著者
小山 順二 都筑 基博
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.83-95, 2014-03-25 (Released:2014-05-20)
参考文献数
59
被引用文献数
1 1

After the 2011 Tohoku-oki megathrust earthquake of Mw 9.0, we observed tens of thousands of inland and volcanic earthquakes all over the Japan Islands, which are not confined within the aftershock area of off the Pacific coast of Tohoku region. This reminds us to evaluate the earthquake activity in a much wider sense, discarding an ordinary idea of the foreshock-mainshock-aftershock activity within a limited aftershock area of a particular earthquake. There occurred several megathrust earthquakes worldwide in the last one hundred years. We have studied their significant events before and after the earthquakes based on our new hypothesis on the earthquake generating zone with the distinct difference between Along-dip Double Segmentation (ADDS) and Along-strike Single Segmentation (ASSS). In summary, some of significant aftershocks (larger than Mw 7.5) of ADDS megathrusts are those (Type I) in and near outer-rises, where some are dip-slip normal faultings and some are strike-slip faultings within subducting oceanic plates with component of normal fault. These outer-rise earthquakes are considered to be controlled by the slab-pull of descending slabs of oceanic plates induced by the reduction of plate couplings by megathrusts. In addition, some are also significant (Type II) along the plate interfaces within aftershock areas and those extending aftershock areas similarly to the corresponding megathrusts. On the other hand, aftershocks of ASSS occurred in and near corresponding aftershock areas and significant and or disastrous outer-rise events are rare. Some large (not significant) inland earthquakes are also known for both ADDS and ASSS megathrusts. All these results are not dependent on whether the subduction geometry is oblique or orthogonal.
著者
青山 雅史 小山 拓志 宇根 寛
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.128-142, 2014
被引用文献数
1

<p>2011年東北地方太平洋沖地震で生じた利根川下流低地における液状化被害の分布を詳細に示した.本地域では河道変遷の経緯や旧河道・旧湖沼の埋立て年代が明らかなため,液状化被害発生地点と地形や土地履歴との関係を詳細に検討できる.江戸期以降の利根川改修工事によって本川から切り離された旧河道や,破堤時の洗掘で形成された旧湖沼などが,明治後期以降に利根川の浚渫砂を用いて埋め立てられ,若齢の地盤が形成された地域において,高密度に液状化被害が生じた.また,戸建家屋や電柱,ブロック塀の沈下・傾動が多数生じたが,地下埋設物の顕著な浮き上がり被害は少なかった.1960年代までに埋立てが完了した旧河道・旧湖沼では,埋立て年代が新しいほど単位面積当たりの液状化被害発生数が多く,従来の知見とも合致した.液状化被害の発生には微地形分布のみならず,地形・地盤の発達過程や人為的改変の経緯などの土地履歴が影響を与えていたといえる.</p>
著者
古野 真菜実 今泉 修 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

蓮の花托などの集合体に対する嫌悪はトライポフォビアと呼ばれる。トライポフォビアを誘発する視覚刺激の物理的要因については詳細な検討が行われているものの(Le et al., 2015),認知的要因については検討されていない。本研究では認知的要因について探索的に検討した。トライポフォビア喚起刺激(Le et al., 2015)に対する不快感評定実験の結果,集合体を有する物体が自然物か人工物か(e.g., 蓮かスポンジ)によって不快感が異なることが示唆された。さらに詳細に検討するため自然物・人工物の集合体画像からなる新規刺激を用いて不快感評定実験を行ったところ,自然物は人工物よりも不快感が強かった。以上の結果から,集合体を有する物体における自然物・人工物の違いがトライポフォビアに影響する可能性が示唆された。身体損壊や有害生物の連想からトライポフォビアが生じるとするならば(Cole & Wilkins, 2013),集合体を有する自然物はそのような連想を起こしやすい可能性がある。
著者
小山 時隆
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.S0088, 2009

ウキクサは湖沼・水田などで普通にみられる植物である。単子葉類のサトイモ目に属するウキクサ科は、主に<i>Spirodela</i>属、<i>Lemna</i>属、<i>Wolffia</i>属の3属から構成され、根の本数(それぞれ複数本、1本、0本)によって分類されている。小さく成長が早いといった見た目の特徴がウキクサでは際だっているが、それ以外にも研究者を惹きつける様々な要素を持っている。生理学的研究においてはシロイヌナズナ以上に長い歴史をもつが、遺伝学的あるいは分子生物学的な研究はほとんどなされてこなかった。演者は<i>Lemna</i>属のウキクサを用いて、概日時計・光周性の生理学的・分子生物学的研究を7年余り前から進めてきた。また、2008年から<i>Spirodela polyrrhiza</i>のゲノムプロジェクトがスタートし、さらに、突然変異体単離などの遺伝学的アプローチも進められるなど研究環境整備が進められている。本発表では基礎・応用研究材料としてのウキクサの可能性を議論する。ゲノム情報などの大量データ取得が容易になりつつある現在の研究環境において、古典的な実験植物の魅力を再発見する機会をつくりたいと考えている。また、ウキクサを用いた研究分野の現状について紹介する。
著者
山下 ひろ子 小山田 玲子 奥 直子 西村 正治 石黒 信久
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.333-341, 2012

