著者
内藤 智義 山田 正己 中村 美詠子 尾島 俊之
出版者
一般財団法人 日本健康開発財団
雑誌
日本健康開発雑誌 (ISSN:2432602X)
巻号頁・発行日
pp.202243G01, (Released:2021-08-24)
参考文献数
18

背景・目的 地域在住高齢者における摂食・嚥下機能と生活習慣との関連は、ほとんど明らかにされていない。本研究は、地域在住高齢者の摂食・嚥下機能の特徴及び、摂食・嚥下機能と生活習慣との関連性を分析することを目的とする。方法 地域包括支援センターが運営する口腔機能向上事業に参加した高齢者419名を対象に自記式質問紙調査を行った。有効回答288名(男性58名、女性230名、平均年齢73.6歳)を分析対象とした。調査項目は、基本属性、健康状態、生活習慣、摂食・嚥下機能を調査し、嚥下障害リスクの有無に差があるかをχ2検定で比較した。結果 嚥下障害リスク評価尺度改訂版で、「嚥下障害リスクあり」は72名(25.0%)、「嚥下障害リスクなし」は216名(75.0%)と判定された。準備期・口腔期の嚥下障害の平均得点が最も高く、咽頭期の嚥下障害の平均得点が最も低かった。「嚥下障害リスクあり」は、「嚥下障害リスクなし」より有意に何でも噛める者は少なく、外出する機会がほとんどない者、夜間よく眠れていない者が有意に多かった。考察 嚥下障害リスクとの関連からは、咀嚼機能と外出する機会を維持・改善することの必要性は高く、咀嚼力向上や外出する機会づくりへの支援は嚥下障害を予防する可能性を示唆した。また、嚥下障害リスクは、夜間睡眠に影響する可能性があり、高齢者の嚥下機能改善が睡眠の質を向上させる支援になる可能性が示唆された。
著者
中津川 誠 山田 正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1-8, 1993-02-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12
被引用文献数
1

The present study deals with the investigation of wind velocity observed by the Doppler radar. The first phase of paper is the observation of wind using the Doppler radar. Observations have been carried out by using the Doppler radar which is installed in the suburb of Sapporo, Hokkaido, Japan. Horizontal and vertical wind components are estimated by applying the VAD (Velocity Azimuth Display) method to the Doppler data. We make sure that the VAD method can precisely estimate the wind components. The second phase is the utilization of wind data for investigation of rainfall field. The geostrophic wind observed by the Doppler radar is incorporated into the Kao model so that three dimensional wind components are estimated in the planetary boundary layer. The rainfall field is simulated by applying such wind distribution to the Kessler parameterization. The above methodorogy offers considerable promise for the progress of physics-based rainfall models and forecast methods.
著者
山田 正人 遠藤 和人 立尾 浩一 小野 雄策
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第19回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.48, 2008 (Released:2008-11-25)

産業廃棄物等の排出源は多種多様であり、異物の混入や有用成分含有の高低などの要因により、素材産業で直接活用できない廃棄物も少なくなく、これらの廃棄物を活用する産業の受入条件にあった原料に加工する役割を破砕選別業者が担っている。また、破砕選別業者は、分散した排出源から収集された廃棄物を集約し、より遠方の利用者への供給を行うなどの輸送効率の改善も担っている。 このように破砕選別技術は、廃棄物から循環利用される有価製品または廃棄物製品(処理費を利用側に支払って利用)を生産しており、産業廃棄物分野における循環型社会形成のコアとして機能しているが、同一の廃棄物であっても、破砕選別による生産品の質や生産物の輸送先、残さの埋立処分費等が廃棄物の発生や利用の地域や破砕選別施設が有する技術によって異なり、コスト構造が複雑である。そこで、破砕選別技術に要する処理コストの構造を明らかにし、破砕選別技術の活用を誘導する要因を解明するための基礎情報を収集した破砕選別対象品目の処理費用と再生利用率の関係を整理した内容を報告する。
著者
松岡 有子 角谷 佳城 山田 正一 西山 明秀 三家 登喜夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.155-162, 2021-03-30 (Released:2021-03-30)
参考文献数
19

