著者
岡棟 亮二 宮下 浩二 谷 祐輔 太田 憲一郎 小山 太郎 松下 廉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>臨床において胸郭へのアプローチが肩関節機能の改善に奏功することは多い。実際,胸郭は肩複合体の構成要素であり,肩挙上に伴い胸郭の前後径,横径拡大が生じることが報告されている(花村ら1977)。しかし,その胸郭拡大が制限された際の肩関節運動の分析は十分になされていない。本研究の目的は,胸郭拡大制限が肩前方挙上運動に与える影響を三次元動作分析で明らかにすることである。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は肩関節に疼痛のない男子大学生19名(20.0±1.3歳)とした。体表のランドマーク上に反射マーカを貼付した。その後,胸郭拡大制限の有無の2条件で立位両肩前方挙上運動を動画撮影した。胸郭拡大制限は,最大呼気状態の胸郭の肩甲骨下角直下と第12胸椎レベルに非伸縮性コットンテープを全周性に貼付するという方法で行った。撮影動画から動画解析ソフトにより各反射マーカの三次元座標値を得た後,宮下らの方法(2004)に準じて角度算出を行った。算出角度は肩屈曲角度(肩最大前方挙上時の体幹に対する上腕のなす角度),肩甲骨後傾角度,肩甲上腕関節(GH)屈曲角度とした。胸郭拡大制限の有無の2条件における各角度を,対応のあるt検定を用いて比較した。また,対象ごとに胸郭拡大制限の有無による肩甲骨後傾角度およびGH屈曲角度の増減を検討した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>肩屈曲角度は制限なし148.9±16.3°,制限あり141.0±15.5°で有意差を認めた(p<0.01)。肩甲骨後傾角度は制限なし56.1±11.4°,制限あり53.3±11.6°で有意差を認めた(p<0.01)。GH屈曲角度は制限なし91.2±15.1°,制限あり89.7±14.5°で有意差はなかった(p=0.44)。対象ごとに胸郭拡大制限の有無による肩甲骨後傾角度およびGH屈曲角度の増減を検討すると,制限なしに比べ制限ありで(a)肩甲骨後傾角度が減少し,GH屈曲角度が増加(7例),(b)肩甲骨後傾角度が増加し,GH屈曲角度が減少(4例),(c)肩甲骨後傾角度,GH屈曲角度ともに減少(8例)の3パターンに分類された。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>肩甲骨の運動は胸郭の形状に影響を受けるといわれる。肩挙上時,胸郭には拡大運動が生じるため,胸郭の形状も変化すると考えられる。本研究においては,胸郭拡大制限により肩前方挙上に伴う胸郭の形状変化が妨げられたと推察される。その結果,肩甲骨運動が制限され,肩屈曲角度の減少につながったと考えた。しかし,肩甲骨,GHの動態を対象ごとに分析すると,胸郭拡大制限によりいずれかの動きを増加させ代償を行うパターン(a,b)と,いずれの動きも制限されるパターン(c)が存在し,その動態は対象により様々であった。肩関節障害発生の面から考えると,パターンaのような代償方法はGHへの負担を増加させるためリスクが高いことが推察される。不良姿勢,胸郭周囲筋群の作用,加齢による肋軟骨の骨化などにより胸郭拡大は制限されるが,その際の対象ごとの肩甲骨,GHの動態の違いが肩関節障害の発生リスクと関連する可能性がある。</p>

1 0 0 0 OA 鹿島日記

著者
小山田与清
出版者
耕文堂
巻号頁・発行日
1822
著者
小山 聡子 大江 篤 近藤 瑞木 斎藤 英喜 水口 幹記 竹下 悦子 山田 雄司 北條 勝貴 赤澤 春彦 佐々木 聡
出版者
二松學舍大學
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-10-21

