著者
新本 修一 林 泰生 土山 智邦 小林 泰三 片山 寛次 広瀬 和郎 山口 明夫 中川原 儀三
出版者
Japan Biliary Association
雑誌
胆道 = Journal of Japan Biliary Association (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.245-252, 1996-07-25
参考文献数
13

悪性胆道閉塞26例にstentによる27回の内瘻化を施行した.使用stentは12Frのtube stentと,expandable metallic stentのうちZ-stent,Strecker stent,Wallstentである.Wallstentは肝内胆管から総胆管まで屈曲した走向でのstent,胆管と十二指腸の間のstent,Z-stent閉塞に対するstent in stentに使用した.stentの種類と留置場所により再閉塞や感染等の成績を比較した.24例(88.9%)で外瘻tubeを抜去でき,22例(91.7%)が退院できた.8例が1~24カ月間無黄疸で生存中で,9例が2~15カ月後に無黄疸で原病死した.再閉塞や感染は7例(29.2%)に認められ,胆管と消化管との間のstentに多く認められた.stentの種類別では,tube stentの50%とStreckerの33.3%に認めWallstentでは11.1%と有意に少なかった.悪性胆道閉塞の内瘻化に,屈曲した走向での留置や下部胆管閉塞の内瘻化にも適応でき再閉塞や感染が少ないWallstentは有用と思われた.
著者
小林 利行
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.44-56, 2018

本稿では、1930年前後に大人気となった松内則三アナウンサーの「講談調」の野球実況について、これまでにないアプローチでその人気の背景の再分析を試みた。本稿ではまず、「報道」「教養」「娯楽」などの放送番組の種目割合の時系列変化に注目した。そして、「娯楽」の割合が減少している時期とこの実況の全盛期が重なることを示したうえで、これをベースとして以下の3つの視点から人気の背景を探った。【①聴取者】聴取者は「娯楽」を求めていたが、実際の放送では十分に供給されておらず、「娯楽」の少なさに不満を持っていた。【②松内則三】アナウンスのあり方において常に聴取者の意向を重視していた松内が、野球実況を「講談調」にした理由の一つに①が関係した可能性が高い。【③日本放送協会】聴取者加入が外国に比べて進まない要因の一つは「娯楽」の少なさだと認識していたと思われるが、「社会の公器」という建前上、いたずらに「娯楽」を増やすわけにもいかなかった。そこに登場したのがこの実況であり、客観性に疑問符がつくアナウンスながらも容認する姿勢をとったと推察される。先行研究で指摘されているように、この実況の人気の背景には、「講談調」という日本人になじみのある口調が広く受け入れられたことがあるのは間違いない。これに上記の3つの視点を加えることで、この実況の誕生と継続の解釈に厚みが増し、従来の野球ファン以外を取り込んで大人気となった背景をより明確にできるのではないだろうか。
著者
矢野 純子 居林 晴久 西山 知宏 田中 政幸 佐藤 茂夫 酒井 和代 松田 晋哉 小林 篤 矢倉 尚典
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.229-237, 2006
被引用文献数
2 1

2006年4月から実施された介護保険新予防給付に先立ち, 鹿児島県離島において筋力向上器械を使用した高齢者の運動器の機能向上プログラムを3ヵ月間実施した. その前後に行った体力測定, 生活習慣・日常生活動作(Activities of Daily Living: ADL)・手段的日常生活動作(Instrumental Activities of Daily Living: IADL)調査, 改訂版Frenchay Activities Index自己評価法の結果, 体力測定の内, 筋力, 歩行能力, 全身協調性は有意に向上し, その他の指標, ADL, IADLには有意差は見られなかった. この理由としては例数が少なく筋力の向上が生活全体の活動量の増加に繋がっていないことが示唆された.
著者
伊藤 福美 浅井 史敏 木村 努 深見 征治 小林 晋作
出版者
The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
雑誌
血液と脈管 (ISSN:03869717)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.175-178, 1985-04-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
8

CS-570, a chemically stable prostacyclin derivative, inhibited decrease of platelet counts and fibrinogen level, increase of FDP, prolongation of prothrombin time and activated partial thromboplastin time and deposition of fibrin in the renal glomeruli dose-dependently in the endotoxin-induced DIC model of rats. Ticlopidine, dazoxiben (thromboxane synthetase inhibitor) and BM 13177 (thromboxane antagonist) also showed inhibition of changes in these parameters. CS-570, a potent platelet stabilizer and vasodilator, would probably have inhibited thrombocytopenia and coagulation disorders by physiological antagonism against TxA2 produced by endotoxin. This would suggest beneficial effects of CS-570 in endotoxin-induced DIC in humans.
著者
小林 晋作 森 昌弘 森田 明 浅井 史敏 伊藤 福美 三宅 茂樹 長谷川 主計 熊倉 清次
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.1231-1234, 1984-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
7
被引用文献数
2

