著者
寺町 晋哉 Shinya TERAMACHI 宮崎公立大学人文学部 Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.105-122, 2018-03-09

2017 年3 月に小・中学校の学習指導要領が改訂される告示が公示された。新しい学習指導要領は、小学校が2020 年度より、中学校が2021 年度より施行される。そこで本稿では、新しい学習指導要領をジェンダーの視点及びセクシュアリティの視点から整理することを通して、ジェンダー公正な社会を目指す上での課題について明らかにすることを目的とする。本稿で明らかになったのは、ジェンダー平等やジェンダー公正な社会の構築へ向けて、新たな学習指導要領が果たす役割は極めて小さいということである。むしろ、性別特性や性別役割分業を暗に前提とした記述も見られることから、ジェンダー不平等な社会の形成へ学習指導要領が貢献しているとも言えよう。また、文部科学省によって対応が示されたLGBTIの人々の存在についても、新学習指導要領では一切触れられていない。
著者
松村 彩子 香月 健吾 穐本 昌寛 佐久間 敬之 中嶋 ゆき 宮崎 拓也 藤澤 信 中島 秀明
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.1639-1642, 2021 (Released:2021-12-03)
参考文献数
5
被引用文献数
2

Coronavirus disease 2019 (COVID-19) has emerged as a global pandemic until today, but treatment options remain limited. COVID-19 vaccination is expected to decrease the number of patients with COVID-19 worldwide. In Japan, two types of mRNA COVID-19 vaccine, BNT162b2 (Pfizer/BioNTech) and mRNA-1273 (Moderna), have been approved and administered. However, their side effects remain poorly elucidated. This paper presents two cases of immune thrombocytopenia (ITP) after BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccination. Whether or not ITP is triggered by the vaccination or not is difficult to identify. Further investigation with a large number of cases is warranted to clarify the side effects of BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccination.
著者
加藤 徹也 青木 滉一郎 菅原 徹 村上 智加 宮崎 正己
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.419-424, 2015 (Released:2015-08-28)
参考文献数
15
被引用文献数
2

We produced the average face by combining forty-one facial images of female college students in order to investigate how the facial impression changes depending on distance between eyes and eyebrows. Furthermore, we produced ten experiment samples by shortening or widening distance between them of the average face in five steps respectively. These images were presented individually to ninety college students, and they were asked to evaluate them using twenty adjective pairs. Consequently, the average face received high evaluations about likability-related impressions, while the faces with shorter distance between eyes and eyebrow got high evaluations about activity-related impressions. Moreover, two principal component (“degree of refinement” and “femininity”) were extracted as a result of principal component analysis to evaluation scores. It was found that degree of refinement was likely to be affected by the perceived size of the eyes, and femininity was defined by distance between eyes and eyebrow.
著者
生友 聖子 島野 幸枝 松田 史代 池田 恵子 川﨑 一弘 宮崎 雅司 山﨑 芳樹 吉田 義弘 坂江 清弘 森本 典夫
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0545, 2007 (Released:2007-05-09)

