著者
小山 千加代
出版者
日本医学哲学・倫理学会
雑誌
医学哲学 医学倫理 (ISSN:02896427)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.155-159, 1995-10-01 (Released:2018-02-01)

This article presents the author's statement in the symposium on "Disease and Healing", that medical care based in Western medicine tends to cure the disease alone, but dose not care for the sick as a whole. Man is mortal, destined to age and sometimes falls ill. Besides cure, man needs care of others. As nursing has its origin in the mother-care of helpless infants, it is related to the care of all humanity. It has extended its functions of taking care from the sick to the aged, the helpless, the handicapped and so on. Historically speaking, however, it used to be believed that sick people were a type of convict and should be discriminated. It was not until the nineteenth century that the distinction between being ill and illness itself was established, because of the development of not only Western medical science such as pathology and bacteriology but also the idea of human rights. Sick people retrieved their honor, but at the same time, only disease became cured. The sick themselves did not recovered from the illness in some cases. Nowadays, human being faces the problems of advanced age. Even though man is mortal, man must live a life worth living. The role of nursing should be broadened. If there are persons who need any help physically and mentally, nursing must give a hand to take care of those persons although they may be dying, so that they are able to heal themselves at least mentally during their life.
著者
藁谷 敏晴 小山田 圭一
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.31-43, 2011-11-25 (Released:2017-08-01)
参考文献数
67

In this paper, we present a logical system which is constructed on the following principles: I) the singular proposition is a universal proposition with a singular term as its subject; II) the identity proposition is a singular proposition with a singular term as its predicate; III) a singular term is a term which designates the only one object. The resulting system is shown to be inferentially equivalent to the original system of Lesniewski's Ontology dating from 1920. We shall present some results on the comprehension axiom and the law of extensionality, too.
著者
小山 虎
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.49-59, 2007-03-25 (Released:2010-02-03)
参考文献数
14

In this paper, I try to defend Presentism. First of all, I explore how Presentism diverges to its versions and show that none of them, which include the currently standard Presentism that invokes tense logic, are tenable. Next, I point out that some philosophers argue that by replacing the Quinean criterion of existence with the Truthmaker Principle, another version of Presentism, which invokes tensed properties, can emerges. However, this version has a highly implausible conclusion. Finally, I argue that it can be avoided by taking the evidences of the past or future truths to be typical truthmakers of them.
著者
栗崎 由貴子 能登谷 晶子 小山 善子 鈴木 重忠 藤井 博之
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.308-313, 1996 (Released:2006-05-24)
参考文献数
10

右被殻出血により,失語症と左片麻痺を呈した生来右利きの一症例を報告した。症例は発症時 49歳,男性。当科初診の発症から 16ヵ月経過時の言語症状は,軽度の言語理解障害および音韻性錯語を中心とした表出面の障害であった。とくに復唱障害が著しかった。発症から 40ヵ月経過時には,表出面で自発語や音読の改善は良好であったが,復唱の際に文レベルで,助詞が他の助詞に置換される障害が認められた。この傾向は発症から 55ヵ月時も同様であった。本例の復唱障害の誤り方は,波多野(1991)の錯文法性錯語を主症状とした伝導失語例に類似していた。
著者
金井 猛徳 谷岡 由梨 中野 長久 小山 修平
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.70-75, 2019

<p> 管理栄養士・栄養士養成課程における調理実習工程は,まず教員が模範を見せ,それを学生は見ながら教材にメモをとる。その後,各自の班に分かれ実習を行うという形式である。しかし,実習の工程は複雑であること,衛生的な観点からも教材を確認することが困難な場合があるため,非接触で操作可能な教育支援システムを導入することで学習効果が高まると考えられる。そこで,本研究では調理実習において3次元深度センサを利用したジェスチャ操作を可能とするデジタル教材システムを開発した。本システムは,操作者の動作をモニタする3次元深度センサ(Kinect),ディスプレイモニタおよびそれらを制御するアプリケーションが導入されたPCで構成した。また,本システムは,栄養士養成課程の学生を対象に実際に操作を体験した上でアンケート調査を実施し,システムの有用性について検証した。</p>
著者
羽原 俊祐 小山田 哲也 我満 俊文 中村 大樹
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.433-439, 2016-03-31 (Released:2016-03-31)
参考文献数
7
被引用文献数
3

NaCl等の凍結防止剤の使用に伴いコンクリートのスケーリング劣化が激しくなっており、この現象をソルトスケーリングという。ここではスケーリング劣化現象を解明するため、ASTM C 672法と整合性がある本研究室で開発した小片試験方法を使用し、ソルトスケーリングに及ぼす冷却最低温度(0~-40℃)及び凍結防止剤の濃度の影響(0.01-10%)を把握した。さらにモルタルの配合の影響を把握するため、砂セメント比(S/C=0-3)及び水セメント比(W/C=0.25-0.7)をかえてソルトスケーリングを評価した。ソルトスケーリングは真水では起こらず、幅広い凍結防止剤の濃度(0.1-10%)で生じる。凍結する最低温度の影響は少なく、-7℃以下の温度で生じる。砂セメント比は著しく小さい場合、水セメント比も0.35以下で抑制効果があるが、それ以上では水セメント比の影響は少なく、砂セメント比が1以下の範囲では抑制されるが、それ以上では影響は少ない。
著者
調 憲 播本 憲史 小山 洋
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.235-242, 2020
被引用文献数
2

