著者
村上 英樹 小林 祐記 大島 洋紀 小田野 直光 澤田 健一 大西 世紀 近内 亜紀子 奥田 博昭 村木 克行
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2006年春の年会
巻号頁・発行日
pp.56, 2006 (Released:2006-04-06)

珪藻土は、多孔体であると同時にSiO2を主成分とするため、耐熱性を持つ。また、溶液化したジルコニウムやハフニウムと親和性があり、フッ化水素酸を除く酸性溶液にも耐性があるため、これら元素及びホウ素など、放射線遮蔽効果を持つ元素の添加が容易である。本研究では、珪藻土の放射線遮蔽素材としての適性を評価した。
著者
MIRHADI Mohamad Javad 小林 喜男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.115-124, 1981
被引用文献数
3

5月1日から7月1日まで,15日おきにグレインソルガム(H-726)を名大農学部附属農場の圃場で栽培し,週2回定期的にかん水する区と無かん水区を設け,生育収量やたんぱく含量を調査した. 1. いずれの播種期でもかん水区で,草丈,葉数,穂長,1穂粒数,茎葉や穀実のたんぱく含量が無かん水区より優れていて, この植物が乾燥に強いと考えられているにもかかわらず,栽培にあたってかんがいの必要性が高いと考えられた. 2. 6月1日および15日播きではかん水, 無かん水両区とも他の播種期の区に比べ,生育収量やたんぱく含量が全体的に低下していた. この減少は生育初期に降雨が多く日照が少なく, これに伴う気温の一時的な低下によるものと思われる. 3. 全植物中で茎葉や穂の占める乾物量の比率をみると,5月1日播きでは穂が最も高いが,5月15日播きでは葉の変化はなく,穂が減少して茎が高くなり, 6月1日播でほ茎も葉も増加した. さらに晩い播種期では葉の増加が最も高くなっている. これらから早期の播種では同化生産物の穂への転流が良好であり,晩期になるにつれて茎葉に残り,穂への転流が粒数の少ないこともあって減じ,穀実収量が減ずるといえる. 4. 全体的にかん水の有無で比較すれば,生育収量やたんぱく含量はどの播種期でも同様の傾向を示した. 穀実の粗たんぱく,粗でんぷんの比率に有意な差ほないが, 6月1日播きでは収量が低いので粗たんぱくは高い値を示し,その反面粗でんぷんの割合が減じている. 5.作期の早晩で比較すると,早播きがかん水の有無にかかわらず高収をもたらした. グレインソルガムの高収量を得るには栄養生長期は低温で長期間,登熟は高温で短期間経過するのが望ましいものと考えられる.
著者
田宮 基裕 松井 薫 河原 邦光 楠 洋子 笹田 真滋 小林 政司 松浦 由佳 森下 直子 上原 暢子 鈴木 秀和 岡本 紀雄 平島 智徳
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.257-261, 2010
参考文献数
11
被引用文献数
1

背景.肺放線菌症は時に肺癌との鑑別が困難な場合があり,診断に苦慮する疾患である.症例.症例は65歳,男性.血痰を主訴に近医受診,胸部X線にて左上葉の腫瘤陰影を指摘され当院へ紹介.腫瘤陰影はFDG-PETでも強い集積を認め,肺癌が疑われた.気管支鏡検査を施行し,autofluorescence imaging(AFI)でマゼンダの色調を呈する慢性肉芽と思われる気道病変を左B^3bに認めた.同部位の擦過細胞診にて放線菌が検出され肺放線菌症と診断し,クラリスロマイシン,アンピシリンを投与し腫瘤陰影は縮小した.約4ヵ月後,再度気管支鏡検査を施行したところ,同部位の気道病変は消失し,AFIでも粘膜所見は正常であった.結論.AFIにて肺放線菌症の慢性肉芽を観察した報告はなく,治療効果判定に有用である可能性がある.
著者
大堀 洋平 小林 豊和 黒田 良
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.89, 2011

