著者
宮崎 早季
出版者
国立大学法人 琉球大学島嶼地域科学研究所
雑誌
島嶼地域科学 (ISSN:2435757X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.17-37, 2022 (Released:2022-06-30)

本稿では,1989年から2022年にハワイで開催された「追憶の日」イベントを通した,ハワイ日系人の戦争記憶の共有・継承の試みを明らかにする。ハワイでの最初のイベントは,1989年に開催された。90年代から00年代前半は主にアメリカ合衆国本土西海岸の収容の記憶が,2006年以降は,ハワイのホノウリウリ収容所の記憶がイベントのテーマとされた。一方,ハワイから本土の施設に送られた人々や自宅から追い出された人々の経験や,ハワイ日系人のほとんどが経験した戒厳令下の生活は,あまり語られていない。本土西海岸で始まった「追憶の日」イベントを,本土西海岸の影響を受けながらも継続しようとするハワイ日系人のイベントの変容を描く。
著者
宮崎 眞
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.55-66, 2004-03-31 (Released:2019-04-06)

本研究は重度知的障害のある児童2名を対象とし、見立て遊びを指導し促すことによって発語行動がどのように変容するか検討することを目的とした。指導1-1で「焼きそば」、指導1-2で「カレーライス」「魚焼き」「サンドイッチ」および「目玉焼き」に従ってふり動作の系列を遂行するように、言語教示、動作の示範、動作を言語化の手続きにより指導した。指導2ではさらに「歯磨き」等のスクリプトを新たに加えた。対象児が遊びを開始するのを待ち、ふり動作を行ったときに対象児の動作を言語化する指導手続きを中心にした。指導1〜2の結果、両対象児は見立て遊びを自発するようになった。発語の系列化といった形態面での変化はなかったが、この見立て遊びの進展に伴い、言語面では発話の機能が多様化する傾向が認められた。
著者
宮崎 有紀子 佐藤 由美 大野 絢子
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.261-266, 2002-07-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
16

【背景・目的】室内環境の清潔保持は, 健康な生活を営むために重要である.その方策を立てるため, 室内の塵埃量やダニ抗原量の季節変動, 床材の種類とコナダニ(ダニ)数, 適切な塵埃除去等を検討した.【対象と方法】室内の塵埃量とダニ抗原量の測定は, 電気掃除機及びACAREX testによって行い, 塵埃中のダニ数測定は実体顕微鏡によって行った.【結果】室内塵埃量は冬季から春季にかけて増加し, 塵埃中のダニ抗原量は秋期に増加した.ダニは絨毯敷き詰めの部屋に多くみられ, 板敷きでも清掃しない部屋には多かった.電気掃除機による塵埃除去効率は, 床材の種類で大きく異なり, また掃除機の使用法が塵埃除去効率をあげるために重要と思われた.【結語】室内の清潔を保つためには, 塵埃やダニ抗原量を減らすことが重要である.今回得られたデータを活用した環境整備マニュアルを作成し, 学生や地域住民に対する環境整備教育に使用する予定である.
著者
宮崎 貴久子
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.8-11, 2015 (Released:2015-04-16)
参考文献数
20
被引用文献数
1