体外循環時には血小板が活性化され, 微小血栓の形成による血栓症の惹起や, 血小板が消費されることによる止血機構の不全による出血などの危険がある。そのため体外循環時には血小板の機能を保護することは極めて重要なことである。PG I2は血小板凝集抑制作用が強く, 臨床上極めて有用な血小板保護剤である。しかしながらPG I2は化学的に不安定である欠点を有する。CS-570は化学的に極めて安定なカルバサイクリンの誘導体であり, in vitro, ex vivo共に強力な血小板凝集抑制効果を示す。本化合物は経口投与によっても有効性を示すことより, 体外循環時の抗凝血および血小板保護作用をはじめとして, 各種の血栓症や末梢動脈閉塞症などにも, 有用性が期待される。
著者
酒井 秀夫 大橋 文人 佐々木 重人 伊藤 福美 森田 明 小林 晋作 高井 信治 佐々木 伸雄 竹内 啓
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.1239-1242, 1984-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
9

活性炭などの吸着剤による直接血液灌流(DHP)は肝不全・腎不全などに対する治療として有効である。本治療法実施に際しての抗凝固剤としては主にヘパリンが使用されているが, 血球の減少・DHP後の出血傾向などの問題がある。我々はこれらの問題点を考慮し, ヘパリンにかわる抗凝固剤としてカルバサイクリン誘導体CS-570を使用して実験的尿毒症犬の活性炭によるDHPを行ない, 血球成分・血液凝固能・血圧・回路内圧などを指標としてCS-570のDHPにおける抗凝固剤としての有用性を検討した。その結果, DHP実施中の赤血球数・血小板数は変動せず, 血液回路内での血小板凝集は強く抑制されており回路内凝血の徴候は認められなかった。一方, 生体内での凝集抑制率は低くDHP終了後の凝集能回復も速やかであった。また, 血圧の低下はわずかであった。以上のことからCS-570はDHPにおける抗凝固剤として非常に有用であると考えられた。
著者
小林,泰
出版者
土質工学会
雑誌
土と基礎
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, 1961-12-15
著者
小川 哲史 新井 英夫 渡部 登志雄 小林 靖子 森川 昭廣 丸山 健一 服部 浩明 江頭 徹
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.171-175, 1998

我々は,血漿アポEの高値および特徴的な腎組織像からリポ蛋白糸球体症と診断した4歳発症の女児例を経験した。本例は検索した範囲では世界最年少例と思われた。<br> 本症の病因の一つとしてリポ蛋白代謝異常が示唆されているため,患児のアポEの検索を行った。表現型と遺伝子型に不一致がみられたことより,さらに検索を進めたところ,アポE遺伝子exon 4において9塩基の欠失 (480-488nt) が認められた。これによって合成される患児のアポEは,3個のアミノ酸 (Arginine,Lysine,Leucine) が欠け,296個のアミノ酸から成る変異体であると推測された。また,現在無症状である母親および弟にも同遺伝子変異が確認された。この変異はアポEにおいてレセプターとの結合領域と考えられている部分に存在しており,これによって生じる変異体はリポ蛋白代謝異常さらには本症の発症に何らかの形で関与している可能性が示唆された。
著者
阿部 真理子 小林 雄一郎 藤原 康弘
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、高校生の英語スピーキング力を 3 年間にわたり縦断的に追跡し、その発達過程を明らかにすることである。具体的には、(1)個人レベルでの経年変化のモデル化、(2)内的・外的な学習者要因が発達に及ぼす影響の解明を行う。そのためには研究の共同基盤となるコーパスの整備が不可欠である。「Longitudinal Corpus of L2 Spoken English (LOCSE)プロジェクト」において収集している縦断的英語スピーキング力データ(約120名×8回)をもとに、今年度は学習者コーパスの構築を推進させた。またコーパスの概要を示す特徴量算出(前半3回分)と、個々人の発話に関する数値的な情報(前半3回分)を算出した。個々人の情報に関しては、学習者ごとにフィードバックも行った。さらには、書き起こしの精度と速度を向上させるために、自動書き起こしツールを用いた作業の検討を繰り返し行った。そして、自動書き起こしツールの効果を検証するためのデータ収集を開始した。高校生の英語運用能力および学習意欲の変動に影響する要因を探るためのアンケートも実施し、内的・外的な学習者要因がスピーキング力の発達にどのような影響を及ぼしているかについて論文をまとめた。国内・国外において一件ずつの研究発表を行った。そのことで、次年度(2018年夏)に共同シンポジウムを二件行うことが決定した。また国外における人的ネットワークの構築を行うのみならず、海外の大学との共同研究の開始が決定した。
著者
吉野 純 村上 智一 小林 孝輔 安田 孝志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.316-320, 2007
被引用文献数
1

A new application of modifying initial three-dimensional typhoon meteorologica flields for a mesoscale atmospheric model is developed in this study to evaluate potential storm surge heights that are likely to occur under expected global warming. The initialization technique based on the potential vorticity invertibility principal can arbitrarily control the position and intensity of typhoon in the initial atmospheric conditions, consistent with the balance wind and hydrostatic equilibrium. Preliminary numerical experiments of storm surge scenarios in Ise Bay, using a coupled atmosphere-ocean-wave model, show that the subtle difference of typhoon track causes a large impact on the spatial distribution of storm surge level.
著者
小林 康宏 松井 正宏
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
JWE : 日本風工学研究会誌 : Journal of Wind Engineering (ISSN:09121935)
巻号頁・発行日
no.135, pp.105-106, 2013-04-30
参考文献数
3

