著者
武田 江里子 小林 康江 加藤 千晶
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.86-92, 2013-04

産後1ヵ月健診を受診した母親177名を対象に,「現在のストレス内容」について自由記述によるアンケート調査を実施した。有効回答の得られた166名(有効回収率93.8%)を分析対象とした。SPSS Analytics for Surveys 4.0を用いてテキストマイニング分析を行った。全体では【今後の心配】【夫の協力がない】【子どもが寝ない】【子どもの泣き・ぐずり】【家事が大変】【寝不足】【思いどおりにいかない】【情報の混乱】【母乳の不足感】【育児が大変】【自分に対するやるせなさ】【自分の時間がない】【自分へのねぎらい】【複数の子育て】の14カテゴリーが抽出され,そこに【初産】【経産】というカテゴリーを加え16カテゴリーとし,カテゴリー間の結びつきをみた。初産婦・経産婦で同じストレスは多く,そのなかでも【思いどおりにいかない】ストレスは両方に多くみられた。それぞれに特徴的なストレスもあるが,いずれのストレスにおいてもそのストレスのみでなく,他のストレスとの結びつきをみることで,ストレスの本質的なものが察知できると考えられた。
著者
小川 博之 小林 康徳 平木 講儒
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

固体ロケットプルームによる電波干渉の直接的原因として,(1)燃焼ガス中に含まれるアルミ・アルミナ粒子による散乱吸収,(2)燃焼ガス中に含まれる自由電子,を取り上げ,それぞれについて電波減衰量を見積もった実験で観測される減衰量,電波減衰の周波数依存性から,電波干渉の直接原因は燃焼ガス中の自由電子であると結論づけた.自由電子による電波減衰を評価するパラメタである,自由電子密度と電子衝突周波数を求めるための解析モデルを構築した燃焼ガス流れ中の自由電子密度変化を解析できるモデルにより,プルーム中の自由電子密度分布を求めたプルーム中の化学反応は凍結しており,自由電子のモル分率は変化しないこと,自由電子数密度は巨視的物理量から求めることができることを示した.混相流解析を行い,アルミ・アルミナ粒子が流れ場に及ぼす影響が小さいことを示した.1次元プラズマスラブを仮定した電波減衰解析,2次元プラズマモデルによる電波の伝播解析を行った.電波の回折・屈折の効果は無視できないことがわかった.電波減衰量は周波数に対して弱い負の相関があること,電子密度に比例し電子衝突周波数に反比例することを示した.地上燃焼試験において,電波とロケットモータプルームの干渉実験を行ったモータの燃焼末期を除き定性的に理論どおりの結果が得られた.自由電子数密度が理論よりも小さく見積もられたが,これは不純物Naの量を実際と比べて大きく見積もっていたためと考えられる.燃焼中モータプルームによる電波の変調はないことがわかった.燃焼末期の電波減衰の振る舞いは現時点では説明がつかないため,今後研究を継続して明らかにする必要がある.今後,実際のロケット飛翔へ適用できる解析ツールの整備を行っていく予定である.
著者
高元 政典 山田 直之 小林 康弘 野中 久典 大越 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.2075-2082, 1994-10-25
参考文献数
12
被引用文献数
4

