著者
木村 貴昭 山中 昇 九鬼 清典 林 泰弘 斉藤 匡人 木下 和也 田村 真司 赤城 ゆかり 山本 良一 玉置 かおり 高野 郁晴 保富 宗城 戸川 彰久 山室 日出子 島田 純 藤原 啓次 寒川 高男 神人 崇
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.121-130, 1997-01-01
被引用文献数
2

A comparative study was performed for the purposes of studying the prophylactic effectiveness of an antecedent treatment for Japanese cedar pollinosis with DAREN<sup>®</sup> (emedastine difumarate), an anti-allergic drug. Thirty-five cases (A group) received the drug at 4mg/day at least 2-4 weeks before the day when the pollen began to scatter. Another thirty-nine patients received the treatment after the scattering (B group). A significant inter group difference was observed in the global improvement rate for pollinosis. These findings suggest that DAREN<sup>®</sup> produces a slow, long-acting effect such as the inhibition of the release of chemical mediators. Prophylactic medication seems to be suitable for the treatment of Japanese cedar pollinosis, because sufficient anti-allergic action is obtained a few weeks later. Side effects occurred in 6.9% of all of the cases, but the incidence was lower than with any other anti-allergic drug previously reported.<br>In summary, a prophylactic treatment with DAREN<sup>®</sup> is effective in treating Japanese cedar pollinosis.
著者
山中 正樹
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学研究紀要 (ISSN:13447459)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.A23-A37, 2001-03-31

「千羽鶴」は、戦後川端文学の中でも特に高い評価を得た作品である。発表直後から、川端のいわゆる「古典回帰宣言」の文脈の中で、日本の古典や伝統美を描いた作品であると論じられて来た。確かに「千羽鶴」には「美しい」ものが描かれている。しかし同時に「醜い」ものも「美」と同様、あるいはそれ以上に描き出されている。いままでの<読み>では、「醜」は「美」をきわだたせるための相対的要素であるという視点からの論及が多かった。しかしそれは「醜い」ものを「美しいもの」に転化する、あるいはそう見せてしまう川端の戦略によるものである。「千羽鶴」の基底部には「ちか子のあざ」という「醜い」ものが厳然としてあり、それが菊治の意識を<呪縛>すると同時に、読者の<読み>すらも支配しているのである。本稿は、そうした「醜」というコードから「千羽鶴」を読み直す試みである。
著者
山根 冠児 島 健 岡田 芳和 西田 正博 沖田 進司 畠山 尚志 山中 千恵 丸石 正治 真辺 和文
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.9, pp.554-562, 1998-09-20
被引用文献数
15

140例, 151側の血栓内膜摘除術(CEA)術中に内頸動脈血流, 内頸動脈のstump pressure(ICASP), 体性感覚誘発電位(SEP), および脳酸素ヘモグロビン(HbO_2)の測定を行った.手術死亡例はなく, 12例で一過性の神経症状, 4例(2.6%)で恒久的な神経症状が出現した.内頸動脈血流は6例でCEA後の著明に増加し, そのうち3例でhyperperfusionによると思われる術後神経症状が出現した.ICASPが30mmHg以下の症例では25.0%に, SEPの振幅がflatになった症例では53.8%に, HbO_2がindexで0.04以上の低下を示した症例では10%に術後神経症状が出現した.以上の結果からSEPが最も術後の神経症状の発現と関連が強かった.
著者
萩原 剛 新井 盛夫 山中 晃 藤田 進 高橋 一郎 川田 和秀 大石 毅 鈴木 隆史 天野 景裕 福武 勝幸
出版者
The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
雑誌
日本血栓止血学会誌 = The Journal of Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.337-344, 2003-08-01

