著者
山本 智
出版者
Japan Society for Molecular Science
雑誌
Molecular Science (ISSN:18818404)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, 2014

Atacama Large Millimeter/submillimter Array (ALMA) is a large aperture-synthesis radio telescope constructed in northern Chile by international collaboration among east Asia, north America, and Europe. It observes spectral line emission/absorption of molecules and thermal emission of dust particles in various kinds of astronomical objects with much higher sensitivity and much higher angular resolution than conventional radio telescopes in the world. ALMA has started its early science operation from 2011, and chemical processes during star and planet formation are being explored in detail. Even in the early science operation, many surprising results are coming out. In this article, I would like to highlight some of them in particular emphasis on possible relation to molecular science.
著者
宮口 翔太 大西 秀明 小島 翔 菅原 和広 桐本 光 田巻 弘之 山本 智章
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.213-219, 2015-06-20 (Released:2017-06-09)

【目的】本研究の目的は,電流強度および電極貼付部位の違いが経頭蓋直流電流刺激(transcranial direct current stimulation;以下,tDCS)の効果に与える影響を明らかにすることとした。【方法】対象は健常成人9名とした。tDCS介入条件は,陽極電極を左一次運動野領域に貼付し,陰極電極を対側前額部または対側一次運動野領域(bilateral tDCS)に貼付し,1.0mAまたは2.0mAにて10分間刺激する計4条件とした。各条件におけるtDCS介入前後に経頭蓋磁気刺激により左一次運動野領域を刺激し,運動誘発電位を記録した。【結果】bilateral_2.0mA条件においてのみtDCS介入前に比べ介入終了2分後,10分後の運動誘発電位が有意に増大した。【結論】bilateral tDCSにより2.0mAにて刺激することで,大脳皮質の興奮性が安定して増大することが明らかになった。
著者
山本 智支 乾 和郎 片野 義明 三好 広尚 小林 隆 松浦 弘尚
出版者
一般社団法人 日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.147-155, 2019-03-25 (Released:2019-04-08)
参考文献数
32

急性胆嚢炎は胆嚢に生じた急性の炎症性疾患と定義され,原因の85~95%は胆嚢結石である.リンパ管のうっ滞・拡張を認める浮腫性胆嚢炎,壊死出血を認める壊疽性胆嚢炎,膿瘍化してきた化膿性胆嚢炎に分けられる.診断は,臨床兆候(Murphy's signと右上腹部の腫瘤触知・自発痛・圧痛),血液検査,画像所見により行う.白血球異常,CRPの上昇などを認め,ビリルビン,肝・胆道系酵素の上昇は軽度見られることが多い.腹部USでは,胆嚢腫大,壁肥厚,結石嵌頓,デブリ,sonographic Murphy's signのほか,胆嚢周囲浸出液貯留,胆嚢壁hypoechoic layer,不整な多層構造を呈する低エコー帯,ドプラシグナルが診断に有効である.急性胆嚢炎の診断が困難な場合や胆嚢穿孔,胆嚢周囲膿瘍などの合併症が疑われた際には,ダイナミックCTが有用である.
著者
上山 和子 岡本 直行 金山 時恵 松本 百合美 芝﨑 美和 山本 智恵子 井上 信次 斎藤 健司
雑誌
新見公立大学紀要
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.43-48, 2021-12-25

本研究は、2020年度に入学した保健医療福祉系の学生を対象に新型コロナウイルス感染症による新しい生活様式とマスク着用を取り入れた学修生活に対する生理的(体温・経皮的動脈血酸素飽和度・脈拍)変化を明らかにすることを目的に準実験調査を実施した。その結果、A大学の学生は坂を利用して登下校を行っており、特にマスク着用中の登校で大学内の各建物の到着時には、体温、経皮的動脈血酸素飽和度の値の変化は見られなかったが、脈拍数は上昇していた。このことより、マスクの着用による生理的影響は少ないものも、今後も新しい生活様式の中で適切なマスクの着用を促す必要性が示唆された。
著者
山本 智美 西田 昌司 Tomomi YAMAMOTO Masashi NISHIDA
雑誌
神戸女学院大学論集 = KOBE COLLEGE STUDIES
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.141-152, 2017-06-20