工業プラントの建設工程計画作成では,各作業単位に必要な資源量から算出する毎日の必要総資源量の変動やピークはできるだけ小さい方が望ましい.縦軸に必要総資源量を,横軸に時間をとり,必要資源を山積みで表すと,必要総資源量の変動やピークの最小化はその山積みの平準化に相当する.この山積みの平準化には,平準化に伴い単調増加または減少する関数を目的関数として各作業単位の開始日を決定する最適化問題を効率的に求解する必要がある.しかし,工業プラントの建設は,作業単位が100以上,建設に要する全期間が1,000日以上と大規模な場合が多く,上記最適化問題の大域的最適解の求解は困難である.また近似解法であってもその求解効率が問題となる.そこで,本研究では,必要資源量の山積みの平準化を目的とした大規模最適化問題に対し,近似解を高速に求解するアルゴリズムを開発した.本アルゴリズムは,最適化問題を定式化した0-12次計画問題に対し,平準化のために設けたピボット変数選択規則によるピボット操作を繰り返して準最適解を高速求解する.本アルゴリズムを実際の工業プラントと同規模の例題へ適用した結果,よい近似解を数分(計算機性能:28MIPS)で得るこができ,アルゴリズムの有効性を確認した.
著者
浦 雅春 石光 泰夫 小林 康夫 杉橋 陽一 河合 祥一郎 高橋 宗五
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本研究は既存の国や文化の枠を超えてますますクロスオーバー化する現代の演劇の諸相を歴史的淵源にさかのぼって分析するとともに、近年著しい成果をあげているインターディシプリナリーな分析装置を手がかりに多角的に演劇の表象システムを再検討することを目指したものである。年度ごとの研究成果を記せば、以下の通りである。平成9年度においては、まず研究の端緒として広くヨーロッパ近代演劇の成立にかかわる各国の演劇理論を再検討し、個々の演劇理論が具体的にどのような舞台表象とつながりの中で発展してきたかを解明した。平成10年度には、「身体論」と「空間論」の観点から演劇の表象システムを考究した。おのおの文化に固有な身体観や空間意識がいかなる形式を演劇に与えるか、また逆に演劇という表象システムが演劇固有の身体や空間を形作ってきたか、その相互のダイナミズムを理論化した。平成11年度には、精神分析の立場から演劇に分析を加えた。たんに戯曲というテクストを精神分析的に解剖するのではなく、演劇と精神分析がきわめて類似した表象システムであることを分析し、演劇の中でヒステリー的身体がいかに抑圧され、また解放されてきたを歴史的に解明した。最終年の平成12年度には、これまでの研究成果の取りまとめの段階として、演劇という表象システムの歴史的変遷を総括した上で、演劇と他のメディアの相互作用、個別身体論や空間論との交叉から演劇のインター・カルチャー的本質を抽出し、演劇理論の新しいパラダイムを構築した。
著者
宮川 道夫 小林 康之 鳥羽 啓 石井 望
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.2810-2821, 2000-12-25
被引用文献数
10

注視位置情報を利用したヒトとコンピュータとの円滑な情報伝達を目的とし, 無拘束で自由な体の動きを許容した注視点検出手法を開発した.PSDカメラにより眼球回転中心を, またCCDカメラにより角膜の曲率中心をステレオ計測し, ビデオ信号処理と推定演算により注視点を求める.無拘束状態で注視点を検出するため, カメラと眼球間の距離に応じて眼球反射光が広がりをもち輝度値も低下する.検出精度が低下しないよう, AGC回路や輝点の中心座標を算出するパルス中心位置計測回路を備え, 精度の高い注視点検出を可能としている.また, コンピュータ使用時の頭部変動量をPSDカメラで測定・評価し, 頭部の最大移動量を算出した.その結果, コンピュータ使用時の頭部変動は本システムの計測範囲内に収まることを確認した.
著者
門間 要吉 慶野 征〓 小林 康平
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.81-91, 1991-03-01

(1)本稿はイチゴの養液栽培農家14戸の収益性を実態調査の資料を用いて検討したものである.収益性の高い農家は収穫量が多いのみならず,その多くを市場価格の高い時期に出荷している.逆に収益性の低い農家は収穫量が少いだけでなく,生産費も高く,かつ出荷期は市場価格の低い時期である.(2)イチゴの市場価格は季節別に大幅に変動し,11月末から翌年1月中旬にかけて高く,春に低い.収益性を高める最大の要因は,市場価格の高い時期に収穫量のピークを合わせることである.しかし,11月末から12月に収穫期を合わせるためには,イチゴ苗の花芽分化を8月末から9月に行わなければならない.ところが,この時期は気温が高く,苗の栄養成長の旺盛なときである.したがって,人工的に苗を冷蔵庫に入れ,あるいは根を切断して,花芽分化を促進させることになるが,これが他方,その後の苗の成長に大きく影響し,収穫の時期と量を左右することになる.イチゴ栽培技術の決定的なポイントである.(3)養液栽培は,多額の資本投入によって経営が成立する.したがって,極めて集約的でかつ高収入獲得可能な経営として展開されなければならない.イチゴ養液栽培の経済的安定のためにはまず,増収技術の確立が重要であり,さらに高価格期に大量収穫を実現する技術的対応が欠かせない.そのためには,経営者は,常に養液栽培の基本的理論に立脚した科学的な施設の利用と同時に,イチゴのもつ生理生態上の特性を完全に理解するとともに,この特性を十二分に発現可能な諸施設の整備充実,適確な技術的対応の可能性を確保されなければならない.たとえば,養液調製補給にしても,メーカーの定める基準や手法を尊守して忠実に実践することも重要であろうし,水質・水温もかなり重要な生育安定要因と考えられるので,常に検定を基礎とした調整をおこたらず,生育の充実と促進のための最適条件を確保することが肝要であろう.また,花芽分化促進の技術対応は極めて重要である.その施設の不備などから充分な効果が得られないこともある.現状では農家個々が,思い思いの施設で冷蔵処理が行われているが,これなどは,生産地域における組織化のなかで,最適処理施設を完備して共同利用による処理機能の高度化なども今後の課題である.(4)養液栽培は土耕栽培にはみられない有利な成果が期待される.すなわち,収益性のみでなく,作業管理の側面でも作業の能率化や作業労働強度の軽減に大きな効果を発揮している.したがって,栽培プラントだけではなく,栽培全般の合理化のために必要な諸設備も含めて総合的な施設設備が永続的かつ安定的なイチゴ養液栽培の可能性を保証するものではないだろうか.
著者
小林 康宏 知野 豊治 吉田 隆幸 松田 賢一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.520, pp.13-17, 1997-02-14
参考文献数
8
被引用文献数
3

