著者
長 秀雄 竹本 幹男 西野 秀郎 塚原 祐輔 佐藤 倬暢 佐藤 治道 中野 禅 山中 一司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波
巻号頁・発行日
vol.96, no.28, pp.41-47, 1996-04-26

レーザー干渉縞の位相速度走査法により励起した弾性表面波を用いて多孔質シリコン層の位相速度分散を30-90 MHz範囲で、また異方性を非破壊・非接触で測定した。音速測定誤差は1%以下と良好であった。位相速度は空孔率の増加とともに低下し、単結晶シリコンの1/2-1/3と極めて低かった。また、音速の伝播方向依存性を測定したところ90度の周期の異方性が測定され、周波数の上昇とともに最大・最小の音速差は小さくなり、空孔率0.500場合60MHzでは約30m/s程度であった。さらに、逆問題解析によって3個の弾性定数(C_<11>,C_<12>,C_<44>)と膜厚を独立した4つの未知数として推定した。その結果,空孔率の大きい多孔質シリコンはほぼ等方性であり、非晶質的であると思われる。
著者
赤塚 雅則 近江 雅人 山中 正宣 井澤 靖和 中井 貞雄 米澤 喜幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OQE, 光・量子エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.93, no.57, pp.37-42, 1993-05-21

LD励起固体レーザー材料中に生じる、熱的および機械的応力誘起複屈折の2次元分布を測定する方法を新たに開発した。プローブレーザー光は、偏光子、λ,4板によって円偏光にされて複屈折物質に入射する。さらにその後ろで検光子を回転させ、透過光強度の2次元分布を測定することによって、各点での複屈折の主軸の方向と、相対位相差を符号も含めて求めることができる。この測定系を用いてLD励起Nd:YAGロッドの熱および機械的応力誘起複屈析の2次元分布を測定し、さらに、YAGロッドがレーザー媒質とλ,4板の役割を兼ね備えたLD励起能動波長板を考案し、実現した。
著者
山中 弘 木村 勝彦 木村 武史 笹尾 典代 寺石 悦章 松井 圭介
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、宗教の適応的変容と再構築の側面を教会や社寺、自然的景観、迫害や殉教が起こった場所など、様々な「トポス」がもつ「聖性」に焦点を当せながら、その変容を、それを促す大きな要因の一つと考えられる「ツーリズム」との関わりのなかで明らかにしようというものである。近代社会における、交通網の発達、テクノロジーの飛躍的発展は、本来的に「聖なる場所」がもっていた限定性、秘匿性を無意味化し、だれでもがそこにアクセスすることを可能にした。とくに、ツーリズムの発展は「場所の聖性」の性格やあり方に容赦ない変更を加え、それを観光の新たな「商品」に仕立て上げようと試みている。長崎県の外海、平戸、五島列島といった地域において、これまでごく少数の人々にとってしか特別な意味をもっていなかったキリシタンの殉教地や聖地さえも、容赦なく「観光のまなざし」に曝されることになったのである。しかし、その過程で、教会や社寺、殉教地などの「場所」をめぐる新たな「語り」や「伝統」を再構築させる契機となっているようにもみえる。それは、沖縄のように、場所の聖性のもっともアーカイック形態である「御嶽」を、沖縄の根本的な宗教・伝統文化という「語り」のなかに包摂することで、自らの文化的アイデンティティを積極的に構築していこうとする試みにもつながっていく。もちろん、ツーリズムはつねに伝統的な聖地を変化させるわけではなく、ツーリズムに密接に関わる関連産業が聖地のもつ「真正性」、「歴史性」を利用して、伊勢神宮の参道に誕生した商店街のように、新たなマーケットの開拓をおこなう場合もある。さらにまた、出雲地域の「神在祭」のように、現代的ツーリズムの影響とは直接関わりなく、祭りとその場所が様々な要因によって歴史的に変化している場合もあり、「場所の聖性」の変容は必ずしも近代的現象でないことは注意する必要があろう。
著者
堀井 康史 廣田 明道 陳 春平 河合 邦浩 山中 宏治 ポカレル ラメシュ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.458, pp.53-60, 2012-02-23

