著者
山本 正浩 中村 龍平 笠谷 貴史 熊谷 英憲 鈴木 勝彦 高井 研
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.146, 2017 (Released:2017-11-09)

深海熱水噴出孔では海底面から熱水が噴出し、周囲の海水によって冷却されることで鉱物が沈殿し鉱体が形成される。我々はこの鉱体の主要成分である硫化鉱物が導電性を持つことを明らかにしている。鉱床下に存在し、海底に湧出する熱水は還元的な化合物(硫化水素、水素、メタン)に富み、海底面から浸透し鉱床近傍で接する海水は酸化的な化合物(酸素、硝酸、硫酸)を含む。我々は、熱水中の還元剤の持つ電子が硫化鉱物を介して海水中の酸化剤に受け渡される放電現象の存在を提唱し、実際にこの現象が深海熱水噴出域の海底の広域で起きていることを現場電気化学計測によって明らかにした。また、この放電現象を人為的に制御することで発電技術として利用可能であることも明らかにしている。本発表では、上記について説明するとともに、今後の深海底発電技術の開発、およびその模擬として行っている陸上温泉での発電試験の結果についても紹介する。
著者
山本 正雅 兼田 瑞穂 前田 美穂
出版者
奥羽大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

フュージョンパートナー細胞SPYMEGを用いてヒトのモノクローナル抗体が作製できるか否かを検討した。健常人の末梢血よりリンパ球を得てSPYMEGとPEG法を用いて融合させ、HAT存在下にてハイブリドーマ細胞を培養した。融合細胞を768ウエルに播種したところ、コロニー形成率は平均28%(2回の融合)であった。IgG産生能をサンドイッチELISAにて測定した結果、コロニーが形成されたウエル中27%で陽性であった。これは既報のパートナー細胞Karpasを用いた成績に極めて近い値であった。ヒトのIgGを産生している細胞を限界希釈し単クローンにし、IgGを精製したところ、H-鎖、L-鎖ともに発現しており、完全なIgGが合成されていることが分った。抗体産生能はハイブリドーマに依存するがよく産生するクローンで2〜10μg/ml程度であった。ハイブリドーマはセルバンカーを用いて1ヶ月凍結保存し、その後再び培養を再開しても抗体産生能は凍結前に比べ変化はなかった。この結果から、かなり安定したヒトのモノクローナル抗体が作製できることが明らかになった。そこで、ヒトの特異的モノクローナル抗体を作製するために、ヒトに投与できる抗原としてインフルエンザワクチンを用いた。インフルエンザワクチン投与した場合、投与後1ヶ月以内に末梢血リンパ球を得てSPYMEGと融合させ、HAT存在下にてハイブリドーマ細胞を培養した。またインフルエンザに自然感染した健常人についても検討した。融合細胞を384ウエルに播種し、インフルエンザワクチン抗原AとBの混合液ををELISAプレートにコートし、スクリーニングを行なった。その結果、自然感染の健常人からのリンパ球を用いたときインフルエンザ抗原に陽性に反応するモノクローナル抗体が14クローンが陽性であり、最終的に2クローンが得られた。インフルエンザワクチンを投与したとき、121クローンが陽性であった。このうち最終的に12クローンが得られた。同手法を用いて、血小板のGPIIb/IIIa複合体に対する抗体を産生している自己免疫疾患患者から抗体の作製を行なった。その結果、2クローンが健常人の血小板に反応しIIb/IIIaを免疫沈降してくることがわかった。これらの結果から、SPYMEGはヒトのモノクローナル抗体の作製が可能でり、臨床と基礎医学研究に役立つと考えられた。
著者
山本 正志
出版者
日本コミュニケーション障害学会
雑誌
聴能言語学研究 (ISSN:09128204)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.96-100, 1998-08-30
参考文献数
2

