著者
山中 龍彦 乗松 孝好
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究はレーザー核融合炉用燃料ペレットインジェクション装置を開発する上で必要な基礎技術、即ち、ペレットの正確な加速と加速されたペレットの速度、方向を正確にに評価するトレース技術の開発を目的としたものである。将来のレーザー核融合炉では直径6mm、壁厚200μm程度のプラスチック中空球に燃料である重水素、三重水素混合ガスを均一な厚さになるように容器の内面に固化したターゲットを数Hzの周期で投入し、レーザー照射し、核融合反応に導く。投入したレーザーのエネルギーと核融合で生成されたエネルギーの比、ターゲットゲインはレーザーの照射精度に大きく依存し、レーザー集光位置と照射時のターゲット位置とのずれはターゲット直径の1/100、即ち、50μm程度でなければならないと言われている。レーザー核融合炉の半径は5mm、インジェクション速度は300m/s程度と言われているので、これは方向精度において10μrad、速度において0.1μsの精度で測定・制御が必要であることを示している。試作したコイルガン方式のインクジェクション装置を用いた加速実験ではペレットインジェクション速度に対する初期位置の影響を中心に調べ、最適位置から100μmずれても出射速度は10^<-6>程度しか影響しないことが分かった。これはレーザー照射タイミングの調整範囲であるので、初期位置の精度は技術的には問題ないと言える。現時点では摩擦の影響の方がはるかに大きい。Z型に配置された3本の平らなレーザービームと、3個の検出器からなる位置、速度検出システムを考案し、ペレットの通過時間に関しては約10ns、通過位置に関しては0.01mmの精度で測定ができる可能性があることが分かった。このユニットをXY軸に対して各1セット、進行方向のZ軸に対して3セット用いれば、将来のインジェクションシステムに必要な十分な精度と応答速度をもっているといえる。
著者
夏目 長門 酒井 映子 山中 克己 大塚 隆信 千田 彰 中垣 晴男 小島 卓 服部 正巳 前田 初彦 森田 一三 井上 誠 吉田 和加
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

モンゴル国において3年間に5回にわたり調査を行うとともにモンゴル人スタッフに通年依頼して調査を行った。その結果、(1)モンゴル人口唇口蓋裂発現率は、0.07%であった。(日本人口唇口蓋裂0.2%)(2) 961名の妊婦の母体環境調査を行った。(3)モンゴル人の口唇口蓋裂遺伝子レポジトリーでは、1, 999名の試料を入手できた。
著者
犬丸 啓 福岡 宏 山中 昭司
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,系を特徴づける分子レベル,ナノレベルあるいはそれ以上のレベルの階層同士が機能面で絡み合っている系を,「機能階層系」と定義し、これをキーワードにした材料の探索を、薄膜合成や超高圧合成などの特殊反応条件を活用し行った。酸化チタン粒子や金属Pd粒子をメソポーラスシリカで包含した複合体の(光)触媒作用、超伝導金属窒化物や反強磁性窒化物の高圧合成や薄膜合成などにより、特殊反応条件の特徴の現れた、あるいは界面における相互作用が物性に大きく影響を与える系が見出された。
著者
山中 亜紀
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

現代アメリカ政治分析にかんしては、アメリカ・ナショナリズムとネイティヴィズムとの関係性を、より多面的に論じるために、多文化主義研究や「白人性(whiteness)研究」に着目した。具体的には、まず、アメリカ史研究者John C. RoweやGeorge J. Sanchezらが中心となって提唱するNew American Studiesを瞥見し、そこにおいて、「保守派」による「反多文化主義論」や「ヒスパニック移民亡国論」が、「現代におけるネイティヴィズムの再燃」としてとらえられていることを確認した。次に、Sanchezが「現代のネイティヴィスト」と批判するPatrick J. BuchananやPeter Brimelowらの言説分析をおこなった。