大脳皮質でのアミロイドβ沈着は、アルツハイマー型認知症(AD)の病態と密接に関連している。神経細胞は、異常蛋白質を修復する小胞体にアミロイドβ沈着物を取り込む。異常蛋白質の蓄積によって小胞体ストレスが増加すると、細胞はシャペロン蛋白の誘導などの小胞体ストレス応答(UPR)を惹起して小胞体ストレスに対処する。しかしUPRの惹起が十分でない場合は、アポトーシスによる細胞死に至る。今回我々は、アミロイドβ負荷による神経細胞のUPRがERストレスの対処には不十分であり、AD発症率を低下させる女性ホルモンがUPRを増強して細胞死を抑制するかを、培養細胞モデルを用いて検討した。ラット神経系由来のPC-12細胞に、小胞体ストレス誘発剤であるツニカマイシン、アミロイドβ単量体、または凝集体を負荷すると、小胞体ストレスが増加するとともに、UPRで誘導されるジャペロン蛋白GRP78も増加させた。女性ホルモンの17β-エストラジオールによる前処理は、ツニカマイシン、アミロイドβによるGRP78発現を増強するとともにすると、神経細胞における小胞体ストレスを減少した。また、アポトーシスが誘導されたことにより、ツニカマイシンによるUPRは小胞体ストレスの凌駕には不充分であることがわかる。17β-エストラジオールによる前処理はツニカマイシンによるアポトーシスも減少させた。以上より、大脳皮質におけるアミロイドβ沈着は神経細胞の小胞体ストレスを惹起するが、誘導されるUPRが不十分な場合にはアポトーシスによる細胞死が生じた。女性ホルモンのエストロゲンは、UPRを増強することによってアミロイドβ負荷による小胞体ストレスを軽減し、アポトーシスを抑制する可能性が示された。女性ホルモンは、アミロイドβによる神経細胞の小胞体ストレスを修飾することによって、ADの発症率を低下させていることが示唆された。
著者
山本 智弘 大塚 久哲 松田 泰治 山口 斉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.989-992, 1997 (Released:2010-06-04)
参考文献数
3
被引用文献数
1

鉄筋コンクリート橋脚を1自由度系にモデル化し弾性最大応答水平力を作用させたときの弾性最大応答変位を求めた。次に弾完全塑性のバイリニア型復元力特性を有する1自由度系にモデル化し、エネルギー一定則および変位-定則により弾性最大応答変位を用いて最大応答変位を推定し、非線形時刻歴解析結果と比較しエネルギー一定則および変位一定則がどのような領域で適用できるかについて分析を行った。また、プレート境界型の地震と内陸直下型地震という2種類の地震で、適用範囲がどのようになっているのかを分析した。
著者
林 卓未 西野 勝敏 アディティア プラムディタ ジョナス 伊藤 雅人 山本 智章 田邊 裕治
出版者
日本転倒予防学会
雑誌
日本転倒予防学会誌 (ISSN:21885702)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.37-45, 2021

<p><b>【目的】</b>転倒の床面衝突によって引き起こされる骨折は,高齢者にとって生活の質を左右する重大な障害である。この骨折機序を解明するために三次元人体モデルを用いて転倒の床面衝突時における関節の力学的負荷が検討されてきているが,転倒動作の個体差にも影響される可能性がある。そこで,本研究は後方転倒における股関節に焦点を当て,後方転倒動作の個体差が三次元モデルを用いて推定した股関節の力学的負荷に及ぼす影響を分析した。</p><p><b>【方法】</b>三次元人体モデルを作成し,その股関節には弾性要素1 個を備えた。床面の材料特性はコンクリートに設定した。転倒動作のシミュレーションにおいて弾性要素にかかる力を股関節の力学的負荷として評価した。参加者は健常成人男性10名(22.1 ± 1.0 歳)とした。参加者を体操用安全マットに後方転倒させ,その時の動作をモーション・キャプチャー・システムで撮影した。その後方転倒動作を三次元人体モデルにシミュレーションさせ,床面衝突時における股関節の力学的負荷を推定した。</p><p><b>【結果】</b>股関節の力学的負荷の前方成分のピークは1.05 ± 0.48 kN,後方成分のピークは0.88 ± 0.41 kN であった。近位成分のピークは1.49 ± 0.87kN,遠位成分のピークは2.15 ± 1.23 kN であった。最も大きい近位成分のピークは大腿骨頚部の破壊荷重に達しており,その値を有していた参加者は他の参加者とは異なる部位を床面に最初に衝突させていた。力学的負荷が最も小さかった参加者は,床面衝突後に身体が跳ね返っていなかった。</p><p><b>【結論】</b>後方転倒時における股関節の力学的負荷は,床面に最初に衝突する部位と衝突後における臀部と大腿部の動作の違いに影響した。</p>
著者
小野寺 翔 山本 智清 内坂 直樹 寺川 偉温
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.590-597, 2020

