著者
富岡 義雄 兼子 樹広 及川 正明 兼丸 卓美 吉原 豊彦 和田 隆一
出版者
日本ウマ科学会
雑誌
日本中央競馬会競走馬総合研究所報告 (ISSN:03864634)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.22, pp.22-29, 1985

競走馬の中手骨 (Mc) における骨塩含量 (BMC/BW; g/cm<sup>2</sup>) の部位および左右肢間の差を明らかにするとともに, BMC/BWに影響を与える因子を検討するため, ボーンミネラルアナライザー (BMA) を用いて競走馬15頭28肢のMcを測定した. 放射性アメリシウム (<sup>241</sup>Am) を線源としたBMAの測定値は精度ならびに再現性に優れていた. このBMAを用いて水槽内に保定したMcを内外側方向で, 遠位関節面から1cmごとに20cm近位まで20個所のBMC/BWを測定したところ, その測定値を図示すると一定のパターンを示した. それは遠位関節面より1cmならびに17cm近位部にピークをもち, 遠位関節面より近位5cm部を最低値とするものであった. また左右Mc間に差はみられなかった. 緻密骨からなる骨幹中央部のBMC/BWは出走回数, 出走期間ならびに馬体重と有意の正の相関を示し, またこの値は59か月齢まで加齢にともない上昇した. 一方, 海綿骨のBMC/BWは遠位関節面から1cm近位部で極めて高値を示した. またこの値は出走回数出走期間ならびに加齢と有意の正の相関を示した.
著者
園田 敬太郎 和田 義彦 今村 嘉博 山中 成元
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.127, pp.27-36, 2019-06-30 (Released:2021-07-01)
参考文献数
7

近年,滋賀県ではニホンジカの生息数が増えており,県内主要茶産地である甲賀市では,野生シカが茶園に侵入して生育,収量への影響があると言われていたが,十分な状況把握ができていなかった。筆者らは,2016年7月に生産者にアンケート調査を行ったが,幼木園において被害を認める生産者は約7割,成木園において被害を認める生産者は約9割であることが分かった。同年9月から行ったトレイルカメラを使った実地調査では,侵入は夜間に多く,シカが自生する雑草を摂食する様子が認められた。しかし,10月下旬以降はチャ樹冠面の成葉を摂食する様子も観察されるようになった。また肥料として施用する「菜種油かす」がシカを誘引しているとの生産者の声があることから,数種類の有機質肥料に対するシカの行動を調査した。その結果,一般草地に出没するシカは「菜種油かす」は摂食しないが,茶園に出没するシカは摂食することを認めた。さらに数種類の有機質肥料に対する行動を調査したが,「魚かす」は摂食の対象になり,「ひまし油かす」は摂食されにくいと考えられた。
著者
武長 徹也 竹内 聡志 後藤 英之 吉田 雅人 西森 康浩 大塚 隆信 杉本 勝正 大藪 直子 土屋 篤志 多和田 兼章
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.1121-1123, 2009

<B>Background:</B> The purpose of the present study was to evaluate the clinical results of conservative treatment for rotator cuff tears.<BR><B>Methods:</B> 33 shoulders of 28 patients were evaluated and diagnosed as having rotator cuff tear with magnetic resonance image or ultrasonography in our institution. There were 13 male cases (17 shoulders), and 15 female cases (16 shoulders). The average age of the 33 shoulders at the time of the diagnosis was 70.9 years old (range 56 to 82 years) and their mean follow-up period was 37.5 months (range 12 to 106 months). With respect to tear size, 4 shoulders were categorized as massive tears, 5 were large tears, 14 were medium tears, 9 were small tears. There was 1 partial tear at the bursal side. The clinical results were evaluated by Japanese Orthopaedic Association shoulder scoring system (JOA score) and pre and post therapeutic active range of motion was also investigated.<BR><B>Results:</B> The average JOA score improved from 69.2 points at first exam to 84.0 points at the final follow-up. However, younger patients (less than 60 years old) showed deterioration. Improvement of active range of motion has been confirmed from 139 to 156 degrees in elevation, from 135 to 150 degrees in abduction, from 57 to 63 degrees in external rotation and from L2 to L1 level in internal rotation at the final follow up.<BR><B>Conclusion:</B> In most of the cases, clinical results of conservative treatment for rotator cuff tears were satisfactory except for younger and active patients.
著者
梅本 益雄 沢村 秀彦 江藤 良純 片山 仁 大和田 信義
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.1067-1073, 1990
被引用文献数
2

