著者
赤堀 侃司
出版者
AI時代の教育学会
雑誌
AI時代の教育論文誌 (ISSN:24364509)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.37-42, 2021 (Released:2021-09-10)
参考文献数
17

2019 年に、国語・数学・理科の全国学力学習状況調査(平成 30 年度)の小中学生対象の B 問題から選択して、大学生に回答してもらい、小中学生の全国平均値と比較した。その結果、① 大学生は、小中学生に比べて、文章の構造や文章理解において、優れている。②しかし大学生は、小中学生と比較して、理科や数学の論理的思考力は、国語の読解力に比べて低い、ことが分かった。そこで、2020 年に、埼玉県公立高等学校入学者選抜における令和2年度の国語と社会の問題を、大学生に回答してもらい、高校受験生の平均値と比較した。その結果、③国語の問題では、高校受験生に比べて、大学生が優れた得点を示した。④しかし、社会の問題では、 大学生は、高校受験生に比べて、むしろ低い得点を示した。この結果から、国語に代表される読解力は、能力を維持するか向上していることに対して、数学・理科・社会などの推論や知識の適用に関する能力は、低下している、という知見を得た。これを、これから求められる資質・ 能力の視点から、考察した。
著者
堀 和明 斎藤 文紀
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.112, no.3, pp.337-359, 2003-06-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
141
被引用文献数
9 14

Large rivers with high sediment discharge, such as the Amazon, Ganges-Brahmaputra, and Huanghe (Yellow) rivers, have formed mega-deltas at their mouths. This paper reviews morphology and sediments of mega-deltas and their Holocene evolution in relation to sea-level changes, channel avulsion, and past-sediment discharge. Application of various radiometric dating techniques to delta deposits, especially since the 1980's has made it possible to clarify delta evolution dynamically on 10-to 1000-year time scales. Most of the deltas are located in developing countries, and have environmental problems principally caused by human activities. For the evaluation of current status and human activities in deltas and drainage basins, both natural and anthropogenic changes of deltas should be analyzed from the viewpoints of geology, sedimentology, and their evolution.
著者
浜本 哲郎 大谷 正史 松本 栄二 堀 立明 鶴原 一郎 八島 一夫 磯本 一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.2134-2141, 2017-12-05 (Released:2017-12-05)
参考文献数
30

症例は42歳,男性.禁煙後に血便が出現し潰瘍性大腸炎と診断された.5-ASA,プレドニゾロンの投与で寛解導入したが減量にともなって再燃し,強力静注療法,白血球除去療法,抗TNF-α製剤,タクロリムスなどで加療したが,寛解導入できなかった.ところが,喫煙の再開で血便は消失し,内視鏡的にも粘膜治癒を確認した.禁煙後に発症し,喫煙の再開で寛解に至ったことから,ニコチンや一酸化炭素を介した抗炎症作用が考えられた.
著者
藤原 正寛 瀧澤 弘和 池田 信夫 池尾 和人 柳川 範之 堀 宣昭 川越 敏司 石原 秀彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究ではインターネットに代表される情報化技術の進展が経済的取引のガバナンスにどのような影響を与えるのかを、近年発展してきた経済学的手法(情報の経済学、組織の経済学、メカニズム・デザイン論、ゲーム理論など)を用いて分析することを目的としている。全研究期間を通じ研究会を開催することで、情報技術の進展と拡大がどのような経路をたどって、どのような形で経済活動や経済組織に影響を与えるかについて以下のいくつかの論点に分類して分析することができた。1.情報化革命とコーポレートガバナンス--情報化技術が進展することによって、情報量の爆発、経済のスピード化、グローバル化などの現象が発生し、それによって従来とはことなるガバナンス構造を持つ経済組織が活動できるようになった。2.アーキテクチャーとモジュール化--公開されたアーキテクチャーに基づいてインターフェイスを標準化することで、各分業をモジュール化することが可能になる。それによって、分業間の取引に市場原理が導入され、より分権的な分業が可能になる。3.モジュール化とオープン化--モジュール化はバンドリングやカプセル化の総称、オープン化はインターフェイスの共通化の動きを表す。カプセル化はアーキテクチャーを所与としたときに内生的に説明できることが示された。4.ディジタル化--財・サービスのディジタル化が進むことで、複製を作ることが容易になり、財・サービスを提供する初期費用が回収できないために、事前のインセンティブと事後の効率化が矛盾してしまっている。5.コーディネーションの電子化--情報技術の進歩はプログラムによるコーディネーションを可能にさせた。
著者
成瀨 浩史 堀井 聡子 鶴野 充茂 吉村 健佑
出版者
日本広報学会
雑誌
広報研究 (ISSN:13431390)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.34-45, 2022-04-28 (Released:2022-07-25)

