著者
山中 俊夫 相良 和伸 甲谷 寿史
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

大空間を有するオフィスにおいて、自然換気を利用した次世代型自然換気・空調システムにおける様々な通風導入システムの室内気流・温度分布特性を温度、CRI3、CO_2濃度などの指標を用いて明らかにするとともに、省エネルギー性について検討を行い、自然風の利用によって空調による冷房負荷の約60%が削減されることを明らかにした。また、自然換気用チムニーの設置位置に関する基礎的なデータも収集した。
著者
岡谷 泰治 宇高 徹総 高木 章司 永廣 格 三竿 貴彦 山中 正康 青江 基 岡部 和倫 伊達 洋至 安藤 陽夫 清水 信義
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.9, no.7, pp.870-874, 1995-11-15
参考文献数
10
被引用文献数
5

成熟型奇形腫は時に隣接臓器に穿孔を来すことが知られており,その発生頻度は36%に及ぶと報告されている.今回我々は,胸部単純X線写真で急速な腫瘤陰影の拡大を認め,術後に肺への穿孔が確認された縦隔成熟型奇形腫の一例を経験したので報告する.症例は12歳の女児で1993年5月20日頃より肺炎様症状を認め,6月12日に突然の前胸部痛,激しい咳嗽および発熱が出現し近医に入院した.6月17日に当科に入院するまでの5日間に胸部単純X線写真上で腫瘤陰影の明らかな拡大を認めた.精査の結果,縦隔奇形腫と診断して,6月21日に腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は前縦隔右側にあり,右肺上葉の一部と強固に癒着していたため右肺上葉の一部の合併切除を要した.病理組織検査で腫瘍と癒着していた肺内には膿瘍の形成を認め,肺穿孔を伴った成熟型奇形腫と診断された.
著者
山中 雅之
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

超新星爆発は一般的に、爆発後数週間の明るい時期が「光球期」と言われ、この時期に観測を行うと膨張大気のより外層について制限を与えることができる。Ia型超新星においては、極大絶対光度と減光速度に強い相関関係が認められ、一様な観測的特徴を示すことで知られている。このような特性を用いて、宇遠方超新星の観測から宇宙膨張は加速しているという重大な研究成果が得られている。しかしながら、爆発メカニズムや爆発する元の天体については決着がついておらず、その正体に制限を与えるような観測的研究が期待される。初年度は、広島大学宇宙科学センター付属東広島天文台にてかなた望遠鏡を用いて超新星の明るい初期に時間的に密な観測を実行した。本年度においては、爆発から200日以降の最大高度より100倍暗いフェーズにおける大口径望遠鏡を用いた観測研究を遂行した。このような爆発からおよそ一年経過した時期においては、超新星の膨張大気は光学的に薄くなり、噴出物質全体を見通した観測が可能となる。すなわち、爆発構造の最内層構造について幾何学的・物理学的に制限を与えることが可能である。私は国立天文台所有8.2m「すばる」望遠鏡での公募観測における観測提案を行い、2010年4月と2011年5月に超新星の非常に暗い状態での観測に成功した。対象となった超新星は、広島大学かなた望遠鏡、県立ぐんま天文台1.5m望遠鏡などを用いて初期に集中的に観測を行った極めて明るいIa型超新星「SN 2009dc」である。SN 2009dcは極大光度がIa型超新星としては異常に明るく、減光速度も遅く、またスペクトルにおいて炭素の吸収線が卓越した特異な超新星であることが明らかになっていた(Yamanaka et al.2009,ApJ,707L,118)。すばる望遠鏡の観測においては、このような描像に加え超新星の内部構造において、予期されぬ減光と本来外側に分布するはずのカルシウムが鉄より内側に分布していることを明らかにした。このような発見は特異なIa型超新星に強い制限を与える観測結果であり、現在論文を準備中である。
著者
谷垣 勝己 野末 泰夫 山中 昭司 榎 敏明 木村 薫 寺内 正己 有田 亮太郎
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

総括班は、配列ナノ空間を利用した新物質科学の企画・調査研究報告書"配列ナノ空間を利用した新物質科学:ユビキタス元素戦略"ならびにH19年度の領域研究申請書をもとにして、H19年-23年の5年間に渡り本格的な研究体制の下で十分に審議して重点課、題を決定し、遂行してきた。また、現在の状況で進めるべき研究を審議して、遂行可能な研究を効率的に進めてきた。H20年度-H21年度、H22年度-H24年度の2回に渡り、採用された公募研究班を加えた研究者と連携して研究を国際的に発展させると共に、領域研究を効率的に推進するために、総括班会議ならびに年2回の領域会議を開催して、現状を把握するとともに今後の研究計画を議論してきた。H23年度の研究で本領域は5年間の研究活動を終結する事ができた。H24年度は、5年間の特定領域研究のまとめ年となる。そこで、本領域研究では、総括班を中心とした5年間の研究計のまとめを行うために、5年間に得られた研究内容のまとめを行うとともに、将来の研究活動につながる活動をした。特に、今年度は昨年度の年度末に開催して特別研究会を中心としたNewsletterを刊行するとともに、5年間の研究活動を総括した報告書を編纂する事が主な事業であった。そのために、研究計画班に属している研究者の方と連絡を密にとるとともに、5年間に渡り総括班ならびに研究計画班の研究を外部から眺めて助言ならびに指導を頂いた本特定領域評価委員の方々とも連絡をとり、5年間の研究成果をまとめる報告書を発行した。また、本領域研究の今後の活動につながる議論などを行い将来の研究発展に備えるための調査ならびに会合をもった。
著者
坪田 敏男 金川 弘司 山本 聖子 間野 勉 山中 正実 喜多 功 千葉 敏郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-5, 1992-02-15
被引用文献数
1