本研究では、前近代日本の病気治療と呪術の変遷について、各自の専門とする時代を中心に史料調査などを行なった。1年に2回から3回の研究会を開き、各自の調査および研究成果を報告し、議論してきた。本研究では、日本についても、東アジア全体で考えていくべきであるとする認識を持ち、海外の研究者とも連絡を密にしてきました。2018年8月には、中国の浙江工商大学を会場に、国際シンポジウム「東アジアの歴史における病気治療と呪術」を主催した。本研究の成果は、前近代日本の病気治療と呪術に関して、各自の専門分野から論じた論集を2019年度末までに出版する予定となっており、現在、準備中である。
著者
小山 諭
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.166-172, 2019 (Released:2019-09-20)
参考文献数
18

医療安全は現代医療の根幹を支えるものであるが、すべての医療行為には何らかの危険が潜在しており、実際に100%安全な医療は存在しない。そのため様々なリスクが存在しうることを念頭に置いて、リスクを回避する、あるいはインシデントやアクシデントを最小限に留めるように対処することが大切である。そのためには適切な知識を身につけ、医療行為に潜んでいるリスクを常に頭の片隅におき、迅速に対応できるように心がけておくことが肝要である。経腸栄養は静脈栄養に比べ安価であり、感染性合併症が少なく、quality of life(以下、QOLと略)維持にも有用であり、腸管の使用が可能であれば経腸栄養を第一選択とすることが勧められている。しかし、経腸栄養においても当然、合併症は起こりうるものであり、場合によっては致命的となることもある。患者個々の状態・病態ごとに安全かつ適切に経腸栄養を施行することを心がける必要がある。
著者
小山 隆太
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

我々は、てんかん原性の獲得に寄与する現象として、乳幼児期に生じる複雑型熱性けいれんと、脳内免疫細胞であるマイクログリアに着目した。熱性けいれんは通常38℃以上の発熱によって引き起こされるが、けいれん状態が重篤な複雑型熱性けいれんは、将来のてんかん発症に関与することが示唆されている。しかし、複雑型熱性けいれん後のてんかん原性の獲得過程におけるマイクログリアの役割は殆ど明らかにされていない。そこで、本研究では高温刺激によって誘導する実験的熱性けいれんモデルマウスを利用して、熱性けいれんによるマイクログリアのプロパティ変化を詳細に検証した。その結果、熱性けいれん後の歯状回では、マイクログリアが抑制性シナプスを貪食することで、シナプスE/Iバランスが興奮性優位に傾斜することが明らかになった。なお、シナプスE/Iバランス破綻の結果として、熱性けいれん後のけいれん閾値が低下した。また、これらの現象は、マイクログリアの不活性化薬であるミノサイクリンによって抑制された。マイクログリアは補体を認識してシナプスを貪食するが、我々は、熱性けいれん後の抑制性シナプスに補体が局在することを発見した。さらに、補体の局在化の一因として、熱性けいれん時の脳内温度に活性化領域を有する温度感受性受容体「TRPV4」が関与することを明らかにした。以上の発見は、マイクログリアやTRPV4をターゲットとした「抗てんかん原性」薬の創薬に貢献しうる。
著者
小久保 秀之 高木 治 小山 悟史 山本 幹男
出版者
日本超心理学会
雑誌
超心理学研究 (ISSN:1343926X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1-2, pp.20-27, 2010-12-31 (Released:2017-08-09)
参考文献数
25

筆者らは2006年以来、白いぼキュウリの切片を生体センサとして、非接触ヒーリングの測定を行ってきた。さらに、2009年には、ヒーリングパワーをキュウリガス(匂い)の生成量で測定するガス測定法を開発した。ガス測定法は多点同時測定が容易であり、ヒーリング中のヒーラーの周囲に多数の生体センサを配置することで、ヒーリングパワーのポテンシャル分布を測定することができる。これまでの研究から、ヒーラーから半径2mほどの範囲にポテンシャルが広がっていること、波型の非クーロン型ポテンシャルであること、幾何対称性があること、異方性があること、反転領域をもつことなどを見出した。
著者
小山 順二
出版者
北海道大学大学院理学研究院
雑誌
北海道大学地球物理学研究報告 (ISSN:04393503)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.53-68, 2015-03-19