ハイレスポンダーインヒビター保有血友病Aおよび血友病B患者に起きた3回の重症出血に対し, 凝固因子製剤の大量投与でインヒビターを中和し, 引き続き持続投与によって充分な血漿凝固因子活性を維持し, 止血に成功した. 症例1は第VIII因子インヒビター保有血友病A患者. 38歳時に小脳出血で緊急入院した. 2. 1ベセスダ単位(BU)/m<I>l</I> の第VIII因子インヒビターに対し, 第VIII因子製剤5, 000Uのボーラス投与に続き, 3. 8U/kg/hrの持続投与を行った. 血漿第VIII因子活性は4日間0. 9~1.44U/m<I>l</I> を維持し血腫は縮小した. 40歳時には, 外傷性頭頂葉皮質出血をきたし, バイパス療法を行ったが, 新たに右硬膜下血腫を認めたためインヒビター中和療法を施行した. 10BU/m<I>l</I> の第VIII因子インヒビターに対し, 第VIII因子製剤12, 000Uのボーラス投与に続き, 4~6U/kg/hrの持続投与を行った. 血漿第VIII因子活性は, 5日間0.54~2.04U/m<I>l</I> を維持し血腫は縮小した. 症例2は4歳の第IX因子インヒビター保有血友病B患者. 右足背部の打撲により大きな皮下血腫を生じた. 連日のバイパス療法でも改善せず, インヒビター中和療法に変更した. 2.1BU/m<I>l</I> の第IX因子インヒビターに対し, 第IX因子製剤2, 000Uのボーラス投与に続き, 13U/kg/hrの持続投与を開始した. 血漿第IX因子活性は1. 0~1.3U/m<I>l</I> を維持し, 血腫は速やかに縮小した.
著者
松浦 修 山中 武志 福島 久典
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.141-150, 2007-06-25

我々はこれまでに臨床分離のPrevotella intermedia(P.intermedia)のなかに,菌体外多糖(exopoly-saccharide:EPS)を多量に産生して単独でバイオフィルムを形成する株が存在することを明らかにしてきた.また,バイオフィルムを形成するP.intermediaのマウスにおける膿瘍形成誘導能は,非形成株と比較すると100〜1,000倍強いことや,EPS産生に関わる遺伝子発現についても報告してきた.EPS産生性獲得に伴うバイオフィルム形成性は,口腔常在菌であるP.intermediaの病原性を決定する重要な因子であると考えられるが,膿瘍形成誘導との直接的な繋がりについてはいまだ不明である.そこで今回,当研究室で辺縁性歯周炎病巣より分離した,P.intermedia strain OD 1-16よリ分離精製したEPSを用いて,これがヒト貪食細胞に与える影響について検討を試みた.貪食試験には,ヒト単球系細胞であるTHP-1細胞と直径2.0μmのラテックスビーズを用いた.オプソニン化したラテックスビーズを0.5〜2.0mg/mL濃度のEPSでコートし,HP-1細胞の貪食に与える影響を透過型電子顕微鏡にて観察した.THP-1細胞をEPSコート/非コ一トラテックスビーズと共培養したのち,RNAを回収し,純度を確認後,マイクロアレイにアプライし,遺伝子発現の差を検討した.精製したEPSでコートしたラテックスビーズを走査型電子顕微鏡観察し,OD 1-16のバイオフィルムに特徴的な菌体間の網目状構造がラテックスビーズ間にも再現されることを確認した.これをTHP-1細胞に貪食させたところ,EPSが濃度依存的にラテックスビーズの細胞内への取り込みを抑制することが明らかとなった.EPSによる貪食抑制を受けたTHP-1細胞と,活発にビーズを貪食した細胞の遺伝子発現をマイクロアレイ解析したところ,EPSによる貪食抑制を受けた細胞の約140遺伝子で2倍以上の発現上昇がみられた.今回の研究結果より,バイオフィルムを形成するP.intermedia由来のEPSが,ヒト単球系細胞であるTHP-1細胞の異物認識後の捕食を障害し,その遺伝子発現にも影響を与えることが明らかとなった.これらのことから,バイオフィルム形成細菌のEPS産生性は貪食細胞に対する抵抗因子として働き,さらには宿主細胞の動態に影響を与えることで組織侵襲性に関与していることが示唆された.
著者
山中 浩明 古屋 伸二 野澤 貴 佐々木 透 高井 剛
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.60, no.478, pp.99-105, 1995
被引用文献数
7 2