【はじめに】<BR> 疲労性骨膜炎・疲労骨折は,スポーツ選手によく起こる疾患である.理学療法評価において,疲労性骨膜炎・疲労骨折の病態を示唆する評価法は散見するばかりである.今回、骨に直接的にストレスを加える評価法を考案した.その評価法を用い,アプローチの結果,良好な結果が得られたので,ここに報告する.<BR>【症例紹介】<BR> 小学生(高学年),男性,野球選手(軟式・センター/ショート・右投げ左打ち).診断名は,右脛骨疲労性骨膜炎.レントゲンは,異常所見なし.現病歴は,当院受診約3週間前,走行時に右下腿内側に疼痛出現.疼痛軽減しないため,当院受診した.受診時の主訴は,歩行時痛であった.<BR>【理学療法評価】<BR> 圧痛は右脛骨近位内側にあり,歩行時に疼痛出現.立位アライメントは,右足位やや外転位,両膝顆間距離2横指,右骨盤やや前方回旋位,体幹やや右側屈位.脛骨ストレステスト(徒手で脛骨に外反・内反,前弯・後弯,外旋・内旋ストレスを加える)実施(以下,疼痛出現時,+と表記する).外反ストレス(++),前弯ストレス(+),外旋(遠位)ストレス(+).スクワッティングテストは,knee in時疼痛出現.歩行において,initial contactからmid stanceにかけて遅延し、骨盤・下腿外方移動不十分であった.<BR>【アプローチ】<BR> 当院初診時;右足部に内側縦アーチサポーター(ソルボ素材)装着.<BR> 約1週間後;サポーターに,後足部横アーチパッド1mm追加.<BR>【経過】<BR> 理学療法開始(当院初診)時,右足部への内側縦アーチサポーター装着にて,歩行時痛消失.練習は,走行・ノック禁止.約1週間後,走行時痛は10点法にて2点と軽減し,後足部横アーチパッド1mmを追加にて走行時痛消失.翌日には,制限なく練習参加.約3週間後来院し,圧痛・動作時痛消失を確認し,終了.<BR>【考察】<BR> 本症例は,動作時,脛骨近位内側に疼痛が出現していた.疲労性骨膜炎・疲労骨折は,疼痛部位にどのようなストレスが加わり生じたのかを把握することが重要と考える.どのようなストレス(方向・種類)かを示唆する評価として,脛骨へ直接的にストレスを加えた.その結果,脛骨外反・前弯・外旋(遠位部)ストレスにて,疼痛出現した.荷重位にて,スクワッティングテストを行い,knee inにて疼痛出現し,歩行時立脚期において,骨盤・下腿外方移動不十分であった.以上を解釈すると,本症例の疲労性骨膜炎は,立脚期における下腿の前内方への動きが脛骨近位内側への離開ストレスとなり,疼痛を発生させていたのではないかと考える.よって,右足内側縦アーチサポーターを装着することで,立脚期に下腿を後外方へ誘導し,離開ストレスを軽減させ,疼痛軽減に至ったと考える.<BR>【おわりに】<BR> 疲労性骨膜炎・疲労骨折の理学療法において,骨への直接的ストレステストは病態を示唆する有効な評価法であり,サポーターの適切な選択,運動療法の一助となると考える.今後,ストレステストと動作の関係を検討していきたいと考える.
著者
小林 実 伊藤 仁 森島 洋一 水谷 亮
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.54-59, 2009-03-01
被引用文献数
1

これまでの高層ビル解体は上階から下階に向けて解体していたが,今回開発した工法は,1階の柱直下にジャッキを設置し,1階部分の柱を切断してはジャッキダウンを繰り返してビルを下階から解体するものである。解体作業中の建物の耐震安全性を確保するため,新たに建物内部に鉄筋コンクリート造の壁「コアウォール」と鉄骨製の「荷重伝達フレーム」を設置する。本工法を鹿島旧本社ビル解体工事に適用した結果,騒音・粉塵の飛散低減,近隣が抱く不安感の解消,高所作業がなくなったことによる落下の危険性解消など従来の解体工事の課題を大幅に改善できることを確認した。工期短縮も見込め,解体材の分別・リサイクル率も向上し,環境に配慮した解体工法である。
著者
小林 裕志
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.439-441,a1, 2000-05-01 (Released:2011-08-11)

