著者
川浦 稚代 青山 隆彦 小山 修司
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.55-66, 2005-03-15 (Released:2011-03-01)
参考文献数
17
被引用文献数
3 3

蛍光ガラス線量計とフォトダイオード線量計を設置した人体ファントム線量計測システムを用いて, 頭部一般撮影検査及び頭部X線CT検査における患者の臓器及び実効線量評価を行った。5種類の頭部一般撮影検査における脳線量は, 0.46~1.08mGyであった。水晶体線量は, 水晶体に直接X線が当たるような頭部正面 (AP) 及びタウン撮影法において最も高かった。また, 頭部一般撮影検査における実効線量は, 0.03~0.06mSvであった。一方, 頭部X線CT検査 (ルーチン検査) における実効線量は, 1.7mSvであり, 頭部正面 (AP) 検査よりも50倍以上高いことがわかった。急性脳梗塞の診断に用いられるPerfusion検査においては, 最大皮膚線量が712.0mGyとなった。しかしながら, その値は, ICRP Publ.59で提唱されている一時脱毛のしきい値3Gyよりも低かった。また, 頭部X線CT検査における水晶体線量 (ルーチン検査: 55.0mGy, Perfusion検査: 39.6mGy) は, ICRP Publ.60で提唱されている検知可能な水晶体白濁のしきい値0.5~2.0Gyよりも低い値を示した。
著者
小柳 達男 千葉 茂 鷹觜 テル 及川 桂子 赤沢 典子 常松 澪子 木村 武 小山 寛
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.65-70, 1984-02-10 (Released:2009-11-16)
参考文献数
16

サイアミン, リボフラビン, ビタミンB6, ナイアシン, PA, トコフェロール, カルシウム, 鉄を玄米に含まれる量に似せて強化した新強化米を岩手県農村の高齢者に与え, 血圧, 血色素, 副腎皮質ホルモン代謝物の排泄量, 暗順応能力などに及ぼす影響について調べた。それまでサイアミンだけを強化した米を食べていた人々がこの新強化米を1年間摂取した結果, 1) 最低血圧が81±3から76±3mmHgに低下し, 2) 血色素が13.2±0.2から14.8±0.3g/100mlに増加し, 3) 尿中17-OHコルチコイドが2.4±0.1から1.1±0.1mg/8hrに減少し, 4) 尿中パントテン酸は0.31±0.08が1.11±0.34mg/8hrに増した。これらの変化は従来の強化米に比べ新強化米にとくに多いパントテン酸による効果ではないかと考えられる。とくに血圧を降下させた効果について著者らは, パントテン酸の不足によって低下していた神経組織のアセチルコリン濃度がパントテン酸の供給増加によって改善され, 血圧上昇作用をもつアドレナリン系ホルモンの作用に拮抗したものと考えている。暗順応は新強化米だけでは9か月間の摂取でも暗順応の閾 (いき) 値は8.6±0.8が7.7±1.1mmへとわずかに改善されただけであるが, ビタミンAを補うと著しく改善されて4.5±0,6mm (やや不良) にまで改善された。これは被験者たちは栄養調査ではビタミンAを十分に摂取していることになっているがビタミンAの補給前はその不足があったものと考えられる。
著者
小山 直樹 高畑 由起夫
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.289-299, 2009-03-31 (Released:2010-06-17)
参考文献数
50
被引用文献数
2
著者
小山 尚之 Naoyuki Koyama
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 = Journal of the Tokyo University of Marine Science and Technology (ISSN:21890951)
巻号頁・発行日
no.12, pp.48-67, 2016-02-29

本稿は二〇一三年に「ランフィニ」誌第一二二号に掲載された「《地獄の季節》:行くこと―帰還すること」と題された記事を日本語に訳したものである。ソレルスによれば一八世紀の不在とロマン主義的な社会あるいは主体はランボーにとって地獄として現れる。地獄へ行くとは同時代の社会を批判するという意味である。しかし同時にランボーは新たな理性や新たな形態の愛を発明することによって地獄から帰還しようと努める。この点でソレルスはランボーのうちにニーチェとハイデガーの先駆者を見出している。それに加えてソレルスはランボーが始源におけるグノーシス的な光によって照明されていると考えている。東京海洋大学大学院海洋科学系海洋政策文化学部門
著者
小山 尚之 Naoyuki Koyama
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:18800912)
巻号頁・発行日
no.5, pp.55-61, 2009-03