2009~2018年度の10年間に当院を救急受診した糖尿病治療薬による重症低血糖(自己のみでは対処できない低血糖)について調査した.患者数は延べ329例(救急受診者の0.66 %)で,高齢でやせ型に多かった.明らかな1型糖尿病患者は11.2 %存在した.治療法はインスリン治療が42.2 %,インスリンと経口薬併用が16.4 %,経口薬が41.3 %であった.経口薬のうち86.0 %はスルホニル尿素薬が投与されていた.また,スルホニル尿素薬投与者の25.9 %が腎機能低下者であり,29.9 %にdipeptidyl-peptidase-4阻害薬が併用されていた.患者数やその救急受診者に対する比率は,いずれも2009年度が最も高く以後漸減し,2018年度の比率は2009年度の約1/2になっていた.この減少はスルホニル尿素薬に起因する低血糖の減少によることが考えられた.
著者
香村 一夫 山田 正人 大和田 秀二
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

地球上の資源は有限である。よって、消費・廃棄された資源を回収し再利用することは持続可能な社会をつくるために必須である。わが国は工業が盛んで多様な金属類から家電製品をつくり、製品の多くは、使用後、処分場に廃棄された。しかし、リサイクル法制定以前に埋立てられた処分場の浸出水にはメタル類はほとんど検出されない。本研究では、埋立層に含まれる「レアメタル」に焦点をあて、それらの含有量と化学形態を明らかにした。さらに、濃集ゾーンを特定する非破壊手法を確立するとともに、埋立層に含まれるレアメタルを物理的に濃縮する方法を検討した。資源の少ない日本では、埋立層からのレアメタル回収は国家戦略といえる課題である。
著者
山田 正俊 鄭 建
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.31, 2007

日本海海水中の<SUP>239+240</SUP>Pu濃度と<SUP>240</SUP>Pu/<SUP>239</SUP>Pu同位体比の鉛直分布の測定から、その主要な起源を解明することを目的とした。陰イオン交換樹脂カラム法によりPuを分離・精製し、アルファ線測定後、SF-ICP-MSを用いて、<SUP>240</SUP>Pu/<SUP>239</SUP>Pu同位体比を測定した。海水中の<SUP>239+240</SUP>Pu濃度は、表層で8から9 mBq/m<SUP>3</SUP>であり、中層で37から39 mBq/m<SUP>3</SUP>と極大となり、底層で26から33 mBq/m<SUP>3</SUP>となる鉛直分布を示した。また、海水柱中の<SUP>239+240</SUP>Puのインベントリーは、85から87 Bq/m<SUP>2</SUP>であり、グローバルフォールアウトから推定される値(42 Bq/m<SUP>2</SUP>)の約2倍であった。<SUP>240</SUP>Pu/<SUP>239</SUP>Pu同位体比の鉛直分布は、表層から底層までほぼ一定の値を示し、ビキニ核実験起源のプルトニウムの存在を示唆していた。
著者
山田 正幸 高橋 朋子 鈴木 睦美
出版者
群馬県畜産試験場
雑誌
群馬県畜産試験場研究報告 (ISSN:13409514)
巻号頁・発行日
no.14, pp.91-97, 2007-11

当場で開発した軽石を利用した低コスト脱臭装置について、密閉縦型発酵装置に付設する木材チップ脱臭槽を改造して充填容積10m3の実規模実証を行い、以下の結果を得た。1.発酵槽排気を外気で希釈しアンモニア濃度400ppmに調整して脱臭することにより、4から11月までは順調に脱臭できた。2.12月から3月までは、ビニルハウスで脱臭槽全体を覆い保温するとともに、脱臭槽を通過した空気を希釈用に再利用した。この対策により、冬期でもほぼ順調に脱臭することができた。3.この装置は送風アンモニア濃度を高く設定でき、充填資材も低コストであることから、設置費を低減できる。維持管理費も電気代のみである。以上のことから、この新たな脱臭装置は低コスト化に有効であると考える。
著者
横川 正美 山田 正仁 菅野 圭子 柚木 颯偲 堂本 千晶 吉田 光宏 浜口 毅 高橋 和也 岩佐 和夫 駒井 清暢
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P3233, 2009