基板裏面に形成したガイド穴を用いた垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)とシングルモードファイバとの結合効率について計算による基礎検討を行った。我々はこれまでに4×3のVCSELアレイに対するガイト穴を用いたパッシブアライメントにより、マルチモードファイバとの結合において平均81.3%の結合効率を達成している。この結合方法をシングルモードファイバに適応する場合、計算の結果、80%の結合効率を得るためにはレーザと裏面ガイド穴との距離を100μm程度、アライメントのずれを±1μmにまでする必要があることが分かった。
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。
著者
大石 康正 井上 倫夫 小林 康浩 加納 尚之 中島 健二 川上 孝志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.409-410, 1994-03-07
被引用文献数
3

当研究室では筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis)患者のために意思伝達補助装置(Communication Aid)について研究してきた。ALSは全身の筋肉が次々と麻痺していく進行性の疾患で、原因不明で治療法も未だ確立されていない難病である。この病気に侵された人は、最悪の場合、全身が殆ど動かせなくなる。そこで、患者の意志を他人に伝えることのできる装置が望まれてきた。現在、このコミュニケーションエイドの入力として脳波を用いることについて検討中である。本報告では、事象関連電位とその利用法について述べる。
著者
川上 孝志 井上 倫夫 小林 康浩 加納 尚之 古城 明宏 中島 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.2458-2467, 1997-12-15
被引用文献数
3 2

筋萎縮側索硬化症(ALS)は身体の動きが徐々に阻害されていく難病である.この患者の意志伝達を補助する手段として,提示された視覚情報に対して誘発される脳電位波形(EEG)を利用する方法を提案する.本報告では,提示した刺激に応答して誘発される事象関連脳電位(ERP)の中から,目標とした刺激に対して検出されるP300成分をとらえる手法として,ハール・ウェーブレット変換の基底関数を用いたフィルタ処理を利用する.具体的には,提示された複数の項目から特定の対象を選択する実験において,このフイルタ処理とアベレージング手法を併用し,高い確率で目標とした項目を判定できることを示す.そして,ALS患者に対する意志伝達補助装置(CA)の入力手段としてERPを利用するための方法について検討を行ったので報告する.In this paper we describe the possibility of understanding ALS patient's requests by any neuro-physiological manners.The patient has no physical capability for speaking,though maintaining intellectual activities.In this proposal,communicaion with a testee is undertaken in a visual stimulus which is displayed on the CRT screen.For example,Event Releted brain Potentials(ERP)Appears within his Electroencephalogram(EEG)posterior to the stimulus as the result of intellectual evaluation of proposed visual stimuli.This means that we are able to affirm his answer to our question by detecting P300 component within ERP.For its well detection,ERP is filtered based on the Haar-Wavelet transform and applied averaging method for some wave-forms.Then,we could obtain a good result for some experiments which chose the word phrase by using these methods.This system will be of much practical use for the communication with ALS patients.
著者
大石 康正 井上 倫夫 小林 康浩 加納 尚之 中島 健二 川上 孝志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.341-342, 1994-09-20

筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis),頚椎損傷,脳内出血などの患者は,自らの意志を周囲の健常者に伝えることが困難である.このような人の意志伝達を補助する装置(CA:Communication Aid)の研究開発が,切望されている.とりわけALSは全身の筋肉が次々と麻痺し,遂には死に至る進行性の疾患で,脳機能は正常であるが,末期には全身の筋肉がほとんど動かせなくなる.そこで,患者の意志を他人に伝えることを補助する装置が望まれてきた.現在,このコミュニケーションエイドの入力として事象関連電位を用いるための実験を進めている.本報告では,視覚刺激を与えたときに現れる事象関連電位をコミュニケーションエイドの入力とする方法について述べる.