<p><b>【背景・目的】</b> COVID-19感染症は世界的なパンデミックの状況となった.日本でも2020年1月から5月にかけて大きな感染拡大が見られた.中国では,感染率は地域によって大きな差があり,人口密度の高い地域ほど高いことが報告されている.本邦においても都道府県ごとの累積感染者数が大きく異なるものの,詳細な検討はない.</p><p><b>【対象と方法】</b> 日本において初発患者が見られた2020年1月16日から多くの都道府県で流行がほぼ終息し始めた2020年5月3-6日までの約110日間における47都道府県におけるCOVID-19に対するPCR検査陽性者(累積感染者)の数を都道府県人口で除した累積感染者の割合(累積感染割合)と人口集中度,人口密度,公共交通機関を用いて通勤・通学する人の割合,人口当たりの乗用車保有台数の指標との相関を単・多変量解析を用いて検討した.さらにCOVID-19感染者のうち,感染経路が不明な者,調査中など明らかな感染経路不明な感染者を感染経路不明割合としてそれぞれの因子との関連を単・多変量にて解析した.さらに回帰直線の95%信頼区間を超えて高い感染率を示す都道府県について検討をした.</p><p><b>【結 果】</b> 単変量解析では都道府県別の累積感染割合とすべての因子は有意な相関を示した.多変量解析では累積感染割合では人口密度が独立した因子として選択された.さらに感染経路不明割合とすべての因子は単変量解析で相関した.同様に多変量解析では人口密度と公共交通機関を用いて通勤・通学する人の割合が独立した因子として選択された.回帰直線の95%信頼区間を超えて感染率の高い都道府県には石川,富山,福井県,高知県,東京都,北海道などが挙げられた.</p><p><b>【結 論】</b> COVID-19累積感染割合は人口密度などの因子と強い相関を認め,ポストコロナの時代に向けて「密集」,「密接」を回避するライフスタイルの導入が重要と考えられた.95%信頼区間を超えて感染割合の高い都道府県においては観光や夜の繁華街など人口密集の要因以外が関与している可能性があり,地域別の詳細な解析が今後の感染対策に有用と考えられた.</p>
著者
中尾 恵 黒田 知宏 小山博史 小森 優 松田 哲也 高橋 隆
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.2255-2265, 2003-08-15
参考文献数
29
被引用文献数
8

本稿では,高度な手術シミュレーションへの適用を目的とした軟組織切開フレームワークを提案する.最初に,質点系における各ノード間に生じる張力によって,軟組織の緊張状態をモデル化する.また,質点系のリモデリングと適応型の四面体分割手法によって,複数の四面体によって構成される3次元仮想オブジェクトに対する切開をシミュレートする.本手法は,組織切開後のトポロジーの変化とリアルタイムな変形に関する一貫した記述を与え,組織の物理的特性を反映した切開創を導出する.さらに,オブジェクト構成要素の階層構造を用いた力学計算の局所化によって,大規模なオブジェクトに対する広範囲でかつ対話的な操作を実現する.ノード階層を用いたリフレッシュレート管理機構は計算精度と計算コストの制御を可能とし,安定なシミュレーションを提供する.上記手法を1台の力覚デバイスをともなった実験システムに実装し,成人男性から取得した胸部MRIデータを適用した.導出される切開創の形状と計算時間に関する定量的な検証の結果,提案フレームワークが高精度かつ対話的な組織切開シミュレーションを提供することを確認した.This paper proposes a framework to simulate soft tissue cutting for advanced surgery simulation.A strained status of soft tissues is modeled as tension between neighboring vertices in a particle-based model.Both remodeling particle systems and adaptive tetrahedral subdivision achieve cutting simulation of tetrahedral objects.These methods deal with topological change and real-time deformation after soft tissue cutting consistently,and present volumetric cuts based on physical characteristics.Local calculation using dynamic elements hierarchy enables interactive and global cutting into large objects.Management structure of refresh rate performs stable simulation by controlling real time performance and simulation quality.3D MRI dataset acquired from an adult man was applied to simulation system with a force feedback device.Quantitative evaluation of calculation time and quality of cuts confirmed that our framework contributes to accurate and interactive tissue cutting.
著者
山岡 伸 小山 達也
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森保健医療福祉研究 = Aomori Journal of Health and Welfare (ISSN:24356794)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.8-12, 2020-12-04

