のあった239日を対象にし,12〜24時の降水量分布をfuzzy c-means methodを利用して6つの型に分類した.このうち4つは主に北関東で降水がある型である.これらにおける14時の地上風系は,平野全体を南寄りの風がおおう"広域海風"を成すが,降水のない日に比べて平野中部の収束がやや大きい傾向がある.また,夕方以降になると北関東では北東風が吹く.この北東風は,降水に伴う冷却域からの北寄りの外出流と東寄りの海風とが重なったものと見なすことができ,かつ翌日にかけての総観的変化の1段階でもある.残る2つの降水型は,降水域が南関東に及ぶものである.そのうちの1つは東京23区に降水域の中心があり,14時の地上風系は鹿島灘から吹く東風と相模湾からの南寄りの風が東京付近で収束する状態になっている.
著者
稲毛 富士郎 古濱 和久
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.335-340, 1997-05-25
被引用文献数
1 2

肝障害時における肝臓残存予備能を推定する指標として, ヒト臨床ではICGの最大除去速度(Rmax)が繁用されている. しかし, ICG Rmaxの測定には短時間内に異なる用量での血漿中消失率(R)を求める必要があるため, 頻回採血の煩雑さや, 侵襲という点から, 覚醒ラットへの応用はこれまで殆ど試みられていなかった. 今回, ラット尾静脈からの微量採血法を用いて, ICG Rmaxの測定を可能にし, 肝障害モデルでその有用性を検討した. 実験には雄SD系ラットを用いた. その結果, ICGの投与量は2.5, 5, 10あるいは20 mg/kgの3-4用量が適切であり, 採血時間は, 投与前, 投与4, 7および10分後が最適であった. また, 各ICGの負荷は4時間以上間隔をあければ残留はなく, 必要全採血量は0.5 ml前後であった. 本条件下で2種の部分肝切除ラットで残存肝重量とICG Rmaxの関係を調べたところ, 得られた残存値はほぼ一致していた. 次に, 四塩化炭素(CCl_4: 0.1および0.25 ml/kg)をラットに17週間(3回/週)皮下投与し, 同一個体でICG Rmaxと血清生化学パラメータの推移を検討したところ, CCl_4投与50日以降, ICG Rmaxの低下と血清アルブミンおよびコリンエステアーゼの低下に有意な相関性が認められた. 以上のことより, ラットにおいてもICG Rmax測定は肝臓残存予備能の推定に有意であると結論した.
著者
谷川 毅 高儀 雅俊 一井 眞比古
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.249-251, 2002-03-15
被引用文献数
3 19

タマネギ品種の品種識別並びに品種間の類似度を評価するために, タマネギ22品種を用いてRAPD分析を行った.RAPD分析に100種類のプライマーを供試したところ, 17種類で再現性のある多型バンドが得られた.17種類のプライマーで合計88本の増幅バンドが得られ, その内35本のバンドが多型を示した.数種類のプライマーから得られた多型バンドを組み合わせることにより22品種全てを識別することができた.類似度は, 0.836-0.979の範囲であり, 品種間の遺伝的距離が近いようであった.類似度に基づくデンドログラムでは, タマネギ22品種は大きく6群に分かれた.'スーパーハイゴールド'は他品種と遺伝的に離れていた.各群に含まれる品種の形態的および生態的特性並びに遺伝的背景には一定の傾向は見いだせなかった.一方, 培養細胞からの植物体再分化能が高い品種では欠失し, 低い品種では存在するRAPDマーカーOPD-03-850が得られた.
著者
東 恒人 古川 暢隆 高山 和敏 中川 紀美男
出版者
岡山理科大学
雑誌
岡山理科大学紀要. A, 自然科学 (ISSN:02857685)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.271-279, 1996

This paper describes characteristics of whispered by compearing with voiced sound in case of plosive consonant. The following characteristics are shown. (1) Formants of back vowel almost agree with those of isolated vowel. (2) Back vowels influence on formants of constnant and attributes of synthesis sounds.
著者
夏目 誠 太田 義隆 古我 貴史 南野 寿重 浅尾 博一 藤井 久和
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.160-169, 1986-05-20
被引用文献数
7

職場不適応症の対応として,私たちが考案した治療的対応システム(後述)の効果や産業医の役割を知るために,直接関与した96名の職場不適応症者を対象に調査を行った.対象は,最近19年間に精神科外来診療を行っている大阪府立公衆衛生研究所精神衛生部外来(以下,当所診療所)を受診した54名と,私たちが精神衛生面の産業医をしている,社員数15,000名を擁する,ある企業の職場内診療所を過去14年間に受診した42名である.タイプ別内訳は,中核群が34名と最も多く,ついで脱落群26名,その他群15名,一過性反応群は13名で,専門職不適応群は8名に認められた.治療的対応システムの内容を中心にして,代表的な2症例を呈示した.1.私たちは,職場不適応症の治療的対応システムを考案した.その内容は,I.診療と諸検査,II.本人や家族へのカウンセリング,III.復職へのリハビリテーション,IV.職場関係者への治療的助言からなっている.2.治療的対応システムにより,96名中81名の職場不適応症者は,就業するようになった.3. 96名のうち,職場関係者への治療的助言が必要であった者は59名で,そのうち助言が受容された者(受容群)は,49名であった.拒否された10名(拒否群)は,いずれも当所診療所受診者であった.受容群のほうが,拒否群よりも職場によく適応していた.治療的助言として,治療的配置転換が27名と最も多く,ついで職務の軽減,指導が18名で,治療的仮出勤が13名であった.4.上記の治療的対応システムを活用するためには,精神衛生面を担当する産業医の役割が大であると考えた.
著者
岡倉 古志郎
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.22-43, 1944-08-15
著者
下塩 義文 三好 正純 古賀 広昭 徳田 正満 高井 朋昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.883-891, 1998-09-25
被引用文献数
30

平衡ケーブルの対地平衡度は, 平衡ケーブルに存在する, あるいは何らかの原因で生じた不平衡成分の大きさや分布状態によってどのように変化するか明確にされていない.本論文は完全に平衡と仮定したケーブルに任意に不平衡成分を付加することにより, 実際の平衡ケーブルを表すことを提案し, その対地平衡度の計算法を明らかにしたものである.大地を考慮した平衡ケーブルおよび不平衡成分を表す付加並列アドミタンス, 付加直列インピーダンスの入出力特性を3導体の継続行列で表現し, これらの継続行列を用いて, 任意の不平衡状態における平衡ケーブルの対地平衡度の解析を行った.実験例として, 端末機器接続や浸水等の障害により生じる静電容量不平衡が存在する場合, および試験接続時の対地平衡度の計算値を求め, 実測値とよく一致することを確認した.
著者
熊谷 由美子 紙谷 恒 古川 宇一
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.127-132, 1999-02-10

本報告は,旭川市内の小学校特殊学級に在席する,自閉症児Aちゃんとの個別指導の取り組みについて述べたものである。これまで行ってきたひらがなの一文字一文字の読み指導と併行し,単語は文字の集合体として成り立ち,意味を持っていることを知らせるための取り組みを行った。文字カードを読んで絵カードを選ぶ課題では,単語を構成している一文字一文字のそれぞれに対応する絵カードを選んでしまっていたが,横書きから縦書きの形に変えることでそれが「気付き」となり,すぐに改善できた。また,絵本の書き写しや歌詞カード作りなど,Aちゃんの好きなことを取り入れた活動を行う中で,歌詞を指差しながら確認するなどの成果が見られるようになった。