著者
平川 浩文 木下 豪太 坂田 大輔 村上 隆広 車田 利夫 浦口 宏二 阿部 豪 佐鹿 万里子
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.155-166, 2015 (Released:2016-01-28)
参考文献数
26
被引用文献数
1

北海道における在来種クロテンMartes zibellinaと外来種ニホンテンM. melampusの分布の現状を明らかにするために,2000年から2015年にかけて生息記録を収集した.その結果,ニホンテンは北海道の南西部,クロテンはそれ以外の地域に広く分布していることが明らかとなった.二つの分布地域の間には石狩低地帯(石狩湾から太平洋にかけて帯状に延びる平野部)があり,クロテンの記録は石狩低地帯内の3地域でも得られた.ただし,この3地域とも石狩低地帯中心部を流れる河川を基準としてすべて低地帯の西側に位置した.今回の結果に数例の古い生息記録を合わせて,次のことが推察された.1)ニホンテンはクロテンを駆逐しながら分布を拡大したこと,2)石狩低地帯の分水嶺より南側では,低地帯の西縁部にニホンテンがまだ到達していない可能性があるが,そうであったとしても到達は間近であること,3)今後,石狩低地帯の分水嶺より南側ではニホンテンが低地帯を超えて,さらに分布拡大が進む可能性があること.
著者
森本 侃 岩田 徹 江崎 昭彦 坂田 眞砂代 平山 忠一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.8, pp.726-730, 1994-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

ポリエチレンイミンを配位子とし,セルロースをマトリックスとする繊維状吸着剤(Ce11-PEI)を調製し,この吸着剤を用いて,種々のタンパク質水溶液からのエンドトキシン選択吸着除去を試みた。CeH-PEIのアニオン交換容量は,調製時のビスコースに対するポリエチレンイミンの添加量を調節することにより容易に制御できた。同吸着剤のエンドトキシン吸着能は,吸着剤のアニオン交換容量の増大とともに増大し,吸着時のイオン強度の上昇とともに低下した。しかしながら,同吸着剤(アニオン交換容量1.1-3.4meq/g)は幅広いイオン強度域(μ=0.05-0,4)で,高いエンドトキシン吸着能を保持した。さらに,同吸着剤(アニオン交換容量1.1meq/g)を用いて,エンドトキシンを添加したウシ血清アルブミン(BSA)水溶液中からのエンドトキシンの選択吸着除去を試みたところ,イオン強度μ=0.05-0.2,中性付近のpH域下で,BSAをほとんど吸着することなく,エンドトキシンのみの選択的吸着除去ができた。
著者
坂田 眞砂代 河合 透 大隈 邦夫 伊原 博隆 平山 忠一
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.16, no.11, pp.1065-1068, 1993-11-15 (Released:2008-04-10)
参考文献数
23
被引用文献数
11 12

We describe a method for the removal of endotoxins from various crude antigen solutions originating from gram-negative bacteria using aminated poly(γ-methyl L-glutamate) (PMLG) spherical particles. The aminated PMLG adsorbents showed high affinity for various purified endotoxins at an ionic strength of μ=0.1. The endotoxin-adsorbing capacity of the adsorbent increased with increase in the amino-group content of the adsorbent. The adsorbent (3.2 meq/g amino-group content) showed the highest affinity for endotoxin at ionic strengths ranging from μ=0.025-0.8. The adsorption of Bordetella pertussis antigen to the adsorbent decreased with increasing amino-group content of the adsorbent at an ionic strength of μ=0.2. The adsorption of B. bronchiseptica protein to the adsorbent increased with increasing amino-group content of the adsorbent, but decreased with increasing ionic strength. The adsorbent (3.2 meq/g of amino-group content) selectively reduced endotoxin in crude antigen solutions originating from gram-negative bacteria, B. pertussis, B. bronchiseptica and Pasteurella multocida, even at a high ionic strength (μ=0.2-0.4) without affecting the recovery of the protective antigens.
著者
平山 忠一 坂田 眞砂代 大倉 幸洋 伊原 博隆 大隈 邦夫
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.2106-2109, 1992-08-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
10 10

