著者
堀岡 喜美子
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
no.48, pp.127-143, 2020-03-01

柳田國男が「巫女考」において巫女を「神社ミコ」と「口寄ミコ」に分類して以来、多くの先人によって膨大といえる巫女の研究が成されてきた。しかしながら「「巫女」とは何か」についての論究は乏しく、神話世界の女神なども「巫女」とみなし、現実社会に生きた巫女の本質を曖昧にしてしまう傾向が見られる。史料上、古代律令社会には「巫女」の語はほぼ認められず、十二世紀初頭より祭礼神幸記録に巫女が現出してくる。これらの記録を手掛かりに「巫女」の実像を探求した結果、「巫女」とは院政期において、宮廷神事の神社移行に伴い誕生した呪術的女性祭祀者であり、宮廷女性祭祀者である御巫の代理的存在である可能性を見出した。また、祭礼神幸における巫女の役割は呪術性と美麗な様相をもって、祭礼神幸が内包する民衆騒擾を抑制し、かつ、神幸のカタルシス役割を高めるものであったと考えられる。祭礼神幸巫女の現出宮廷祭祀御巫白河院
著者
佐藤 正樹 根上 純子 堀江 隆 加藤 治
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.93-101, 2013-05-01 (Released:2013-05-01)
参考文献数
9

2008年1月に科学技術振興機構(JST)が行った国内の科学技術関連資料の電子化調査に引き続き,2012年2月~3月に同様の調査を行った。JSTが収集している国内資料(9,639誌)について電子化の状況を調査したところ,4,672誌(48%)が電子化されており,前回の調査と比較して9%向上していることがわかった。また,学協会の学術誌・学会誌の電子化率は60%であり,前回の調査と比較して13%向上している。さらに,電子化率の変化等について,考察した。
著者
西堀 佑 多田 幸生 曽根 卓朗
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.127(2003-MUS-053), pp.37-42, 2003-12-21

被験者に発音タイミングの異なる2つの音を提示し、どちらの音が早く発音されたかを回答させることで、どれくらいの音の遅延を認識できるのかを調査した。その結果得られた最も弁別し易い音(スネアドラムとピアノ)を用いて、楽曲中に遅延を発生させ、演奏にどのような影響をもたらすのかを分析した所、30ms以上の遅延だと認知され、50ms以上の遅延だと演奏が困難になることが分かった。また、遅延時間の提示方法により弁別能力が変化することが分かった。これらの結果を元に、遅延のある演奏系でのリアルタイムセッションの可能性について検討した。
著者
中村 大輝 田村 智哉 小林 誠 永田 さくら 大森 一磨 大野 俊一 堀田 晃毅 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.215-233, 2020 (Released:2021-02-05)
参考文献数
65

This study aims to determine the expected effect size of intervention studies in science lessons through meta-analysis. Intervention studies were collected from education-center websites in every Japanese prefecture to calculate the average effect size and examine the moderation effect. The results of the quantitative analysis showed that the mean effect size of multi-valued items was g=0.594 [0.557, 0.630] (k=626, N=9122). The moderator analysis revealed relatively low effect sizes for learning in the geology domain, and differences in effect size for various types of academic indicators. In addition, we provided basic statistics to help determine the sample size needed for future studies.
著者
小澤 悟 堀田 司 岩橋 誠 東口 崇 山上 裕機
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.3126-3129, 2007-12-25 (Released:2008-08-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

症例は61歳, 女性. 下腹部痛, 発熱を主訴に当院を受診した. S状結腸憩室炎による腹腔内膿瘍の診断のもとに緊急開腹術を施行した. 手術開始15分後より, 突然血圧およびSO2が低下し, 全身に発赤を認めた. アナフィラキシーショックと診断し, 加療により1時間程度で全身状態は回復した. 術中使用した麻酔薬や抗生物質の薬剤アレルギーを疑い検査を施行したがいずれも陰性であった. 問診より患者は天然ゴム手袋による痒みを自覚したことがあった. また, ラテックスに対する特異抗体価が0.56UA/mlと上昇しており, 結果として術者手袋に含まれるラテックスが原因のアナフィラキシーショックであることが示唆された. 天然ゴム製品を排除して根治術を行ったところ, アナフィラキシーショックは起こらなかった. 詳細な問診によりラテックスアレルギーの既往やハイリスク患者を割り出し, ラテックス除去環境での手術を行う必要があると考えた.
著者
堀口 申作 斎藤 洋三
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.16-18,74-75, 1964
被引用文献数
54

