著者
田村 卓也 新垣 瑛士 堀川 輝之
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.e21-e24, 2022 (Released:2022-07-27)
参考文献数
6

沖縄県では、自治体による地域史の刊行が盛んにおこなわれているものの、そこには資料の収集や活用という点において、いくつかの課題が存在する。本稿では、沖縄県南城市「なんじょうデジタルアーカイブ」の事例を紹介し、地方自治体における地域史編さん業務とデジタルアーカイブの連携について考察した。膨大な資料を扱う地域史編さん業務において、デジタルアーカイブは資料の管理や活用に大きな役割を果たす。今後、沖縄でデジタルアーカイブを活用した地域史研究を活性化させるためには、自治体間において活用事例やノウハウの共有を進める必要がある。
著者
甲原 玄秋 堀江 弘
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.145-149, 2001-06-01
被引用文献数
2

近年,清涼飲料水による歯の脱灰作用に関し種々の報告がある。そこで,今回清涼飲料水による脱灰作用を検討した。1)清涼飲料水は炭酸飲料A,炭酸飲料B,乳酸菌飲料,スポーツドリンク,ウーロン茶の5種を選択しpHを測定した。ウーロン茶の6.03を除き他の飲料は2.48から3.46と強い酸性を示した。2)交換期のため脱落したウ蝕の無い乳歯を清涼飲料水に浸潰し,経時的に観察した。歯の一部はロウで覆い,同部を同一歯の対照とした。1日後は炭酸飲料A,Bでエナメル質に白濁を生じ,3日後にはウーロン茶を除いた飲料水においてエナメル質全体が白濁した。これらは7日後にはエナメル質は脱灰し,象牙質が露出した。ウーロン茶は10日間経週後もエナメル質に変化はなかった。3)走査電子顕微鏡にて歯の表面を観察した。ウーロン茶を除いた飲料ではエナメル質が消失し,象牙質が露出し,その表面は疎造であった。ロウで覆った部分はエナメル質が残存し,ロウで覆われていない部との移行部はエナメル質の断面が明瞭に確認された。本実験の浸漬潰時間と通常の飲用では飲料水が歯に接蝕する時間は異なる。しかし,乳幼児期に哺乳瓶でこれらの清涼飲料水を頻回に摂取すると歯の脱灰を生じることが推測される。従って,乳幼死期に哺乳瓶でのこれらの清涼飲料水の投与には注意を要する。
著者
坂口 一夫 岩田 由美 堀内 暢子 市川 秀一
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.326-329, 2004-05-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
14

Iron is known to interact with various foods and drugs taken at the same time and since ascorbic acid generally seems to promote the intestinal absorption of iron, we performed a retrospective medical survey using medical charts to establish the effect of ascorbic acid on patients with iron deficiency anemia taking sodium ferrous citrate. The hemoglobin levels and hematocrits of patients with iron deficiency anemia were markedly improved after taking sodium ferrous citrate containing 50 mg of elemental iron alone for 4 to 8 weeks. However, there was no difference between the hemoglobin and hematocrit results for this group of patients and another group who took ascorbic acid (200mg) in addition to sodium ferrous citrate. These results suggest that ascorbic acid does not influence the efficacy of sodium ferrous citrate when these agents are administered together for the treatment of iron deficiency anemia.
著者
堀米 綾子 江原 達弥 小田巻 俊孝 清水 隆司
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-14, 2019 (Released:2019-02-01)
参考文献数
144

母乳は乳児にとっての最良の栄養源である.乳児の腸内細菌叢はビフィズス菌優勢であり,このことが児の健康に大きく貢献していると考えられている.母乳中にはさまざまな抗菌活性因子,免疫性因子,ビフィズス菌増殖因子が含まれており,これらが複合的に作用して乳児のビフィズス菌優勢な腸内細菌叢を形成するものと推測されるが,その詳細は未だ十分には解明されていない.一方,人工栄養児の腸内細菌叢は,母乳栄養児のそれと比較してビフィズス菌が少ないなどの差が認められることが古くから指摘されており,人工乳のさまざまな改良が腸内細菌叢改善の観点からも試みられてきた.本稿では,母乳中の因子による「乳児型」ビフィズス菌の増殖およびその他細菌の排除の仕組みに関する最近の知見について,主要なビフィズス菌増殖因子であるヒトミルクオリゴ糖(HMOs)の話題を中心に,われわれの研究成果も交えて紹介する.また,腸内細菌叢改善の観点からの人工乳の改良の歴史と現状,今後の可能性についても併せて概説したい.