<p>長野県在住の40歳代女性が,1カ月間の増悪寛解を繰り返す発熱で受診した.血液培養からブルセラ属菌が検出されたが,このブルセラ属菌は既知のブルセラ属菌のいずれでもなく,2017年に同じく長野県内で発症した患者より分離されたブルセラ属菌と近縁であった.また,同様に発熱等を呈した家族も抗体検査で陽性を示し,ブルセラ属菌に感染していたことが判明した.長野県内に当該新規ブルセラ属菌の宿主動物の生息が推測される.</p>
著者
田中 達也 神山 真一 山本 智一 山口 悦司
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.119-131, 2021-07-30 (Released:2021-07-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究の目的は,児童におけるアーギュメント自己評価能力とアーギュメント構成能力には関係があるのか,また,関係があるとすればどのような関係があるのかを予備的に検討することであった。本研究では,まず,両者の関係の有無を検討するため,主張-証拠-理由付けを含むアーギュメントを導入した小学校第3学年の単元「物と重さ」を実施する中で,児童計65名を対象に,アーギュメントを記述させる課題による調査と,児童に自身のアーギュメントを自己評価させる課題による調査を実施した。2つの調査結果から,次の2点が示唆された。(1)アーギュメント自己評価能力が高い児童は,アーギュメント構成能力が高い傾向にある,(2)アーギュメント自己評価能力が低い児童は,アーギュメント構成能力が低い傾向にある。次に,アーギュメント自己評価能力のアーギュメント構成能力への影響を検討するため,アーギュメント構成能力の向上の仕方が異なる児童計16名を対象に,アーギュメントの自己評価の詳細をたずねる面接調査を実施した。この調査の結果から,次の2点が示唆された。(1)自分が記述したアーギュメントの成否を適切に判定したり,自分が記述したアーギュメントの問題点を説明したりすることができる児童は,アーギュメント構成能力が向上していた傾向にある,(2)自分が記述したアーギュメントの成否を適切に判定したり,自分が記述したアーギュメントの問題点を説明したりすることができない児童は,アーギュメント構成能力が向上していない傾向にある。
著者
俣野 源晃 山本 智一 山口 悦司 坂本 美紀 神山 真一
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.187-195, 2021-07-30 (Released:2021-07-30)
参考文献数
14

本研究の目的は,複数の証拠として,適切かつ十分な証拠を利用するアーギュメント構成能力を育成する上で,McNeill and Krajcik(2011)の教授方略を援用してデザインした授業の有効性について,小学校第5学年の単元「電流がつくる磁力」を事例として明らかにすることである。山本・稲垣ら(2013)は,同学年の単元「物の溶け方」を事例として,教授方略を援用した授業をデザインし,その有効性を明らかにしている。本研究は,異なる単元においても教授方略を援用した授業が適切かつ十分な証拠を利用するアーギュメント構成能力を育成する上で有効なのかを新たに検証するものである。アーギュメント構成能力を評価するために,第5学年の2クラスの児童計65名を対象に,既習内容に関するアーギュメント課題を単元前後に実施した。課題の回答を分析した結果,児童は,主張に関連する科学的な証拠のみを利用する適切性の点において,アーギュメント構成能力が向上したことが明らかになった。また,量的,質的なものを含めた多様な証拠を利用する十分性の点においては,部分的ではあるが,アーギュメント構成能力が向上したことが明らかになった。しかしながら,同時に,証拠の十分性の一部についてはさほど向上しなかったことも見出された。その理由を探るために,証拠の選択率を補足的に分析したところ,実験結果の意味を類推しなければならない「間接的な証拠」を選択することが必ずしもできていないことがわかった。以上の結果を総合的に考察することで,McNeill and Krajcik(2011)の教授方略を援用してデザインした授業は,単元「電流がつくる磁力」においても,適切かつ十分な証拠を利用するアーギュメント構成能力を育成する上で有効であると結論づけることができた。併せて,教授方略を援用してデザインした授業は,「単元内におけるアーギュメントの複数回指導」と「間接的な証拠利用の促進」という点で改善の余地があると考えられる。
著者
山本 智一 中山 迅 近江戸 伸子 竹下 裕子 稲垣 成哲 竹中 真希子 山口 悦司 藤本 雅司 坂本 美紀 大島 純 大島 律子 村山 功
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.423-424, 2004
参考文献数
2
被引用文献数
2

