著者
新岡 祥平 香取 拓 坂田 洋一 林 隆久 井内 聖 小林 正智 太治 輝昭
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第52回日本植物生理学会年会要旨集
巻号頁・発行日
pp.0438, 2011 (Released:2011-12-02)

セシウム(Cs)はカリウム(K)と化学的に類似しており、同様の経路を通り植物体に吸収され、微量で植物体に毒性を示す事が知られている。モデル植物Arabidopsis thalianaは世界中で1000種以上のaccessions(エコタイプ)が存在する。accessions間では百塩基に一塩基しか違いがないにも関わらず、形態形成やストレス耐性等に大きなバリエーションがあることが知られている。そこで本研究では、354種のaccessionsを用いてCs耐性評価を行った。その結果、実験系統Col-0と比較して顕著な耐性を示すCs耐性系統と、逆に高感受性を示すCs高感受性系統を見出した。Csストレス下における地上部のCs蓄積量を測定した結果、Cs耐性系統のCvi-0がCsを低蓄積している事が明らかとなった。
著者
高橋 志郎 新家 光雄 福井 壽男 小林 俊郎 長谷川 二郎
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.577-584, 1996-11-25
被引用文献数
12

種々の熱処理を施した歯科用金銀パラジウム銅合金につき, 引張試験および動的破壊靱性試験を行い, 引張および衝撃破壊特性に及ぼす熱処理条件の影響について検討した.引張強さおよび0.2%耐力は, 溶体化まま材および溶体化時効材とも, ほぼ溶体化温度の上昇に伴い増加する傾向にある.溶体化時効材では, いずれの溶体化温度でも時効温度の上昇に伴い, 引張強さおよび0.2%耐力が増加する傾向にある.一方, 伸びは, 溶体化まま材では, 強度特性値とは逆に, 溶体化温度が高いほど低下する傾向にある.動的破壊靱性値は, 一部の例外を除き, 強度特性値の場合と同様に, 溶体化温度の上昇とともに増加する傾向にある.これは, 本合金の動的破壊靱性値に対して, 延性の低下に比べ, 強度の増加がより大きく寄与したためであると考えられる.動的破壊靱性値は, 溶体化まま材の方が溶体化時効材に比べ大きい.強度, 靱性, 延性バランスを考慮すると, 溶体化温度1073Kの熱処理条件がより適切である.特に, 溶体化まま材で, 溶体化後空冷の熱処理は, 冷却工程が簡便で, 時効工程を省略でき, より有利な熱処理条件といえる.
著者
櫻井 純 小林 敬子 永浜 政博 藤井 儀夫
出版者
徳島文理大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

ウエルシュ菌α毒素は、致死、壊死、溶血活性、さらには、血管、腸管の収縮活性など多彩な生物活性を有する特異な毒素である。一方、本毒素は、本菌によるガス壊疸の主要毒素であるので、この感染症に対する毒素の役割を明らかにするため、主に、細胞膜に対する作用に焦点を絞り検討した。α毒素をウサギ赤血球に作用させると、毒素量に従って破壊される赤血球数が増加し、さらに、血球膜中におけるホスファチジン酸合成の促進することが判明した。このホスファチジン酸合成の促進は、赤血球膜ゴ-スト本毒素を作用させた場合も認められた。これらの結果から、本毒素による溶血作用発現にはホスファチジン酸合成が密接に関係していると推察される。次に、GTP、NAD存在下赤血球膜ゴ-ストに本毒素を作用させると、ホスファチジン酸合成は、著しく促進されることが判明した。但し、intact赤血球における本毒のホスファチジン酸合成の促進作用に対して、GTP、NADの添加効果は認められなかった。これらの結果から、本毒素による赤血球膜のリン脂質合成促進は、内因性のGTP、NADが重要な因子であると推察される。これらの結果を確かめるため、血小板に対する本毒素の影響を検討した。ウサギ血小板は、毒素の用量に従って凝集し、しかも、血球の場合と同様に細胞膜中のホスファチジン酸量も増加することが判明した。また、赤血球の場合も、血小板の場合も、本毒素による他のリン脂質、そして、アラキドン酸の合成促進は認められなかった。一方、脂肪細胞に毒素を作用させると、毒素量に従ってアラキドン酸合成が促進されることが明らかとなった。以上から、本毒素が生体膜に作用すると、リン脂質代謝が活性化され、その影響によっておのおのの細胞が有する特有の代謝系も活性化されると推察される。その結果、細胞膜が破壊されたり、細胞凝集が引き起こされると思われる。
著者
渡部 匡隆 上松 武 小林 重雄
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.27-35, 1993-11-30
被引用文献数
4