2011年10月9日から10月14日まで,イギリス・マンチェスターにて開催されたヨーロッパマイクロ波会議(European Microwave Week2011)の概要ならびに,アンテナ・伝搬、フィルタ、受動回路、増幅器・MEMS、MMIC・センシング技術、メタマテリアル・電力伝送・新技術の各テーマに関する会議報告内容をまとめて紹介する.
著者
鈴木 正嗣 梶 光一 山中 正実 大泰司 紀之
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.505-509, 1996-06-25
参考文献数
29
被引用文献数
13

北海道東部産のエゾシカ胎子87例で胎齢を推定し, 受胎日の変異と外部形態の発達過程とを明らかにした. 胎子の体重(W)と胎齢(T)との間には, T=(√^3<W>+2.730)/0.091関係式が認められた. この式を用いて胎齢を算出し, 捕殺日からの逆算により求められた推定受胎日は, 10月7日から翌1月17日の範囲で変異していた. しかし, その多くは10月中旬から11月上旬にかけて集中していた. また, 11月下旬以降に受胎したと思われる胎子9例のうち, 6例が1歳メスから採取された標本であった. これは, 北海道東部個体群の良好な栄養状態が, 1歳メスの成長と性成熟を冬期間にも可能にすることを示唆している. 胎子の外部形態においては, 感覚毛や一般被毛の発現時期と白斑の発現時期とが重複していなかった. また, いくつかの発達過程上の変化が, 特定の体重で起こることも確認された. これらの特性を利用することにより, 胎子成長は4段階のステージに分割できた. 各ステージにおける胎子の外部形態的特徴は, エゾシカ以外のニホンジカでも簡便な胎齢推定に役立つと考えられる.
著者
水谷 祐一郎 山中 正仁
出版者
兵庫県立農林水産技術総合センター
雑誌
兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告 農業編 (ISSN:13477722)
巻号頁・発行日
no.59, pp.7-12, 2011-03

ポットハボタンの12月中旬出荷に適した播種時期を8月5日から10月5日の間で10日ごとに設定し調査した.1 いずれの播種日においても発芽率は90%以上であった.2 8月15日の播種で葉数及び地上部生体重が最大になった.8月25日以降の播種では播種日が遅くなるほど減少し,9月5日以降の播種では葉数及び地上部生体重が出荷商品として不足した.3 8月5日播種では,12月中旬における地上部生体重が11月中旬より減少した.4 9月25日と10月5日の播種で着色葉数は少なく,着色部径は小さかった.5 葉数,地上部生体重及び葉の着色から判断すると,8月15日と8月25日が12月中旬出荷に適した播種日であった.
著者
一重 喬一郎 長谷川 隆大 長谷川 香織 寺澤 健治 山中 一憲 服部 順昭
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.269-277, 2013-09-25 (Released:2013-09-30)
参考文献数
13
被引用文献数
7 6

木材は環境にやさしい材料とみなされてきたが,そのことを定量的に検証するための基礎的なデータが不足していることから,国産丸太のライフサイクルアセスメントを実施した。その結果,国産丸太1m3を生産するまでに11.1kgのCO2が排出され,70.6円の環境影響が生じると算出された。さらに,国産丸太の環境影響の低減のためには,間伐や主伐といった収穫作業の改善が重要であることが分かった。特に高性能林業機械を使用する作業の効率を向上させ,軽油の消費を抑制することが効果的であると考える。
著者
谷口 香織 高尾 秀樹 新名 真也 山中 祐二 岡田 幸長 中島 梨花 王 俊杰 辰野 竜平 阪倉 良孝 高谷 智裕 荒川 修 野口 玉雄
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.277-281, 2013-08-25 (Released:2013-09-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1

