著者
和田 英一 藤本 圭一郎 沖田 耕一
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.301-307, 2015

有人宇宙輸送システムは,そもそもハザードを発生させないことが最も重要である.しかしながら,100%の安全が保証されるシステムは存在しない.したがって,ハザードはある確率で発生するものとして,ハザード発生時に宇宙船を守る技術が必要となる.この安全上重要な技術のひとつがアボートシステムであり,ハザードが発生し,クルーの生存が脅かされる事態となった際に,運用を中断し,クルーを無事に離脱・帰還させるためのシステムである.本稿では,アボートシステムのうち,特にクリティカルなハザードである有人ロケットの爆発に対して飛行士の安全を確保する技術について論じる.
著者
和田山 正
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 = The Brain & neural networks (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.63-69, 2010-06-05
参考文献数
7
被引用文献数
1

圧縮センシング(compressed sensing)は,スパース信号に対するサンプリング理論である.ランダム線形測定過程により得られるサンプル信号からの原信号の再現可能性,計算量の少ない再現アルゴリズムの構成が圧縮センシングの重要な研究テーマとなっている.本解説では,Candes-Taoらによる原信号完全再現のための十分条件について解説を行う.
著者
和田 浩一
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.67_2, 2017

<p> 本研究の目的は、国際オリンピック委員会(IOC)会長を辞任した直後に立ち上げた万国教育連盟における教育改革の中で、オリンピック・ムーブメントの一要素として位置づけた芸術と美を、ピエール・ド・クーベルタン(1863-1937)がどのように展開していったのかを、連盟の具体的な活動内容とそこでの彼の問題意識とから明らかにすることである。芸術と美に関するクーベルタンの行動と問題意識の一端を明らかにすることは、2020年東京大会に向けて進められている文化プログラムの根源的な意味の問い直しにつなげられよう。本研究で用いた主な史料は、万国教育連盟が4年間に渡って発行した計4冊の機関誌『万国教育連盟報』(1926-1929)である。クーベルタンは「現代都市の教育学的役割」をテーマに開いた1926年の会議(ローザンヌ)では、民衆芸術をトピックの一つとして取り上げ、1928年には美を全体テーマにした会議をエクス・アン・プロヴァンスで開催した。『万国教育連盟報』ではこれらの会議の予告・報告がなされるとともに、ユーリトミー(eurythmie、調和・均衡)をキーワードとした芸術論・美学論が展開されていた。</p>
著者
和田 浩一
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.86_3, 2016

<p> オリンピズムへの無理解に危機意識を募らせつつ1925年にIOC会長を辞任したピエール・ド・クーベルタン(1863-1937)は、その直後に万国教育連盟を創設した。本研究では、4年間に渡って発行された計4冊の連盟報のうち、連盟の活動が総括されている第4号(1928-1929)を取り上げ、IOC会長辞任後にクーベルタンが示した問題意識を明らかにし、オリンピズムの内実を再検討する。連盟報第4号によれば、万国教育連盟の活動には2つの目的があった。1)中等教育や成人教育に対して、従来とは異なる原理に基づいた新しい教育改革プログラムを示すことと、2)「現代都市」が未来の教育学の中枢機関として機能するよう、特定の仕組みや取り組みを示唆することである。オリンピズムとの関連で特に注目すべきは、(1)一般教養はすべての人間が学べるように、そして人生を通した学びとなるようにしなければならない、(2)早期からの専門教育をやめ、「全体を考慮しながら学ぶ」必要がある、という2つの指摘である。IOC会長辞任後に示されたこれらの指摘は、当時のオリンピック・ムーブメントにおいて理解に至らなかったオリンピズムの内実を描くものであると解釈できる。</p>
著者
亀岡 慎一 礒田 修平 橋本 篤 伊藤 良栄 宮本 哲 和田 弦己 渡辺 直樹 亀岡 孝治
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-25, 2017