[目的] 現在,食事調査は日々の食事の栄養価などの食事摂取状況を把握するために行われている。しかしながら,食事からの栄養価の算出は第二次世界大戦以降の人々の食事を対象としている場合が多く,それ以前の時代の人々の食事はほとんど対象にされていない。したがって,古文書などの史料から,昭和初期以前の食事の栄養価の算出を試みようとした研究はほとんどない。そこで,本研究では,江戸時代における弘前藩の史料である[年中行事御祝献立並三方等御飾]に記載されている食事の描写から栄養価の算出を試み,その結果から,江戸時代の史料が食事の栄養価の算出のための新たな既存資料として利用できるか栄養価の算出方法の検討を行った。[方法] [年中行事御祝献立並三方等御飾]から一部料理を抜粋し,日本食品標準成分表2015年版(七訂)を用いて,雑煮,田作り,数の子,うちまめの栄養価を算出した。[結果] [年中行事御祝献立並三方等御飾]から食事の栄養価を算出することができ,雑煮のエネルギーは446kcal,田作りは81kcal,数の子は49kcal,うちまめは46kcalと推定された。[結論] 本研究で算出した各料理の栄養価は,現代の食事調査法の1つである写真法によって栄養価を算出された結果に相当すると考えられる。したがって,江戸時代などの史料からの食事の栄養価の算出は,現代の食事調査の知識を活かすことで可能となることが示唆された。
著者
大西 奈保子 小山 千加代 田中 樹
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.113-122, 2020 (Released:2020-09-01)
参考文献数
21

目的:本研究の目的は,死別前から死別後を含めて,在宅で妻を介護した夫の看取りの特徴と訪問看護師の支援について明らかにすることである.方法:在宅で妻を介護した夫を妻の生前からケアした経験のある訪問看護師9名にインタビューを行い,その内容をグラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に分析を行った.結果:その結果,在宅で妻を介護した夫の看取りの特徴は,【夫婦のありよう】【非日常的生活の継続】【つながりの薄さ】【抑え込まれた悲しみ】の4カテゴリ,夫への訪問看護師の支援は,【非日常的生活の中での看取りを支える】【抑え込まれた悲しみからの回復を促す】の2カテゴリで構成された.結論:特に妻との死別後,夫が悲嘆から回復し,生活再建に取り組むようになるためには長い夫婦生活の中で育まれた【夫婦のありよう】が重要と考えられ,訪問看護師は看取りの時期に【夫婦のありよう】に添いながら,夫婦が望む看取りのあり方を実現できるように支援していくことが必要と示唆された.
著者
小山 吉亮
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2015

審査委員会委員 : (主査)東京大学教授 大串 和雄, 東京大学非常勤講師 石田 憲, 東京大学教授 中山 洋平, 東京大学教授 樋渡 展洋, 東京大学教授 寺谷 広司
著者
小山 雄将
出版者
奈良学園大学人間教育学研究会
雑誌
人間教育研究 = The Humanistic Education Journal (ISSN:24333832)
巻号頁・発行日
no.1, pp.73-89, 2017-12-01

要旨:学校教育では、「あいさつ」の大切さが長らく語られ、実践が行われてきている。「あいさつ」は定型句として定型化されることによって日常習慣となりやすい側面があるがゆえに、形だけになってしまうという現象も起こしやすい。ここでは、「あいさつ」のもつ意味や効果を考察し、しっかりとした裏付けに基づいた人間教育としての「あいさつ」を記したい。また、学級づくり・関係づくりの基礎としての「あいさつ」についても考えることにより、所属感や自己受容を高めることで、多様な人々が共存する社会を生き抜く力につなげたい。
著者
飯尾淳 鵜戸口志郎 小山欣泰 長谷川祐子
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1453-1460, 2011-06-30

健康維持を支援するウェブアプリケーション「イートスマート」は,会員(ユーザ)のダイエット活動をサポートする機能として食事や運動の記録はもとより日記やコメントといったユーザ同士のコミュニケーション機能を提供する.これらの機能はダイエットに効果的な影響を及ぼす.しかし同コミュニティに参加しているユーザの間でも,ダイエットに成功したユーザと成功していないユーザに分かれているという状況が見られる.そこで本研究では,それぞれのユーザによる情報の記録内容を分析することによって,効果的にダイエットを成功させるためには何が重要かを明らかにすることを試みた.その結果,やはりダイエットをするという意識や意欲の発露が重要であること,ただ漫然と記録するだけでは効果がないことなどが明らかになった.
著者
小山 誠次
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.63-69, 1996-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
32

〓苡仁は, 往古は不老延寿の薬であった。『黄帝内経素問』には真心脉を〓苡仁に例えて形態的特徴が記され, また『金匱要略』には〓苡仁を含む四処方が記載されている。〓苡仁の治疣作用については,『本草綱目』や『能毒』にも記載なく, 江戸時代の治疣療法としては艾灸もよく用いられた。〓苡仁の治疣作用を最初に記載した文献は『大和本草』であるとされているが, その病変の記述からは疣贅とは即断できない。従来はその後の『松蔭医談』の〓苡仁の治疣記載を経て,『青嚢瑣探』の治疣神方が最初の治疣処方とされて来た。しかし今回の独自の調査で『青嚢瑣探』の20年前に, 山田元倫撰『名家方選』に「治疣方 〓萩三銭甘草一分」という内服のみならず外用にも用いる処方の記載を見出した。治疣作用の発見は恐らくチョウセンムギの菓子としての摂食よりも〓苡飯, 〓苡粥による大量摂取によって著効例を多数経験したことによるものではないかと考按した。