『反ユダヤ・プルースト』という著作において、アレッサンドロ・ピペルノは次のように主張している。プルーストは『失われた時を求めて』のなかで、スワン、ブロック、ラシェルといったユダヤ人の登場人物を残酷に扱い、彼らの擬態を非難している、と。しかしピペルノの議論は一面的であるように思われる。何故ならプルーストはユダヤ人に対してだけでなく、貴族に対しても残酷だからである。この論文はピペルノの本の要約であるが、同時にその未熟な性急さを批判してもいる。東京海洋大学海洋科学部海洋政策文化学科
著者
伊藤 博隆 馬場 駿吉 高木 一平 大屋 靖彦 横田 明 伊藤 弘美 稲垣 光昭 小山 賢吾 北條 郷明 丸尾 猛 東内 朗 杉山 和子 河合 〓 森部 一穂 鈴木 賢二 柘植 勇人 板谷 純孝 鈴木 康夫
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.Supplement52, pp.107-118, 1991-12-25 (Released:2012-11-27)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

Mao-bushi-saishin-to extract capsules (6 caps. /day) were administered orally to 61 perennial nasal allergy patients presenting with nasal obstruction for 4 consecutive weeks to assess the overall efficacy, safety and utility of the drug. In the doctor's evaluation, the overall efficacy rate covering excellent and good responses was 38.3% at week 2 of treatment and 54.7% at week 4 of treatment. The utility rate covering useful and higher ratings was 60.7%.Nasal symptoms, viz, sneezing attack, nasal discharge, nasal obstruction, dysosmia and interference with daily living were all improved. Nasal obstruction, in particular, disappeared in many cases, thus generating a high improvement rate. Nasal mucosal findings, viz, swelling of inferior turbinal mucosa, watery secretion in nasal cavity, and nasal discharge eosinophil count showed good improvements.The time course of each nasal symptom i n terms of the average score according to allergy diaries, revealed significant reduction in nasal obstruction, dysosmia and interference with daily life in severity at and after week 2 and sneezing and nasal discharge were significantly alleviated at week 4 as compared with the findings obtained during the baseline period.As side effects, headache was reported in one case and stomachache in one case. These symptoms were relieved after discontinuation of treatment.
著者
深谷 達史 小山 義徳
出版者
日本読書学会
雑誌
読書科学 (ISSN:0387284X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.115-126, 2013-09-17 (Released:2017-03-02)
参考文献数
18

This study examined students' difficulties of explanation activity in university lecture class. Study 1 examined the students' impression to the explanation activities, and the result showed that most of the students thought the activity positive manner. However, the result also suggested that many students felt anxious of the activity because they were not sure how to explain. In Study 2, to reduce their anxiety, students were instructed to give examples for topics hard to understand and to check listeners' understanding. The results showed that although students' confidence to their explanation rose after the instruction, most of their examples just mimicked what on the texts, and some contained inappropriate examples. Based on these results, we discussed the way of effective instruction for explanation activity.
著者
忍 正人 小山 歩美
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.9-23, 2016-03-31

災害時には地域にすでに存在している問題が顕在化され、災害発生前の段階としては地域の多様な問題を地域住民が主体となり相互の助け合いによって解決していくためのネットワーク構築が必要とされている。しかしながら、ネットワークの構築やまちづくりが防災に与える影響についての論文が多くある中、その促進要因として圏域の設定の有効性は明らかにされていない。そこで、本論では、防災の重要性、防災意識の高まり、さらに、災害弱者の視点から述べ、地域をいくつかの圏域に分けて支援していく手法として、現在展開されている日常生活圏域について明らかにし、中学校区での日常生活圏域の限界からより細分化された小学校区の活用について、制度面や実際の地域の取り組み等からその有用性について明らかにした。
著者
小山田 圭吾 市川 尚 高木 正則 富澤 浩樹 阿部 昭博
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2019-CE-151, no.5, pp.1-8, 2019-09-28