飼育下8頭および野生7頭の雌エゾヒグマについて, プロジェステロン(P)測定用エンザイムイムノアッセイ(EIA)キット(「オブチェック」ケンブリッジ・ライフ・サイエンス社)を用いて血清中P値を測定し, その有効性を検討した. 本キットによる2検体の測定内および測定間変動係数は, それぞれ8.9%, 12.6%および16.6%, 22.7%と比較的良好な成績であった. ラジオイムノアッセイ法との相関関係については, 64サンプルで相関係数r=0.725と高い相関が認められた(p<0.01). 飼育エゾヒグマでは, 妊娠個体5頭, 非妊娠単独個体2頭および非妊娠子連れ個体1頭についてP値が調べられた. 妊娠個体のP値は, 交尾期(5〜6月)後の小さな上昇, 9〜10月にかけての2回目の上昇, さらに11〜12月にかけての大きな上昇として観察された. この最後の大きなP値上昇は, 着床に伴う変化と推測される. 非妊娠単独個体のP値変化は, 妊娠個体のP値変化と類似した. 非妊娠子連れ個体のP値は, 6〜12月まで5 ng/ml以下の値を持続した. 野生エゾヒグマ7頭中2頭は, 1 ng/ml以上の値を示し, そのうちの1頭では出産が確認された. 他の5頭はいずれも1 ng/ml以下の低値であり, 非妊娠個体と考えられた. エゾヒグマでのP-EIAキットによるP値の測定は有効であると結論づけられた.
著者
間野 勉 大井 徹 横山 真弓 山崎 晃司 釣賀 一二三 高柳 敦 山中 正実
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.39-41, 2008-06-30

日本におけるクマ類の調査研究や特定鳥獣保護管理計画の発展に寄与することを目指して,この特集を企画した.本特集は,日本哺乳類学会2007年度大会で開催されたクマに関する3つの自由集会の成果をまとめたものであり,特定鳥獣保護管理計画の実施状況や,新たな手法として注目されるヘア・トラップ法によるクマ類の密度推定の問題点などを概観する11編の報告と,2編のコメントから構成される.<br>
著者
川井 栄治 吉田 寿夫 宮元 博章 山中 一英
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.112-123, 2006-03-30
被引用文献数
2

ネガティブな事象に対する認知パタンが自己否定的なものに固定化し,それに伴って自己効力感やセルフ・エスティームが低下することを防ぐための授業を考案して,それを小学校高学年の児童に対して学級単位で実施し,その効果について多面的な検討を行った。実験計画はプリポスト・デザインとポストオンリー・デザインを併用した統制群法であり,自己否定的な認知パタンを固定化させないようにすることの必要性について説明したうえで,実際にそのための授業を行う実験群と,前者の説明のみを行う統制群を設けた。得られたデータを分析した結果,実験群の児童の方が統制群の児童よりも,自己否定的な認知パタンを否定する方向の信念を抱くようになっているとともに,自己効力感とセルフ・エスティームが高まっていることが示された。また,このような効果の持続性および日常への般化の存在も示された。
著者
山中 雅子
出版者
鈴鹿大学
雑誌
鈴鹿国際大学紀要Campana (ISSN:13428802)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.47-60, 2004-03-20