13 0 0 0 OA 新撰和洋裁縫書

著者
堀越千代 著
出版者
和洋女子専門学校出版部
巻号頁・発行日
vol.和服編 上, 1943
著者
真喜屋 清 塚本 増久 堀尾 政博 黒田 嘉紀
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.203-209, 1988
被引用文献数
1 7

福岡県遠賀郡岡垣町に在住の男性(55才)が, 鼻内異物感を伴う鼻出血と著しい鼻汁の分泌に悩まされた後, 昭和62年7月に右側鼻内から1匹のヒル(蛭)を取り出した. 病院受診時には鼻内所見で鼻中隔弯曲が見られた他は, 左右鼻腔内に潰瘍・糜爛や出血がなく, 耳内・口腔内にも異常は認められなかった. ホルマリン固定された虫体は, 黒褐色で体表には特定の模様がなく, 体長3.5cm, 最大体幅が1.2cmであった. また, 1)耳状突起がない, 2)5対の眼点は第3と第4眼点が1環節によって隔てられる, 3)額板には歯が認められない, などの特徴によって, ハナビル<i>Dinobdella ferox</i>と同定された. このヒルは東南アジアに広く分布し, わが国でも人体寄生が知られているが, 九州では南九州からだけである. この患者は九州北部の温泉地で渓流水から感染したものと推察されるので, 温泉・秘湯ブームなどで渓谷にわけ入る風潮の盛んな昨今, 注意を払う必要がある.
著者
法理 樹里 牧野 光琢 堀井 豊充
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.1610, (Released:2017-06-07)
参考文献数
37
被引用文献数
3

2011年3月11日に発生した,東北地方太平洋沖地震によって引き起こされた福島第一原子力発電所の事故に伴う風評被害は水産物にも及んでいる。福島県産農産物に対する消費者意識調査で用いられた手法を援用し,二重過程理論に基づき震災後の福島県産水産物の購買意図へ影響をおよぼす消費者意識を調査した。本研究で用いた,二重過程理論のシステム1には,「放射線・原発不安」意識および「被災地支援」意識,システム2には,「知識による判断」意識および「合理的判断」意識が含まれていた。共分散構造分析の結果,「放射線・原発不安」は購買意図を抑制することが示された。一方,「被災地支援」は,購買意図を促進することが示された。さらに,先行研究とは異なり,福島県産水産物の購買においては,「被災地支援」は「放射線・原発不安」を抑制する効果があることが明らかとなった。消費者は不安を抱えながらも復興支援の意識を持ち,福島県産水産物の「購買意図」を培っていることが示唆された。
著者
植田 睦之 岩本 富雄 中村 豊 川崎 慎二 今野 怜 佐藤 重穂 高 美喜男 高嶋 敦史 滝沢 和彦 沼野 正博 原田 修 平野 敏明 堀田 昌伸 三上 かつら 柳田 和美 松井 理生 荒木田 義隆 才木 道雄 雪本 晋資
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.F3-F11, 2014-10-01 (Released:2014-10-15)
参考文献数
29

2009年から2013年まで,全国21か所の森林で繁殖期の鳥類の個体数変化についてモニタリングを行なった.98種の鳥が記録され,そのうち10地点以上で記録された25種を対象に解析を行なったところ,薮を生息地とするウグイスとコルリが減少しており,キビタキが増加していた.ウグイスとコルリはシカの植生への影響が顕著な場所で個体数が少なく,シカによる下層植生の減少がこれらの種の減少につながっていることが示唆された.しかし,シカの影響が顕著でない場所でも減少傾向にあり,今後のモニタリングにより減少の原因のさらなる検討が必要である.
著者
井関 真理 中山 博輝 渡邊 睦房 内堀 歩 千葉 厚郎 水谷 真之
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.558-562, 2022 (Released:2022-07-29)
参考文献数
27
被引用文献数
1