精神発達遅滞児に対するコミュニケーション指導は,子どもが意欲をもって自律的に取り組むことが中心になると考えた.その方法として授業をグループで指導し,指導をゲーム化することを試みた.授業例としてオリエンテーリングやしりとり,身振り歌を報告した.この方法は子どもの意欲を引き出すことに成功し,またいろいろなレベルのコミュニケーション課題を導入するのも容易だった.しかし学習効果の測定はできなかった.
著者
木村 瑞生 山本 正彦
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.141_3, 2018

<p> 本研究では、野球の打撃動作遂行における2つ要素(タイミング、コース:内角・外角)を変化させたときの反応時間を調べた。被験者は、神奈川大学野球連盟(2部)に所属する硬式野球部員10人(18~22歳)であった。本実験での打撃動作の反応時間(BS-RT)は、警告信号から光刺激までの時間(タイミング)とコース(赤色:内角、緑色:外角)を調節できる光刺激装置を用いて測定した。打者は構え姿勢をとり、前方15mの光刺激装置からの光刺激提示後できる限り素早く打撃動作を開始しT-スタンドのボールをヒットした。この際の光刺激提示からT-スタンドのボールをヒットするまでの時間をBS-RTとした。本実験では、光刺激のタイミングが一定(Tc)とランダム(Tr)、光刺激のコース(光の色)が一定(Sc)とランダム(Sr)の条件を組み合わせ、Tc-Sc、Tc-Sr、Tr-Sc、Tr-Srの4条件で内角と外角のBS-RTを比較した。その結果、Tc-Sc以外の3条件において内角のBS-RTの値の方が外角のそれより有意に小さかった。つまり、打者が投手から投球されたボールを打つ際、選択要素が1つでもある場合は内角の打撃動作の方が短時間に遂行されることが示唆された。</p>
著者
金野 亮太 井上 修平 山本 正嘉
出版者
日本トレーニング科学会
雑誌
トレーニング科学 (ISSN:13494414)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.357-365, 2010

暑熱環境(気温35 ℃,湿度80%)に設定した人工気象室において,8名の自転車競技選手が長時間の自転車ペダリング運動を行い,その運動の途中で全身に冷水をかけて身体冷却を行った場合に,体温をはじめとする生理応答や,主観的な指標にどのような効果があるかを検討した.<br> 被験者は,レースで使用するロードレーサーを用いて,走行速度を40km/h に固定し,90 分間の運動を行った.この運動強度は乳酸閾値を超えないものであり,実際のレースにおける運動強度からみると,比較的弱い部類に属するものであった.被験者は,運動開始から60 分を経過したところで,全身に5 ℃の水をかぶる条件(以下,水かぶり)と,それを行わない対照条件の 2 通りを,ランダムな順序で行った.<br> その結果,水かぶりを行うことによって体温(直腸温度,平均皮膚温度)の上昇は抑制され,その効果は運動終了までの30 分間持続した.また水かぶり後には心拍数や酸素摂取量も低値を示し,運動効率の改善が窺えた.以上の結果から,暑熱環境下で行う水かぶりは,熱中症を予防したり,運動パフォーマンスを維持する上で,実用的で効果の高い手段であることが示唆された.
著者
平山 祐 山本 正嘉
出版者
日本トレーニング科学会
雑誌
トレーニング科学 (ISSN:13494414)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.63-75, 2011