養護学校高等部と中学校特殊学級に在籍する2名の自閉症生徒に、バス乗車スキルの指導を行った。まず、現実場面のバス乗車スキルの課題分析を行った。そして、現実場面をシミュレートした場面を訓練室に構成し、バス乗車に必要な基本的な行動連鎖の形成を行った。現実場面では、訓練室場面での指導の効果を評価するとともに、バス乗車に必要な訓練を行った。2名の生徒はいずれも、(1)訓練室での基本的な行動連鎖の形成、(2)現実場面での直後プロンプト手続きによる訓練、(3)訓練室で目的の停留所をボタンを押して知らせるための自己記録手続きの訓練、並びに現実場面での自己記録の継続的使用によって、単独のバス乗車が可能になった。これらの結果から、訓練室場面と現実場面での指導を組み合わせて訓練することが効果的であるとともに、標的行動が適切な場面で生起するために自己記録法を用いることの有効性が示唆された。
著者
黒田 展之 小林 裕一郎
出版者
関西学院大学
雑誌
法と政治 (ISSN:02880709)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.327-337, 1998-09-30
著者
小林 幹夫
出版者
宇都宮大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1 マダケ属モウハイチクPhyllostachys meyeriの花成促進遺伝子ホモログPmFTの全4コピーをクローニングし、塩基配列を決定し、95%以上の相同性を有する550塩基の断片をマーカーとしたイネ科27分類群の系統類縁関係を解析し、進化傾向を検討した結果、この遺伝子が小穂耕造に関わり、連の分類単位の識別に有効であること、これまで帰属をめぐり論争のあったStreptogyna連の亜科への昇格の可能性を示唆した。この結果は8月にコペンハーゲン大学で開催されたMonocots IV第4回単子葉植物の比較生物学/第5回イネ科植物の分類と進化国際シンポジウムにおいて口頭発表し、日本植物学会欧文誌に表紙写真付きで掲載された。2 モウハイチクおよびオカメザサ属トウオカメザサShibataea chinensisのそれぞれの一斉開花過程におけるPmFTおよび花成抑制遺伝子PmCENの発現パターンをリアルタイムRT-PCR法で解析し、両種ともにPmFTは一斉開花桿の葉で最も高く、再生竹の花序ではPmCENがより高く、実生や幼若個体ではPmCENのみが高く発現し、タケ類の一斉開花過程において、モデル植物で解明されたのと同様な花成遺伝子発現の制御機構の介在を示唆した。また、トウオカメザサの一斉開花過程と花序の形態を記載した。3 リョクチクBambusa oldhamiより単離したタケモザイクウイルスBaMVの全6,365塩基の配列を決定し、ベクター化に必要な完全長cDNAクローンを構築中である。4 花成遺伝子群の未開花個体への導入による発現系とサイレンシング系の基礎実験に必要なタケ類の葉からのプロトプラストの調整法ヲ確立した。
著者
佐伯 修 佐久間 一浩 大本 亨 岩瀬 則夫 小林 真人 山本 稔 安藤 良文 高山 晴子 高瀬 将道 山本 卓宏 高田 敏恵 奥間 智弘
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

多様体間の可微分写像に現れる特異点を大域的観点から研究し,その特異点と多様体の微分位相幾何学的性質について種々の新しい知見を得た.たとえば,多くの位相的4次元多様体の上には無数の可微分構造があることが知られているが,そのうちで特異点が簡単な写像を許容する可微分構造は一意的であることが示された.またそうした大域的研究が特異点の局所的研究に役立つ例も発見した.こうして,写像の特異点や特異ファイバーと,多様体や写像の同境類の間の深い関係を明らかにし,多くの具体的成果を得た.
著者
葛谷 孝文 小林 孝彰 羽根田 正隆 岩崎 研太 田中 友加
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

