著者
小林 久泰
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.jjom.H15-43, 2004 (Released:2020-10-01)
参考文献数
12

Taxonomy and mycorrhizal status of Japanese entlomatoid fungi associated with rosaceous and ulmaceous plants were studied. Entoloma saepium and E. clypeatum f. hybridum were newly recorded from Japan. Entolomatoid fungi were not ectomycorrhizal. Transmission electron microscopy of the mycorrhizas suggested destructive infection of the fungal hyphae to the root cells and their collapse near the tip of the stele.
著者
中原 一郎 森竹 浩三 半田 肇 小林 修一 長安 慎二 奥野 武彦 中野 善久
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.14-20, 1986-01-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
19
被引用文献数
1

ビタミンK欠乏性頭蓋内出血6例の臨床分析を行った結果, 適切な治療を行ったにもかかわらず, その臨床神経学的予後は不良であった. 微小脳血管構築の特殊性, 脳血液関門の未熟性など, 本症発症時期における小児脳の発達上の特殊性が, 本症の不良な予後ならびにその特徴的なCT所見に密接に関連するものと推定される. 以上の観点から, リスク児の早期のスクリーニング, ビタミンK製剤の予防的投与など, 本症の発症予防の重要性を改めて強調した.
著者
山本 昌幸 棚田 教生 元谷 剛 小林 靖尚 片山 知史
出版者
一般社団法人 水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:09161562)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.178-186, 2020-08-25 (Released:2022-03-17)
参考文献数
25
被引用文献数
1

瀬戸内海東部のアイゴの資源生態を明らかにするため,2013年4–12月に岡山県,香川県,徳島県で漁獲された本種の年齢・成長と産卵期について調べた.標準体長は117–310 mmであった.生殖腺重量指数(GSI)は雌が0.04–40.36,雄が0.01–30.16となった.組織切片観察から,雌雄それぞれGSIが3.57と4.79以上の個体が成熟し,7月下旬に退行期の雌が観察された.GSIが3.57以上の雌と4.79以上の雄は,それぞれ6–8月と6–7月に出現した.さらに雌雄ともにGSIは6月中旬から7月に高くなった.耳石のチェックマークは6–8月に年1回形成された.最高年齢は雄と雌でそれぞれ4歳と8歳であった.雌雄の有意な成長差は認められなかった.成長式は,SLt=255 (1−e−0.56(t+0.95)), (SL:標準体長mm, t:年齢)となった.
著者
水越 興治 及川 みどり 伊藤 夕子 小林 和法 今村 仁 松本 克夫
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.262-268, 2007-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
6
被引用文献数
5 2

本研究では10代から50代の, 248名の日本人女性の顔面を対象とし, 目立つ毛穴の実態調査を行った。その結果, 20代から30代で目立つ毛穴には角栓が存在し, 角栓の組成を分析した結果, タンパク質成分が約7割を占めることが判明した。一方40代以降では角栓が存在せずに開大した状態の目立つ毛穴が存在することが明らかとなった。また毛穴の開口部面積は10代から20代と, 30代から40代で各々急増するという, 2段階の変化を示す一方, 皮脂量との関連性は年齢とともに低下した。これらの結果から, 若年層では毛穴は角栓が詰まることによって目立ち, 年齢とともに毛穴の中に角栓が存在しなくなっても目立つ構造に変わっていくことが推察された。この調査結果から目立つ毛穴に対するケア方法は画一的ではなく, その性状, 年齢に応じて異なるべきであることが示唆された。
著者
中村 節子 森田 佐加枝 井上 浩一 広田 保蔵 小林 瑛児 磯山 恵一 山田 耕一郎 石川 昭
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.481-488, 1992-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
28