症例は43歳女性.コミナティ‍®(BNT162b2,ファイザー社)接種後に異常感覚と筋力低下,嚥下障害,高度の深部感覚障害を自覚し,当科を受診した.腱反射は消失,髄液検査は正常,抗ガングリオシド抗体は陰性で,神経伝導速度検査ではF波の出現率の低下を認めた.ワクチン接種による自己免疫性の末梢神経障害と考え血漿交換を行ったところ,症状は改善したが深部感覚障害は残存した.新型コロナウイルス感染(coronavirus disease 2019,以下COVID-19と略記)後およびCOVID-19ワクチン接種後に末梢神経障害を生じた既報例を本例と比較すると,深部感覚障害がめだつ点が特徴的だった.
著者
堀田 みゆき
出版者
日本法政学会
雑誌
日本法政学会法政論叢 (ISSN:03865266)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.58-67, 1999-11-15
被引用文献数
1

Recently, the concern over human rights has gradually spread from the part of individual nations to the whole international community. At the same time in a large part of western countries, i.e. the northen part of Europe and USA, the view of society for homosexuality has become much more tolerant than before. As the result of these facts, the Registered Partnership Act constituted for the first time in Denmark in 1989. Next to it Norway(93), Sweden(94) and Iceland(96)followed introducing similar acts. These laws approved substantial marriage between the same sex and regulated the same legal effects as general marriage with some exceptions. The exceptions are concerned about getting parenthood. One of them is concerned about adoption and guardianship, the other is artificial insemination. The present thesis handles at first the right to marry and found a family from the public international law, i.e. the Universal Declaration, UN Covenant on Civil and Political Rights, etc. And it takes up the legal position of homosexual persons as to marriage and even more of transsexual persons. According to norms of public international law, the right to marry is not absolute and marriage between the same sex is not recognized. The right to marry and found a family,however, is essential to the pursuit of the individual happiness, therefore their rights should be approved at least in the different form as general marriage as far as it doesn't act against the public interests. And in addition, the attitude of clergy and general people for the homosexuals is mentioned around Sweeden and Denmark.
著者
堀江 宗正
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.229-254, 2017-09-30 (Released:2017-12-30)

二〇〇〇年代に入ってから主に英語圏の経営学で「職場スピリチュアリティ」をめぐって活発な議論が交わされている。本稿はその理論的展開と歴史的意義を明らかにするサーヴェイ論文である。この概念は経営者や従業員を対象とする調査から構築された多次元的概念であり、同時にコミュニタリアン的な徳倫理学の価値観のセットとしても提示される。その構成要素はコミュニティ感覚、従業員の疎外の改善、従業員の多様性の尊重、企業の不正への不寛容などである。だが批判者は企業中心主義、スピリチュアリティの道具化、従業員のコントロールの強化、カルトとの類似、訴訟の増大の危険を指摘する。一連の議論は経済活動と宗教を両立させようとする歴史的な試行錯誤のパターンを反映している。世俗化や近代化を生き延びつつ経済活動を支えてきたスピリチュアル資本の現代的な育成の形とも見られる。最後に日本で研究するべきいくつかの関連テーマについて展望を示したい。
著者
権藤 克彦 新山 祐介 荒堀 喜貴
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.4_97-4_128, 2022-10-25 (Released:2022-11-22)

本論文ではSwift言語のARC機能により発生する強い循環参照やメモリリークを自動的に検知する新しいツールUCDetectorを提案する.Swift言語の「静的型付けで安全な言語でありながら低レベルなプログラミングが可能」という特徴,SwiftリフレクションAPI,デバッガ lldb Pyton APIを用いることで,簡易かつコンパクトな実装が可能だったこと,その際に自明ではない様々な障壁があったことを知見として本論文では報告する.また,実装した循環参照検知器の精度と効率に対する予備評価の結果も報告する.
著者
名取 良太 福元 健太郎 岸本 一男 辻 陽 堤 英敬 堀内 勇作
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.105-115, 2014 (Released:2018-02-02)
参考文献数
11
被引用文献数
1