筆者らは, Knowledge Forum を利用して,遺伝子組み換え食品問題に対する社会的意思決定をテーマとした科学教育のためのCSCL環境を開発している.本研究では,遺伝子組み換え食品についての基礎的内容に対する学習者の理解度を検討した.その結果,多くの学習者は,遺伝子,遺伝子組み換えと品種改良,遺伝子組み換え食品の現在といった基礎的な内容をおおむね理解できていたが,他種間の品種改良や世界の表示状況についてはあまり理解できていなかったことがわかった.
著者
田中 康雄 遠藤 剛 山本 良一 岡邨 直人 関根 裕之 大野 健太 佐々木 幸絵 加藤 健太郎 山本 智章
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C4P2184-C4P2184, 2010

【目的】<BR>平成19年度より小学5年生以下を対象とした学童野球検診を行っている.2年間の学童野球検診の結果より成長期投球肘障害の要因として身体機能面だけでなく,指導方法や大会運営など選手を取り巻く環境の問題が考えられた.昨年から各試合の投球数報告を義務付け,1投手の投球数を70球以内とする努力目標を掲げている.今回,3回目の検診を行なうとともに,指導者に対するアンケート調査と投球数の調査を実施した結果から障害予防活動の課題・展望について報告する.<BR>【方法】<BR>対象は学童新人野球大会に参加した62チーム中検診を希望した33チーム482名(5年生275名,4年生154名,3年生42名,2年生10名,1年生1名).大会会場にブースを設け医師,PTによる直接検診として四肢の理学所見および肘関節の超音波診断を行った.異常のあった投手に医療機関の受診をすすめた.事前に問診票を配布し,身長,体重,野球開始時期,投球側,練習時間,疼痛の有無,ポジション,痛みがある時の対応などについて調査した.また指導者に対してアンケートを配布し,野球経験,指導経験,練習時間,検診の必要性,投球制限,日本臨床スポーツ医学会の提言の認知などについて調査し,大会期間中の投手の投球数報告を集計し解析した.<BR>【説明と同意】<BR>事前に文書と口頭で各チームの監督,保護者に対して検診の目的,内容について説明し同意を得ている.<BR>【結果】<BR>超音波による直接検診で上腕骨小頭障害の選手は482名中8名(1.7%)であった.事前に配布した問診票は523名から回収し,肩・肘に痛みを感じたことのある選手は227人(43.4%).「肩・肘の痛みがあるとき誰に知らせるか」の質問に260名が回答し,親160名(61.5%),監督53名(20.4%),知らせない29名(11.2%),その他18名(6.9%)であった.「肩・肘に痛みがあるとき,投げることを休んだか」の質問に対し209名が回答し,「休んだ」98名(46.9%),「ポジションを変えた」7名(3.3%),「休まなかった」104名(49.8%)であった.複数回答による疼痛部位は,肩97名,肘86名,足首54名などであった.また指導者のアンケートでは38名(51.3%)から回答があり,年齢43.9±7.0歳,指導経験7.2±7.8(1~35)年で日本臨床スポーツ医学会の提言を知らない指導者は27名(71.1%)であった.大会での投手の投球数はコールドゲームを含めた大会98試合での投球数は平均78.9球であったが,コールドゲームを除いた34試合では88.1球で,投手交代の無かった試合での一人あたりの投球数は平均75.5球であった(昨年87.8±14.0).<BR>【考察】<BR>学童野球検診の目的は障害の早期発見であるが,大会会場にて直接検診を実施し,8名(1.7%)の上腕骨小頭障害を発見することが出来た.一方,問診票の結果から野球の競技特性から肩・肘の疼痛の訴えが多い.肩・肘に痛みがある場合,親に知らせる選手が160名(61.5%)と多く,肩・肘に痛みを有していても投球を休まない選手が104名(49.8%)と半数近い結果となった.成長期投球障害は進行した状態で初めて医療機関を受診する可能性があるため,チームの監督・コーチだけでなく保護者への障害予防の啓発も重要と考えられる.今回の投球数ではコールドゲームを除いた一人投手試合では平均75.5球と昨年の大会における同様の調査に比べて12球の減少で,投球数制限に対する指導者の理解が少しずつ浸透している結果と考えられた.しかし日本臨床スポーツ医学会の提言における50球という制限をはるかに越えていることから,今後さらに障害を予防するために現場と医療側との連携が求められる.<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>学童野球検診は障害を早期発見することが目的である.特に上腕骨小頭障害は重症化することが報告されており検診において早期発見する意義は大きい.検診結果,問診結果,投球数を検討することは現在の子ども,監督の状況を把握し,野球をする子どもたちを守るための障害予防の一助になると考えられる.
著者
田中 康雄 遠藤 剛 山本 良一 岡邨 直人 関根 裕之 大野 健太 山本 智章
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P1458-C3P1458, 2009