&nbsp;&nbsp;2007年度,当院では病棟の入院制限を必要とするほどの大規模なノロウイルス胃腸炎の集団感染事例を5件経験した.いずれの事例も発端者が発症してから隔離されるまでに2~5日かかっていた.発症者隔離までの期間を短縮することで集団感染を回避することはできないかと考え,感染性胃腸炎患者の早期隔離に努めてきた.その結果,入院制限を必要とするほどの大規模な集団感染は2008年度と2009年度には各1件,2010年度には0件と減少したことから,2006年4月から2011年3月の5年間に感染性胃腸炎として報告された事例168件を対象として詳細に検討した.入院患者の発症事例85件のうち,各部署で発症を把握した当日(隔離までの所要日数0日)に発症者を隔離した64件では大規模な集団感染を回避できたが,翌日(同1日)に隔離した11件のうち1件(9.1%),翌々日(同2日)に隔離した5件のうち2件(40.0%),それ以降(所要日数3日以上)に隔離した5件では全件(100.0%)に大規模な集団感染が発生した.職員の発症事例83件中81件(97.6%)は,各部署で発症を把握した翌日(同1日)までに発症者の隔離がおこなわれており,大規模な集団感染の発生はなかった.以上より,臨床症状に基づいて感染性胃腸炎患者を早期に把握して隔離することが大規模な集団感染を回避するために有用であることが明らかとなった.<br>
著者
小山 史穂子 相田 潤 長谷 晃広 松山 祐輔 佐藤 遊洋 三浦 宏子 小坂 健
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.417-421, 2015-10-30 (Released:2018-04-13)
参考文献数
15

平成24年4月の母子健康手帳の改正により,幼児に対するフッ化物配合歯磨剤の使用の推奨が記載された.本研究では,大学での教育内容を深く反映すると考えられる歯学教育を終えて間もない臨床研修歯科医師を対象に,「幼児への歯磨剤の使用を推奨しているのか」について出身大学ごとに差があるかを調べた.平成24年12月から平成25年3月に臨床研修歯科医師2,323名に対し,郵送による自記式質問紙調査を行った.「二歳の男児の患者さんに対して,あなたが推奨する歯磨剤の量はどれになりますか」の質問の選択肢を「歯磨剤の使用を推奨しない」(歯磨剤は使わない)と「歯磨剤の使用を推奨する」(小児用歯ブラシのヘッドの1/3まで(豆粒大),小児用歯ブラシのヘッドの1/3〜2/3まで,小児用歯ブラシのヘッドの2/3以上,のいずれかを選択)の2カテゴリーにし,出身大学との関連を調べた.統計学的検定には,χ2検定およびロジスティック回帰分析を用いた.1,514名(有効回答率:65.2%)の有効回答の内,使用を推奨した者は48.7%であった.出身大学別の解析では,使用を推奨する者の割合が最も多い大学で73.8%であったのに対し,最も少ない大学で22.2%と両者間に有意差が認められ,出身大学によって,幼児への歯磨剤の使用に関する認識が異なることがわかった.科学的根拠を考慮した効果的な口腔衛生学教育のあり方について検討が必要だと考えられる.
著者
小山内 正博 舘川 康任 田村 麻美子 清水 弥生 新井 美紗 渡辺 裕介 福山 勝彦 秋山 純和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.91-94, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
19
被引用文献数
1

〔目的〕姿勢変化に伴う側腹筋の活動を超音波画像診断装置と表面筋電図法で検証することである。〔対象〕健常成人9名であった。〔方法〕背臥位で安静呼吸と最大呼出の筋厚と筋活動を測定後,体幹を前傾位,中間位,後傾位で,各円背位と伸張位の6種類の坐位姿勢をとらせて再度測定した。〔結果〕最大呼出時に筋電図は,内腹斜筋だけが中間位伸張に対し前傾位円背,中間位円背,後傾位円背で有意差を認めた。安静吸気時は,筋厚で内腹斜筋に中間位伸張に対し前傾位円背,前傾位伸張,後傾位円背で有意差を認めた。〔結語〕中間位伸張は内腹斜筋の姿勢保持筋としての活動に関与しない姿勢と考えられる。最大呼出時の筋電図から内腹斜筋は呼気筋としての機能を発揮しやすい姿勢と考えられる。
著者
東 哲夫 木内 玄詔 小山 長雄
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.90-93, 1964-02-25 (Released:2010-11-29)
参考文献数
3

Silkworm larvae which had been reared by a sericulturist in Suwa City, Nagano-Ken were attacked and killed by an unknown insect. This injurious insect to silkworm larva was identified as Sclerodermus nipponicus Yuasa belonging to Bethylidae of Hymenoptera. The bee is a parasite of the larva of the Anobiidd beetle. In this case, however, the host beetle was Stenygrinum quadrinotatum Bates (Cerambycidae), which bored into mulberry shoots stocked at an attic of silckwormrearing room. The damage was certainly brought by such a course as;the bees from the host beetles-gall or walk to silkworm bed-→prick the silkworms injecting a poisonous fluid-→soon or later the solkworms fall in death.

