著者
秋鹿 研一 小山 建次 山口 寿太郎 尾崎 萃
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1976, no.3, pp.394-398, 1976
被引用文献数
2

200~300℃,全圧600mmHgの条件でもっとも活性の高いアンモニア合成触媒であるRu-AC(活性炭)-Kと,それについで活性の高いOs-AC-Kの製法と活性の関係を検討した。Kは一定量(約1mmol/9-cat)添加後はじめて活性が現われ,KがACにほぼ飽和吸着すると考えられる量,約 1mmol/g-cat,まで活性は直線的に増加する。RuCl<SUB>3</SUB>-ACの還元のさい,水素は当量の6倍も消費する。過剰の消費水素はACとの反応およびACへのスピルオーバーによると考えられるが,その量は活性に影響しない。還元にさいしHClが発生するが,一部の壇化物イオンは触媒上に残る。<BR>Ru-AC-Kの活性は,Ruの露出表面積に対応すると考えられるRu-ACへのCO化学吸着量にほぼ比例する。Ru塩はRu/ACが約 3wt%まではACによく吸着する。CO化学吸着量も 3wt%まではRu量にほぼ直線的に増加する。しかし3wt%を越えるとRu塩は吸着しにくくなり,Ruの分散性も低下する。Ru(2,3価)またはOs(3,4,6,8価)について酸化数の異なる塩を出発原料とした触媒の間でRuまたはOsの活性は変わらなかった。また活性炭を硝酸,アンモニア水,あるいはその両者により処理した場合も得られるRu触媒のCO化学吸着量に影響なかった。
著者
竹井 健 錦織 直人 小山 文一 中村 信治 浅田 秀夫 畠山 金太 大林 千穂 西久保 敏也 藤井 久男 中島 祥介
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.342-349, 2016-04-01 (Released:2016-04-19)
参考文献数
16

Muir-Torre症候群は脂腺腫瘍と内臓悪性腫瘍を併発する遺伝性疾患で,Lynch症候群の一亜型と考えられている.症例は61歳の男性で,既往歴は36歳,38歳,46歳,56歳時に大腸癌,50歳時に胃癌があり,家族歴は父と叔父に大腸癌と多数の発癌患者を認め,Lynch症候群を疑い経過観察していた.61歳時に背部に1 cm大の出血を伴う結節が出現し,局所切除術施行し,病理組織学的検査にて脂腺癌と診断した.内臓悪性腫瘍の既往と脂腺癌の併発よりMuir-Torre症候群と診断した.診断後にも計5回の脂腺腫瘍と計2回の大腸癌の発生を認めたが,早期に加療し現在無再発生存中である.また,遺伝学的検査を行いMLH1の病的変異を認めLynch症候群と診断した.Lynch症候群はMuir-Torre症候群を呈することがあり,内臓悪性腫瘍だけでなく皮膚腫瘍も念頭に体表観察を行うことも重要と考えた.
著者
石井 文子 安齋 有紀子 伊藤 玲香 小山 直人 北川 忠生
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.65-74, 2011 (Released:2014-03-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1

The Yoshino diversion (Yoshino Bunsui) was established to supply irrigation water from the Yoshino River to the Yamato plain. In order to examine fish introductions through the canals of the Yoshino Bunsui, the genetic structure of 17 populations of dark chub Zacco temminckii collected from the Yamato and Yoshino rivers were analyzed and their mtDNA ND2 sequences studied. A total of 16 haplotypes were detected in 261 individuals, 6 haplotypes being present in both rivers. In the Yamato River, the shared haplotypes were found to be associated with the locations of inflows from the Yoshino Bunsui. On the other hand, the majority of haplotypes found in individuals from the Yamato River were not found in those from the Yoshino River. This study confirmed the secondary introduction of dark chub from the Yoshino River into the Yamato River via the Yoshino Bunsui.
著者
小山 なつ 横田 敏勝
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.103-115, 2000-04-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
83
被引用文献数
1