【はじめに】昨年報告した平成19年度の少年野球検診の結果より、成長期投球肘障害の要因として少年野球選手の身体機能面だけでなく、指導方法や大会運営など選手を取り巻く環境の問題が考えられた.今回、投手に絞ったメディカルチェックを行なうと共に、指導者に対するアンケート調査と大会中の各試合における投球数の調査を実施した.その結果から障害予防活動の課題・展望について報告する.<BR><BR>【方法】対象は学童新人野球大会に参加した51チーム中検診を希望した39チームの投手74名(5年生63名、4年生10名、3年生1名)である.大会会場にて医師、PTによる直接検診として四肢の理学所見および肘関節の超音波診断を行った.異常ありの投手に医療機関の受診をすすめた.検診後に問診票を配布し、身長、体重、野球開始時期、投球側、練習時間、疼痛の有無、ポジション、痛みがある時の対応などについて調査した.また指導者に対してアンケートを配布し、野球経験、指導経験、練習時間、検診の必要性、投球制限、日本臨床スポーツ医学会の提言の認知などについて調査し、大会期間中の投手の投球数報告を義務化した.<BR><BR>【結果】直接検診で異常ありの投手は74名中23名(31.1%)でこのうち12名(52.2%)が医療機関を受診し、そのうち11名に内側型野球肘が確認された.問診票は74名中59名(79.7%)から回答があり、身体に疼痛を訴えている選手は35人(59.3%)で、その中で医療機関を受診しているのは2名(5.7%)であった.複数回答による疼痛部位は、肘25名、肩13名、踵7名などであった.また指導者のアンケートでは20名(51.3%)から回答があり、年齢42.9±6.8歳、指導経験7.1±6.5年で日本臨床スポーツ医学会の提言を知らない指導者は15名(75%)であった.今回から採用されたコールドゲームを含めた大会全102試合での投球数は平均73.5球であったが、コールドゲームを除いた65試合の平均投球数は94.0球で投手交代の無かった試合での一人あたりの投球数は平均87.8球であった.<BR><BR>【考察】少年野球検診の目的は障害の早期発見であるが、投手を中心に直接検診を実施し、11名(13.9%)の内側型野球肘を発見することが出来た.一方問診票の結果から、痛みを有している選手が35名で、そのうち医療機関へ受診しているケースは2名と極端に少なく、成長期投球障害が進行した状態で始めて医療機関を受診する可能性があるため、早期から障害予防に取り組む必要性がある.今回の投球数カウントではコールドゲームを除いた一人投手試合では平均87.8球と日本臨床スポーツ医学会の提言における50球という制限をはるかに越えている.今後大会準備委員会への医療側からの参加、投球制限などの特別ルールの提案など障害を予防するために現場と医療側との連携が求められる.

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著者
須藤 靖 山本 智 上田 正仁 田近 英一
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース (ISSN:21873070)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.18-19, 2019-01-20

物理学専攻 佐藤勝彦名誉教授が瑞宝重光章を受章/物理学専攻の大小田結貴さんが,英BBC「ことしの女性100 人」に選ばれました/物理学と人工知能を融合-知の物理学研究センター始動!/駒場1 年生向け理学部ガイダンス報告
著者
山本 智
出版者
一般社団法人 プラスチック成形加工学会
雑誌
成形加工 (ISSN:09154027)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.250-257, 2005-04-20 (Released:2021-03-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1
著者
山本 智基 伏田 享平 滝本 雅之
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.148-156, 2018-08-29

IT システム開発プロジェクトにおいて類似するプロジェクトの情報を参照する機会は多い.開発,管理に従事する要員は,これらの情報を用いてプロジェクトの計画作成や IT システムの設計,実装を行う.一方で,プロジェクトの類似性を判断する観点は明らかになっていない.そのため類似プロジェクトの選定作業は属人的になっている.本稿では IT システム開発において,類似プロジェクトの選定,参照を支援する仕組みを提案する.まず,どのような観点に着目してプロジェクトの類似性を判断しているかを明らかにするため,実務者を対象にアンケート調査を実施した.調査の結果,利用シーンにより重要視される観点に一定の傾向があることを確認した.次に調査結果をもとに,プロジェクトの類似性を定量的に表す指標を定義した.この指標は類似プロジェクトを利用するシーンに応じて,類似性を判断する観点の重要度を考慮できる.最後に,提案する指標を用いて類似プロジェクトを検索する Web システムを構築した.この Web システムを用いることで,熟練者でなくても利用シーンに応じて容易に類似プロジェクトを検索,参照することが可能となる.