本学部では e ラーニングによる入学前教育を実施しており,プログラミングの課題も含まれている.本研究では,受講対象者である高校生をチューターと学習者に分け,学習者が作成したプログラムに対して,チューターが確認を行うためのオンライン上の学習環境を構築した.そのシステムは,学習者がビジュアル型言語でプログラムを作成して提出するまでの履歴を記録し,チューターがプログラムや履歴を確認して学習者にフィードバックを行うことを支援する.構築した学習環境を用いて入学前教育で試行した結果,チューターの確認とフィードバックにより,学習者のプログラムの改善が見られた.一方で,履歴を提示することはチューターの役に立っていたが,プログラムの確認やフィードバックには不十分な点が見られるなどの課題が残った.その課題を踏まえ,システムの改善について検討した.
著者
小枝 周平 澄川 幸志 佐藤 ちひろ 佐藤 速太 齋藤 峻 白坂 真妃 小山内 隆生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.655-660, 2016 (Released:2016-10-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1

〔目的〕遅発性筋痛(DOMS)に対する超音波療法の温熱刺激が運動時の疼痛やつっぱり感,疲労感などの不快感,運動面の改善につながるかを経時的・即時的な視点で検討した.〔対象と方法〕対象は健常な大学生14名とした.ランダム化クロスオーバー比較試験を行い,超音波照射条件ではDOMS誘発運動後2・4・8日目に連続波の超音波を10分間照射した.超音波照射前後には運動時の疼痛,つっぱり感,疲労感,肘関節運動角度を測定した.〔結果〕超音波照射条件では運動後2日目の超音波照射後にのみ照射前と比べて運動時のつっぱり感や疲労感に有意な改善が認められた.〔結語〕超音波療法の温熱刺激は,DOMSが現れた際に運動時の不快感を一時的に軽減させるのに有効である可能性が示唆された.
著者
小山 洋 佐藤 雅彦 遠山 千春
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.624-635, 2003-01-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
90
被引用文献数
2 1

As the last manuscript in our series of review articles on cadmium (Cd) and health effects, we reviewed research articles on epidemiologic and experimental studies on exposure levels of Cd in occupational and environmental settings in various countries, disposition and body burden of Cd, critical concentrations of Cd in the kidney of humans and animals with a focus on biomarkers for renal dysfunction, and life expectancy in Cd-polluted areas and reference areas. After this manuscript was compiled, cadmium levels in rice crops received significant attention, since the risk assessment of cadmium is now under review and discussion by the Joint Expert Committee of Food Additives and Contaminants organized by the Food Agricultural Organization and World Health Organization in 2003. We hope that the information compiled in this review may provide directions for future studies on the health risk assessment of Cd.
著者
加藤 勇気 小山 総市朗 平子 誠也 本谷 郁雄 田辺 茂雄 櫻井 宏明 金田 嘉清
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.28, 2012