1 0 0 0 OA 輪唱歌集

著者
小山作之助 編
出版者
共益商社
巻号頁・発行日
1903
著者
小山田 圭吾 市川 尚 富澤 浩樹 阿部 昭博 高木 正則
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.763-764, 2020-02-20

本学部ではeラーニングによる入学前教育を実施しており,課題にはプログラミングに関する内容も含まれている.しかし,受講対象者である高校生のプログラミング能力にはばらつきが見られることが分かっている.そこで,本研究では高校生をチューターと学習者に分け,チューターに学習者の課題に対してフィードバックを行ってもらうことにした.その際,学習者が課題を提出するまでの作業を記録してチューターに提示するシステムを開発し,適切な指導が行えるように支援した.本稿ではシステムの試行結果とチューターに行ったアンケート結果について述べる.
著者
小山田 圭吾 市川 尚 富澤 浩樹 阿部 昭博
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.647-648, 2017-03-16

本学部は,専門教育として1年次からプログラミングの学習を行っているが,その受講に際して,入学前から不安を抱えている学生が存在する.また,早期合格者に対して,eラーニングによる入学前教育が実施されているが,情報の課題を提示しながらも,そこにプログラミングの内容を含めておらず,高校から大学への円滑な入学のための橋渡しとして十分に機能しているとは言い難い状況であった.そこで本研究では,入学前教育にプログラミングを導入することを検討するための予備的な調査として,入学前教育において対象者に行ったアンケートや,Scratchなどを利用したプログラミング学習の試行の内容について述べる.
著者
小山田 圭吾 市川 尚 富澤 浩樹 阿部 昭博
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.545-546, 2019-02-28

本学部では早期合格者に対してeラーニングによる入学前教育を実施しており,プログラミングの課題も含まれている.筆者らは,オンライン上で相互チェックを行わせるプログラミング学習環境を開発し,学習者の支援を行った.従来のシステムは,学習者が提出した課題の質向上にある程度寄与していたが,学習者同士ではチェック漏れが見られ,チューターのチェックも機能していなかった.そこで,本研究ではチューターが学習者に効果的なチュータリングを行う支援をするための予備的な調査として,学習者のプログラミングのプロセスを記録し,それをチューターに提示しながらチェックしてもらった.その結果を述べる.
著者
山内 美幸 小山田 圭吾 長谷 由紀子
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.376, 2018

はじめに重症心身障害児(者)は様々な原因より骨折しやすい状態にある。A病棟の患者の骨密度は非常に低く、骨折のリスクがあるにもかかわらず、個々の患者の特徴を捉えた明確な安全対策が取られていない。そこで、A病棟看護師にアンケート調査と骨折のリスクのある患者1名の更衣援助場面をビデオ撮影し、安全な看護ケアの検証を行った。研究目的骨折のリスクがある患者への更衣援助での問題点を明らかにし、安全な更衣援助を検証する。研究方法A病棟での経験年数を元に寝衣着脱方法や関節保持について、アンケート調査を行い実際の介助をビデオ撮影し寝衣着脱時の関節保持の実際を理学療法士とともに検証する。倫理的配慮当院の倫理審査委員会の承認を得た。結果アンケートでは経験年数を問わず看護師全員が関節を2点保持し介助していると答えた。その後無作為に看護師のケア場面をビデオ検証した結果、病棟経験年数が4年未満の看護師を含むペアでの更衣援助では、関節を2点保持することができていなかった。病棟経験年数が4年以上の看護師同志のペアでは互い協力し、アンケートどおり関節を2点保持し更衣援助を行っていた。考察経験年数が4年未満の看護師は寝衣着脱時に関節保持を意識しようとする知識はあるが、実際には2人で関節保持することの重要性や骨折に対する危険予測する行動がとることができないと考える。また、経験年数が4年以上の看護師同士は、患者の骨折を防ぐための行動を取ることができていたと考える。実際の更衣援助場面で、病棟経験年数の長い看護師が意識して病棟経験年数の浅い看護師に直接指導を行うことが安全な更衣援助につながるといえる。結論1.病棟経験年数が浅い看護師は更衣援助を行うことに意識が向き、安全な更衣援助ができていない。2.病棟経験年数が長い看護師は安全な更衣援助を行うためにお互い協力をしている。