After the 2011 Tohoku-oki megathrust earthquake of Mw 9.0, one of the great concern is whether or not the megathrust earthquake induces large volcanic eruptions and disastrous aftershocks in Japan. There exist 110 active volcanoes in Japan and large eruptions including historical events of each volcano have been compiled in terms of Volcanic Explosivity Index (VEI; Newhall and Self, 1982) from 0 (Non-explosive) to 8 (Mega-colossal). According to “Volcanoes of the World” by Siebert et al. (2010), we could find 50 eruptions in Japan since 600 A.D. classified as VEI 4 (Large) and 5 ~ (Very Large). Speaking about great earthquakes whose earthquake (moment) magnitude M (Mw) is equal to or larger than 8.0, there occurred 34 times since 684 A.D. in Japan. I have compared the time of occurrences of Large volcanic eruptions and large earthquakes (M&gt;7.5) at first, taking examples of Mt. Fuji, Tokachidake, Hokkaido Komagatake and Sakurajima volcanoes. Since I could not find any systematic correlation between them, I decided to compare all the Large (and Very Large) volcanic eruptions and the great earthquakes (M&gt;8.0) in Japan. In order to develop the quantitative discussion, we need to introduce cross-correlogram analysis (Perkel et al., 1967; Grun, 2009) for these two discrete point-processes. All that I could find was very poor correlation between great earthquakes and Large volcanic eruptions in Japan. It is true that many papers have been showing us the correlation between large earthquakes and volcanic eruptions. However, speaking about Large eruptions (not speaking about volcanic disasters), it is not true for the correlation between them. The reason is that some small-scale volcanic activity out of many volcanoes has been activated by great earthquakes almost all the time in the world. Even just after the 2011 Tohoku-oki megathrust, it has been reported that the volcanic activity of about 20 volcanoes in Japan has been enhanced. It is also true that some volcanoes are activated in the present, about 4 years after the megathrust. The evidences should be added, which are the eruptions of Mt. Fuji in 1707 (VEI 5), 49 days after the 1707 Hoei earthquake of M 8.6 and of Bezymianny in Kamchatka in 1956 (VEI 5), 4 years after the 1952 Kamchatka earthquake of Mw 9.2. Both of the volcanoes have spent about 900 ~ 1200 years of quiescence in the volcanic activity. All these would suggest that great earthquakes might induce Large volcanic eruptions nearby, however it is totally dependent on its own potential and preparedness to erupt of each volcano and the earthquakes just play a role of a trigger.
著者
宮下 浩二 播木 孝 小山 太郎 太田 憲一郎 谷 祐輔 衛門 良幸
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.155-161, 2019-04-30 (Released:2019-11-13)
参考文献数
26

後方動揺性がある肩関節の外旋筋群に対するストレッチングにより外旋筋力に与える影響を分析した.対象は大学生20名とし,肩後方動揺性が陰性の安定群(10名)と陽性の動揺群(10名)に分類した.肩外旋筋力測定は,抵抗下外旋運動の前,後およびsleeper stretch後の順に計3回実施した.抵抗下外旋運動前の筋力を100として他の筋力を換算した.安定群は抵抗下外旋運動後93±10,ストレッチング後105±13だった.動揺群は同様に92±10,95±10だった.ストレッチング後に動揺群が安定群より有意に低かった.安定群では抵抗下外旋運動後よりもストレッチング後に有意に増加した.肩後方動揺性を有する場合,外旋筋群のストレッチングの実施により抵抗下外旋運動後に低下した筋力が回復しない可能性があると示唆された.
著者
良知 耕平 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.211, 2012 (Released:2012-06-11)