全日本選手権または大学生選手権で入賞経験を持つカナディアンカヌー選手を対象として,通常の水上練習や筋力トレーニングと並行して,カナディアンカヌー用のエルゴメーターを用いて高強度のインターバルトレーニングを行わせた.その際,このトレーニングを通常酸素環境下で行う群(N 群,n=9)と,常圧低酸素室を用いて低酸素環境下(高度2000 ~ 3000m 相当)で行う群(H 群,n=9)の2 群を設けた.両群とも,トレーニングは週に3 ~ 4 回の頻度で3週間行った.その結果,N 群もH 群も,カヌーエルゴメーターを用いて測定した有酸素性能力(最大酸素摂取量)と無酸素性能力(10 秒間の全力漕時のパワー)がいずれも改善し,さらに200m 漕と500m 漕のタイムも改善した.ただし,200m 漕タイムの改善については,H 群の方がN 群よりも有意に大きかった.したがって,カヌーエルゴメーターを用いた補強トレーニングは,通常酸素環境で行ってもさまざまな作業能力の改善につながるが,低酸素環境で行えばそれに加えて,無酸素性および有酸素性の両能力がいずれも関与する200m 漕の成績をさらに大きく改善できる可能性が考えられた.
著者
山本 正治 渡辺 厳一 遠藤 和男
出版者
新潟大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

新潟県に多発する胆道癌(特に胆嚢癌)の原因として「複合要因説」を仮説にとり研究を進めてきた。即ち、「胆石症や胆嚢炎等を有する者がハイリスク・グループを形成し、彼らが地域特有の環境因子に暴露されることで胆嚢癌が発生する」という仮説である。地域特有の環境因子としては、種々因子を検討したなかで、ジフェニルエーテル系農薬(特にクロルニトロフェン、CNP)が残っている。この度の研究は、この仮説検証を動物モデルを用いて行うことにある。実験には雌ゴールデン・ハムスターを用い、次の5群を設定した。1群は胆石(ビーズ・ワックス)埋め込み手術+普通食、2群は胆石埋め込み手術+CNP(5000ppm)含有食、3群は発癌物質3-メチルコラントレン(3-MC)を含む胆石+普通食、4群は3-MC入り胆石+CNP、5群は胆嚢切開・縫合+普通食である。動物数はそれぞれ20匹とした。胆石埋め込み手術は、動物(9〜10週令)搬入1週間後に行い、その後2週間回復を待ち、投与実験を開始した。実験期間は、第22週までとした。なお、2群のCNP投与は第17週までとし、以後は普通食に切り換えた。CNP投与群(2群と4群)の体重増加は対照群(5群)及びCNP非投与群(1群と3群)に比べ、抑制されていたが、第17週の中止後は、1群、2群と5群で差を認めなかった。摂餌量も同様の傾向を示した。実験期間中の死亡例は、1群及び2群で、72週間中それぞれ3例(15.0%)であった。また、対照群(5群)でも3例(15.0%)であった。3群と4群で、17週間中死亡例はなかった。1群では肝臓の腫瘍1例、2群で肝臓の腫瘍を2例認めた。また、2群の胆嚢の緑色拡大を認めている。病理組織学的検索は、現在実施中である。3群と4群との間には、格別の差はなかった。
著者
原村 未来 高井 洋平 山本 正嘉 金久 博昭
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.101-110, 2017-02-01 (Released:2017-01-21)
参考文献数
34
被引用文献数
1

This study aimed to clarify the differences in cardiorespiratory and metabolic responses to body mass-based front lunge and squat exercises with relation to muscular activity. Seven healthy adult males performed 200 times body mass-based squat and front lunge exercises. During the exercises, oxygen uptake, heart rate (HR), blood lactate concentration (La), ground reaction force were measured. Oxygen uptake was divided by body mass (VO2). VO2 and HR was normalized to maximal VO2 (%VO2max) and maximal HR (%HRmax) obtained from an incremental load test. Electromyograms (EMGs) during the two exercises were recorded from the vastus lateralis (VL), rectus femoris, vastus medialis (VM), biceps femoris, gluteus maximus (GM). EMG amplitudes during both exercises were normalized to those during maximal voluntary contraction, and expressed as relative value (%EMGMVC). Time that cardiorespiratory parameters became stable was 4-6 min in both exercises. VO2, %VO2max, metabolic equivalent, were higher in the front lunge than the squat. No significant differences in HR, %HRmax and La were found between both tasks. %EMGMVC in VL, VM and GM were higher in the front lunge than the squat. These current findings indicate that 1) body mass-based squat and front lunge exercises are physiologically of more than moderate intensity, and 2) the cardiorespiratory responses to body mass-based front lunge are greater than those to body mass-based squat. This may be due to the difference in muscular activities of VL, VM and GM during the tasks.
著者
尾留川 正平 山本 正三 佐々木 博 金藤 泰伸 朝野 洋一 高橋 伸夫 斎藤 功
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.229-256, 1967-10-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
20
被引用文献数
3