<b>【はじめに】 </b>動的バランス能力低下を引き起こす要因として、足底感覚の低下が報告されている。その機序の一つとしては、機械的受容器の非活性化が示唆されている。臨床では、機械的受容器の賦活にタオルギャザーや青竹踏みが用いられている。しかし、刺激量が定量化できない事、随意運動が不十分な患者では施行できない事が問題となっている。近年、経皮的電気刺激(transcutaneous electrical stimulation以下TES)を用いた機械的受容器の賦活が報告され始めている。本手法は、刺激量が定量化でき、随意運動が不十分な患者でも施行できる利点がある。過去報告では、下腿筋群に対する運動閾値上のTESによって、足底感覚と動的バランス能力の改善を認めている。しかし、感覚鈍麻を認める患者においては、可能な限り弱い強度での電気刺激が望ましい。本研究では、足底に対する運動閾値下のTESによって動的バランス能力が向上するか検討した。<br><b>【方法】 </b>対象は健常成人17名(男15名、女3名、平均年齢24.6±3.2歳)とし、10名をTES群、7名をコントロール群に分類した。TES装置はKR-70(OG技研)を用いた。電極には長方形電極(8㎝×5㎝)を使用し、足底、両側の中足骨部に陰極、踵部に陽極を貼付した。TESは周波数100Hz、パルス幅200us、運動閾値の90%の強度で10分間連続して行った。コントロール群は10分間安静を保持させた。動的バランス能力の評価にはFunctional Reach Test(FRT)を用いた。FRTの開始姿勢は、足部を揃え上肢を肩関節90°屈曲、肘関節伸展回内位、手関節中間位とした。対象者には指先の高さを変えない事、踵を拳上しない事を指示し、最大前方リーチを行わせた。測定は2回行い、その平均値を算出した。統計学的解析は、各群の介入前後の比較に対応のあるt検定を用いた。本研究の実施手順および内容はヘルシンキ宣言に則り当院倫理委員会の承諾を得た。対象者には、評価手順、意義、危険性、利益や不利益、プライバシー管理、目的を説明し書面で同意を得た。<br><b>【結果】 </b>TES群は介入前FRT 34.6±3.2㎝、介入後36.9±3.2㎝と有意な向上を認めた。一方で、コントロール群は介入前34.3±1.9㎝、介入後34.6±2.0㎝と有意差は認められなかった。<br><b>【考察】 </b>足底に対する運動閾値下のTESは、動的バランス能力を向上させた。過去の報告で用いられた下腿筋群に対する運動閾値上のTESの作用機序としては、筋ポンプ作用によって末梢循環が改善され、機械的受容器が賦活されたと示唆されている。したがって、本研究における運動閾値下のTESの作用機序は異なるものであると考えらえる。運動閾値下のTESは、刺激部位の機械的受容器や上位中枢神経系の賦活が報告されている。機械的受容器の感受性改善は、足底内での細かな重心位置把握を可能とし、上位中枢神経系の賦活は、脊髄反射回路の抑制によって協調的な動作を可能にすると考える。今後、足底に対する運動閾値下のTESと重心動揺、上位神経系との関係を明らかにすることで、動的バランス能力向上の機序がより明確になると考える。<br><b>【まとめ】 </b>本研究によって足底に対する運動閾値下のTESが動的バランス能力を向上させることが示唆された。
著者
杉本 智哉 近藤 有 一木 万奈美 荒川 裕貴 間瀬 広樹 牛膓 沙織 佐久間 昌基 小山 佐知子 大島 有美子 宮崎 雅之 築山 郁人 佐藤 由美子 久田 達也 板倉 由縁 山田 清文
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.441-448, 2018-09-10 (Released:2019-09-10)
参考文献数
26
被引用文献数
1

The objective of this study was to evaluate the cost-effectiveness of pegfilgrastim (Peg-G) and daily filgrastim (Fil-G) for the primary prophylaxis against febrile neutropenia (FN) in patients with non-Hodgkin lymphoma (NHL) who received cyclophosphamide, vincristine, doxorubicin and prednisolone (CHOP) therapy. We developed a decision analytical model reflecting the clinical processes of NHL patients who received first CHOP therapy. The probabilities at each clinical endpoint were obtained from published sources. To estimate the costs and duration of FN treatment, we analyzed the medical records of NHL patients in hospitals participating in this study. The costs of Peg-G and Fil-G were calculated according to the National Health Insurance drug price list. We assessed an incremental cost-effectiveness ratio (ICER) for a single dose of Peg-G versus 11-days of Fil-G from the perspective of health insurance payers. The sensitivity and robustness of this model were validated by the tornado-diagram and Monte Carlo Method. The costs associated with primary prophylaxis with a single dose of Peg-G and 11-days of Fil-G were 109,628 JPY and 109,243 JPY, respectively. The quality adjusted life years (QALYs) associated with the two strategies were 0.0339 QALYs and 0.0337 QALYs, respectively. The ICER for the Peg-G versus Fil-G was 2,788,571 JPY per QALY. The tornado-diagram revealed that the main influential factors included the cost of Peg-G, number of Fil-G doses, and cost of Fil-G. Monte Carlo simulation revealed an 18.3% probability that Peg-G was cost-effective compared with Fil-G. A single dose of Peg-G was cost-effective compared with 11-days of Fil-G.
著者
竹林 正樹 吉池 信男 小山 達也 鳥谷部 牧子 阿部 久美 中村 広美 平 紅
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.11, no.Special_issue, pp.S9-S12, 2018 (Released:2019-04-10)
参考文献数
7