その結果、多文化主義政策やヒスパニック移民政策をめぐる、SanchezらとBuchananらとの対立は、アメリカにおける国民統合のあり方についての理想像の相違に由来していることが明らかとなった。歴史研究に関しては、19世紀初頭から世紀中葉にかけてのネイティヴィズム運動を、通史的に描きだす作業に従事した。以下、概括する。1830年代なかば、「移民(労働者)のアメリカ化」を論じたSamuel F.B. MorseやLyman Beecherによって、ネイティヴィズムの理論的基盤は整えられた。この主張は、1840年代後半にはいると、社会的重要性を増大させる。急速な産業発展、膨張する領土、そして大量に流入する移民によって、アメリカの姿は大きく変わりつつあり、それに見合った新たな国民統合のあり方が必要となったからである。こうしたなか、Know Nothing (American Party)は、「真のアメリカ人とは、生粋のアメリカ人であり、その本質は、独立宣言と合衆国憲法の精神への理解である」という明確な国民像を提示するとともに、この国民像は「公立学校における教育」によってのみ実現するという立場を打ち出し、社会的共感を得ることに成功する。しかし、1850年代後半、奴隷制問題が国民統合における第一義的なテーマとなったとき、Know Nothingの提起する国民像は二義的なイシューとなり、党は急速に解体し、ネイティヴィズムは衰退するのであった。
著者
柴垣 佳明 山中 大学 清水 収司 上田 博 渡辺 明 前川 泰之 深尾 昌一郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.69-91, 2000-02-25
参考文献数
34
被引用文献数
4

1991年6月17日〜7月8日にMU(VHF帯)・気象(C・X・C / Ku帯)レーダーを用いた梅雨季対流圏の同時観測を行った。MU・C / Ku帯レーダーは風速の3成分と雨雲の鉛直分布をそれぞれ観測した。また、C・X帯レーダーはメソα, メソβスケールの雨雲の水平分布をそれぞれ調べた。この3週間の中で最も激しい降雨が観測された7月4〜5日の期間には、メソαスケール低気圧近傍でいくつかのメソβ, メソγスケールの雲システムが観測された。これらはi)温暖前線、ii)寒冷前線付近の対流雲およびiii)寒冷前線の北西側の層状雲として分類された。i)では、高度14km付近まで発達した降水雲内の顕著な上昇流は高度4〜5kmにおける前面・後面からの吹き込み成分の収束と中部対流圏の強い南風によって生成された。ii)では、寒冷前線の前面にガストフロントを持った狭いレインバンドがみられた。そのレインバンドの前方とその中では、メソγスケールのローター循環がそれぞれ発見された。iii)では、南東風(北西風)は高度9km付近まで延びた寒冷前線面の上側に沿って(その内部および真下で)上昇(下降)していた。その前線面下側には降雨を伴わない乾燥域が存在し、そこでは前線面に沿って下降した西風の一部が雲システムの後方へ吹き出していた。本研究では、晴天・降雨域の両方で観測された詳細な風速3成分を用いることで、上で述べたような特徴的なウインドフローをもったメソβ, メソγスケールの雲システムの鉛直構造を明らかにした。これらの構造は日本中部で観測されたメソαスケール低気圧近傍のクラウドクラスターの階層構造の中のより小さな雲システムとして示された。
著者
丸井 英二 JOHNSTON Wil 李 誠國 SOMーARCH Won YAP Sue Pin 田口 喜雄 田畑 佳則 関 道子 遠藤 誉 米山 道男 大東 祥孝 WILLIAM Johnston SUNGKUK Lee SOMARCH Wongkhonton 山中 玲子