<p>高品質ワイン生産を目的とした最適ブドウ栽培管理のためには,ワイン用ブドウ栽培における科学的な理解に基づいた栽培環境の長期的なモニタリングが必要と考えられる.本研究ではワイン用ブドウ圃場の既設無線センサネットワーク(WSN)のシステム更新を行い,WSNによる圃場の生育環境情報取得と,生産者がその栽培環境情報を栽培に活かせるようなWebアプリケーション開発を行った.システムに関しては,無線規格の2.4 GHz帯からWi-SUN規格に準ずる920 MHz帯への変更とウェザーステーション・土壌水分センサの変更を伴う無線ネットワークシステムの抜本的な更新を行い,WSNからのデータ取得では,共通基盤クラウドを経由した圃場生育環境情報取得による観測項目名と単位名の標準化を行った.また,隣接して設置した気象庁の検定付きウェザーステーションのデータと比較することで,ウェザーステーションデータの精度検定を行った.開発したWebアプリケーションでは,栽培管理に有効な生育環境情報の二次栽培指標である有効積算温度(AGDD),Growing Season Temperature(GST),Coolnight Index(CI),Heliothermal Index(HI),Biologically Effective Degree-Days(BEDD),Dryness Index(DI)を求めることにより,科学的根拠に基づいた栽培管理に寄与する定量的指標の提供を可能とした.</p>
著者
加部 隆史 門脇 敏 和田 有司 野田 和俊 天野 久徳 梅崎 重夫
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.145-154, 2010-06-15 (Released:2016-09-30)
参考文献数
15

爆発性雰囲気においては,可燃物・着火源・酸素の結合により危険状態となり,これを放置しておくと危害に繋がる.爆発の予防と防護の基本概念および方法論を示す欧州規格EN1127-1 では,国際標準化機構(ISO) が定めるリスクアセスメントの原則を実践し,その結果に基づきリスク低減の方法論を提示している.この方法では,リスク低減の原則は第一義的に予防であり,爆発性雰囲気を生成しない条件作りをし,それでも危険が除去できない場合は,第二義的に防護として,安全装置を使用することを述べている.従来の電気的着火源以外に,非電気による機械的着火源,粉じん等が同等な危険源として列挙されている.本稿は,これらの考えの基となる合理的体系論としてのEN1127-1 の予防と防護-基本概念と方法論の概説および考察をしたうえで,今後の国内における爆発性雰囲気での課題を問題提起する.
著者
和田 仁孝
出版者
The Japanese Association of Sociology of Law
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.43, pp.22-30,232, 1991-04-30 (Released:2009-01-15)

This paper examines the conditions on which small Claim litigation process canbe more favorably accepted by lay litigants. The point is that, beyond the role of legal decision-malcer, judges should give emotional support lay litrgauts to help them establish theiv own strnctnred idea of their problems. In order to make this judge's newrole workable, followiny alternative perceptions on litigation, lawyers and small claim cases must be emphasized:1) litigation as a process of transformation of each litigants idea of his problem, 2) judge as dispnte processor or negotiator (not as "legal" profession), 3) small claim case as a complex which consists of emotioual, societal and legal problems.
著者
和田 仁孝
出版者
日本法社会学会
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.43, pp.22-30,232, 1991

This paper examines the conditions on which small Claim litigation process canbe more favorably accepted by lay litigants. The point is that, beyond the role of legal decision-malcer, judges should give emotional support lay litrgauts to help them establish theiv own strnctnred idea of their problems. In order to make this judge's newrole workable, followiny alternative perceptions on litigation, lawyers and small claim cases must be emphasized:<br>1) litigation as a process of transformation of each litigants idea of his problem, <br>2) judge as dispnte processor or negotiator (not as "legal" profession), <br>3) small claim case as a complex which consists of emotioual, societal and legal problems.
著者
寺山 裕 草津 航平 森田 倫太朗 カチョーンルンルアン パナート 和田 雄高 濵田 聡美 檜山 浩國
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.138-139, 2019