各種神経栄養因子とその受容体は, 脊椎動物の神経系の発生を調節する. 神経栄養因子の原型である神経成長因子 (NGF) が胎生期に作用しないと, 生まれる前に一次侵害受容線維が死滅する. ヒトの先天性無痛無汗症は, NGFの受容体TrkAの遺伝子の変異によって発生する. 成熟後も神経栄養因子は一次感覚ニューロンの遺伝子発現を調節する. 例えば, 一次侵害受容ニューロンの約半数がNGF, 残りの約半数がグリア細胞由来神経栄養因子 (GDNF) の作用を受ける. NGFは炎症による痛覚過敏にも関与する. 炎症が起こった局所のNGF産生が増え, 侵害受容線維の熱刺激感受性を直接的, 間接的に高める. 局所の肥満細胞はNGFに反応して増殖し, 活性物質を放出して, 侵害受容線維を過敏化する. NGFは侵害受容線維の中に取り込まれて細胞体に運ばれ, テトロドトキシン抵抗性Naチャネルの遺伝子を発現させて, 侵害受容線維の興奮に影響する. またNGFは脳由来神経栄養因子 (BDNF) の遺伝子発現を高める. BDNFは脊髄内に放出されて, 二次侵害受容ニューロンの伝達物質に対する感受性を高める. 末梢神経が切断されるとNGFの取り込みが止まり, 細胞体での遺伝子発現が伝達型から再生型に変わり, 異常興奮を引き起こす.
著者
田中 美郷 芦野 聡子 小山 由美 針谷 しげ子 熊川 孝三 浅野 公子
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.178-183, 2006-04-28 (Released:2010-08-05)
参考文献数
15
被引用文献数
1

わが国でも子どもの人工内耳例が増加しているが, その評価はことばの知覚面の改善が中心で, 学校教育上最も重視されるべき言語の問題が等閑に付されてきた。人工内耳は難聴を治す方法ではないだけに, 言語を育てるためにはそのための方法論が必要である。我々は親子のコミュニケーションと情緒の安定を重視し, 人工内耳候補児には術前から補聴器活用に加えて手話や指文字などを導入して, 先ず言語発達を促し, 術後も手話や指文字を禁じることなく活用しながらトップダウン方式で聴覚活用に導く方式をとっている。2002年4月以降24名の重度難聴幼児に人工内耳を装着させ, その後の経過を含めて, この作業を行っていく上でのコーディネーターを中心としたチーム作り, 並びに人工内耳の適応基準について, 我々独自の方法論を述べた。
著者
小山 高正
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.43-44, 2003-12-25
著者
中川 一郎 小山内 高行
出版者
自由社
雑誌
自由 (ISSN:04490401)
巻号頁・発行日
vol.20, no.9, pp.p52-66, 1978-09
著者
小山 奈穂
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
2012-03-15

