著者
多和田 裕司
出版者
大阪市立大学大学院文学研究科
雑誌
人文研究 : 大阪市立大学大学院文学研究科紀要 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.25-41, 2017

本稿は、マレー系ムスリムの行動についての分析をもとに、現代社会においてイスラームがどのように実践されているかを示すことを目的としている。イスラームは、おこなうべきこと、おこなうことが許されていること、禁じられていることが明確に区分されている宗教である。しかし現代社会においては、この区分についてムスリムの間で様々に意見が分かれる事柄が数多く存在する。これは、とくにイスラーム教義と非イスラーム的価値との境界線上にある事柄に顕著である。そのひとつが、ムスリムがクリスマスの祝祭に参加できるか否かをめぐっての論争である。ムスリムのなかには「メーリー・クリスマス」という祝賀を述べることすら禁じる者がいる一方で、参加することを問題視しない者も多い。本稿では、マレーシアにおいて近年交わされたムスリムによるクリスマス行事への参加をめぐる論争を取り上げ、イスラームの権威者および一般のムスリムの意見について検討する。結論として、マレー系ムスリムの行動はイスラーム教義だけではなく、イスラームの外側に派生する多民族性や消費社会における経済的論理といった要因によっても、形作られていることを指摘する。
著者
和田 八三久
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.352-357, 1972-07-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
13
被引用文献数
1

包装に使われているポリエチレンのフィルムをひっぱると, その方向によってはプスッと切れてしまうが,うまい方向の場合,ずるずると何倍にも伸びる。このときフィルムは一部分は伸び,他はほとんど伸びず,その境はかなりはっきりしている。そして,伸ばすとともにこの境が移動していく。これはなぜだろうか。高分子の構造をもとにして考えてみよう。
著者
和田 範雄 泉 岳樹 松山 洋 近藤 純正
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.13-22, 2016-01

測器近傍の障害物の有無が気温に与える影響を定量的に評価するため,放射による観測誤差が最大で0.04℃の高精度な測器による気温観測を行い,空間広さ(「周囲の障害物と測器との距離」と「障害物の高さ」との比)に注目して解析した.観測は,首都大学東京南大沢キャンパスの陸上競技場の芝地上6地点において,2014年8月22日~9月17日に行い,その内1地点では不織布の囲いを設置して,空間広さが小さい状態を人工的に作り出した.その結果,日中は,空間広さが小さくて天気がよいほど気温が高くなり,いわゆる日だまり効果(測器近傍の障害物による風速の減少に伴う地上気温の上昇)の影響が示唆された.一方,夜間は,空間広さが小さい地点ほど気温が低くなった.これは,囲いによる風速減少により上空大気との熱交換が抑制されるとともに,囲いの中に冷気がたまりやすくなることで放射冷却の効果が強められたことが原因と考えられる.また,日中と比べて夜間には地点間の気温差は小さくなったが,これは日中と夜間の正味放射量および風速の違いを反映したものと考えられる.
著者
和田 玲子
出版者
九州ルーテル学院大学
雑誌
紀要 (ISSN:13432133)
巻号頁・発行日
no.41, pp.21-31, 2011-07

本症例は新生児科の病棟内で、音楽を積極的に取り入れた療育を行うことで、児の情緒面の発達が促され、次第に母親の精神状態が安定していったという経過が得られた症例である。超低出生体重児で生まれ、呼吸のコントロールが上手くいかなかった女児母)(以下A子)は、気管開窓術後徐々に軽快し、1歳で退院許可が出たが、当初、養育問題・介護問題(曾祖のため、施設入所とい選択をせざるを得なかった。日々の療育の中で、次第に挨拶などの生活習慣が身につくようになったA子は音楽に対しては、曲に合わせて、リズムをとったり、好きな歌に笑顔を見せたり、機嫌の良い反応を多く見せ、意思表示や感情表現もはっきりと示した。その後、家庭環境が変化し、母親の希望が叶い、2歳で自宅に退院となった。また本報告では、小学校入学まであと一年と成長したA子と、母親、またA子が通う幼稚園の園長にインタビューした内容を記載するとともに、新生児科の病棟内に音楽療法や音楽を取り入れた療育があることがどのような意味をもつのか、医師やコメディカルのインタビューも統括して、その効果を考察していく。
著者
山根 健治 猪爪 亜希 和田 義春 林 万喜子 清水 明
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.115-121, 2008-01-15
参考文献数
17
被引用文献数
5

鉢花カーネーションの流通・消費段階での収穫後品質向上のために低照度下での生理および品質の変化について調査した.個葉の光補償点は'マイフェアレディ'ではPPFD 10.3 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>,'スカーレット'12.9 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>と算出された.Fv/Fm,&Phi;PSIIおよび葉のクロロフィル含量は120 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>では維持されたが,10 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>(16時間日長)においては著しく低下した.10 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>において花弁の糖含量とアントシアニン含量の低下が認められた.10 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>では120 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>の鉢と比較して開花数が減少し,鉢花の日持ちも短かった.これらのことから,光補償点前後の弱光下ではクロロフィルの分解と葉の黄化が進行し,光合成量が著しく低下して糖含量が低下した結果,個々の小花と鉢花全体の日持ちが短縮されたものと推察された.10 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>条件下の'スカーレット'では30 ppm 5-アミノレブリン酸(ALA)処理により葉の&phi;PSII値およびクロロフィル含量の低下と黄化が緩和され,開花数,小花および鉢花の日持ちが改善される傾向にあった.PPFD 5 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>(24時間日長)条件下の'マイフェアレディ'では30 ppmおよび150 ppm ALA単独処理で鉢花の日持ちが有意に延長された.PPFD 15 &mu;mol・m<sup>&minus;</sup><sup>2</sup>・s<sup>&minus;</sup><sup>1</sup>(12時間日長)条件下の'マイフェアレディ'において,30 ppm ALA処理はクロロフィル含量の低下を緩和したが,光合成速度や光補償点には影響しなかった.<br>
著者
島内 洋志 氏平 増之 鍵和田 忠男 菅原 隆之 石島 洋二 関 忠郎
出版者
The Mining and Materials Processing Institute of Japan
雑誌
資源と素材 : 資源・素材学会誌 : journal of the Mining and Materials Processing Institute of Japan (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.122, no.3, pp.119-128, 2006-03-25