未熟児貧血の存在はよく知られているがその成因は充分に解明されたとは言い難い.赤血球系造血因子であるエリスロポエチン (Epo) がいかに未熟児貧血に関与しているかを知る目的で早期新生児の血清Epo濃度の測定を行った.被検対象は成熟児42例 (出生体重2, 558~3, 9469, 在胎日数245~295日) , 未熟児28例 (出生体重1, 450~2, 4509, 在胎日数224~266日) であり, 検体採取は日齢5に行った.また, 貧血発症を早期新生児期のEpo濃度より予測し得るか否かを知る目的で, 日齢6以内の未熟児38例について生後12週までに貧血 (Hb<10g/dlとする) を発症した群17例と非発症群21例に分けてEpo濃度を測定し, 検討した.臨床的に明らかな異常の認められるものは対象から除外した.Epo測定はラジオイムノアッセイにより行い, Epoと同時にヘモグロビン (Hb) , ヘマトクリット (Ht) も測定した.日齢5の成熟児群のHb値は17.02±1.739/dl, Ht値は52.41±5.33%であり, 未熟児群のHb値は15.96±2.359/dl, Ht値は48.80±6.99%であった.Hb値, Ht値いずれも未熟児で有意に (P<0.05) 低値を呈した.これに対して, 日齢5のEpo値は成熟児群で9.83±3.14mU/ml, 未熟児群で10.02±3.48mU/mlでありいずれも健康成人の正常値下限に分布したものの, 両群問において有意差は認められなかった.すなわち, 未熟児群では成熟児群に比し, Hb, Htが低値にもかかわらず, Epo値は高値を示さなかった.また, 日齢6以内の未熟児で貧血発症群のEpo値は11.37±4.92mU/ml, 非発症群は9.17±3.10mU/mlであり, 貧血発症群でやや高値を示したが, 統計学的有意差は認められなかった.したがって, 早期新生児期のEpo値から将来の貧血発症を予測することは, 今回の結果からは困難であった.未熟児のHbとEpo濃度の関係についても検討したが, 相関は認められなかった.未熟児における赤血球系計測値は出生体重や在胎期間の影響をうけ, 一般に成熟児より低値を示す.Epoについてこれらの影響を検討したが出生体重, 在胎期間いずれとも相関を示さなかった.
著者
小林 信彦 Nobuhiko Kobayashi
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY BULLETIN OF THE RESEARCH INSTITUTE (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.247-267, 2003-03-20

As the legislation sytem was established in ancient Japan, the harahe (祓) ceased to function as punishment. It developped into the o-harahe (大祓) to remove deceases and calamities as well as sins. When the Japanese added new items to the list of tumi (罪) in the norito (祝詞), they borrowed words for deceases and calamities from the Yakusikyo (藥師經): Thus they introduced into the list sirahito (lepra alba), kokumi (tumor-induced rickets), and calamities of hahumusi (creeping reptiles and worms) and of takatu-tori (birds on high).
著者
小林 享
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.511-516, 1996-08-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

本研究は、景観研究の分野にあっては未開拓の領域であった「飲食」の問題を、新たに景観的視点から解釈したものである。特に本論では次の点に重きを置き研究の概念的枠組みを示した。(1) 飲食と景観との関係を、歴史的に一定の評価が定まっている事象を手がかりに、時系列的な側面・飲食行為と景観体験とが関連するケースとその形態・飲食行為に際しての、空間に対する人の働きかけ、などの観点から整理し、飲食行為に際して働く空間や景観に関連する幾つかの原理をまとめる。(2) 飲食内容について、それが持つ記号性を、名物と場所の関わり・料理の中味と組立および名称・味覚印象および味覚表現と言葉、などの観点から整理し、景観的影響をまとめる。
著者
剣持 龍介 小林 知世 山岸 敬 佐藤 卓也 今村 徹
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.236-244, 2013-06-30 (Released:2014-07-02)
参考文献数
20
被引用文献数
3 1