HDTV (ハイビジョン) のスタジオ用VTRは, 画質, ダビング (複製) 性能の点からディジタル記録方式のものが期待されており, BTA規格によるハイビジョン信号を記録するディジタルVTRの仕様がNHKからガイドラインとして提案されている.今回, これに従って, 1.2Gb/sディジタルVTRを試作した.現在, 実用化されているディジタルVTRに比べ, 高速, 高密度記録のため, テープヘッド系における誤り率の確保が重要課題となる.このため, 次の検討を行った. (1) 代表的な信号検出方式の中から, 新たに開発したメタルテープ, 多層化SAFヘッドの周波数特性, 雑音周波数特性に適した方式を求め, 積分検出を採用した. (2) 積分検出の高域補償として5タップトランスバーサルフィルタを用い, 0.345μm/bitの短波長記録で発生する大きな符号間干渉を除去した. (3) シャトルモニタやスロー再生などの可変速再生に対処するため, タイミングクロック抽出用PLLのループ内にテープ走行速度情報を取込む構成とした.
著者
戸田 善治 竹内 裕一 姜 雪婷 三浦 輔 宮田 知佳 山本 晴久 和田 敦実
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.133-143, 2013-03

本稿は,2011年度に社会科教育教室が開講した大学院授業「授業研究(社会)」における大学教員と大学院生の共同研究の報告である。日本政府は1990年に「入管法」を改正,すべての外国人を就労可・不可にはっきりと区別し,不法就労外国人に対する取り締まりを開始した。一方で,「定住者」資格を認めたブラジル・ペルー出身の日系人に就労を許可し,さらに「研修・実習」制度を中小企業にも活用しやすいように規制緩和し,事実上の就労を認め,この制度の目的が「途上国への技術移転,人材育成」であると一貫して主張してきた。これに対して,受け入れ企業は「単純労働力確保」,中国人実習生は「カネ稼ぎ」を目的とし,この両者間ではWIN-WINの関係にあり,日本政府のいう制度の目的とその運用実態には大きな乖離がある。そこで,この乖離状態に着目し,「外国人技能実習制度」の是非及びその改革案について考える授業を開発した。
著者
和田 仁孝
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.413-430, 2004-03-31 (Released:2009-10-19)
参考文献数
15

法は, そもそも「自律的主体」概念を要とする近代の秩序編制装置として「法主体化のプロジェクト」を推進してきた.しかし, 皮肉にもそれが可能であったのは, 法と対峙した共同的社会組織が, 法の偏頗性に起因する機能不備を補完していたからにほかならなかった.しかし, 現在, 共同的社会組織の融解にともなって, 人々の法制度への要求は過剰化し, そのことで法の機能不全も露呈してきている.法はそれが本来想定した「法主体」とは異なる, 流動的で多元的な「個人化」の波に直面せざるを得なくなっているのである.「公」「私」の境界の崩壊によって流出した「感情」や「日常的正義感覚」が, 法の個々人による「自前の解釈」への応答を要求し, もはや法は, 普遍的に妥当する実体的規範を説得的に人々の前に提示できなくなってきている.近代の「普遍的正義」という正当化原理が, 「個人化」の動きの中で, もはや有効に作動しなくなっているのである.法という, 「個人」を超越する普遍性に根拠を置く制度, 「個人化」とは対極にあるはずの制度が, 現在の, この「個人化」の流れに直面したとき, そこでは何が生じているのだろうか.ある医療事故訴訟過程の中に見られる「個人化」への対応, 司法の周縁を調整的に拡張するADRの試みなどを, ここでは検討していくことにしたい.
著者
大山 健二 和田 仁 高坂 知節
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.46-55, 1992-02-29 (Released:2010-04-30)
参考文献数
16
被引用文献数
2