QOL(Quality of life)は患者立脚型アウトカム(Patient reported outcome: PRO)の一つとして、患者から直接得られた、患者の主観による生活の質あるいは生命の質に関する評価である。1980年代以降、QOLを計量心理学的あるいは科学的に測る目的でさまざまな尺度(質問票)が開発された。それぞれの疾患特有の症状に着目した疾患特異尺度と、広く一般の人々から患者にまで共通した項目で測定する包括的尺度がある。それらは、集団を対象として計測され、結果は統計学的な分析を経てからはじめて結果が公表される。一方で、臨床的にQOL評価を活用したいという要望も生じ、それに対応すべく臨床における最小重要差の算定を目指したのが、MID(Minimally important difference)調査研究である。尺度は、対象となる集団のQOLを正確に測る物差しであることに加えて、測定結果の差の臨床的意味を説明し、治療方法の意思決定に資する情報を提供し、臨床行動に示唆を与えることまでが期待されるようになった。背景に、がんや生活習慣病、慢性疾患の増加により、治療成績や延命だけでなく、病気と共に生活していく患者のQOLを考慮した医療も必要とされるようになったことがある。QOLを考慮する必要性と共に、患者の健康に関する情報をいかに科学的に妥当性と信頼性を保ち計測するかという目的で、健康関連の質問票を作成する手順評価のためのチェックリスト(COnsensus-based Standards for the selection of health Measurement INstruments: COSMIN)が開発された。COSIMINチェックリストの項目には、妥当性・信頼性の検証とともに、得られた結果の説明力の一項目としてMIDが取り上げられている。尺度を開発する時点ですでに、尺度を用いた調査の臨床的な意味を考える必要が示唆されている。MIDの算定方法は、大きく、統計学的分布によるdistribution-based methodと、外部の基準とQOLスコアの差の関係性によるanchor-based methodの2つがある。それぞれの算定方法には特徴がある。より臨床的意味を問うには、悪化と改善の方向性で異なる算定値が提示されるanchor-based methodであると言われている。MIDは臨床におけるQOL評価の活用に有用ではあるが、検討課題もあることに留意したい。特に、調査の状況設定については注意が必要である。また、統計学的観点からは、個人間での変化量が、そのまま群間での変化量としてよいのかという課題が提示されている。患者のQOL維持・向上を目指して、QOL/PRO評価結果を臨床にいかに使用するか、そのためにはどのような方略があるのかについて、さらなる検討と議論を深める必要がある。
著者
宮崎 晴代 茂木 悦子 斉藤 千秋 原崎 守弘 一色 泰成 鈴木 伸宏 関口 基 湯浅 太郎
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.118-125, 2001-04-25
参考文献数
35
被引用文献数
11

本研究の目的は, 多数の歯を維持する日本人高齢者を対象として, その咬合および顎顔面形態を明らかにすることである.千葉市では毎年, 8020達成者を募集し千葉市主催の長生き良い歯のコンクールで表彰している.今回は平成10, 11年度の応募者41名に対し, アンケート調査および口腔内診査を実施し, その際口腔内及び顔面写真撮影, X線写真撮影, 印象採得を行い資料とした.応募者の平均年齢は82歳5カ月で, 平均現在歯数は25.3歯であった.年齢および現在歯数に男女差はなかった.咬合関係は, 前後的には上顎前突が78.9%, 正常が21.1%, 反対咬合は0%だった.垂直的には過蓋咬合が34.2%, 正常が65.8%, 開咬は0%だった.犬歯部アングル分はClass I (64.6%)とClass II (25.0%)が大半を占めた.叢生については, 上顎前歯部の叢生を有するものは4.9%と少なかった.下顎前歯部は31.7%に叢生を認めたが著しい叢生ではなかった.顎顔面形態については下顎骨が後下方回転し, やや上顎前突傾向を示した.以上により日本人8020達成者は比較的良好な咬合および顎顔面形態を有することがわかった.
著者
森田 智美 宮崎 純弥
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.23-26, 2012 (Released:2012-03-23)
参考文献数
5
被引用文献数
1

足関節背屈制限を有する者では立ち上がり動作が困難となることが報告されているが,具体的にどの程度の制限が動作を阻害するのかは明らかとなっていない。そこで,立ち上がり動作を容易に行うために必要な背屈可動域を検討するために,金属支柱付き短下肢装具を用いて4種類の足関節背屈可動域(15°,10°,5°,0°)を設定し,各条件下での立ち上がり動作と通常の立ち上がり動作を比較したところ,前方分力・垂直分力のピーク値および離殿時の股関節屈曲角度(体幹―大腿のなす角)に変化が現れた。背屈可動域5°の条件では前方分力の増加と股関節屈曲角度の減少を認め,動作遂行に困難感が伴った。背屈可動域0°の条件では,前方分力・垂直分力の増加と股関節屈曲角度の減少を認め,動作遂行に困難感が伴った。前方分力・垂直分力のピーク値および離殿時の股関節屈曲角度は立ち上がり動作遂行の困難感を示す指標となり得ることが示唆され,動作を容易に行うために必要な足関節背屈可動域は10°以上であることが示唆された。
著者
宮崎 美智子 高橋 英之 岡田 浩之 開 一夫
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.9-28, 2011 (Released:2011-09-07)
参考文献数
56