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本研究は留学生にかかわる問題のなかで、長期的な波及効果としての留学生の帰国後に焦点をあてて行われた。その背景として、「留学生10万人政策」に由来する近年の留学生数の著しい増加がある。もちろん、現在わが国に滞在する留学生についての各種支援が必要とされていることは言うまでもない。しかし、こうした現状の延長上にある今後の問題点を考慮すると、帰国後の留学生の生活について研究を行っておくことが必要な時期となっている。その場合、帰国してからの国内的、国際的役割を継続的に把握していくことが必要である。留学生の帰国後に描くことのできる明るい展望がなければ、国内における留学生指導も実効性をもつことがなく、留学生も日本への期待をもつことができなくなり、将来的にわが国への留学そのものを希望しなくなるであろう。今後の健全な留学生政策のためにも帰国後の留学生についての研究が必要とされてきている。本研究では国立大学の留学生センターの留学生指導担当教官が中心となり、留学生の帰国後の社会的活動の動向の量的、質的に把握するための調査を行った。わが国への留学の意義を現地の視点でとらえなおし、さらに今後のわが国との関係をいかに維持していくかについて現時点で研究した。対象国はタイ、マレーシア、インドネシア、韓国であったが、初年度のみ台湾を加えた。研究の実施過程は1)現地での調査研究、2)国内での修了留学生の名簿作成のためのデータベース構築、3)研究ワークショップの開催とに分けることができる。初年度は主として現地での調査研究に焦点を絞った。研究分担者6名が共同研究者のいる対象国における実状を把握するために、アジア地域を中心に担当国を複数ずつ訪問し予備的調査を行った。現地では研究協力者との個別会議を開催し、必要に応じて帰国留学生との面接を行い、現状把握を行った。こうした一連のプロセスにより日本側研究者の現地事情に関する認識を極めて高いものとなった。また、現在では過去に多くの留学生が卒業あるいは修了しているにもかかわらず、なお多くの卒業生の現状が大学で把握できていないことが判明してきた。そのために第2年度には、国内での作業として卒業・修了留学生のデータベース構築のための研究会を開催した。個々の大学の事情に応じて若干の差はあるものの、共通のデータ形式を統一し、入力作業を開始した。すでにいくつかの国では帰国留学生会が設立されているが、そのメンバーは帰国したのちに自らの日本留学を是認し評価している人々が中心となって形成されている。こうした組織に日本留学に批判的な人々が加わっている可能性は小さい。したがって、本来的な母集団としての日本の卒業・修了留学生から出発して追跡することが評価のためのもっとも公平な方法である。現在のところ、データベースの構築は留学生センターの設置されている国立大学の一部から開始されているに過ぎないが、今後はその範囲を拡大していくことにより、留学生が大学から離れた後の動向を把握することが可能となる。今回の3年間の研究では主として帰国後の留学生を対象としたが、われわれのこうしたデータベースを利用することによって、母国に帰国しない人々についても追跡していくことができるという大きな意義が生まれることになる。さらに、第3年度である平成7年9月には、タイのマヒドン大学においてタイ、マレーシア、韓国からかつての日本留学生で現在は本国で活躍している人々を招待し、日本側研究者と合同でのセミナーを開催した。ここでは過去の留学生が日本でどのような経験をしたか、現在何をしているか、現在の日本との関係、さらに現地から日本をどのように見ているかなどについて一日半にわたって討議を続けることができた。3年間の研究期間に参加した留学生センターの日本側研究者ならびに現地の分担研究者にとっては相互理解の基盤を確立し、その上で帰国留学生に関する研究を行うことができたという点で充実した期間であった。また、タイ、マレーシア、インドネシア、韓国で研究協力者として多くの帰国留学生が参加することができた点も高く評価したい。本研究は単に限定された学術的研究にとどまらず、留学生を媒介とした共同研究の萌芽を各研究者レベルで作り出してきた。今後、この留学生問題に関する分野での多くの研究者によるさらなる研究に期待したい。
著者
松岡 心平 天野 文雄 磯田 道史 小川 剛生 落合 博志 高桑 いづみ 高橋 悠介 竹本 幹生 橋本 朝生 姫野 敦子 宮本 圭造 山中 玲子 横山 太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、観世文庫が所蔵する貴重な能楽関係文献資料の調査・整理・保存・公開によって、今後の能楽研究の発展の基礎を築いた。資料はマイクロフィルムに撮影・保存したうえで、これをデジタル画像化し、文献調査に基づく書誌情報と統合してデータベース化した。これはデジタルアーカイブとしてWeb上に公開され、資料が世界中から検索・閲覧可能になった。さらに「観世家のアーカイブ展」の開催を通じて、研究によって得られた知見の普及をはかった。