Suburbanization is very phenomenal in the western suburbs of Tokyo, nevertheless a. sizable area is still devoted to agriculture and the agricultural output is quite large. The aim of this research is to survey the ecological aspects of human occupance of the land which is well characterized by the ever intensive urban as well as agricultural use and also to analyze operational structure of farm households that has strongly led the study area to such a suburbanized occupance pattern in terms of interviews of farmers and various statistical materials.Results : 1) Sale of agricultural land is quite limited because of rise of land price, resulting in the juxtaposition of built-up areas and farmlands. 2) Agriculture in these mostly built-up areas has the following characteristics : a) to increase labor productivity rather than land productivity, b) to increase household or personal income whether by specialization on arboriculture, lawn growing, specialized vegetable growing and chicken and pig raising, or by incorporating them in agricultural management so as to improve total agricultural productivity, or from other sources than farming such as management of filling stations, driving, schools, and public baths, and also as white color, c) to hold agricultural land as assets probably for a relatively long period, since the farmers here can get stable income from rent and apartment houses they have built recently, although increment of so-called socially fallow lands is to be seen frequently, and d) to ship out vegetables and eggs to nearby markets or to sell them directly at farmsteads. 3) It is urgently needed to conserve as much farmland as possible and also even to encourage farm management to a degree that the farmers are able to compete with ever-developing urban industries, otherwise the critical shortage of green open spaces in the metropolitanized regions will be further accelerated.
著者
松浦 伸郎 加藤 栄司 小松 良治 山本 正士
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.470-476, 1986-11-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

細菌性髄膜炎は無菌性髄膜炎と比べ, 髄液の乳酸脱水素酵素 (CSF-LDH) 活性が上昇し, 髄液glutamic oxaloacetate transaminase (CSF-GOT) 活性も上昇する.著者らはCSF-LDH, CSF-GOTがともに細菌性髄膜炎の鑑別診断に役立つこと, また起炎菌を確認した細菌性髄膜炎の髄液中のラテックス凝集法によるC反応性蛋白 (CSF-CRP) が細菌性髄膜炎の診断に有用であることを述べた.
著者
川田 聡 近藤 拓也 菊池 亨 山本 正信
出版者
日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.647-656, 1999
参考文献数
20
被引用文献数
2

This paper proposes a system to produce 3D computer animation based on the human performance from video image sequences. This system uses a 3D model of the human body for motion capturing as well as generating CG images. In fact, a human action is observed by video cameras allocated around the actor. Fitting the 3D human model to the human images, the human action are measured as series of 3D pose of human body. This method needs not to attach any equipment and marker to the human body. We have made a database of various kinds of human actions. An action required in a story-telling can be generated by warp and combination of actions from the database. We produced an animation video originated from a fairy tail in the selection of Grimm brothers by this animation system.
著者
宮島 春菜 山本 正信
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.J417-J420, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
6
被引用文献数
2 4

The Microsoft Kinect motion sensing device can capture the skeletal movement of a pedestrian. A skeleton in motion draws an orbit in high dimensional pose parameter space. The Karhunen-Loéve expansion can project this high dimensional orbit into two-dimensional eigenspace. A method is proposed to differentiate pedestrians by using their respective traces in the eigenspace. This uses the nearest neighbor rule to identify pedestrians on the basis of the cosine similarity between the traces. In our experiments, this method gave a personal identification rate of 34 pedestrians.