【目的】 Rey-Osterrieth Complex Figure Test (ROCF) の模写課題における認知症患者の遂行機能障害を評価する簡易な尺度を作成し, 妥当性を検討する。【対象】 新潟リハビリテーション病院神経内科を初診し, 数唱, MMSE, Alzheimer's Disease Assessment Scale(ADAS), Frontal Assessment Battery (FAB)および ROCF の模写課題を施行した認知症患者で MMSE 得点が15 点以上かつ25 点以下の97 症例。【方法】 評価項目は, 計画的で効率的な模写遂行のために適切な順序で模写されているか否か(模写時方略)を評価する 2 項目と, 体系的な模写遂行のために重要な ROCF の部位がまとまった形態として抽出されひと続きで模写されているか否か(骨格要素の抽出)を評価する 5 項目の計7 項目とした。評価項目ごとに得点あり/なしを従属変数とし, MMSE 得点および教育年数を共変量, 年齢, ADAS 下位項目のうちの単語再生, 構成, 観念行為, 見当識, 単語再認の減点, FAB 得点いずれかを独立変数とする logistic 回帰分析を施行した。【結果】 教育年数と認知機能の全体重症度の影響を除外した logistic 重回帰分析において, 評価項目のうちの(1)模写時方略のa)大きな長方形の描き方, b)大きな長方形内部の描き方, (2)骨格要素の抽出のa)大きな長方形, b)大きな長方形内の2 つの対角線, d)大きな長方形内の水平な中央線の 5 項目でFAB 得点との間に有意な関係また有意ではないものの関係する傾向が認められた。これら5 項目の合計得点を従属変数とし, 教育年数と認知機能の全体重症度の影響を除外した重回帰分析においても, FAB 得点に有意な偏回帰係数が得られた。【結論】 本研究では, 評価項目の多くと遂行機能障害との関係が確認され, 尺度として一定の妥当性が示唆された。これらの評価項目を用いた尺度は, 認知症患者の ROCF 模写課題における遂行機能障害を評価する簡便な評価方法であり, 物忘れ外来などの日常的な臨床場面での使用に一定の有用性を有すると考えられた。
著者
渡邉 誠衛 大野 剛 小林 忠彦 佐渡 高智
出版者
秋田県総合食品研究センター
巻号頁・発行日
no.18, pp.9-16, 2016 (Released:2017-04-28)

我々は、清酒の品質保持と様々な要因との関係を検討している。本報では、ビン内の気相と熟成との関連を検討した結果、清酒への二酸化炭素置換または窒素置換が、貯蔵中のオフフレーバーの発生抑制効果があることが分かった。また、ビンの色と熟成との関連を検討した結果、遮光環境下においても水色のビンにオフフレーバー(硫化物臭、脂肪酸臭等)が強く発生し、銅と高い正の相関があり、添加試験でも再現性が確認できた。
著者
小林 享夫 佐藤 賢一
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.138-148, 1976-04-25

本病菌 Cercospora spiraeicola Muller et Chupp は南米グアテマラでシジミバナ (Spiraea prunifolia) 上に記載されたもので, わが国ではテマリシモツケ (Physocarpus amurensis) およびケアメリカシモツケ (P. opulifolius) の葉を侵して著しい褐斑と早期落葉をおこす。人工接種ではシモツケ科の Spiraea 属, Stephanandra 属, Sorbaria 属などには発病しない。日本産の菌は Physocarpus 属にのみ病原性を有し Stiraea 属に陰性である点で若干の疑義は残るが, シジミバナの苗木かえられないこと, シモツケ科の植物上には本種以外に形態的に一致する種がないことから, やはり Cercospora spiraeicola に包括されるものと結論した。本病菌の分生胞子は病落葉上で脱落することなしに高い発芽率を保持したまま越冬し, これが翌春5〜6月に第一次伝染源となる。冬芽における潜伏越冬の可能性はほぼ否定された。感染から発病までの潜伏期間は春の低温期で約2か月, 夏〜初秋の高温期で約1か月である。本病菌の分生胞子は25〜30Cを発芽適温とし空気湿度98%以上で良好な発芽を示し, 92〜94%でも低率ながら発芽する。培地上では分生胞子の形成は認められず, ジャガイモ, 麦芽, 斉藤氏しょう油および Waksman 氏寒天培地上で良好な発育をする。菌そうは10〜35Cの間で生育し25〜30Cを適温とする。水素イオン濃度は, 極端な酸性側を除いては, 分生胞子の発芽および菌そうの発育にほとんど影響しない。
著者
小林 信一
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.131-154, 2009-05-23 (Released:2019-05-13)
参考文献数
12
被引用文献数
1