マンガ・アニメを用いた広報の感染症対策におけるエンターテインメント・エデュケーションの有用性を検討するため、感染症対策を目的とした厚生労働省の Twitter 投稿のうち、マンガ・アニメを起用した投稿の「いいね」、リツイート、引用リツイート数をそれ以外と比較した。マンガ・アニメを起用した投稿は8 事例あり、これら投稿へのリツイート等の平均値はそれ以外の投稿と比べ高かった。ただしリツイート等の数は投稿期間の長期化により減少する傾向にあった。本結果から、マンガ・アニメの起用は無関心層への訴求に有用性が示唆された。ただし、その効果は一過性であり、マンガ・アニメの放映時期など、外部要因を考慮した投稿により広報効果を高める工夫が必要である。
著者
宮崎 友里 重松 潤 大井 瞳 笹森 千佳歩 山田 美紗子 高階 光梨 国里 愛彦 井上 真里 竹林 由武 宋 龍平 中島 俊 堀越 勝 久我 弘典
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.21-017, (Released:2022-10-05)
参考文献数
36

インフォームド・コンセント(Informed Consent: IC)は、心理療法を提供する際にセラピストが道徳的な義務として行うことが必須とされている。一方で、心理療法のICでは多くの場合、心理療法を実施する期間や費用の設定に関する形式的なIC取得が多い。また、心理療法におけるICは、セラピストの治療関係の重要性をよりよく理解するのに役立つといった側面や、心理的な支援のプロセスにおいて大きなバイアスとなる可能性があるなど、心理療法に与える影響について指摘されているが、わが国でそれらを概観した研究はない。そこで本稿では、心理療法におけるICの現状や研究動向について述べたのち、IC取得が困難な場合の対応や国内施設における心理療法のIC取得に関する現状を報告し、心理療法のICの理解を深めることを目的とする。
著者
堀山 貴史 庄子 亘
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.9, pp.1-8, 2012-05-07

多面体の展開図 (辺展開とも呼ばれる) は,多面体を辺に沿って切り開くことで得られる多角形である.切り開く辺が異なっても,同型な展開図が得られることがある.例えば,立方体には 384 通りの展開の仕方 (つまり辺の切り開き方) があるが,同型なものを除去することで,11 種類の本質的に異なる (非同型な) 展開図が得られる.本稿では,任意の多面体に対し,非同型な展開図の個数を数え上げる方法について述べる.また,この手法をすべての整面凸多面体 (正多面体,半正多面体,ジョンソン・ザルガラーの多面体,アルキメデスの角柱と反角柱) に適用し,それぞれの非同型な展開図の個数を示す.たとえば,角切り二十面体 (サッカーボールフラーレン) には 375,291,866,372,898,816,000 通りの展開方法があるが,同型なものを排除することで 3,127,432,220,939,473,920 種類の異なる展開図が存在することが分かった.An unfolding (also called an edge unfolding) of a polyhedron is a simple polygon obtained by cutting along the edges of the polyhedron and unfolding it into a plane. Different edge-cuts of a polyhedron may have the same (i.e., isomorphic) unfolding. For example, a cube has 384 way of unfolding (i.e., cutting its edges). By omitting mutually isomorphic unfoldings, we have 11 essentially different (i.e., nonisomorphic) unfoldings. In this paper, we propose how to count the number of nonisomorphic unfoldings for any polyhedron. We also give the number of nonisomorphic unfoldings for all regular-faced convex polyhedra (i.e., Platonic solids, Archimedean solids, Johnson-Zalgaller solids, Archimedean prisms, and antiprisms). For examaple, while a truncated icosahedron (a Buckminsterfullerene, or a soccer ball fullerene) has 375,291,866,372,898,816,000 way of unfolding, it has 3,127,432,220,939,473,920 nonisomorphic unfoldings. (This article is a technical report without peer review.)
著者
津崎 実 入野 俊夫 堀川 順生 宮崎 謙一 牧 勝弘 竹島 千尋 大串 健吾 加藤 宏明 倉片 憲治 松井 淑恵
出版者
京都市立芸術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-05-31