本研究ではレビューのフォーマット中に含まれる情報の種類が消費者に与える印象を評価した。実験刺激としてノートパソコンに関する4種類のレビューを使用した。4種類のレビューは、レビューを書いた人間、評価、コメントが同じであり、含まれる情報フォーマットのみが異なっていた。レビューA:満足度、名前、コメントのみ。レビューの最低限の要素(基本情報)で構成されたもの。レビューB:レビューAにレビュー制作者の人物像がわかる要素(人物情報)を加えたもの。レビューC:レビューAにレビュー作成者の商品熟知度がわかる要素(商品熟知度情報)を加えたもの。レビューD:基本情報、人物情報、商品熟知度情報の全てを含んだもの。被験者(学生24名)はひとつの実験刺激を見ながら8種類の印象評価(信頼性,親しみやすさ等)を行った。結果、人物情報を含んだレビューBよりもレビューAの方が信頼できるという評価になった。一方、商品熟知度情報を含んだレビューCはレビューAよりも親しみを感じさせていた。ノートパソコンのレビューでは「どんな人がレビューを書いたか」よりも「どれくらい商品に詳しいか」の方が信頼や親しみに強く影響することが示唆された。
著者
小山 雄資 市村 良平 木方 十根
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.77, no.676, pp.1479-1488, 2012-06-30 (Released:2012-07-27)
被引用文献数
1 1

This paper clarifies the foundation process and projects of the Kagoshima City Housing Association (KCHA) from 1945 to 1966. We evaluate the importance of KCHA as a working organ for the housing policy, also the characteristics of their architectural works. A commercial union took the initiative in KCHA's foundation, and the revival through the commercial activation, not only by the housing supply, was the particularity of KCHA's performance. Staff of the architectural section of the Kagoshima City Office involved to the advanced design projects, such as shop-houses, apartments, suburban residential developments with detached houses.
著者
福地 信義 小山 清文 篠田 岳思
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.186, pp.545-558, 1999 (Released:2009-09-04)
参考文献数
13
被引用文献数
4 3

In the safety design of marine systems, it has to justly give a matter over human life in the case of outbreak of a marine accident such as fires and collisions. It may be difficult to establish a safe evacuation system by the cause of uncertain behavioral patterns based on human factors with ambiguity. Besides, the psychological effect on behavior of evacuee that is terrified under the stimulus by accident, should be considered in the redundancy system for safe evacuation. Accordingly, the safe evacuation system with the intention of securing evacuation routes and reducing escape time, is desirably designed by grasping the personnel behavior with psychological intelligence process in an emergency of marine accident.In this paper, the evacuation behaviors can be predicted by using the proposed walking model with individual capacity of visible length and avoidance process for obstacles. Further, the mathematical model of psychological intelligence process in an emergency is contrived herein, in which the evacuation movement is simulated in the consideration of the decrease of walking speed and the occurrence of self-isolation in psychological action according to the magnitudes of accident stimulus. By applying these models to common spaces in a dinning cruise ship, taking account of the human factors with psychological action is rather valued in the safe evacuation system and the validity of the proposed models can be confirmed.
著者
矢澤 貴 大竹 悟史 赤澤 直也 小山 淳 柹田 徹也 土屋 誉
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.122-127, 2019 (Released:2020-02-05)
参考文献数
22

【目的】介護老人保健施設(以下,老健と略)における入所者の喫食状況や血中ビタミン濃度に関する報告は極めて少なく,その実態は十分に分かっていない.そこで,老健で食事内容と喫食率の調査を行い,さらに栄養補助食品を提供した場合の影響を検討した.【方法】参加に同意を得ることができた入所者18名を対象とした.食事に加え,28日間,1日1本,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6(以下,VB6と略),ビタミンD(以下,VDと略)を強化した栄養補助食品を追加提供し,介入前後の各種血中ビタミン濃度について前後比較を行った.【結果】喫食率は90%以上であり,ビタミンの食事からの摂取量は十分であったにも関わらず,VB6で6名(33.3%),VDで18名(100%)が基準値を下回っていた.介入後,それらは有意に高値となり,基準値未満の入所者は,VB6で1名(5.6%),VDで5名(27.8%)まで減少した.【考察】VB6およびVDは食事からの提供量を増量することが望ましいと考えられ,その手法として栄養補助食品の提供が有用であると考えられた.