本研究は日本に来襲する台風気圧場パラメータの統計的性質について調べる。&nbsp; 耐風設計の設計風速を決定するために台風モデルを用いたモンテカルロ・シミュレーションが行われることがある。この時に重要なことは、台風気圧場の再現性と、風速場モデルの精度であると言われている。台風気圧場の再現性を向上させるために、過去の台風の気圧場の性質を調べることは重要である。このような研究は、日本の台風に対して、藤井、光田らの一連の研究<sup>1)</sup><sup>~</sup><sup>3)</sup>があるが、その研究以降20年以上経過しており本研究では最新のデータもふまえ1951年~2010年のベストトラックおよび1961年~2010年の日本全国の気象台における大気圧の地上観測記録を用いて気圧場を表すパラメータを求め北西太平洋全域にわたる分布について調べた。<sup></sup>
著者
下野 洋 市川 智史 梅埜 国夫 小椋 郁夫 恩藤 知典 河原 富夫 小島 繁男 小林 道正 五島 政一 佐藤 俊一 猿田 祐嗣 下畑 五夫 浜中 正男 藤田 郁男 松田 義章 三宅 征夫 山下 浩之 山田 正昭 渡辺 享
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.315-316, 1995

理科の野外学習指導法の体系化を図るために、野外学習の有効性、必要性、児童・生徒の環境認識の実態、野外学習の目標、カリキュラム上の位置付け、野外学習の指導の型、観察対象の類型化、野外学習の指導法などについての検討を行った中間報告である。
著者
小林 麻里子 奥脇 義行 川井 英雄
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.211-216, 2006 (Released:2007-01-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

Staphylococcus属菌及びStreptococcus属菌はPETボトル入り清涼飲料水中でも長時間の生存が可能な場合がある。そこで,これらの中で口腔内に常在していることの多いS.aureusとS.pyogenesの一定濃度の菌液を調製し, 菌数の変動を検討した。(1) S.aureusとS.pyogenesを接種した実験において, スポーツ飲料と乳酸菌飲料ではS.aureusでは菌数の変化が見られなかったが, S.pyogenesは5時間後までに死滅した。(2) むぎ茶飲料ではS.aureusは増加し, S.pyogenesはわずかな減少を示した。(3) 紅茶飲料 (ミルクティ) は両菌種ともに増加した。(4) スポーツ飲料と乳酸菌飲料はpH3, むぎ茶飲料と紅茶飲料 (ミルクティ) はpH6程度であるため, 細菌の生存には成分も影響するが, pHの方がより強く影響することが示唆された。(5) むぎ茶飲料と紅茶飲料 (ミルクティ) との比較では, むぎ茶飲料はタンパク質, 脂質, 炭水化物を全く含まず, 原材料が麦の浸出液のみである。これに対し, 紅茶飲料 (ミルクティ) は乳成分 (牛乳, 脱脂粉乳など) や砂糖を含むため, 細菌の増殖に適した条件であると言える。(6) 黄色ブドウ球菌食中毒が発症するエンテロトキシン量は平均100~200ngとされる。これは, 食品中におけるS.aureusが106cfu/g以上と同レベルの増殖である。本研究の紅茶飲料 (ミルクティ) では, 接種24時間後でもっとも増殖した試料でも104cfu/mL程度である。このためエンテロトキシンが産生される条件に満たなかったと考えられた。
著者
木内 豪 神田 学 栗城 稔 小林 裕明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.381-386, 1994-02-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4
被引用文献数
2 7

Growing cities have been deteriorating heat environment due to artificial coverage of the ground and artificial heat effluence. The authors focused on the watering on paved roads as one of elective and immediate measures against the situation and observed the elect on the micro climate in a city area in the last summer. The results showed that the difference in temperature and humidity at two points with and without watering were maximum 1.5 degree and 8%, respectively. In addition, the estimated heat balance at the points showed that the considerable latent heat and the lateral heat transport contributed to lower the surface temperature of the road due to watering.
著者
小林 英司
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.107-108, 2012-07-10 (Released:2014-11-26)
参考文献数
3
著者
小林 優 吉高 淳夫 平川 正人
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.28(2001-FI-066), pp.135-142, 2002-03-15

本論文では、利用者の分類に対する意図をクラスタリング結果に反映させ、かつ、文書クラスタリングを効率よく行うために、適切なクラスタ代表を求める手法を提案する。本手法では、利用者の分類例示に基づいて形成されるクラスタの主題を表す特徴要素を多く含む文書をサンプルとして選出し、そのサンプルをクラスタに追加することで、クラスタ代表の算出を行う。ここで、追加されたサンプルによっては、適切なクラスタ代表を求めることができない場合があるため、サンプルの追加と除去、クラスタ代表の算出を繰り返し行うことによって、クラスタ代表を洗練する。