著者
表 章 竹本 幹夫 山中 玲子 西野 春雄 表 きよし 橋本 朝生 天野 文雄 松岡 心平
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、能楽が現代にいたるまでの問に全国各地でどのように成長・発展したかを具体的に跡づけ地方能楽史の体系的な位置づけを行うことを最終的な目標として、(1)全国の地方諸藩の能楽資料の残存状況を調査し、(2)藩政日記中の演能記事、演出資料、演能記録等を可能な限り収集・整理し、(3)地方各都市における能楽の浸透の程度や演能の際の経済的基盤、役者確保の方法、技法の伝播の仕方など、様々な問題を具体的な資料によって跡づける作業を行ってきた。その結果、資料収集の面では、予想通り各藩の藩政日記は能楽資料の宝庫であることが確認され、特に東北・北陸諸藩を中心に撮影・収集が進んだ。が、逆に、量があまりにも厖大なため、これらの大藩や江戸・京・大坂といった大都市の状況については全体を俯瞰する論をまとめるまでに至らず、基礎資料としての能楽関係記事年表や、個々の役者に関する考察等、一側面を切り取った論考を掲載することになった。一方、比較的資料が限られた小藩に関しては、調査・考察が行き届き、複数の都市について、まとまった研究成果を挙げることができた。その結果、江戸時代には大都市のみならず、地方の小都市においても、それなりに能楽への取り組みが行われていたこと、能の演じ手を確保するために他藩の役者に協力を仰いだり素人の教育を任せたりするシステムや、地方在住役者間のネットワークのようなものができていたことも、新たに判明した。この他、名古屋の笛方役者、藤田六郎兵衛家蔵の能楽文書悉皆調査と撮影も、本研究の成果の一つであるが、これについては別途資料目録を作成すべく、準備中である。
著者
柴垣 佳明 山中 大学 橋口 浩之 渡辺 明 上田 博 前川 泰之 深尾 昌一郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.569-596, 1997-04-25
参考文献数
39
被引用文献数
4

1991年6月17日〜7月8日にMU・気象(C・X・Ku帯)レーダーを用いた梅雨季3週間連続観測を行った. MUレーダーの観測データから, 下部対流圏の降雨エコーの影響を完全に除去して, 信頼性の高い高分解能の3次元風速のデータセットを作成した. 梅雨前線は最初の約1週間(6月17〜24日)はMUレーダー観測所の南方にあり, その後一旦(6月25〜28日)は北方に移動した. 6月29日以後は中間規模低気圧の地上の中心がレーダー観測所近傍を次々と通過し, その際の水平風の変化は, 下層から圏界面ジェット高度にかけて高度とともに遅れて強まる傾向がみられた. 次に, 中間規模低気圧との相対的位置関係に基づいた数時間スケールの鉛直流と降水雲との対応を(i)低気圧を伴った梅雨前線の北側, (ii)地上の低気圧中心付近, (iii)低気圧からかなり離れた梅雨前線南側の3領域について調べた. (i,(ii)のケースでは, 上昇流領域は対流圏界面付近の層状性乱流下端高度(LSTT)と前線面高度に大きく依存し, その後者のケースの上昇流は温暖前線北側では発達した降水雲を伴い, 寒冷前線北側では中規模スケールの領域にわたって卓越しているが, 降雨を伴わないことが多かった. さらに, (iii)の期間ではいくつかの上昇流領域はLSTTを突き抜けていた. これらの中規模変動は, 積雲規模擾乱に対応する上昇流領域のピークを含んでおり, またそれらのいくつかは地上降雨と一致していた. 以上の観測事実に基づき, 梅雨前線近傍の鉛直流変動の階層構造の概念図を作成した. この特徴は, よく知られている中間規模低気圧, 中規模クラウドクラスター, 積雲規模降水雲から成るマルチスケール構造と部分的には一致しているが, 本観測で得られた結果は過去の研究で主に用いられている気象レーダー・気象衛星では観測できない晴天領域についてもカバーしている.