The emergence of “Sense of agency” contributes to self-recognition. However there are few useful experimental paradigms for evaluating the development process of the sense of agency in young infants because the sense of agency is a subjective sense and young infants cannot verbally describe their internal experience. In this article, we propose a new experimental paradigm for examining the sense of agency using on-line eye tracking which we named “eye-scratch task”. This task enables us to evaluate the emergence processes of the sense of agency by a trajectory of voluntary eye movement. Besides, this task enables direct comparison of eye movement trajectories between infants and adults in common criteria. Hence, we can discriminate whether an infant feels the sense of agency or not by comparison with adults. Further, we analyzed participants' behavior in the task by the concept of feed-forward model that are the most famous computational frameworks for motor control and sense of agency. And we claim that our new infant's model based measurement give fruitful suggestions to the computational modeling for the development process of the sense of agency and self-recognition.
著者
柳川 佳也 宮崎 茂次
出版者
日本生産管理学会
雑誌
生産管理 (ISSN:1341528X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.193-196, 2001-01-31 (Released:2011-11-14)
参考文献数
7

野球における打順は, どのチームにおいても, 一番打者は足が速く出塁率が高い選手, 二番は犠打などの小細工が得意な選手, 四番には長打力の有る選手が良い, などの通則に基づいて決められているように見える。本研究では, このように経験的に決められた打順が, 他の規則に基づく打順と比べて獲得得点を最大化する上で, 妥当であるかどうかを, シミュレーションにより検討する。
著者
下田 正弘 蓑輪 顕量 永崎 研宣 大向 一輝 宮崎 泉 納富 信留 Muller Albert 苫米地 等流 藏本 龍介 船山 徹 高橋 晃一 師 茂樹 齋藤 希史 高岸 輝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は「人文学がデジタル時代にいかに遂行されうるか」という次世代の人文学にとって重要なテーマについて、人文学諸分野が参照可能なデジタル知識基盤を仏教学から提供し、人文学全体が共同で未来を開く方法論を検討する〈統合デジタル研究環境〉を形成する。そのため、人文学におけるテキスト、画像、事物、行為等の研究対象の相違と、思想、言語、歴史、行動科学等の研究方法の相違の両者を視野に入れ、両者から生まれる知識の多様性を、デジタル技術を通し効果的に保存し利用する多層的概念モデルを構築し、新大蔵経データベース(新SAT-DB)に実装して提供する。
著者
清水 久央 原谷 浩司 宮崎 将行 掛樋 善明 長見 周平 片浪 雄一 川端 寛樹 高橋 信行
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.495-498, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
9

症例は38歳男性.ダニ刺咬後2ヶ月経過してから片側顔面神経麻痺を呈した.ベル麻痺としてステロイド,アシクロビルを投与し2週間で症状は消失.ライム病の可能性も考慮しドキシサイクリンなどの内服を2週間行った.2ヶ月後に頭痛,発熱などの髄膜炎症状が出現.髄液検査では単核球優位の細胞数上昇を示した.アシクロビルの投与で症状は軽快したが血清ボレリア抗体が陽性でありライム病による髄膜炎と考えた.セフトリアキソンを点滴静注し以後再発はない.抗菌薬を投与したにもかかわらず髄膜炎に進展する症例はまれである.ライム病は本邦では症例が少なく診断が難しい疾患であるが,治療効果の判断にも注意が必要であると思われ報告した.
著者
山口 梅太郎 宮崎 道雄
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
日本鉱業会誌 (ISSN:03694194)
巻号頁・発行日
vol.86, no.986, pp.346-351, 1970-05-25 (Released:2011-07-13)
参考文献数
15
被引用文献数
5 9