近年、飼育下におけるゾウは野生個体に比べ、寿命が短く繁殖成功率も低いことが明らかにされており、動物園では飼育環境の福祉的改善が求められている。しかし、日本ではこれまでゾウの飼育環境に関する福祉評価はほとんど行なわれてこなかったため、飼育環境における改善点の抽出や長期的な繁殖計画を立てるために必要な基本的知見が不足している。そこで本研究では、国内のゾウの飼育状況を把握し、飼育下における社会的環境、物理的環境および人的環境からどのような影響を受けているのか行動学的に明らかにすることによって、福祉に配慮したより持続可能なゾウの飼育管理法について検討した。 第1章では、国内のゾウの社会環境、飼育施設および飼育管理に関する基礎的情報の収集を目的として、全国のゾウの飼育施設を対象にアンケート調査を行なった。その結果、国内47ヵ所のうち40ヵ所の飼育施設で飼育されている87個体のデータが得られた。アジアゾウは50頭(オス10頭、メス40頭〉、アフリカゾウは37頭(オス8頭、メス29頭)であった。繁殖歴のある成熟個体は7頭で、飼育下で生まれた個体は5頭であった。各施設における飼育個体数は、単独または2頭規模が大半を占め、特にメスを単独で飼育している施設は全体の3分の1に達した。また、高齢になるほど社会的規模が小さく単純になることが明らかとなった。屋内展示室の床面積は種間で差がなく、中央値は約45m^2であった。屋外放飼場の床面積は、アフリカゾウ舎(中央値340m^2)の方が、アジアゾウ舎(中央値270m^2)に比べて有意に広く設計されていた(P<0.05)。放飼場における地面の材質には、主にコンクリートや土が採用されていた。放飼場内の複雑性は、地面の材質と有意な関連性が見られ、プールや砂浴び場、泥浴び場は、コンタリートのみの放飼場よりも人工物と自然物からなる放飼場に設置される傾向が見られた(P<0.01)。取り扱い方法に関しては、メスは直接飼育、オスは間接飼育で管理されることが多く、性別により有意な違いが見られた(P<0.05)。また、夜間の繋留や一日3回以下の給餌が行なわれている個体は、全体の4~5割を占めた。9割以上の個体に対して日常的にトレーニングが実施されており、その主な目的はゾウの健康管理およびゾウと管理者の安全管理であった。トレーニング時は声がけや接触を伴っていたが、直接飼育の個体に対してはより多様な手法が用いられていた。また一日の実施時間は、間接飼育の個体では30分未満であったのに対して、直接飼育の個体では1時間以上と、より長い時間をかけて行なわれていた(P<0.01)。以上の結果から、国内のゾウは全体的に社会的規模が小さく、多くの成獣メスにおいて社会的接触の機会の不足が懸念された。また、基本的に複数頭での利用が可能な施設面積を設定している欧米の基準に比べて、国内の施設は屋内外に関わらず面積が小さく、特に屋内展示室や寝室は単頭で収容する作りになっていた。一方、放飼場の複雑性が地面の材質に依存していたことや、ゾウの取り扱い方によってトレーニングにおける方法の選択肢や実施時間に違いが見られたことから、飼育施設や飼育管理には園間で大きく異なる部分も混在していることが明らかとなった。 第2章では、飼育環境に含まれる社会的要因、物理的要因および人的要因を明らかにし、それらの因子がゾウの行動にどのような影響を及ぼしているか検討した。7ヵ所の施設で飼育されている計12頭の成獣メスを対象に、各個体につき3日間のデータを収集するために、展示時間中に見られた11項目の行動カテゴリーについて、1分間隔の瞬間サンプリングで記録した。利用場所および管理者の関わりについても同時に記録した。環境要因については、互いに独立した因子として、社会的規模(社会的要因)、展示場の利用可能面積(物理的要因)、給餌回数およびトレーニング回数(人的要因)が抽出された。日中の休息は、社会的規模の水準が上がるに従い有意に高い割合が示された(β=0.780, P<0.01)。また展示場の面積が大きいほど、採食行動は有意に多く発現したが(β=0.687, P<0.05)、反対に移動の発現割合は少ない傾向を示した(β=-0.537, P=0.06)。一方、人的要因の一つであったトレーニングにおいても、有意ではないもののいくつかの行動と関連が見られた。しかし、複数施設の比較では、社会的要因や物理的要因が強く作用することから、人的要因による影響を明確に表せなかった。そのため、各飼育環境内において対象個体を特定し、長期的な調査を行なうことが必要と考えられた。 そこで第3章では、ゾウの社会性や精神的健康性に福祉的効果をもたらしうる、日常管理や管理者の関わりについて明らかにすることを目的とした。飼育環境の社会的要因および物理的要因による影響を排除するため、名古屋市東山動植物園において1年間の行動調査を行なった。 第1節では、アジアゾウの成獣メス(38歳)1頭を対象に、管理者がゾウに対して日常的に関わることで、個体の社会性に対する配慮となる可能性を検証した。1年のうち3ヵ月を1期とし、各期につき7日間、計28日間のデータを収集するために、前章と同様、展示時間中に見られた11項目の行動カテゴリーおよび利用場所について1分間隔の瞬間サンプリングで記録した。また、管理者の関わりは、指示を伴う「トレーニング」と指示を伴わない「ハンドリング」に分けて連続記録した。一日のトレーニングの回数や1回のトレーニング時間と、常同行動の発現頻度との間には有意な相関は見られなかった。ハンドリングと常同行動の発現頻度との関連性については、1回の接触時間との間には有意な相関がなかったが、一日の接触回数とには有意な負の相関が見られた(γ_s=-0.26, P<0.05)。よって、トレーニング時以外にも関わる時間を設け、1回の接触時間を長くすることよりも一日により多く関わることが常同行動を抑制する可能性が示された。また、ハンドリングの目的には、給餌が含まれており、常同行動の発現抑制に影響を及ぼしている可能性が考えられたが、給餌目的の接触頻度の高い日と低い日における常同行動の発現頻度に有意な差は見られなかった。以上から、管理者が給餌の有無に関わらず日常管理の中でゾウと関わる機会をより多く作ることは、社会的エンリッチメントとしても効果をもたらす可能性が示唆された。 第2節では、同種他個体の死亡により単独飼育となったアフリカゾウの成獣メス(36歳)を対象に、その後1年間におけるゾウの日中の行動パターンが、飼育管理の変更によってどのような影響が及ぼされるのか調査した。単独飼育となってから週1回、展示時間中の行動カテゴリーおよび利用場所について1分間隔の瞬間サンプリングで記録し、計52日間のデータを収集した。同時に、管理作業の変更内容についても随時記録した。各観察日における行動発現割合についてクラスター分析を行った結果、行動パターンの特徴から各観察日は5つのクラスター(C1~C5)に分類できた。C1は、全クラスターの中で休息割合の最も高い行動パターンで、他個体が死亡した後および夜間の寝室を変更した後に観察された。C2は、他のクラスターに比べ常同行動の発現割合が最も高く、新奇環境への馴致を開始した後に現れた。また、管理スケジュールが不規則に変更された時にも、常同行動が頻繁に観察された(C2、C4)。対象個体の左後肢に跛行が見られた時期は、休息する傾向の行動パターンが現れた(C3)。C5は活動性が最も高まった行動パターンであり、安定した管理スケジュールの下でなじみの場所を利用することができた時に現れた。以上のことから、社会環境の変化に伴う日常管理の変更は、個体の行動パターンに大きく影響を及ぼすことが明らかとなり、早い段階で管理スケジュールを安定させ、飼育環境内に利用場所の選択肢や採食機会をもたらすことが重要であると考えられた。 本研究は、ゾウを飼育する全国47ヵ所の施設を対象にアンケート方式で実態調査を行ない、その結果を基に、複数の園においてゾウの行動や管理者を含む環境との関係を長期にわたり調査したものである。これにより、飼育下における社会環境や物理的環境は、ゾウの活動性に強く影響を及ぼすことが確認された。また、日常管理におけるゾウの行動学的、生理学的欲求に応じた環境エンリッチメントの実施や、管理者による親和的な関わりも、ゾウの精神的安定や社会性の発揮に寄与する可能性が示された。日本においてゾウの飼育環境を改善するうえで、飼育個体の導入や飼育施設の改修は不可欠であるが、同時に飼育管理を通した福祉的配慮や行動学的知識に基づいたトレーニング技術の構築にも努めることによって、ハードとソフトの両面からゾウの繁殖が可能な飼育環境への発展を目指すことができるだろう。これらのことは、動物園で動物を飼育管理するうえでの基本的な姿勢であるが、その必要性について飼育環境におけるあらゆる側面から科学的に証明し提言することに意義がある。さらに、日常管理や管理者の関わりといった人的要因の福祉的効果を明らかにすることは、ゾウだけでなく全ての展示動物における人と動物の関係性というテーマを扱ううえで重要であることから、今後の動物園における福祉研究の発展に大きく貢献するものと期待される。
著者
清水 渉 小山 卓 山田 優子 岡村 英夫 野田 崇 里見 和浩 須山 和弘 相原 直彦 鎌倉 史郎
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.392-396, 2009