【はじめに】 スポーツの各場面において選手は刻々と変化する状況を瞬間的に判断しながら体を動かす。このスポーツに重要な『視る能力』とスポーツの関係を、統合的に研究する学問をSports Vision(以下SV)という。先行研究では、男性のSVは女性よりも全体的に優れているとの報告がある。しかし、これは対象が不特定多数の競技者であり、特定競技の同等競技力レベルの男女を対象とした報告はない。今回、全国でもトップレベルの実力を有する高校男女サッカー部員のSVを調査し、同一種目競技者間の男女差について比較・検討を行なった。【方法】 対象は、K県内の高校サッカー部に所属する経験年数3年以上の男子31名(経験年数:10.45±1.84)、女子24名(経験年数:8.38±2.67)である。測定項目は、スポーツビジョン研究会の報告に準じて、静止視力、縦方向の動体視力であるKVA動体視力、横方向の動体視力であるDVA動体視力、眼球運動、深視力、瞬間視、眼と手の協応運動の7項目とし、特にDVA動体視力は右回転と左回転、深視力は指標が近づく場合と離れる場合に分けて測定した。また、測定は競技を行う際の眼の状態(裸眼、コンタクト、眼鏡)で行った。統計手法は、対応のないt検定(p<0.05)を用いた。【結果】 DVA動体視力は右回転・左回転共に男性群が女性群と比較し有意に優れていた。また、指標が近づく場合の深視力と眼と手の協応動作で男性群が女性群に比較し優位である傾向にあった。一方、眼球運動では女性群が男性群に比較し有意に優れており、指標が離れる場合の深視力と瞬間視で女性群が男性群に比較し優位である傾向にあった。【考察】 今回、高校生サッカー部員の男女間比較では、DVA動体視力、眼球運動において両群間に有意差がみられた。先行研究においては、視機能は全体的に男性が優れているとされ、今回の研究でも、特にDVA動体視力において有意に男性が女性より優れていた。同等競技年数でトップレベルの選手間においても、先行研究と同様に男女差が見られたことから、これは運動習慣の差異ではなく生得的な原因によるものではないかと考えられる。また、眼球運動に関しては女性が有意に男性より優れており、先行研究と異なる結果が得られた。このことから、女性は跳動的に動く像を正確に目で追う能力は男性よりも優れているが、動いている像がどのようなものかを識別する能力は男性より劣っている可能性が示唆された。今後、男女間のみならず、種々の競技間での比較・検討なども行い、スポーツビジョンの分野をさらに追求していきたい。
著者
宮崎 泰広 種村 純 伊藤 絵里子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.20-27, 2013-03-31 (Released:2014-04-02)
参考文献数
20

新造語を呈した失語症者の呼称課題における反応を分析し, 新造語の出現機序について検討した。初回評価時の呼称課題にて, 新造語がその他の発話症状に比べもっとも多く出現した失語症 10 例を対象とした。初回評価時と発症1 ヵ月後の再評価時における呼称課題の反応を継時的に分析した。その結果は, 新造語の減少に伴い, 音韻性錯語の出現が増加した者は3 例, 無関連性錯語の出現が増加した者は3 例, 意味性錯語の出現が増加した者は2 例, 音韻性錯語と語性錯語の出現がともに増加した者は2 例であった。新造語の減少に伴い他の錯語が増加し, 症例により経過的に種々の錯語タイプに分かれた。これは言語処理の障害過程を反映している可能性を示し, 新造語は音韻レベル, 意味・語彙レベル, その複合的な障害により生じることが示唆された。
著者
宗景 志浩 山本 由徳 吉田 徹志 宮崎 彰 加藤 伸一郎 加藤 伸一郎 バクタ ジャティンドラ ナース
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ヴェトナムのエビ養殖池及びその周辺の底泥を採取して, 抗生物質, 重金属, 富栄養化物質の濃度を調べ, あわせて耐性菌の出現率や抗生物質の抵抗性に関する実験を行った。食料生産の場であるにもかかわらず, 重金属濃度は高く, 環境基準値を大きく超えるものもあった。多くの抗生物質や薬剤が使われており, 生物濃縮が危惧される。保全対策として光触媒と紫外線用いた蓄積抗生物質の分解, シリカセラミックを用いた重金属吸着除去法について研究した。
著者
宮崎 佑介
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.237-246, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
62
被引用文献数
8

新興の学術領域であるCitizen Science(市民科学)の発展は、情報科学技術の発展と不可分の関係にある。生物多様性に関連する分野においても、その可能性はとみに高まっている。本稿では、市民科学に関連する生物多様性情報データベースの現況と課題を、国内外の事例から概観することによって、今後の生物多様性情報データベースを活用した市民科学の在り方を考える。
著者
中原 健一 島田 史也 宮崎 邦洋 関根 正之 大澤 昇平 大島 眞 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