Distortion product otoacoustic emissions (DPOAE) の計測による蝸牛機能の評価の臨床的な有用性について検討を行った。 正常の聴力を有し中耳機能に問題がないと考えられた例では, f2/f1=1.2とした場合, 10kHzから500Hzまでのf2に対して2f1-f2の周波数において雑音レベル上10-35dBの安定したDPOAEが検出された。 感音性難聴耳では, その聴力に応じてDPOAEレベルの正常値からの偏倚が認められた。 DPOAEは誘発耳音響放射と比較すると, 反応の蝸牛内の場所への特異性がはるかに高いと考えられ, その測定値をDP audiogramとして記録すると聴力図と極めて良く一致するものが得られた。 いくつかの問題もあるが, 本法が今後外有毛細胞機能低下の蝸牛内分布に関する客観的な情報を得るための臨床的検査法として, 盛んに利用されていくことが予想される。
著者
和田 恒彦 全 英美 宮本 俊和
出版者
一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
雑誌
日本東洋医学系物理療法学会誌 (ISSN:21875316)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.65-71, 2017 (Released:2020-07-07)
参考文献数
9

【目的】間接灸は火傷の可能性もあり温度特性について把握しておく必要がある。しかし先行研究 では1秒未満の詳細な温度変化を検討したものは見受けられない。そこで台座灸、温筒灸、棒灸 の温度特性について検討した。 【方法】4㎜厚のシナベニア板上に置いた1㎜厚のアメゴムシート上に熱電対を施灸部位直下(0.00 ㎜)、直下から外方3.75㎜、7.50㎜、15.00㎜、30.00㎜、45.00㎜の6点に設置し、温度インターフェ イスを介してパーソナルコンピュータに温度データを取り込んだ。棒灸は、熱電対からの高さ20 ㎜と100㎜とした。0.55秒間隔で600秒間計測し、各灸6回測定した。 【結果および考察】平均最高温度は台座灸55.9±5.0℃、温筒灸64.3±3.3℃、棒灸の高さ20㎜は 51.2±4.7℃、 100㎜は30.1℃±3.3℃だった。最高温度までの時間は、 台座灸160.7秒、 温筒灸154.5秒、 棒灸の高さ20㎜は126.7秒、100㎜は182.5秒だった。台座灸の温度曲線は漸増的に温度上昇後、 頂点付近は弧を描き、なだらかに温度下降をした。温筒灸は、台座灸よりも急激に温度上昇し、 頂点付近で少しゆるやかになり頂点から急激に下降した。棒灸の高さ20㎜は、漸増後、頂点はゆ るやかな弧をえがき、非常になだらかに直線的に温度は下降、高さ100㎜は非常になだらかに温度 上昇し、直線的に推移した。台座灸、温筒灸では施灸部外方7.5㎜以遠ではほとんど温度上昇がな かった。台座灸では最高温度付近で急激な温度変化があることがわかった。各種間接灸を使い分 けることにより、異なる刺激を与えることができる可能性が示唆された。 【結語】高頻度の温度計測および施灸周囲の温度測定によりこれまで不明だった台座灸、温筒灸、 棒灸の温度特性をとらえることができた。
著者
相良 節夫 大林 正直 壇上 光昭 村田 純一 和田 清 熊丸 耕介 三木 康臣
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