農業工学系分野のグローバル化に呼応し, 全国の大学で再編整備がすすんでいる。「生命科学の府」を標榜する北里大学において農業工学系分野の教育研究組織の設置はどのような意義があるのか。この命題をグローバル化の潮流とあわせながら検討して1999年に発足した「生物生産環境学科」の建学方針などについて論述する
著者
安川 直史 小林 重雄
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.123-132, 2004-07-30
被引用文献数
1

本研究では、情緒障害通級指導学級において、小学校6年生の自閉性障害児に個別教育計画による余暇指導を行った。そのなかで、小学校段階における余暇指導のあり方について検討した。5年生までの段階で獲得した移動スキル(片道10分程度の目的地までの移動)、自己管理スキル(3時間程度のタイムマネージメント)、電話スキル(公衆電話を用いた定時連絡)を一人で余暇をすごすための基礎条件とした。これらのスキルが今回獲得した公共プール利用スキル、バス乗車スキルと連鎖することで「一人で水泳に行く」ことが可能となった。小学校段階での余暇指導としては、応用行動分析による学習方法の定着、生活に機能するための基礎条件の確立、中学校進学後や将来のライフスタイルを想定した目標設定が必要であることが示された。さらに余暇スキルの獲得を優先課題として位置づけ、基礎条件スキルとの関連性を明確にし、日常生活への般化までを見通した個別教育計画の必要性について論じた。
著者
小林 浩明 安部 祥子
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.16, pp.119-129, 2018-03

大学生活において英語サークル活動を積極的に行う大学生は、自主学習を行う「優れた言語学習者」と見られることが多い。しかし、サークル活動からの引退と同時に、英語学習もやめてしまう姿を見れば、彼らを「優れた学習者」と見ることに疑問が生じるであろう。本稿では、英語サークル活動を積極的に行っていた大学生の経験に耳を傾けながら、学習者オートノミーの観点から分析を行ったものである。その結果、サークル活動には長年の経験から培われた学習計画が存在し、それが固定化されることでメンバー一人ひとりが自身の英語学習を考えなくなり、学習者オートノミーが育てられていなかったことがわかった。そのため、サークルからの引退が英語学習をやめることに連動していた。
著者
関根 敏和 小林 邦勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.372, pp.85-90, 2003-10-14
参考文献数
8

基板上およびチップ内の配線における波形伝送は,シグナルインテグリティの重要な問題であり,配線上の信号の動作を高精度高速に求める方法が必要になってきている.本文では,配線を不均一線路でモデル化して周波数特性を求め,その後に時間特性を求める方法として,多項式補間を用いる有限差分周波数領域法(FDFD-DQ法)を述べる.本方法の特長は,多項式補間を用いて大域的近似を可能とするとともに,電圧と電流の補間点を線路上に交互に配置することにより,その数が少なくて済むようにしているところにある.
著者
草野 正一 小林 剛 松林 隆 石井 公道 柴田 久雄 木戸 義行 大宮 東生 中 英男 佐々木 憲一 奥平 雅彦
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.299-312, 1978
被引用文献数
1