1990年代以降の研究活動の改革を含む大学改革は,3つの理念により先導されてきた.第1は1990年代前半からの「基礎研究シフト」や博士後期課程の拡大などによる拡大モデルである.これは,90年代半ばから徐々に,イノベーション・モデルとも呼ぶべき,科学技術と社会経済的価値との関連性を重視した改革モデルと,ニューパブリック・マネジメント・モデルとも呼ぶべき改革モデルに置き換えられていく.改革は,90年代には大学の研究活動を拡大する方向に働いたが,2000年代には改革の成果があがっているとは言いがたい.むしろ,大学間格差の拡大,ポスドクの増加などが顕在化し,「選択と集中」の方向性は妥当なのか,システムに矛盾はないのか,制度的な対応に偏りすぎていないか,などの問題に直面している.
著者
大類 伸浩 藤田 真敬 菊川 あずさ 蔵本 浩一郎 小林 朝夫 溝端 裕亮 立花 正一 高田 邦夫 山田 憲彦 別宮 愼也
出版者
航空医学実験隊
雑誌
航空医学実験隊報告 (ISSN:00232858)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.43-66, 2016 (Released:2020-04-11)
参考文献数
127

Gravity-induced loss of consciousness (G-LOC) is a major threat to fighter pilots and may result in fatal accidents. High +Gz (head-to-foot direction) acceleration force induces cerebral blood loss and results in gray-out, black out, and G-LOC. Countermeasures to avoid G-LOC include anti-G strain maneuver, anti-G suits, and pressure breathing for G, etc. They effectively decrease G-LOC incident, but have not eradicated it. Objective detection of G-LOC related symptoms is the prerequisite. In spite of many G-protective measures, G-LOC monitoring system has yet to be developed. Technologies for non-contact monitoring or motion capture have ventured into health care market. Real time physiological sensing for heart rate, body temperature, respiratory rate, etc, is used to medical, health care, physical fitness and sports area. Those advanced technologies might have potential for future G-LOC monitoring. This article reviews current status and future of countermeasures for G-LOC, and related technologies.
著者
小林 麻里子 奥脇 義行 川井 英雄
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.105-110, 2006 (Released:2006-11-14)
参考文献数
8
被引用文献数
1 5

1996年より国産小容量PET飲料の販売が解除された。2003年における清涼飲料水生産量1,800万kLのうちPET飲料は56%のシェアを占め,その内の36.4%を500mLが占めている。500mL PET飲料が短期間でこれほど普及したのは,小容量PET飲料は,缶と違って再栓ができるという利点から,飲みかけの状態で長時間持ち歩くことが何らかの問題を生じないか,ということを細菌学的観点から検討する研究を行った。(1) PET飲料からの直接飲用により,口腔内に常在する様々な細菌が混入したが,時間経過とともに減少した。(2) 特に,抗菌性をもつと言われている緑茶飲料,ウーロン茶飲料では減少が急速であり,8時間保存後に生菌は認めなかった。(3) 糖類を含む果汁飲料,アミノ酸を含むスポーツ飲料,デンプンを含むむぎ茶飲料では減少が緩慢であり,8時間保存後でも生菌が多く認められた。(4) 通常は複数回の開栓・飲用があり,その都度細菌の暴露を受けるので,生残は多くなるものと考えられる。従って,特にむぎ茶飲料を飲みかけの状態で長時間持ち歩き飲用することにおいては注意が必要である。(5) Staphylococcus属菌は生菌数の減少が急速なウーロン茶飲料や緑茶飲料でも生残しており,減少が緩慢なむぎ茶飲料などではStreptococcus属菌も検出された。