QT短縮症候群(SQTS)は,器質的心疾患をもたないにもかかわらずQT時間が修正QT(QTc)時間で300~320msec未満と短く,心室細動(VF)から突然死を発症する症候群である.当院で有症候性のSQTS症例を4例経験した.全例男性で,3例でVFが確認され,1例では失神発作を認めた.12誘導心電図上,安静時QTc時間は平均327msecと短縮しており,全例で後壁および/または下壁誘導でスラー型またはノッチ型のJ波(早期再分極)を認めた.加算平均心電図では全例で遅延電位は認めず,電気生理学的検査を施行した2例では,いずれも右室の有効不応期は短縮していたが,VFは誘発されなかった.薬物負荷試験では,クラスIII群のニフェカラントとクラスIa群のジソピラミドの静注,およびキニジンの内服でQTc時間の延長を認めた.先天性QT延長症候群の原因遺伝子(LQT1,2,3,5,6,7)上に変異は認めなかった.全例で植込み型除細動器(ICD)が植込まれ,1例で3ヵ月後にVFの再発を認めた.
著者
吉野 彰 大塚 健司 中島 孝之 小山 章 中條 聡
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 : 化学と工業化学 = Journal of the Chemical Society of Japan : chemistry and industrial chemistry (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.8, pp.523-534, 2000-08-10
参考文献数
18
被引用文献数
3 2