我国においては, 諸種の観点から花粉症の存在は予想される所であるが, 現在までの所, アレルゲンの確定せる花粉症の報告は極めて少い.今回我々は, 日光地方において季節性に特に春季に起る鼻腔, 咽頭並びに眼結膜のアレルギー症状を呈する21症例に遭遇し, これらに対し, 各種の臨床的検索を行った.これらの症例の罹病時期は, スギの開花時期と一致し, 更にアレルゲンの検索を行った結果, スギ花粉による乱刺法では71.4%に陽性, アレルゲンエキスによる皮内反応では, スギに対し85.7%に陽性, スギ花粉による結膜反応は85.7%に陽性, 鼻粘膜反応は100%に陽性, 2症例にP-K反応を打って陽性の成績を得た.以上を綜合した結果, 本症がスギ花粉をアレルゲンとする花粉症であることが確認されたので, これをスギ花粉症Japanese Cedar Pollinosisと命名した.
著者
伊在井 淳子 盛口 佳宏 堀切 康正
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.1337-1340, 2014-11-30 (Released:2015-02-27)
参考文献数
6

症例は91歳女性で,繰り返す腸閉塞の治療目的に,当院へ紹介された。CTでは,骨盤内の拡張小腸内腔に気泡を含む長径3.5cmの塊状物を認めた。イレウス管を挿入し,腸管減圧後に行った小腸造影で,イレウス管先端付近の小腸内腔に,楕円形の陰影欠損を認めた。以上より,食物残渣の陥頓をきたした食餌性イレウスと診断した。食物残渣を溶解する目的で,1日計500mLのコカ・コーラゼロⓇを,100mLずつ間歇的にイレウス管先端から注入した。注入を5日間行ったところ,イレウス管の排液が著明に減少し,イレウス管先端が右側結腸まで達して,腸閉塞の解除が確認された。食餌性イレウスがイレウス管による減圧で解除されない場合,経イレウス管コーラ注入が有用な可能性がある。特に超高齢者では,手術回避の観点から考慮すべき方法であると考えられた。
著者
堀田 修 永野 千代子
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.69-75, 2018 (Released:2019-03-31)
参考文献数
29
被引用文献数
1

1960年代にわが国で脚光を浴びた慢性上咽頭炎が近年,耳鼻咽喉科の枠を越えて再び注目を集めつつある.その理由は上咽頭の慢性炎症が後鼻漏,咽頭痛,咽頭違和感等の局所症状に留まらず,慢性疲労,起立性調節障害,過敏性腸症候群等の神経・内分泌系異常を介した症状,IgA腎症の急性増悪,掌蹠膿疱症,反応性関節炎等の自己免疫機序を介した症状等,実に多彩な臨床症状を呈することにある.そして,塩化亜鉛溶液を浸した綿棒を用いた上咽頭擦過療法(Epipharyngeal Abrasive Therapy,EAT)が様々な全身症状の改善に寄与することが再認識されつつある.過去20年の間に神経系と免疫系の連関メカニズムが次々と解明され,最近では迷走神経刺激装置を用いる神経反射を介した免疫疾患や神経疾患への臨床応用も登場し注目されている.上咽頭は神経線維が豊富で迷走神経が投射しており,EATの効果には類似の作用機序が関与していることが推察される.また,脳リンパ路が脳代謝産物の排泄路として重要な役割を果たすことが最近明らかとなったが,上咽頭はこの排泄路の要所であり,EATの瀉血作用を介した鬱血状態の軽減が脳リンパ路の機能改善に繋がると推定される.すなわち,塩化亜鉛溶液による炎症部位の収斂作用のみでなく,上咽頭擦過による迷走神経刺激と瀉血による鬱血・リンパ鬱滞の改善がEATの作用機序として関与していることが推察される.上咽頭は単なる空気の通り道ではなく,神経系・免疫系・内分泌系に影響を及ぼす,いわば全身の「健康の土台」を担う重要部位である.慢性上咽頭炎はこの「健康の土台」が傾いた状態であり,その是正は関連疾患・症状の改善のみならず疾病予防という見地からも重要である.慢性上咽頭炎の治療手段として現状ではEATがBenefit/Risk比の高い処置であるが,慢性上咽頭炎が内包する多様な病態の科学的解明とそれに基づいた新規治療法の開発が医学・医療のブレイクスルーにつながると期待する.
著者
是澤 紀子 堀越 哲美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.39.3, pp.145-150, 2004-10-25 (Released:2017-08-02)
参考文献数
21
被引用文献数
1