There has been a rapid increase of interest to unconventional methods of fracturing rocks.Particularly, mechanics of thermal fracture, either by the application of direct heat or electrothermal conversion, are most favourable for practice.In this paper, the authors reported their experiments to measure the strength changes of rocks heated to high temperatures and the thermal fracture.From the experiments, several fracturing mechanisms of rocks heated to high temperatures were found. Which are;a) Thermal elastic stresses induced in rock.b) Transformation of crystal form of the constituting minerals of rock.c) Decomposition of the constituting minerals.d) Melting.e) Thermal expansion of the constituting minerals.f) Others.Neverthless these mechanisms are all affecting to thermal fracturing of rock, one of them is a dominant factor to fracture a particular kind of rock by heat, for example b) to granite and c) to limestone.
著者
宮崎 彰吾 萩原 明人
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.226-234, 2012 (Released:2012-12-10)
参考文献数
19
被引用文献数
1

【目的】人々の健康増進に用いられている鍼灸療法の費用をカバーする助成金額と健康指標との関連について検討するため、 国民健康保険の保険者である各自治体が独自に設定している鍼灸療法の公的な助成金額と集団の健康状態の指標とされる平均寿命および疾病分類別の医療費との関連について検討した。 【方法】福岡県内の85市町村を対象に、 国民健康保険の保険者である各市町村が独自にその範囲を設定している助成制度から 「鍼灸療法に対する1年間当りの助成金額の上限値」 を算出し、 「健康指標 (平均寿命、 標準化死亡比)」 及び 「医療費 (疾病分類別における入院及び入院外の1人当り実績医療費)」 との関連を検討した。 【結果】鍼灸療法の公的な助成金額と平均寿命との間には有意かつ正の相関 (男性:r=0.53, P<0.001、 女性:r=0.44, P<0.001) が見られ、 標準化死亡比との間には有意かつ負の相関 (男性:r=-0.48, P<0.001、 女性:r=-0.34, P<0.005) が見られた。 更に、 鍼灸療法の公的な助成金額と医療費との間には有意かつ負の相関 (入院:r=-0.26, P<0.05、 入院外:r=-0.30, P<0.05) が見られた。 【考察及び結論】鍼灸療法を利用する多くの患者は、 主に筋骨格系の症状に対する治療目的で受診している。 助成金額が高い場合ほど平均寿命が延伸するのは、 鍼灸療法によって筋骨格系疾患が改善することにより、 日常生活動作 (ADL) や身体活動量の向上につながり、 致命的な疾患 (例えば癌、 虚血性心疾患と脳血管障害) のリスクを減少したためであると考えられる。 また、 鍼灸療法が致命的な疾患あるいはその原因となる状態に直接影響している可能性も示唆された。
著者
今井 浩三 中村 卓郎 井上 純一郎 高田 昌彦 山田 泰広 高橋 智 伊川 正人 﨑村 建司 荒木 喜美 八尾 良司 真下 知士 小林 和人 豊國 伸哉 鰐渕 英機 今井田 克己 二口 充 上野 正樹 宮崎 龍彦 神田 浩明 尾藤 晴彦 宮川 剛 高雄 啓三 池田 和隆 虫明 元 清宮 啓之 長田 裕之 旦 慎吾 井本 正哉 川田 学 田原 栄俊 吉田 稔 松浦 正明 牛嶋 大 吉田 進昭
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)『学術研究支援基盤形成』
巻号頁・発行日
2016

①総括支援活動 : 前年度立ち上げたホームページ(HP)に改良を加えて公募の円滑化を進めた。モデル動物作製解析の講習や若手研究者の交流促進を推進する技術講習会を開催した。成果ワークショップを開催し本活動の支援成果をアピールした。②モデル動物作製支援活動 : 相同組換えやゲノム編集など支援課題に応じた最適な胚操作技術を用いて、様々な遺伝子改変マウスおよびラットを的確かつ迅速に作製し、学術性の高い個体レベルの研究推進に資する研究リソースとして提供した。件数は昨年度より大幅に増加した。③病理形態解析支援活動 : 昨年より多い35件の病理形態解析支援を7名の班員で実施した。研究の方向性を決定づける多くの成果が得られた。論文の図の作成にもかかわり、論文が受理されるまで支援を行った。その結果、より高いレベルの科学誌にも受理された。④生理機能解析支援活動 : 疾患モデルマウスの行動解析支援を実施するとともに、諸動物モデルでの規制薬物感受性解析、光遺伝学的in vivo細胞操作、意志決定に関与する脳深部機能解析、等の支援を展開した。⑤分子プロファイリング支援活動 : 依頼化合物の分子プロファイリング316件、阻害剤キット配付86枚、RNA干渉キット配付・siRNAデザイン合成83件、バーコードshRNAライブラリーによる化合物の標的経路探索15件、を実施し、より多くの研究者の利便性を図った。
著者
宮崎 清孝 小野寺 涼子 田中 康生 福田 稔
出版者
早稲田大学
雑誌
人間科学研究 (ISSN:18800270)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.51-65, 2005-03-25
被引用文献数
1