携帯電話,ノートパソコン,カムコーダー等の電源として広く用いられているリチウムイオン二次電池の開発経緯と技術動向について述べる。導電性高分子ポリアセチレンの研究がこのリチウムイオン二次電池の開発の原点であった。ポリアセチレンを二次電池の負極に用いようとの試みが炭素質材料負極へと展開し,ほぼ同時期に見いだされた正極材料であるリチウムイオン含有金属酸化物LiCoO<SUB>2</SUB>と組み合わされ,現在のリチウムイオン二次電池が完成した。商品化されて以降の電池特性の改良,特に容量の向上は著しく,現在では商品化当初の約2倍になっている。この容量向上は主として負極炭素質材料の改良により達成されてきた。この背景には&pi;電子化学という新しい学問領域の進歩があり,次々に新しい炭素質材料が開発されてきた。<BR>今後,これらの改良開発によりリチウムイオン二次電池の特性はさらに改善されていくものと思われる。
著者
小山 洋 鬼頭 英明 佐藤 雅彦 遠山 千春
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.547-555, 2002-09-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
69
被引用文献数
10 12

We reviewed studies on genotoxicity and carcinogenicity of cadmium (Cd). Salmonella typhimurium and Escherichia coli exposed to Cd did not show mutagenicity, whereas cultured mammalian cells exposed to Cd showed mutation, DNA strand breaks, and chromosomal aberrations. Carcinogenicity tests showed that exposure to Cd increased the occurrence of tumors in testis, lung, prostate, hematopoietic tissues, and injection sites. On the other hand, recent epidemiologic studies are not supportive of earlier observations on the association between Cd and prostate cancer. The US NIOSH data on a possible association between Cd and lung cancer may need reevaluation. No studies which show a positive relationship between oral Cd exposure and carcinogenesis have been reported. All available data suggest that Cd should be reassigned to IARC Group 2A (probably carcinogenic to humans) from the current Group 1.
著者
田中 輝明 小山 司
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.979-985, 2009
参考文献数
20
被引用文献数
2

単極性うつ病と双極性うつ病では治療アプローチが異なるため,「うつ病」診療においては早期診断が重要な鍵となる.抑うつ症状のみで鑑別することは困難であるが,双極性うつ病では非定型症状や躁成分の混入が診断の手掛かりとなることもある.双極性障害の診断には(軽)躁病エピソードの存在が必須であるが,患者の認識は乏しく,周囲からも注意深く(軽)躁症状の有無を聴取する必要がある.双極性障害のスクリーニングには自記式質問紙票も有用である.また,パーソナリティ障害や薬物依存などの併存も多く,複雑な病像を呈するため注意を要する.双極スペクトラムの観点から,双極性障害の家族歴や抗うつ薬による躁転などbipolarityについても確認することが望ましい.双極性障害の薬物治療としては,エピソードにかかわらず気分安定薬が第一選択であり,有効性や副作用(躁転や急速交代化)の面から,抗うつ薬の使用には慎重さが求められる.
著者
小山 周三
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.12, pp.900-907, 2012 (Released:2017-12-18)

消費者との接点に立つ小売店の販売状況について解説をお願いした。地域に密着した専門小売店の状況は大変厳しい時期が続いている。その中で,スーパーやコンビニエンスストアと異なる販売戦略で「元気のいい地域小売店」の状況を,「優良経営食料品小売店頭表彰事業(全国コンクール)」を通して,具体的に見ていく。その結果,消費者と「きずなづくり」に欠かせない経営観が見えてくるが,個別の例の中から共通して見えてくるポイントを提示していただいた。当誌の読者の多くがメーカー側の立場におられると思うが,消費者に直接サービスを提供する立場をより理解することにより,「元気のいい地域小売店」へのメーカー側の販売戦略に参考になると考える。

1 0 0 0 越佐の伝説

著者
小山直嗣著
出版者
野島出版
巻号頁・発行日
1967
著者
二瓶 篤史 戸井田 麻理乃 吉永 亮太 松田 雅弘 新田 收 小山 貴之 久保田 直行 勝又 泰貴 泉 良太 網本 和 坂村 雄介
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Bd1462, 2012