本研究は加齢による「聴力」の変化について知覚・生理現象観察と計算モデルを構築を目的とした。従来ほとんど関心を集めていなかった加齢性ピッチ・シフト現象について,十分な数の幅広い年齢層の聴取者を用いて,その現象が確実に生じることを突きとめ,さらに同じ聴取者に対する聴力検査,耳音響放射検査,脳波の周波数追随反応との相関分析を実施した。並行実施した非線形圧縮特性,聴神経の位相固定性などへの加齢による変容の基礎検討を通して,ピッチ・シフトはこれらの要因の変容によっては説明困難であること示し,新規の聴覚モデルの提案に至った。
著者
宮崎 朝子 志村 浩己 堀内 里枝子 岩村 洋子 志村 浩美 小林 哲郎 若林 哲也 田草川 正弘
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.789-797, 2011 (Released:2013-07-31)
参考文献数
18

目的:人間ドックにおいて甲状腺腫瘤の有所見率は非常に高く,臨床的に治療の必要がある腫瘤性病変を,的確にスクリーニングするためにはエビデンスに基づく基準が求められている.そのため,今回過去5年間にわたる当院の甲状腺超音波検査結果およびその推移について検討した.方法:2004年4月から2009年3月までの人間ドック受診者全例,21,856名に甲状腺超音波検査を実施した.結果:充実性腫瘤が4,978名(22.8%)に認められた.細胞診にてクラスIまたはII(B群)が165名,クラスIII(B/M群)が20名,クラスIVまたはV(M群)が57名であった.各群間で性差や精査時平均年齢,平均腫瘤径に有意差はなかった.平均腫瘤径の年間変化を検討したところ,B群では+0.2±0.3,B/M群では+0.8±0.5,M群では +1.3±0.5 mm/yearであり, M群ではB群と比較して有意差をもって増大傾向が認められた.また,M群では腫瘍径の縮小した症例は認めなかった.さらに,M群において腫瘍径が10 mm以下の場合,腫瘍増大はほとんどみられなかったが,11 mm以上では腫瘍増大傾向が認められた.結論:本研究より,超音波健診にて多数発見される甲状腺腫瘤に対する対応において,腫瘤径分類による方針決定とその後の経過観察の重要性が示唆された.
著者
加藤 聖文 麻田 雅文 小林 昭菜 堀内 暢行
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

本研究は、日ソ戦争史研究の基盤(日ソ戦争アーカイブズ)構築を目的として2つの目標を設定する。第1の目標は、研究の土台となるロシアに点在する日ソ戦争関係の歴史資料(アーカイブズ)を日露共同で調査・収集を行う。第2の目標は、収集した資料の一部を翻刻して出版(またはテキスト公開)するとともに、独露間の資料共用化プロジェクトを参考に、国際的データベース・ソフトのAtoMを活用して所在情報・収集資料の共用化を図る。上記の目的に基づき、第3年度はロシア国内での調査収集の拡充を図る予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大のためロシアを中心とした海外調査が不可能となり、事実上研究遂行が停止状態のなかで計画の大幅な見直しを行わざるを得なかった。海外調査が困難ななか、研究成果の発信に力点を置くこととし、11月14日開催のロシア史研究会大会パネル「日ソ戦争-研究の新視点と新資料」において「ソ連軍の満洲占領と地域秩序の崩壊」と題する報告を行った。また、ロシア調査で収集した資料を基に『海外引揚の研究-忘却された「大日本帝国」』(岩波書店、2020年11月)を刊行した。また、各分担者においても単著の刊行など研究成果の発信に努めた。この他、資料調査に関しては、日本国内(樋口季一郎記念館・鶴岡市郷土資料館・舞鶴引揚記念館など)での日ソ関係資料の調査を行い、初年度から続けているロシア語文献収集および収集資料のデータベース化による基盤構築研究を進めた。