南町奉行矢部駿河守定謙は北町奉行遠山左衛門尉景元とならび天保改革に携わった江戸町奉行であったが、間もなく町奉行を罷免され、桑名藩預けという重い処罰を受けることになった。その直接的な原因は、天保七(一八三六)年江戸市中御救米取扱掛買付不正事件の筋違い調査、町奉行就任後の調査放棄、刃傷事件の事実隠蔽、吟味中の供述態度・行動を問われたものである。しかし、彼を失脚に向けた事件は、天保改革推進者水野忠邦との市中政策をめぐる対立、天保一一(一八四〇)年に発令された三方領知替を再審に持込み水野との確執を深めたこと、あるいは、幕閣で大塩平八郎の理解者であったはずの矢部だが、その大塩の告発対象者であったことなどが失脚の一因ともされている。罪人として、江戸桑名藩邸から伊勢国桑名へ移送された矢部定謙は、桑名城吉之丸御用屋敷内御囲座敷で御預人としての一生を終える。桑名博物館に所蔵されている「桑名藩矢部駿河守預り関係史料」と題される史料は、矢部の桑名到着直前と死去後の二回にわたり作成されたものを書き写して纏めた可能性が強い史料である。この史料からは、矢部定謙が憤死をしたと伝えられる事柄からほど遠い記録が残されている。史料内容は、矢部が佐屋(現愛知県海部郡佐屋町)から桑名へ船で移送され御囲座敷へ入ったであろう経路、矢部死去後に作成された生前の御囲座敷における制限や日常生活、また、矢部の持病が悪化して死去にいたる経過、矢部死去後の公儀検使に対するマニュアルが記録されている。また、矢部定謙の死去が一般に流布されているような憤死によるものかどうか、史料から読みとることはできない。しかし、この史料から窺われるのは、御囲座敷の生活が逃亡・自刃防止のための警備のなか罪人として制限され監視を受ける日常であり、持病との闘いであったこと、また、御懸医師の口書が彼の最期を知る手がかりとなろうことである。御預人矢部定謙の最期の、そのほんの部分を「桑名藩矢部駿河守預り関係史料」によって紹介したいと思う。
著者
山中 弘
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(C)2009-2011
著者
徳原 克治 山中 英治 伊東 大輔 小柴 孝友 佐藤 正人 小切 匡史
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1690-1694, 2001-11-01
被引用文献数
15

患者は69歳の男性.1995年頃より, 肛門周囲の皮膚からの排膿, 出血を繰り返し, 1999年3月頃には大豆大の腫瘤が出現した.2000年初めより排膿, 出血が頻回となり腫瘤が増大してきたため, 同年5月当科を受診した.肛門3〜5時方向にかけて表面に潰瘍を有する38×27mm大の腫瘤が存在, その一部を生検したところ中分化腺癌と判明した.また大腸内視鏡で, 肛門縁より20cm口側のS状結腸に2'型進行癌を認め, 生検の結果は中分化腺癌であった.両病巣の組織像が一致したことより, S状結腸癌とその管腔内転移による転移性痔瘻癌と考え, 腹仙骨式直腸切断術を施行した.痔瘻は日常診療においてしばしば遭遇する疾患であるが, 痔瘻に癌が発生した場合は転移性痔瘻癌も念頭に置き大腸検査を施行する必要がある.また大腸癌患者で痔瘻を有する場合は, 痔瘻への転移も考慮にいれた厳重な経過観察が必要であると考えられた.
著者
山中 英明 河嶌 泰子 潮 秀樹 大島 敏明
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.206-213, 1998-08-20

4種類のイカ墨および2種類のタコ墨のエキス成分ならびに抗菌性の比較をおこない, 次の結果を得た。(1) 遊離アミノ酸総量はイイダコ, マダコ, スルメイカの墨において高かったが, 他のイカ墨では低かった。タウリンはいずれの墨にも高含量含まれていた。グルタミン酸, グリシン, アラニン, プロリン, チロシン, アルギニン, ロイシンがイイダコ, マダコ, スルメイカに高含量検出された。(2) 有機酸としてはコハク酸がトラフコウイカに, 乳酸がマダコとイイダコにかなり高含量検出された。(3) グリシンベタインがイイダコとスルメイカに1%以上含有されていた。(4) タコ墨の方がイカ墨より呈味に関与するエキス成分含量が高かった。(5) イカ墨, タコ墨をイカ, タコそれぞれの筋肉に添加すると揮発性塩基窒素(VBN)の上昇を抑えた。すなわち, イカ墨, タコ墨ともに抗菌性が認められ, 抗菌性の強さはほぼ同程度と考えられた。(6) イカ墨, タコ墨ともに酢酸の生成ならびにタコ筋肉のプトレシンの生成を抑えた。また, タコ墨はギ酸の生成も抑えた。
著者
山中 一英
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.93-102, 1998
被引用文献数
1

The purpose of this study was to investigate same-sex friendship development within a small group of three male and eight female freshmen by the case study method. The subjects completed a questionnaire four times over a three-month period. The questionnaire included the following scales: (1) the rating of each of the group members on a 21-point-scale measuring liking; (2) the rating of the frequency with which the subjects interacted with each member on a 6-point-scale. In addition, the questionnaire included open-ended questions, in which the subjects were asked to describe each member's noticeable behavioral events, personality, and so on. Major findings obtained were as follows. The group structure based on "liking" found at the early stage did not prevail. That is, the number of persons whom the subjects liked increased as the time passed. On the contrary, the group structure based on "interaction frequency" continued for three months. In effect, the persons whom the subjects liked best were different from those whom they were always together with. It suggested that they had "doubled friendships".