<p>半導体製造ではウェハ上に残留する直径100 nm以下の研磨ナノ粒子は重大な製造欠陥を引き起こすため,研磨後の表面洗浄は必要不可欠である.未だ解明されていないブラシスクラブ洗浄時表面近傍で発生するナノ粒子の付着・離脱挙動現象を,基板表面のみに局在するエバネッセント光で動的に観察した.本稿ではPVAブラシと異なった波長で蛍光するナノシリカ粒子を用いてブラシと粒子を色識別し,洗浄現象の可視化を行ったので報告する.</p>
著者
柴崎 隆一 青山 和浩 加藤 浩徳 村上 進亮 川崎 智也 新井 洋史 鳥海 重喜 渡部 大輔 和田 祐次郎 坪田 建明 古市 正彦 松田 琢磨 杉村 佳寿
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本課題は,研究代表者らがこれまでに蓄積したモデル構築やデータ分析に関する知見を活用し,全世界のすべての輸送モードを包含する統合的な国際物流シミュレーションモデルを構築して,世界各地の物流インフラ投資や越境抵抗削減などの実際の諸施策や,船舶大型化や新航路開拓(パナマ運河,北極海航路など)などの技術進歩が,輸送パターンにもたらすインパクトを定量的に予測するものである.
著者
杜多 哲 杉山 元彦 本城 凡夫 大和田 紘一 浅川 明彦 田中 信彦 佐古 浩 北村 章二 淡路 雅彦 飯倉 敏弘 熊田 弘 山本 茂也
出版者
水産庁養殖研究所
雑誌
養殖研究所研究報告 (ISSN:03895858)
巻号頁・発行日
no.18, pp.p13-29, 1990
被引用文献数
2

五ケ所湾において1984年から1989年の塩分の測定結果を用いて,ボックスモデルを用いた解析を行い次のことを明らかにした。(1)五ケ所湾内を1ボックスとした場合,滞留時間は多くの場合2~7日であり,平均は1984年から1985年で4.7日,1986年から1989年で3.3日であった。輸送係数は2月から4月にかけて最大値を,11月から1月にかけて最小値をとる傾向がみられた。(2)五ケ所湾に適用したボックスモデルで得られる輸送係数の精度は,5割の誤差範囲におさまるが湾口部(ボックス1)と中間部(ボックス2)の塩分差が0.05‰より小さくなると,誤差が大きくなる。従って海水交換が良く,塩分差の小さい時期にはより適切な観測点配置と,より精度の良い観測を行う必要がある。(3)五ケ所湾の支湾の1つである迫間浦は,他の支湾に比べ海水交換が著しく悪い。その原因の1つとしては,流域面積が小さいため流入する河川水が少なく密度流が他の支湾に比べ生じにくいこと,冬季の季節風によって生じる吹送流が,地形的な原因で海水交換に結びつかないことが考えられる。
著者
石原 昌信 玉城 健雄 平良 東紀 多和田 真吉 小波本 直忠 野崎 真敏 荒木 伸春
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.141-144, 2003-03-15
参考文献数
9
被引用文献数
1

パイナップル茎部の搾汁液画分がハブクラゲ(Sea Wasp, Habu-Kurage) <i>Chiropsalmus guadrigatus</i>毒素による溶血を阻害することが明らかになった.本抗溶血物質はパイナップル茎部の搾汁液からSephadex G-25, TLCおよびMiniQ PC32 2/3カラムを装着したにHPLCより均一に精製された.精製標品は260nm付近に吸収極大値を有し,14種類のアミノ酸から成るペプチドであった.パイナップル抗溶血物質はハブクラゲによる溶血を100&mu;g/mlで50%抑制した.
著者
坂本 恋 和田 勇気 大島 登志一
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.435-438, 2017-09-09

本研究では,多数の小さな仮想生物によるバーチャル生態系を構成し,3種が循環的な捕食連鎖をなすシミュレータを試作した.生物学への興味を引き出す教材に供することを目的とし,システムの実現にあたっては,ガラス製の実験器具をデバイスに組み込むなど,実際の実験のような体験を楽しめることを目指した.第2報では、「消費者」のみによる循環的食物連鎖モデルに「生産者」「分解者」を加えた生態系モデルの改良を試みる。