In the transportation system using a large scaled dump truck, it is important to replace a wheel safely, quickly and easily when a wheel is burst or too much abraded partially. Conventionally, wheel replacement work has been depended on the replacement machinery for exclusive use. Considerable amount of expenditure was necessary to purchase the replacement machinery for exclusive use. Because of this reason, development of wheel replacing unit (handler unit ) has been expected for holding down the production cost.<BR>In this study, motion of a wheel replacement handler was analyzed both theoretically and experimentally, then handler unit was developed and wheel replacement test was carried out. Results obtained from the study are as follows; 1) Optional height of the axis of the large diameter wheel which is to be replaced can be adjusted easily, applying the analyzed equation obtained from theoretical study on the link motion. 2) It was found that a large scale wheel supported by a pair of steel pipes of which diameter and weight were 3.6 m and 5.2 t respectively could be rolled for setting the bolt holes to the bolt positions, when the pipe diameter was larger than 4 in. 3) As a result of rolling test for a large scale wheel using a pair of steel pipes of which diameter were 7in, it was proved that setting work of bolt holes to the bolt positions could be done within the time of 14-20 min. 4) Conclusively, it can be said that the handler unit newly developed in this study has the wide applicability, simplicity and cost performance comparing with conventional wheel replacing machinery.
著者
和田 勉
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.15, 2021-12-15

スマホは売ってます.でも1台1億円します.だから個人ではとても買えません.大きな大学とか会社とかが1台だけ買います.アプリは何も存在しないので,みんな自分でアプリを作ります.それができる人だけがスマホを使っています.自分で作れた人はアプリ作りにのめりこみます……これが1960年代後半から1970年代ごろの世界で,そのころはスマホのことを「大型コンピュータ」「メインフレーム」と言いました.アプリ/プログラムは必ず誰かが作ったからこそそこにあり,スマホ/コンピュータはそれがなければ決して動かない,ということは昔も今も変わりません.若い皆さんの創造的なプログラミングに期待します.
著者
大塚 敏之 高木 均 豊田 満夫 堀口 昇男 市川 武 佐藤 賢 高山 尚 大和田 進 徳峰 雅彦 堤 裕史 須納瀬 豊 新井 弘隆 下田 隆也 森 昌朋
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.517-522, 2000-11-01 (Released:2009-10-15)
参考文献数
11

マイクロ波やラジオ波を用いた凝固療法は肝癌に対する局所療法として広く行われるようになってきた.今回, 我々はマイクロ波やラジオ波による凝固効果を, イヌ及びブタを全身麻酔下に開腹した後肝臓にそれぞれの電極針を穿刺し通電することにより検討した.イヌを用いた実験では, 肉眼的にAZWELL社製マイクロ波, RITA社製ラジオ波及びBOSTON社製ラジオ波で凝固範囲が異なった.組織学的には, いずれも辺縁部に直後では出血を, 5日後では肉芽組織の形成が認められ明らかな差はなかった.ブタを用いた実験では, RITA社製ラジオ波のみの解析であるが, 組織学的に通電直後と6時間後では辺縁部に出血が見られ, 7日後では辺縁部に肉芽組織の形成が認められた.また, 通電時間による凝固範囲内の組織学的所見には差がなかった.したがって, 生体において, マイクロ波とラジオ波ともに良好な凝固効果が得られると考えられた.
著者
大和田,淳
雑誌
天気
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, 2002-05-31
著者
政本 聡 佐々木 裕 岡村 晋作 和田 正広 西田 準
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.17, no.21, pp.1-6, 1993

The experimental results of measures for common amplification of data and FM-TV carried within the FM-TV band in the communication satellite transponder are described. The results show that the good transmission quality of FM-TV is obtained but C/N and BER degradation of data due to the small signal suppression effect and transfer noise from FM-TV, are observed. Data, however, from HUB to VSAT with appropriate link parameter, as well as from VSAT to HUB, has acceptable quality, which suggests promising feasibility for the economical one way or two way data communication within the satellite TV broadcasting.
著者
杉浦 令人 和田 邦孝 荒井 友章 山本 圭一 前田 則弘 田村 亮介 土屋 裕規 杉浦 徹 和田 弘
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.584-588, 2017-10-25 (Released:2017-12-07)
参考文献数
5

当法人では“介護の標準化”を図る事を目的に介護士育成のための客観的介護技術評価ツールの開発に着手した.今回,介護部役職者に研修および試験を実施し,評価シートの信頼性を分析した.検者間の相対信頼性は,食事でICC:0.797,排泄でICC:0.952であった.また,より詳細な検証が可能になる一般化可能性理論を用いた結果として,一般化可能性係数は,食事:0.466,排泄:0.743であり,食事よりも排泄で高い信頼性が示された.

1 0 0 0 漁のしるべ

著者
和田長三著
出版者
協同印刷社
巻号頁・発行日
1938