【目的】シンプルな肥満予防介入として体重測定促進研修会を実施し,週1回以上の体重測定習慣化について比較検証することを目的とした.【介入・解析】青森県出先機関職員向け研修会の応募者(適格条件:体重測定頻度が週1回未満)から3人単位のクラスターを作成し,乱数表で無作為にクイズ群,行動宣言群,成功回顧群の3群に割り付け,RCT(1時間の研修会および一斉メールによる介入)を行った.また,別地域の職員を参照群に設定し,6か月後の体重測定行動を並行群間比較した.【結果・考察】クイズ群20人,行動宣言群22人,成功回顧群22人,参照群44人を解析した結果,介入3群全体で6月後体重測定者は44%(参照群2%,p<.001)であった.中でも成功回顧群は59%と最も高い効果がみられた.ただし,本研究にはサンプルサイズ等に関する限界がある.
著者
市野 進一郎 フィヒテル クローディア 相馬 貴代 宮本 直美 佐藤 宏樹 茶谷 薫 小山 直樹 高畑 由起夫 カペラー ピーター
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

(目的)マダガスカルに生息する原猿類(キツネザル類)は,真猿類とは独立に群れ生活を進化させた分類群である.集団性キツネザルには,性的二型の欠如,等しい社会的性比,メス優位など哺乳類一般とは異なるいくつかの特徴がみられる.こうした一連の特徴は,社会生態学理論でうまく説明できないものであったが,近年,メスの繁殖競合によって生じたとする考え方が出てきた.本研究では,長期デモグラフィ資料を用いて,ワオキツネザルのメス間の繁殖競合のメカニズムを調べることを目的とした.<br>(方法)マダガスカル南部ベレンティ保護区に設定された 14.2haの主調査地域では,1989年以降 24年間にわたって個体識別にもとづく継続調査がおこなわれてきた.そこで蓄積されたデモグラフィ資料を分析に用いた.メスの出産の有無,幼児の生存,メスの追い出しの有無を応答変数に,社会的要因や生態的要因を説明変数にして一般化線形混合モデル(GLMM)を用いた分析をおこなった.<br>(結果と考察)出産の有無および幼児の生存は,群れサイズによって正の影響を受けた.すなわち,小さい群れのほうが大きい群れよりも繁殖上の不利益が生じていることが明らかになった.この結果は,ワオキツネザルの群れ間の強い競合を反映していると思われる.一方,メスの追い出しの有無は,群れサイズよりもオトナメスの数に影響を受けた.すなわち,群れのオトナメスが多い群れでは,メスの追い出しが起きる確率が高かった.このように,ワオキツネザルのメスは群れ内のオトナメスの数に反応し,非血縁や遠い血縁のメスを追い出すことで群れ内の競合を回避するメカニズムをもっているようだ.
著者
古賀 広昭 永野 留美子 清田 公保 下塩 義文 小山 善文
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 24.28 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.9-16, 2000-04-14 (Released:2017-06-23)

本報告は聴覚障害者などのために、腕に取り付けた振動モニターによる音楽感性情報の伝達方法を述べたものである。腕の振動距離の分解能、振動周波数の検知・判定限界、複数振動モータによる音楽情報の伝達とその効果について検討した。振動に対して腕部の特性は、距離分解能が数cm以上であること、15Hz以下の振動周波数が分離した振動として判断できることを示した。また、音楽の周波数成分を8分割し、それぞれの周波数に対して振動させた結果、感性に対して効果があることを示した。
著者
杉谷 邦明 合志 和洋 古賀 広昭 小山 善文
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 24.51 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.33-40, 2000-09-14 (Released:2017-06-23)

本報告は, 聴覚障害者などのために, 腕や頭に取り付けた振動モータによる音楽情報の伝達を行い, 音楽の楽しさなどの感性を与えることができる方法について述べたものである.腕や頭の振動距離と感性, 音楽に対する振動の快適性の効果, 複数振動モータによる音楽快適性の効果について検討した.音楽情報を振動により伝達する上で, より感性を強調するために最適な振動モータ配置, チャネル数, および単位チャネル当たりの振動モータ数を明確にする.そして, 振動を付加した音楽情報を伝達する実験により, ダイナミックレンジが約0.7以上の音楽に対して本手法が感性強調の効果を持つことを示す.