臓器移植後に使用される各種免疫抑制剤の薬剤暴露時間によるリンパ球の増殖抑制効果について健常人の末梢血リンパ球を用いたin vitroの系で検討した。始めに、添加した免疫抑制剤の洗浄方法について検討を行い、分析機器(シクロスポリン:CLIA法、ミコフェノール酸HPLC)の検出限界以下まで洗浄できていることを確認後以下の実験を行った。CFSE染色した末梢血リンパ球に免疫抑制剤(シクロスポリン、ミコフェノール酸)添加後、anti-CD3/28 microbeadsで刺激し3日間培養した。培養期間中、刺激1日または2日後に薬剤洗浄を行った。3日間培養後各々の群におけるTリンパ球をCD3で染色し、細胞増殖抑制効果をフローサイトメトリーにより観察し、薬剤間における特徴を比較検討した。その結果シクロスポリンは3日の薬剤暴露に比し1日の暴露後の薬剤除去で同程度のリンパ球増殖抑制効果が観察された(3日の暴露で47±15%の抑制、1日の曝露で37±13%の抑制)。一方、ミコフェノール酸では1日の暴露後の洗浄ではリンパ球増殖は十分抑制されず、暴露時間によるリンパ球の増殖抑制効果に関してシクロスポリンとは異なる傾向を示した(3日の暴露で83±10%の抑制、2日の暴露で73±6%の抑制、1日の暴露で29±11%の抑制)。これらの結果からミコフェニール酸モフェチルは時間に依存した免疫抑制効果を発揮し、シクロスポリンに関しては一度リンパ球の増殖を抑制することにより継続的な効果が期待できることが示唆された。このことはT細胞受容体の刺激後速やかなカルシニューリンの活性を阻害することが重要であり、初期段階の阻害によりその後の細胞増殖はある程度の期間抑制できることが示唆された。
著者
廣澤 春任 平林 久 小林 秀行 村田 泰宏 紀伊 恒男 Philip Edwards Ed Fomalont 山本 善一 藤沢 健太 岡保 利佳子 輪島 清昭 井上 允 川口 則幸 柴田 克典 亀野 誠二 朝木 義晴 西堀 俊幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.554, pp.9-16, 1998-02-20
被引用文献数
3

宇宙科学研究所は、科学衛星「はるか」を、1997年2月12日、同研究所のM-V型ロケット初号機により打ち上げた。「はるか」は世界最初の電波天文衛星として、スペースVLBIの実験ならびに観測に取り組んできている。打ち上げ3ヶ月後の5月半ばには、地上電波望遠鏡との間で、初のフリンジ(干渉縞)を検出した。打ち上げ4ヶ月後には、スペースVLBIによる、クエーサーの初のイメージングを行った。ここでは、「はるか」によるスペースVLBI実験について、初のイメージングに至るまでの主な経過と成果を述べる。
著者
古橋 良一 小林 正彦 金子 美博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.453, pp.153-157, 2009-02-23

卒業論文や修士論文など,審査員を伴う論文発表を幾つかの会場で並行して行う場合,同一の審査員が担当する発表が重ならないようにする,同一の研究室は連続して発表する,審査員の会場移動は最小限にするなど,様々な条件のもとで発表プログラムを作らなければならない.我々はこれまでこのようなプログラムを自動作成するためのソフトウェア「江戸っ子」を開発してきた.江戸っ子のアルゴリズムは,各会場での発表件数を均等にすることから始めて,それらの条件を満たすように設計されている.しかし,そのような均等性や連続性を同時に満たさないような事例に今回遭遇した.この事例に対処するためには,これまでのアルゴリズムを改良して,「江戸っ子」をバージョンアップする必要がある.本稿ではこれについて報告する.
著者
平野 吉直 小林 祥之 大日方 彩香
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、 中1ギャップ対策としての野外教育活動の成果を明らかにすることである。本研究では、野外教育プログラムを企画し、3中学校を対象にプログラムを実施した。また、中1ギャップを乗り越える力を測定する調査用紙を作成し、プログラムの実施前後の調査をとおしてプログラムの成果を分析した。さらに、プログラム直後に実施した生徒へのふりかえりシートの内容と、研究対象校の引率教諭へのインタビュー調査を通して、プログラムの成果を分析した。