【目的】 脳卒中治療ガイドライン2009で脳卒中後の半側空間無視(USN;Unilateral Spatial Neglect)に対し、根拠がある方法が紹介されているが、十分科学的な報告は少ない。現在のUSNの治療法の多くは、左空間を意識させる、頚部への電気刺激、無視側への体幹の回旋、プリズム眼鏡の利用などが挙げられる。その中で、視覚探索訓練はエビデンスレベルBを得ている。今回、近年普及しているタブレット型コンピューターのipadで新規に治療も可能なアプリケーションを作成した。これは科学的に認められている視覚探索訓練をもとに作成し、ゲーム感覚に実施できることが特徴である。また、ipadのため持ち運びが可能であり、病室でも自主練習が可能である。そこで今回、USN患者の新しい治療法となるかを検討すべく、ipadでの治療前、直後での即時効果を検討した。本研究は理学療法士協会の研究助成の一部を用いて行った。【方法】 対象は脳血管障害により左片麻痺・半側空間無視を呈した右利き7名(年齢58~88歳;70.7歳;男性5名,女性2名)、平均発症日数94.7(SD76.2:27-209日)、平均FIM64.6(SD8.2)、平均MMSE20.2(SD1.3)であり、治療アプリケーションが使用できる症例であった。ipadの治療アプリケーションは、左右端から5つの円(円列)が毎秒100mm以下のゆっくりした速さで青色の円が画面に現れるように設定した。画面を横切る5つの円のうち1つが途中で赤色に1施行中2回変化させた。円列は左右からランダムに10回モニターを横切り、どの位置でどの円の色が変更されるかはランダムとした。検査者は対象者に「色が変化したら、その円を画面上でタッチしてください」と指示した。ipadの治療前、直後で線分末梢試験と線分二等分試験を実施した。線分末梢試験は末梢した本数、線分二等分試験は中央をより偏位した距離を右に偏位するほど正の値で算出した。統計処理はSPSS 19.0 for Windowsを用い、ipadでの治療前後の線分二等分試験と線分末梢試験の数値をウィルコクソンの符号付順位和検定にて分析を行い、なお有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 全対象者に対して、事前に本研究の目的と方法を説明し、研究協力の同意を得た。本研究は首都大学東京荒川キャンパス倫理審査委員会の承認を得た。【結果】 ipadにおける治療前の線分二等分試験は中央より右に23.86±22.52mm偏位していたのが、治療直後の線分二等分試験は中央より右に12.43±22.50mm偏位しており、有意に中央に偏位した。(p<0.05)ipadにおける治療前の線分末梢試験は22.86±15.53本消去したのが、治療直後の線分末梢試験は26.57±12.91本消去し、有意に消去する本数が増加した。(p<0.05)【考察】 視覚探索訓練は科学的に推奨される治療法の1つである。今回、簡易的に持ち運べるipadを利用して、治療ソフトの開発を行い治療前、直後の即時効果を検討した。治療効果の検討には現在までに使用されている線分二等分試験と線分末梢試験を適応した結果、両方の試験において治療前、直後で有意な差があった。現在までの多い報告では、右より左に動き光や動く物を目で追わせることでUSNが改善したものが多い。今回も色の変化を右または左から動く円を注視させるために、注意を促すことが可能であり、左への注意が改善したことが考えられる。また、右からだけではなく、左から移動する円にも注意を払わなければならず、右からの追走以外にも左から移動するものにも注意することで空間注意が即時的に改善したと考えられる。【理学療法学研究としての意義】 近年普及しているタブレット型コンピューターのipadを利用して、視覚探索訓練のアプリケーションを作成した。即時効果の検討を行った結果、治療効果が認められた。また、今学会にて同時に信頼性と妥当性の検討も行った。持ち運び可能で、本人のペースで実行可能であり、ゲーム感覚があるために取り組みやすい。今後は効果の継続や、対照群を設定することで効果の更なる検証が必要だと考えられる。さらに即時効果の影響や、長期的な影響の結果がADLに対する影響を詳細に検討することで、科学的に効果のあるリハビリテーション手段として確立することが可能になるのではないかと考えられる。