株式市場における売買審査業務をより効率的かつ合理的に行うために,定量的に見せ玉を検知する手法を提案する.本手法においては,教師ラベルを使用せずに相場操縦行為中に見られる不自然な取引履歴を発見するため,密度比推定による異常検知手法を用いた.東京証券取引所の上場銘柄の中より無作為に選択され,専門家チームによってラベル付けされた118 件の半日単位の一銘柄取引履歴による検証結果によると,見せ玉が疑われる事例の80%は,モデルが予測した異常度順にソートした事例の上位50%に含まれ,実務で使用されている単純な規則によるスクリーニングの結果と比較して更なる精緻化が達成できていることが示された.
著者
黒田 史彦 尾関 史 古屋 憲章 宮崎 七湖 李 羽喆
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌 (ISSN:18813968)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.40-41, 2013-03-09 (Released:2017-05-24)

Center for Japanese Language at Waseda University held a "kanji workshop" to provide international students with an environment in which they can master not only kanji but also kanji learning methods, and then proceed with their kanji learning autonomously. This workshop consisted of the following activities: 1) an introduction to kanji learning resources, as well as tasks introducing the use of the kanji learning tools; 2) the planning of kanji learning and its review; 3) the sharing of kanji learning methods among learners; and 4) the creation of personalized dictionaries and their sharing among learners. This paper describes the activities carried out in this workshop, and reports on the results of a questionnaire survey.
著者
宮崎 誠
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.2022-058, 2023 (Released:2023-06-07)
参考文献数
15

本学6年次生の読解力を測定し,得られた能力と学内で実施された試験の成績および薬剤師国家試験成績との関係を検討した.読解力の偏差値は中央値が63程度であったが,一部には50に満たない者もいた.5年間の学内総合成績が低い者は『イメージ同定』の能力が低く,国家試験不合格者は合格者に比べて『推論』の能力が低かった.個々の学生の読解力の特徴から,学生を4つのタイプに分けることができた.『推論』,『イメージ同定』,『具体例同定』のいずれもが低いタイプでは5年間の学内総合成績も国家試験模擬試験成績も他のタイプに比べて有意に低かった.以上より,読解力が国家試験の合否に間接的にも影響している可能性が示唆され,薬学部における学生の教育・指導において読解力は考慮すべき基礎能力であると考える.
著者
宮崎 博之 吉山 友二
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.151, no.2, pp.48-51, 2018 (Released:2018-02-07)
参考文献数
31
被引用文献数
1

動物実験代替法は,動物実験の3Rs(Replacement,Reduction,Refinement)を前提としている.動物実験代替法の利用は,EU指令により同域内での動物実験が禁止された化粧品を始めとして,化学物質,医薬品,医療機器,農薬において世界的な潮流となっている.本稿では,日本における動物実験代替法研究の歩みについて述べるとともに,その技術的側面としての細胞培養,非哺乳動物,非脊椎動物及びin silicoにおけるReplacementの開発に関する最近の話題について述べる.
著者
宮崎 泰広 種村 純 伊藤 慈秀 三寳 季実子 福本 真弓
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.289-296, 2003 (Released:2006-04-21)
参考文献数
22
被引用文献数
3 1

失語症患者8人を対象に,呼称課題を施行した。その課題施行時に出現した保続を分析し,保続の出現機序について考察した。  まず出現した保続を,保続として出現した語彙が表出されてから直後に出現したか否かで直後型・遅延型に分類し,その出現した保続と目標語間での意味的・音韻的類似性について検討した。この結果,出現した保続と目標語との間に意味的または音韻的類似性がある場合の割合が,直後型に比べ遅延型のほうが有意に高かった。  以上より,遅延型保続の出現には保続した語と目標語との意味的もしくは音韻的類似性が影響していることが示唆された。このことより,遅延型保続の出現には意味・音韻の処理過程における選択性の障害が関与していると考えられた。保続出現機序は一般に経時的な抑制障害である易動性の障害で説明されるが,易動性の障害によってのみでは説明できず,意味もしくは音韻の処理過程における選択性の障害の関与を示唆すると考えられた。