Attempts were made to prepare adsorbents having a high affinity for endotoxin in the culture supernatant of Bordetella pertussis. When poly(γ-methyl L-glutamate) (PMLG) was used as a matrix and amino groups as the ligand, the highest affinity for endotoxin was attained even at a high ionic strength (μ=0.2-0.4). PMLG beads containing amino groups of about 3.2 meq/g selectively removed endotoxin from the culture supernatant of B. pertussis without affecting the protective antigens. It was demonstrated that 1 ml of the wet adsorbent adsorbed 4.5 mg of endotoxin. The beads of PMLG derivatives, therefore, are considered to be a useful adsorbent for the removal of endotoxin from the pertussis vaccine, affecting neither filamentous hemagglutinin nor pertussis toxin.
著者
坂田 清美
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1056-1063, 1988
被引用文献数
1

老人保健法による健診受診率に影響を与える因子について市町村の人口規模による格差を明らかにするため,昭和60年5月に全国市区町村にアンケート調査を実施した。<br>1) 2,645市区町村より回答が得られ,回収率は80.7%であった。<br>2) 一般健康診査の精密診査の項目の実施状況をみると,法に定められた項目は人口規模の大きな自治体でよく実施されていたが,人口規模の小さな自治体では実施率がやや低く,市町村の財政事情や医療環境の違いが反映していると考えられた。<br>3) 一般健康診査の自己負担なしの市町村の割合は,人口規模5万以上の自治体で最も高く,市町村の財政力による違いと考えられた。<br>4) 健康診査の周知には,人口規模の大きな自治体では広報紙を利用し,人口規模の小さな自治体では地区組織を利用しており,人口規模による違いがみられた。<br>5) 一般健康診査の結果の通知は,人口規模の小さな自治体では,約半数が複数の方法で実施していたが,人口規模の大きな自治体では複数の方法で実施している割合が低かった。背景には人的資源の不足等が考えられた。<br>6) 健康診査受診率向上の工夫の実施状況をみると,広報の充実は人口規模に関係なくよく実施されているが,日時の設定の工夫は人口規模の小さい自治体で実施されており,地域の産業構造の違いによることが示唆された。<br>7) 一般健康診査の医師確保先では,一般診査の理学的検査,精密診査の判定とも,人口規模の大きな自治体では医師会より,人口規模の小さな自治体では保健所より確保している市町村の割合が最も高く,医師会の組織力の違いが影響していると考えられた。<br>8) 保健事業に協力している地区組織をみると,婦人会,老人クラブは人口規模の小さい自治体ほどよく協力していた。
著者
李 在淵 福江 潔也 下田 陽久 坂田 俊文
出版者
Japan Society of Photogrammetry and Remote Sensing
雑誌
写真測量とリモートセンシング (ISSN:02855844)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.11-21, 1996-04-30 (Released:2010-03-19)
参考文献数
16

A new elevation labeling method is proposed which can be applied to contour images including broken lines and inconsistencies caused by loss of contour lines and/or existence of irrelavant lines. Because conventional elevation labeling methods need ideal contours as an input data, broken lines and inconsistencies must be eliminated from the target contour image before elevation labeling. This elimination process (editing) has been done by human operator conventionally. The time-consuming human operation is a large problem in DEM generation from topographical maps. The proposed method has been developed In order to remove the above human operation. In the proposed method, a probablistic relaxation approach is used. That is, elevation probabilities are assigned to each contour, and then the probabilities are propagated to neighbor contours so as to decrease local conflicts.As a result, consistent labeling can be achieved even if the target contour image may include broken lines and some inconsistencies.
著者
嶋田 光洋 坂田 宗之 安室 喜弘 井村 誠孝 眞鍋 佳嗣 千原 國宏
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会冬季大会講演予稿集 (ISSN:13434357)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp._5-8-1_, 2007

We are proposing the method which estimate a stature of running person from image sequence of security camera. This paper describes about the experiment to make a model of relation between the speed and the time courses of the head position and to estimate a stature from the images of a security camera.
著者
坂田 雅和
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 = The Bukkyo University Graduate School review. 佛教大学学術委員会, 文学部編集委員会 編 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
no.43, pp.109-118, 2015-03

アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)の短編"Cat in the Rain"(1924)には、これまでにまだ解き明かされていない謎が散見される。先行論文においていくつかの謎は検討されているが、こと猫の特定化においては決定的な解釈はいまだ出されていない。本論ではこの猫の特定化は猫を表現する不安定さ、そして猫に隠されたものがあるがゆえ謎のままで漂うものなのか、あるいは作者ヘミングウェイによる、短編であるがゆえの作成手法であるのか、精査して検証する。併せて作品の中の妻の心の変化、妻を表す表現の数々、そして、この作品の書かれた1920年代という時代的背景と、その時代を生きた作者の軌跡をたどることにより、作者がこの作品に埋め込んだもの、そして内包されているものを猫の同定化と併せて子細に迫ってみる。猫の特定化内包不安定さ
著者
西林 仁昭 中島 一成 吉澤 一成 坂田 健
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究代表者らがこれまでに達成した知見を踏まえて、「温和な反応条件下でのアンモニア合成反応法の開発」と「温和な反応条件下でのアンモニアの分解反応の開発」に取り組んだ。前者では、トリホスフィン(PPP)型三座配位子やPCP型ピンサー配位子を持つ窒素架橋2核モリブデン錯体を設計・合成し、それらを触媒として利用した触媒的アンモニア生成反応を検討した。その結果大幅な触媒活性の向上を達成した。後者では、フェロセニルジホスフィンを配位子として有する窒素架橋2核モリブデン錯体の設計・合成に成功し、酸化還元による架橋窒素分子の窒素―窒素三重結合の開裂及び再結合を可逆的に制御できることを見出した。
著者
坂東 宏和 山下 真幸 上西 秀和 蓼沼 隆 梅村 博子 冨士山 千晶 大橋 和也 坂田 信裕
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.52-62, 2017-06-14

本論文では,教師のPC画面を受講者へ提示しPCの操作方法を説明する場面において,受講者全員が必要なPC操作を把握できる環境の実現を目的とした,画面遷移参照ツールの提案と開発について述べる.本ツールでは,教師用PCのスクリーンショットにPC操作の内容を示す簡単な注釈を追記した画像を蓄積し,受講者が授業中の必要なタイミングでそれらを参照できる機能を提供する.これにより,教師のPC操作についてこられない受講者が,教師用PCの過去のスクリーンショットを参照しながら,各自のペースでPC操作を行えることが期待できる.また本ツールは,すべて自動的に実行されるため,教師に余計な負担をかけることなく活用できる.情報に関する授業の中で行った簡単な試用評価と,具体的にどのようなPC操作の把握が難しいのかを検討するために行った試用評価の結果,現在の表示内容では,CTRLキー・SHIFTキーなどの修飾キーの状態が分からない,表示と実際の入力が異なる場合に必要な入力操作を把握しにくいなど,必要なPC操作の把握が難しい場合があるものの,PC操作を学ぶ授業の理解に役立つ可能性が示唆された.This paper proposes an educational tool to refer screen transition of the teacher's PC to observe past operation history. This tool is designed for lessons to explain PC operations by showing practical operations on the teacher's PC screens and it creates favorable environment for all students to grasp correct operations. The main function of this tool is storing up screenshots of teacher's PC with short notes to explain operations to record past operations and screen transition. Students can refer them whenever necessary. Even if a student could not keep up with advance of teacher's operations, past screenshots history could be help to comprehend later. All of this function is carried out automatically without imposing an excessive burden of the teacher. As results of a trial use in an information study lesson and an investigation to grasp which PC operations were difficult to understand for students, we found that it worked effectively but in some specific occasions, for example, not shown clearly touching a modifier key such as Ctrl or Shift.
著者
森田 英利 坂田 亮一 加藤 行男 久松 伸
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.5/6, pp.176-181, 2003-03-31

亜硝酸ナトリウム(NaNO_2),塩化ナトリウム(NaCI)あるいは数種類の抗生物質で処理したベロトキシン産生大腸菌(VTEC)O157:H7の3株から,ベロトキシン(VT)1型と2型の放出量を定量した。VTEC O157:H7のうち,2株がVT1型とVT2型の両者を産出し,1株がVT2型のみ産出した。VTEC O157:H7をNaNO_2(最少発育阻止濃度である6,000mg/L)で処理したがVT1型およびVT2型の放出量は増加しなかった。NaNO_2由来の一酸化窒素(NO)の抗菌メカニズムを明らかにするために,NaNO_2で処理したVTEC O157:H7の細胞を77Kでの電子常磁性共鳴吸収(EPR)法に供した。その結果,g値2.035と2.010のEPRシグナルを検出し,細胞内に鉄硫黄タンパク質とNOが反応して形成されたジニトロシル鉄硫黄錯体が存在した。またATPの合成も阻害されていた。このことから,NaNO_2出来のNOは細胞内に入り,呼吸鎖に関与する酵素を不活化したものと考えられた。
著者
高瀬 冴子 坂田 脩 長島 典夫 吉田 栄充 三宅 定明 石井 里枝
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.301-306, 2017-08-15 (Released:2017-08-15)
参考文献数
15