Array measurements of vertical microtremors were done at Koto-ku, Tokyo in the Kanto plain, Japan, to deduce an S-wave velocity profile down to the top of seismic bedrock. The array consists of 13 sites with spacings of 0.2 to 4 km. Rayleigh wave phase velocities at periods from 0.8 to 5 sec were determined from a frequency-wave numeber spectrum analysis of the records. The observed phase velocities were inverted to an S-wave velocity profile by an inversion based on genetic algorithms assuming a four-layer model. The inverted profile has a sediment thickness that is thinner than those deduced by seismic refraction survey and a deep borehole near the array. We included Love wave phase velocity data determined from an earthquake array observation into the inversion of the phase velocity data from microtremor measurements. The resultant new structure is in a better agreement with deep borehole data than that inverted only from microtremor data.
著者
森田 隆幸 橋爪 正 今 充 松浦 和博 山中 祐治 小野 慶一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.20, no.10, pp.2431-2434, 1987-10-01
被引用文献数
13

昭和50年から60年までの大腸癌初回手術491例中, 70歳以上の高齢者は102例, 20.8% であった. 組織学的に高分化型腺癌が多く, stageI, II 症例が 49% を占め, 治癒切除例の累積5生率 72.8%, 相対5生率 75.5% と非高齢者と遜色ない手術成績が得られた. 直腸癌手術では排尿・排便に関する慎重な配慮が必要であるが, 高齢者大腸癌の手術適応とし, 生活意欲があり普通の生活をしている限り年齢自体での手術適応の制限はないと判断され, 根治性を計った標準術式の採用により良好な成績が得られると考えられた. また, risk の高い重症例でも麻酔法の工夫により原発巣切除を試みれば愁訴もとれ延命効果も期待できることが知られた.
著者
山中 直明 塩本 公平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.240, pp.19-24, 1998-08-20

バーストの先頭にソースルーティングによるリンクリレーを付け、ノードでは、オンザフライに出力リンクをハンティングする新しいDTM(ダイナミックトランスファーモード)の提案を行う。バーストは、各ノードで出力リンクをハンティングし、できない場合は、バーストプールに蓄積され、リンクの空を待つ。リンクは、TDMスロット多重されており、どのタイムスロットであろうと、空があれば、次段ノード(ネクストホップ)へ転送される。各リンクの空タイムスロットはモニタされ、バーストの先頭のプリアンブルパターンによりトリガされ、ダイナミックにバーストの転送開始の処理へ入る。タイムスロットは、マルチタイムスロットでも転送でき、高速でオーバーヘッドの少ないトランスファーモードである。本方式に基づき、プロトタイトでも転送でき、高速でオーバーヘッドの少ないトランスファーモードである。本方式に基づき、プロトタイプを作り、基本的機能を確認した。
著者
辻 俊宏 小針 健太郎 井手 清志郎 山中 一司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.147, pp.23-28, 2006-07-05

超音波原子間力顕微鏡(UAFM)の高精度化にはカンチレバーのスプリアス応答の抑制が重要である。スプリアスの主な原因はカンチレバーチップの基板のたわみ振動である。そこで制振板により基板の曲げ剛性を高める手法を提案する。その結果、共振周波数の測定精度が向上した。また水平曲げ1次(L1)モードの測定の再現性も改善した。L1モードは横接触弾性を選択的に評価できるので、たわみモードによる縦接触弾性の評価と組み合わせることで、UAFMによる組織や欠陥の方向性評価が可能になる。強誘電体単結晶PMN-PTの分域構造の評価に適用した結果、L1モードを用いた評価により分域境界でせん断弾性が著しく低下する現象が初めて見出された。
著者
山中 浩二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.162, pp.15-20, 2000-06-23

本論文では、無人宇宙機のランデブ軌道設計について、その基礎と具体例を紹介する。ランデブ軌道は、大きく分けて打上からターゲット近傍に至るまでの遠方域ランデブ軌道と、ターゲットまわりの近傍域ランデブ軌道に分けられる。遠方域ランデブ軌道においては、ターゲットとの軌道面・位相・高度の調整を行い、近傍域ランデブ軌道においては、ターゲットに対する安全性を確保しつつ、ターゲットへの最終接近を図ることが目的である。それぞれの設計技術の基礎と具体例を述べる。