トラフグ肝臓につき,滑らかな面を表側,肝門脈との結合部を上部として10分割し,マウス毒性試験で各部位の毒力を測定したところ,生肝臓58個体中16個体と凍結肝臓13個体中9個体ですべての部位が毒性を示した.毒の主体はテトロドトキシンであった.これらにつき,個体の平均毒力に対する各部位の相対毒力を求めて二元配置分散分析を行ったところ,凍結肝臓では毒の分布に有意な偏りは見られなかったが,生肝臓では右側中央下寄りの毒性が有意に高いことが分かった.肝臓の毒性評価に際しては,本部位を用いた個別検査の実施が望ましいと判断した.
著者
藤井 絵里 浦辺 幸夫 山中 悠紀 櫻井 友貴
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.133-138, 2011 (Released:2011-03-30)
参考文献数
9

Purpose: The purpose of this study was to determine whether the impact on the body during landing in dancers is less than in non-dancers by using accelerometers and motion analyzer.Method: Eleven ballet dancers and 11 non-dancers participated in this study. Each subject was instructed to perform 3 types of landing from a height of 30cm: landing, silent landing and raise up landing. Markers were put on the iliac crest, greater trochanter, knee joint, lateral malleolus. The peak vertical and horizontal accelerations of the lumbar, peak vertical acceleration of the greater trochanter and the peak flexion angles of the hip and knee joints were measured after the trials.Result: In the raise up landing, the peak vertical acceleration of the lumbar region in dancers was less than that in non-dancers (p < 0.01), and the peak knee-flexion angle in dancers was greater than that in non-dancers (p < 0.01). There were no differences between the peak hipflexion angles of dancers and non-dancers.Conclusion: The impact on the lumbar during raise up landing was less in dancers. In raise up landing, the trunk tends to be fixed when the dancer stands upright. Moreover, dancers attenuated the shock to the lumbar region by increasing the knee-flexion angle to a greater extent than the non-dancers did. This result may indicate the importance of the knee joint flexion in attenuating the shock during landing and show that dancers excel in using their knees flexibly.
著者
山中 仁
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.48, pp.159-160, 2010-02-24

2009年8月6日から8日にかけて日本機械学会関西支部設計製図教育研究懇話会主催の夏休み設計セミナーが開催された.本セミナーは2001年より企業の技術者,学生,教員から構成される混成チームでボランティアとして活動しており,2008年度からは日本機械学会関西支部設計製図教育研究懇話会に企画を一任している.本論文では2009年度の夏休みセミナーの様子をはじめとしたセミナーの取組み・成果について紹介し,さらに今年度より取組んだ新たな試みについて述べる.
著者
山中 由里子 池上 俊一 大沼 由布 杉田 英明 見市 雅俊 守川 知子 橋本 隆夫 金沢 百枝 亀谷 学 黒川 正剛 小宮 正安 菅瀬 晶子 鈴木 英明 武田 雅哉 二宮 文子 林 則仁 松田 隆美 宮下 遼 小倉 智史 小林 一枝 辻 明日香 家島 彦一
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

中世ヨーロッパでは、辺境・異界・太古の怪異な事物、生き物、あるいは現象はラテン語でミラビリアと呼ばれた。一方、中世イスラーム世界においては、未知の世界の摩訶不思議は、アラビア語・ペルシア語でアジャーイブと呼ばれ、旅行記や博物誌などに記録された。いずれも「驚異、驚異的なもの」を意味するミラビリアとアジャーイブは、似た語源を持つだけでなく、内容にも類似する点が多い。本研究では、古代世界から継承された自然科学・地理学・博物学の知識、ユーラシアに広く流布した物語群、一神教的世界観といった、双方が共有する基盤を明らかにし、複雑に絡み合うヨーロッパと中東の精神史を相対的かつ大局的に捉えた。