本研究では、(1)多変数線形システム(2)未知パタン変動システム(3)分布定数システム(4)電力システムの4種のシステムを対象としている。以下、各対象システムごとに順に研究成果の概要をまとめる。(1)一般化最小2乗推定値を得るための計算効率のようアルゴリズムを提案し、またバイアス補償最小2乗法を入出力に観測雑音がある場合に拡張した。最小2乗法の数値的不安定性のシステム・雑音特性との関連を解析した。さらに、多変数システムの表現法として、ベクトル差分方程式の重複形表現の有効性を明らかにした。(2)未知パタン変動として現れるシステムの故障の有効な診断法として、簡易診断部と精密診断部からなる階層的診断法を提案し、故障検出感度の事前評価法を考案した。また、診断の困難な適応制御システムを対象に、ファジィ推論法に基づく診断手法を開発した。さらに、分散形システムに対して、さブシステムごとに推定結果を統合して適切な診断を行うコ-ディネ-タの設計法を提案した。(3)分布定数システムの有限次元近似手法であるガラ-キン法について、座標関数の選び方と近似精度との関係を解析した。また、偏徴分方程式のパラメ-タ同定手法として、数値積分フィルタ・最適ディジタルフィルタを用いた手法を提案した。一方、高温金属面と沸騰水との境界の関度や熱流続の特性を、直接測定することなく分布定数システムの境界条件推定問題として求める方法を開発した。(4)複雑なシステムのモデル化が必要となる電力負荷予測について考察し、モデルを自動選択する1日先負荷予測、気温モデルによる負荷時系列の定常化処理を行う1週間負荷予測の各手法を開発した。また、発電機制御の新しい方式を提案し、簡単な構成によって制御性能・ロバスト性とも大幅に向上できることを示した。
著者
白柳 洋俊 平野 勝也 和田 裕一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.90-99, 2013 (Released:2013-12-20)
参考文献数
15

街並の雰囲気という表現に代表されるように,我々は明示的な指摘は難しいものの,何処か感じる街並の魅力をおよそ無意識ともいえるよう感覚的に捉えている.認知科学に基づけば,この街並の雰囲気の捕捉は,自動的処理により形成された街並イメージの認知と解釈できる.そこで,本研究では商業地街路を対象に,自動的処理による商業地街路の認知の存在を感情プライミングパラダイムに基づき検証した.その結果,特に商業地街路の心理的距離は自動的処理により認知されることを明らかにするとともに,その認知は店頭に陳列される実物商品の量に依拠しており,商品の量が多いほどポジティブな感情価として処理される傾向があることを示した.
著者
和田 哲也
出版者
Japanese Academy of Budo
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.13-23, 1992

Sekiguchi-ryu of Takeda family was a kenjyutsu-school transmitted in the Yoshino-river area in the province of Awa. In this school &ldquo;taryu-jiai&rdquo; was practiced vigorously with the new training method, &ldquo;shinai-uchikomi-geiko&rdquo;, in the latter period of Edo era. Almost all of the &ldquo;densho-rui&rdquo;, the traditional writings, of the Sekiguchi-school are owned by the descendants now. There were many martial arts schools whose &ldquo;densho-rui&rdquo; have been lost by now, so the Sekiguchi-school seems to be a quite important case for us to know the whole &ldquo;densho-rui&rdquo; of martial arts school. In this paper I intended to clarify the kind of &ldquo;densho-rui&rdquo;, their awarding order, and the relation berween the new training method and the traditional awarding order of the Sekiguchi school during the period of shifting from the old training method to the new one. The results can be summarized as follows: (1) The number of the kind of &ldquo;densho-rui&rdquo; in this school which are confirmed by now is about fifty. Among these, eleven kinds of &ldquo;denjyu-jyo&rdquo; and &ldquo;sho-jyo&rdquo; which were from &ldquo;Sekigwchi-ryu-hachikajyo&rdquo;to &ldquo;Injyu&rdquo;, formed the traditional awarding order of this school, and were transmitted orderly to the disciples. (2) Six Kinds of &ldquo;senkyo-jyo&rdquo; were &ldquo;sho-jyo&rdquo; to recognize the six classes of this school which were established at the end of the 18th century. The skillfullness of the technique of the new training method regarded considerably important object to recognize the classes. (3) The traditional awarding order of the Sekiguchi-school was not changed or abolished after the establishment of the six classes. Nevertheless the significance of the traditional &ldquo;waza&rdquo; and awarding order based on it disapeared gradually. (4) &ldquo;Toritate-seido&rdquo; of the Sekiguchi-school was a characteristic form to instruct the disciples and to operate the martial arts school, and had a kind of character of &ldquo;iemoto-seido&rdquo;. &ldquo;Toritate-seido&rdquo; had been made because the new trainning method came to be practiced mainly in the Sekiguchi-school.
著者
和田清
雑誌
アルコール研究と薬物依存
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.143-158, 1990
被引用文献数
9