参議院選挙は,戦後日本政治の変動に,何度も重要な役割を果たしてきた。しかし,従来の日本政治研究,特に選挙過程の分析は,そのほとんどが衆議院を対象にしたものであり,日本政治の理解もこの範囲を出なかった。参議院選挙データはほとんど分析されず,参院選が日本政治に与えた影響は解明されてこなかったのである。その状況をもたらした原因の一つは,参院選データが十分に整備されていないことである。そこで我々は,参院選の市区町村別データを収集し,データベースを開発した。参院選研究を活性化させ,日本政治に対する参院選の意義や,二院制の意義そのものの再検討を促したり,選挙研究の理論モデルを発展させたりすることが狙いである。本論文は,その参院選データベースの内容と利用方法を説明するものである。
著者
井波 真弓 岩崎 晴美 宮沢 賢治 土屋 宏之 斎藤 兆古 堀井 清之
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.24, no.Supplement1, pp.211-214, 2004-07-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
19

The movement of the feeling of love in The Utsusemi story, which is previous part of The tale of Genji, the oldest long roman in the world, is visualized by means of wavelet multi-resolution analysis. By visualizing the movement of the feeling of love, it is verified the feature of this story: Genji, the hero, is largely influenced by Utsusemi's attitude, the first woman in his love story after his marriage and she makes him to feel keenly the perplexity of adolescence and the lost. In the case of Genji, even Utsusemi refuses to meet him, his willing to meet her and his longing to her are still high in the first and second part but his unwilling to meet her rises and the highest in the third part. While Utsusemi's willing to meet him is remarkable in the first part, unwilling to meet him because of her situation rises in the second part but her longing rises and the highest in the third part.
著者
吉賀 夏子 堀 良彰 只木 進一 永崎 研宣 伊藤 昭弘
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.310-323, 2022-02-15

わが国には,江戸時代以前に記された業務記録や証文などの古記録が数多く存在する.これらを有効に活用するためには,少ない工数で機械可読データを構築する必要がある.特に,地域特有の資料の場合には,地域特有の固有表現への対応が必要となる.本研究では,江戸期の業務日誌である「小城藩日記データベース」の目録記事文からLinked Dataなどの機械可読データを生成することを具体的目標とし,固有表現抽出の効率化を行う.その第1の手法は,市民参加による人手そのものの有効活用である.第2の手法は,機械学習による固有表現の自動抽出である.これらの手法を組み合わせることで,通常は収集の難しい地域特有の固有表現を記事文から,自動かつ高精度で抽出可能である.
著者
秋山 滋男 土井 信幸 武田 有芽 堀 祐輔 宮本 悦子
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.20-26, 2021-06-10 (Released:2021-06-29)
参考文献数
16

Adverse Drug Reaction Relief System is intended for people who suffer adverse health effects from drugs despite their proper use, including over-the-counter (OTC) drugs. The decision-making data for the payment of relief benefits associated with OTC drugs and the instructions-for-use provided by community pharmacists and registered retailers were investigated. The results showed that the relief benefit nonpayment rate for OTC drugs was 3.9% and the number of cases was 9, of which 5 were due to improper use. Among the OTC drugs covered by relief benefits, the most common were schedule II pharmaceuticals, which were sometimes used in combination with prescription drugs. These results suggest that pharmacists and registered retailers should check for the use of concomitant drugs (e.g., with drug notebooks) at the time of the OTC drug sale. Pharmacists and registered retailers should provide a detailed explanation of the drugs to consumers and confirm that the information is understood, especially when schedule II pharmaceuticals or psychotropic drugs are sold. Additionally, information on the initial symptoms of an adverse drug reaction and treatment should be provided to prevent serious reactions. Follow-up with consumers during OTC drug use may also reduce the risk of misuse.
著者
堀田 典裕
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.60, no.478, pp.169-177, 1995-12-30 (Released:2017-01-27)
参考文献数
33

This paper is an attempt to analyze the evoluting process and the spatial characteristics of Dohtoku residential quarter in Nagaoya. Rice fields reclaimed in the Edo era were developed by Nagoya-sanbashi-soko Inc. in the early Showa era as the residential quarter for the workers of the factories around Nagoya Port. Although a licensed area was included in the preliminary plan, it was changed into the waterfront amusement park by the direction of the Town Planning Committee of Aichi Prefecture. Around this big park and five small parks, the streets were arranged in a partially radiating pattern.