This paper studied how the process of collaborative art production developed in a professional artist's workshop for children. The focus of the study was to examine the role of the artist's and other adults' behavior to stimulate the children's art production. The target of the study was 7-day art workshop held by the world famous installation artist Tadashi Kawamata in a kindergarten in Gifu prefecture, in which the artist and children, helped by other adults, built a construction named "Kichi", or "the Base", and many small objects decorated in Kichi. Two cases were taken up and their video records were analyzed. In the case 1, 8 children were observed while they were making small wooden decorations with one of their teachers and one of Kawamata's students. In the case 2, one class of children were observed while they were building house like construction in their classroom, in which Kawamata intervened and affected their course of production. The results showed that the process of their production can be schematized as a circular repetition of "proposal" and "adoption" or "rejection". Three modes of proposal were identified. Among them, the most important from this study's interest was the introduction of the resources for production, only done by adults. This type of proposal opened up the children's new courses of production behavior, which were unexpected even by adults who made the proposal. The implication of this proposal was discussed, using Wartofsky's (1979) analysis of art as tertiary artifacts. (Waseda Journal of Human Sciences, 18 (1) : 51-65, 2005)
著者
宮崎 佑介 吉岡 明良 鷲谷 いづみ
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.235-244, 2012
参考文献数
33

朱太川水系の過去の魚類相を再構築することを目的として、博物館標本と聞き取り調査を行った。美幌博物館、北海道大学総合博物館水産科学館、市立函館博物館、国立科学博物館において、朱太川水系から採集された魚類標本の調査を行い、13種の魚類標本の所在を確認することができた。しかし、市立函館博物館の1923年以前の標本台帳に記されているイトウ標本の所在は不明であった。また、朱太川漁業協同組合の関係者18名に過去の朱太川水系の魚類相に関する聞き取り調査を行い、42種の魚類の採集・観察歴について情報を得た。同定の信頼性が高いと考えられるのはそのうちの34種であり、地域の漁業協同組合の保護・増殖の対象種であるかどうかと、聞き取り対象者が生息量の増減を認識していたかどうかは、有意に相関していた。カワヤツメなどの氾濫原湿地を利用する魚類の生息量の減少を指摘する回答者が12名いた。現在は見られないイトウが過去に確かに生息していたこと、カワヤツメの生息量が急減したことが聞き取りからほぼ確かであることが判明し、黒松内町の生物多様性地域戦略における自然再生の目標設定、すなわち「氾濫原湿地の回復」の妥当性が確認された。多くの人々が関心をもって観察・採集してきた生物種については、聞き取り調査によって量の変化に関する情報を得ることができる可能性が示唆された。
著者
桶田 真理子 加藤 志保 金谷 重朗 桐山 毅 齊藤 和彦 齊藤 幸世 櫻井 綾 中川 千恵子 長谷川 仁美 平田 雅 宮崎 あかり 前田 富士男
出版者
慶應義塾大学アート・センター
雑誌
Booklet (ISSN:13420607)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.108-117, 2007

I. 公共性に関する哲学および芸術学II. 文化政策・文化行政と芸術振興1) 文化政策・文化行政2) 芸術支援III. 指定管理者制度IV. 日英の行政改革と文化施設1) 英国等の行政改革─CCT、PFI、PPP など2) 日本の行政改革と文化施設