福島第一原発事故以降,食品の放射能汚染が懸念されていることから,γ線スペクトロメトリーを用いて,日本に流通する梅加工食品100検体(2015年から2016年に購入)の放射能調査(134Cs及び137Cs)を実施した。134Csは6検体から検出され(0.82~12 Bq/kg),137Csは40検体から検出された(0.65~69 Bq/kg)。最も放射能濃度が高かった検体は梅エキスであり,134Csと137Csの和は81 Bq/kgであった。この濃度は一般食品の規格基準値の5分の4程度であった。放射性セシウムが検出された梅加工食品を1年間摂取した場合の成人の預託実効線量は最大で約1.7 μSvであった。
著者
穐山 浩 坂田 こずえ SPIEGELHALTER Frank 古井 聡 中島 安基江 橘田 和美 手島 玲子
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.65-70, 2010
被引用文献数
5

リアルタイムPCRを用いた未承認遺伝子組換えトウモロコシDAS59132系統(E32)の検知法を8機関によるバリデーション試験により評価した.試験試料は0%,0.05%,0.1%の3濃度粉末試料と0.01% の抽出DNA溶液試料で,各濃度試料を2点並行により併行再現性や室間再現性などを評価した.トウモロコシ内在性遺伝子の検出試験ではすべての試料において良好な増幅曲線が得られ,陽性と判定された.E32検出用試験では,すべての 0% 試験試料と1機関において 0.01% 試験試料2点の内1試料で2反応並行の1反応が陰性であった以外は,良好な増幅曲線が得られ陽性と判定された.検出限界は約0.01%と判断された.本研究により,E32の検知法の妥当性が確認された.
著者
日浦 幹夫 織田 圭一 石渡 喜一 前原 健寿 成相 直 牟田 光孝 稲次 基希 豊原 潤 石井 賢二 石橋 賢士 我妻 慧 坂田 宗之
出版者
日本脳循環代謝学会
雑誌
脳循環代謝(日本脳循環代謝学会機関誌) (ISSN:09159401)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.297-302, 2017

<p>運動介入が脳機能の保持・改善に重要な役割をもつことが疫学および臨床研究により提唱されてきた.運動が脳機能に及ぼす影響と関連する生理学的背景を探索する目的で,PETを活用して有酸素運動による局所脳血流量(regional cerebral blood flow: rCBF)と脳μ-オピオイド受容体系の変化を検討した.oxygen-15-labeled water(<sup>15</sup>O-H<sub>2</sub>O)を用いたPET研究では有酸素運動中に一次運動感覚野,小脳,島皮質などで広範な脳領域でrCBFが増加することが示され,このような変化は局所の神経活動の亢進や周辺の神経受容体への影響を介して運動による神経可塑性の発現のメカニズムに関与することが推測される.<sup>11</sup>C-Carfentanil を用いたPET研究では有酸素運動後に生じるポジティブな気分変化や激しい運動に伴う疲労の発現に辺縁系や下垂体に分布するμ-オピオイド受容体系が関与し,その変化には運動強度の違いや気分変化の個人間差が影響することが提示された.PETを活用した神経画像研究は,運動に伴う脳機能変化のメカニズムに関与する要因であるrCBFおよび神経受容体系の変化を検証するために有用な手法である.</p>
著者
篠崎 惠美子 坂田 五月 渡邉 順子 阿部 恵子 伴 信太郎 藤井 徹也
雑誌
聖隷クリストファー大学看護学部紀要 = Bulletin Department of Nursing Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
vol.22, pp.37-44, 2014-03-31

本研究の目的は、模擬患者(Simulated or Standardized Patient: 以下SP)養成において、SP が熟達する過程ごとの特徴を明らかにすることである。 対象は、2002 年から2012 年までSP 養成者が作成したSP トレーニング時、SP 参加型授業時のSP の発言・行動記録、SP 養成者の感想および介入の記録である。SP 養成過程は、ドレイファス・モデルを参考に、初心者、新人、一人前、中堅、達人のレベルとし、得られたデータを各レベルに分類し、特徴をカテゴリー化した。 その結果、一般市民であったSP が熟達する過程の特徴として、以下のカテゴリーが抽出された。初心者レベルでは<SP として不確実な自分>を感じ、新人レベルでは<SP として不安な自分>を感じる。さらに一人前レベルでは<SP として自覚が芽生える自分>を認識し、中堅レベルでは<SP として成長を感じる自分>を実感する。そして、達人レベルに到達すると<SPを極める自分>の存在を認識する。