Computed Tomographyが肝疾患の新たな放射線学的検査法として登場し,その臨床応用の成果が注目されている.北里大学病院でも昭和51年9月から全身用CTの臨床応用を開始した.そこで,肝のCT診断を進める上で不可欠な肝横断正常解剖についてX線解剖学的検討を試み,肝門に連続する左矢状裂,右前裂および右後裂の特徴的構造が,肝腫瘤性病変の区域診断の指標として役立つ事を確認した.この事は,実際の肝切除例でも確認でき,新たな検査法として登場したCTが果した画期的成果と言える.次にCTによる肝悪性腫瘍診断の有用性について検討した結果,我々の使用装置,ACTA 0100,は,肝癌のスクリーニング検査法としては,RI肝スキャンより劣っていた.この原因は,装置の解像力が低かった事も原因の1つであるが,肝細胞癌の診断が困難であったためであった.この肝細胞癌の中で,形態学的に描出可能と考えられるものが,造影スキャンでも描出できなかった理由として,肝が血行動態的に肝動脈と門脈の2重支配を受け,かつ,肝細胞癌が肝動脈のみによって栄養されるhypervascular tumorである事に基因する事を推論した.
著者
冨田 雅典 小林 純也 野村 崇治 松本 義久 内海 博司
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第54回大会
巻号頁・発行日
pp.43, 2011 (Released:2011-12-20)

線量率効果は、線量率が低くなると、総線量は同じでも、生物効果が低くなる現象であり、長い照射時間の間に亜致死損傷の回復が起こるためであると古くから考えられている。しかしながら、低線量率放射線照射下におけるDNA2重鎖切断(DSB)修復の分子機構は、いまだに十分解明されていない。高等真核生物では、DSBは非相同末端結合(NHEJ)と相同組換え(HR)により修復される。我々は、さまざまなDSB修復遺伝子欠損細胞を用いて、線量率効果におけるDSB修復機構の役割について検討を進めている。NHEJに関与するKU70、HRに関与するRAD54、およびKU70とRAD54をともに欠損したニワトリDT40細胞を用い、γ線連続照射に対する影響を解析した結果、低線量率域でもっとも高い感受性を示した細胞はKU70-/-細胞であった。この要因を広い線量率範囲で解析するために、京都大学放射線生物研究センターの低線量長期放射線照射装置を用いて重点領域研究を開始した。これまでの研究から、0.1 Gy/hのγ線照射下において、RAD54-/-、RAD54-/-KU70-/-細胞と比較して、KU70-/-細胞ではより顕著なG2 arrestが起こり、その後アポトーシスが生じることを明らかにした。今後、線量率を下げて変化を解析する予定である。 また、NHEJに関与するDNA-PKcsを欠損したヒト脳腫瘍細胞を用い、低線量率照射後の細胞生存率を解析した結果、照射開始後ある一定レベルまで低下した後は、照射を継続してもそれ以上変化しないことが明らかになった。この結果は、低線量率放射線の生体影響を考える場合、細胞のターンオーバーが重要な要因となることを示している。 低線量率放射線の組織への影響を考える場合、幹細胞への傷害の蓄積性が問題となる。特にdormantな幹細胞では、NHEJが重要な役割を担うと考えられ、NHEJを欠損したマウスの造血系幹細胞が加齢に伴い枯渇することも報告されている (Nijnik et al. 2007、他)。細胞での結果をもとに、低線量率放射線の生体組織影響におけるDNA修復機構の重要性について議論したい。
著者
小林 武夫 石毛 美代子 一ノ瀬 篤司
出版者
THE JAPAN LARYNGOLOGICAL ASSOCIATION
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.12-14, 2013-06-01 (Released:2013-09-27)
参考文献数
9

Spasmodic dysphonia (SD) is a focal dystonia that affects the larynx. Abductor SD (ABSD) is less common than adductor SD (ADSD). ABSD is typified by breathy breaks in connected speech.A male professional classic baritone singer, age 46, presented with gradually increasing breathy unphonated breaks in singing over the course of three years. He visited various institutions and was said to have incomplete elevation of the soft palate of unknown origin, myasthenia gravis, etc. His symptoms were remarkable in pronouncing vowels following unphonated consonants. He had been exposed to neither vocal abuse nor heavy singing performances. Our diagnosis was ABSD. An injection of Botulinum toxin (BT) into the posterior cricoarytenoid muscles was done via lateral cervical approach. His voice improved remarkably. His daily conversation became smooth; however, he could not regain his previous brilliant singing voice. He was obliged to discontinue his professional singing performances.