著者
藤元 優子 藤井 守男 山岸 智子 ターヘリー ザフラー 佐々木 あや乃 竹原 新 アーベディーシャール カームヤール 佐々木 あや乃 鈴木 珠里 竹原 新 タンハー ザフラー ターヘリー 藤井 守男 前田 君江 山岸 智子 山中 由里子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究はイランにおける多様な文学的言説を、ジェンダーを分析的に用いて総合的に検証することで、文化的周縁に置かれ、常に歪められてきたイラン女性の実像を明らかにし、ひいてはイスラーム世界に対する認識の刷新を図ろうとした。古典から現代までの文学作品のみならず、民間歌謡、民話、祭祀や宗教儀礼をも対象とした多様なテクストの分析を通して、複数の時代・階層・ジェンダーにまたがる女性の文学的言説の豊潤な蓄積を立証することができた。
著者
山中 明
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1,ナミアゲハ休眠蛹に特有なオレンジ色蛹の発現調節に関わる基礎的な内分泌学知見を得るために、オレンジ色体色発現に関わる環境条件を検討し、オレンジ蛹が90%以上出現する環境要因を作り上げることに成功した。その環境条件をもとに、短日飼育個体の前蛹期を6段階に分け、胸腹部間での結紮実験により前蛹期の後半に頭胸部より分泌されるオレンジ色蛹誘導化因子の存在が示唆された。次に、オレンジ色蛹誘導化因子の生物検定方法を確立した。また、オレンジ色蛹誘導化因子の分泌時期や存在部位を明らかにした。続いて、ナミアゲハオレンジ色蛹誘導化因子の精製手順の検討および精製を行い、オレンジ色蛹誘導化因子を精製し、N末端アミノ酸配列決定をした(Yamanaka et al.,未発表)。2,ナミアゲハ夏型ホルモンの精製のため、ナミアゲハ蛹の脳を集め、粗抽出液を調整したのち、ゲル濾過・逆相液体クロマトグラフィーにより部分精製を進めた。現段階では、カイコガの夏型ホルモン活性物質と同じ挙動を示すことから、カイコガ成虫の脳を用いて、精製を進めている。キタテハを用いた生物検定では、ほぼ最終精製標品が得られ、N-末端アミノ酸シークエンス分析を試みた。N末端アミノ酸10残基を決定した(Inoue et al.,未発表)。3,ベニシジミでは蛹の体色と羽化する成虫の翅の色彩との問に密接な関係があることを見出し、蛹体色の決定と夏型ホルモンの関係について検討した。その結果、ベニシジミでは蛹の体色は、日長と温度によって調節されていることを明らかにした。
著者
山中 玲子 西野 春雄 伊海 孝充 宮本 圭造 橋本 朝生 表 きよし 小秋元 段 小秋元 段 橋本 朝生 表 きよし 竹本 幹夫
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

4年間の全国的な調査により、従来知られていなかった資料を含む多くの能楽関係資料の伝存を確認し得た。これらの資料から収集した能楽関係記事を比較分析することで、諸藩の能楽が従来知られていた以上に多様な担い手によって支えられていたこと、お抱え役者に対する藩の全面的な管理とサポートの様態、藩の所有する能面・能装束の管理の実態など、江戸時代の能楽の具体的な姿を明らかにし、今後の能楽史研究を大きく進める基盤を築くことができた。