本研究では、京都市街地を通過する花折断層南部の周辺地域を取り上げ、地震情報としての活断層を含む自然環境の条件と、信仰の場としての神社の立地との関係性を探ることによって、立地場所の地形地質的要素が神社とその周辺における景観の様相に及ぼす影響を把握し、景観整備のための景観形成を評価する指標を探ることを試みた。神社立地の頻度分布において活断層付近の神社は、活断層沿いに分布する様相を呈していることが示された。地形と地質の構成を検討した結果、活断層周辺の神社景観を形成する自然環境の表出は、基盤岩と被覆層という地質条件により区別できる可能性が考えられ、地形的特徴となる断層崖の地質のうち隆起した被覆層は、神社立地と自然環境との関わりを考察する上で、両者のインターフェースかつ指標であると推察される。このような自然環境条件の指標は、その土地固有の自然と文化により構成されるものであり、建造物と一体化した神社の周辺環境すなわち景観を保存整備していく上で重要である。
著者
堀田 龍也 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.117-125, 2019-09-01 (Released:2019-09-01)
参考文献数
31
被引用文献数
2

高度情報通信社会を迎えた今日における情報リテラシーに関する教育はどうあるべきなのか.本稿は,この問いに対する初等中等教育段階を対象とした教育について検討する.まず,これまで我が国の初等中等教育で検討・実施されてきた情報リテラシー教育を概観し,児童生徒の情報リテラシーの実態について把握する.その上で,初等中等教育において取り組まれている情報リテラシー教育の実践や研究を整理し,課題を指摘する.
著者
瀧本 彩加 堀 裕亮 藤田 和生
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.141-153, 2011 (Released:2011-12-19)
参考文献数
72
被引用文献数
8 2

Horses (Equus caballus) have lived with humans for over 5500 years. Despite this, their cognitive abilities have not received much research attention compared with those of dogs (Canis familiaris), probably because horses are not as familiar to humans as dogs and have been considered to be difficult to test. Recent studies, however, have revealed their sophisticated social cognitive abilities with regard to both conspecifics and humans. In this paper we first describe fundamental characteristics of horse perception and horse sociality. Then, we review horses' learning and cognitive abilities, especially social cognitive abilities shown among conspecifics and in the horse-human relationship. Several studies have provided evidence that horses possess sensitivity to human-given cues and attentional states. Future studies should investigate ontogeny of horses' cognition and the influence of effects including training history and the exposure to humans, and possibly test how such cognition is supported by genetics.
著者
山本 景子 長沼 大樹 油井 俊哉 原田 誠史 福谷 和芳 堀 修生 福澤 貴之
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.313-323, 2019-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
56

"Astral Body" is an art installation for viewers to reveal the origin of life by showing the sense of life. A dead body and an artificial sign of life with dead matter are presented so that the viewers could think of relationship of the two. Astral Body has a kinetic surface made with ferromagnetic powder to present creature-like movements and human interaction. We have expressed the movements by using an automatic running robot with a magnet. Through the exhibitions, we have collected reactions and opinions from the attendees, and observed them. In this paper, we will conclude the overview, concept, design, implementation, and outcomes from the exhibitions.
著者
横堀 伸一
出版者
東京薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

尾索動物の複数ミトコンドリアゲノムの全塩基配列の決定を行い、一次配列とそれ以外の高次情報に基づいて分子系統解析を行い、尾索動物の進化経路を明らかにすることを試みた。5種の尾索動物ミトコンドリアゲノムの全塩基配列を決定し、そのゲノムの多様性(遺伝子構造、コードする遺伝子の種類等)を明らかにした。また、分子系統解析から、タリア綱とホヤ綱腸性目の近縁性を示唆した。
著者
横堀 章一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集 (ISSN:00290270)
巻号頁・発行日
vol.10, no.38-4, pp.38-46, 1944-02-25 (Released:2008-03-28)

戦時下鉄道輸送の重要性は益々増大してゐる。この要求に應ずるために車輌の大増産を必要とする。本論文に於ではこの車輌中特に大量を要する貨車を限定された資材及び労力内でなるべく多量旦迅速に製造するために如何なる努力を排ってゐるかに就て設計を主にして述べる。貨車の戦時設計には在耒ある車輌に増積みする方法と全然新しい形式を設計する方法とがある。鉄道省では両者を並行に採用してみる。後者の例として3袖無蓋車を挙げ、その設計上の要点を述べる。貨車自重1t當りに積載し得る石族最は在耒車が1・16~1・89tであるが、新製3軸車では2・73tとなる。荷重1t當りの製作資材では在耒車の約年分に滅する。而して中梁に生ずる應力を見ても両者の差は著しくない。かかる結果を如何にして得たかに就て説明する。
著者
堀 裕
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.38-69,131, 1998
被引用文献数
1