【目的】認知症予防のための方法は種々報告されており、運動に関しては有酸素運動が効果的であるとされているが一定の見解には至っていない.本研究では地域住民を対象に有酸素運動を主体とした運動機能プログラムを実施し、その効果について同時期に行われた認知機能プログラムと比較検討した.<BR><BR>【方法】前年度に地域で実施された脳健診の受診者から、脳老化関連疾患の疑われる者および介入法参加に支障をきたすような身体疾患のある者を除き、臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating; CDR)が0または0.5にあたる健常者または軽度認知障害者379名に本研究への参加を募った.参加への同意の得られた36名のうち、介入前後の評価を実施できた29名を本研究の対象とした.介入法はプログラムを2つ設け、参加者を無作為に振り分けた.一つは認知機能プログラム(n=12)で、認知症の前段階で低下しやすいと考えられている実行機能を重点的に高める内容として、A.ゲームやパズル、B.地域の地図作り、C.自助具技術の習得を行った.もう一つは有酸素運動を主体とした運動機能プログラム(n=17)で、A.体調確認、B.テレビ体操(ウォーミングアップ)、C.ウォーキング、D.柔軟体操(クールダウン)を行った.2つのプログラムはどちらも週1回約1時間で合計14回、4ヶ月間にわたって実施した.認知機能プログラムはAからCをそれぞれ4回程度ずつ費やして行い、運動機能プログラムはAからDを毎回行った.対象者には介入前後に認知機能検査としてファイブ・コグを施行した.<BR><BR>【結果】参加者の平均年齢は72.2±7.1歳、平均教育年数は10.4±2.3年であった.2つのプログラムの間で対象者の年齢、教育歴による差はみられなかった.参加者の年齢層や日常的な活動の幅を考慮して、運動プログラムでのウォーキングは10分より開始し、6回目より15分に延長した.実施期間中に体調不良を訴えた者はなかった.介入前後の認知機能検査において、認知機能プログラムでは「手がかり再生課題」が12.6±5.6点から17.0±5.7点へ、「動物名想起課題(言語流暢性課題)」が12.8±4.0点から16.4±2.9点へとそれぞれ有意に改善した(いずれもp<0.01).運動機能プログラムでは「手がかり再生課題」のみ、11.5±5.3点から16.2±5.3点へと有意に改善した(p<0.01).<BR><BR>【考察】認知機能検査において、両プログラムで「手がかり再生課題」が改善し、記憶機能の改善が示唆された.アルツハイマー病では初期に記憶機能が低下するとされている.記憶機能の改善が示唆された今回のプログラムはどちらも予防プログラムとして効果的であることが考えられた.その一方で運動機能プログラムでは認知機能プログラムで示された言語流暢性課題の改善は得られなかった.今後は運動内容の再考や、さらに対象者が今回のプログラムで獲得した体力を維持し、長期的に認知症予防に取り組めるような支援方法の検討が必要と考える.
著者
細山田 康恵 山田 正子
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.27-32, 2019-03-31 (Released:2019-04-10)
参考文献数
20

目的:ラットに, 高脂肪食とアルコール(Alcohol:Alc)を摂取させ, カプサイシン(Capsaicin:CP)の添加が脂肪蓄積量や酸化ストレスに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. 方法:4週齢Sprague-Dawley系雄ラットを用いて, 4週間飼育した.実験群は, 4グループを設定した.グループA:高脂肪食+水(Control:C群), グループB:高脂肪食+カプサイシン+水(CP群), グループC:高脂肪食+10%アルコール(Alc群), グループD:高脂肪食+カプサイシン+10%アルコール(CP+Alc群)とした.脂肪重量, 酸化ストレスなどの測定を行った. 結果:体重増加量, 総飼料摂取量に差は見られなかった.後腹壁脂肪重量, 肝臓トリグリセリド濃度および酸化ストレス度は, C群よりCP群とCP+Alc群で有意に低値を示し, Alc群よりCP+Alc群で有意に低値を示した. 結論:高脂肪食とアルコール摂取ラットにおいて, カプサイシンは, 脂肪蓄積量および酸化ストレス度を低下することが明らかとなった.カプサイシン摂取が,酸化ストレスを緩和し, 脂質異常症の予防に役立つことが期待される.
著者
保母 敏行 山田 正昭 鈴木 喬繁 荒木 峻 下山 晃 PONNAMPERUMA Cyril
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.T71-T76, 1981-06-05

アミノ酸光学異性体の同定を信頼性高く行う方法として固定相が互いに光学異性体である2本のカラムを用いる方法について検討した.まず,固定相としてN-ラウロイル-D-バリン-Z-ブチルアミドあるいはN-ラウロイル-L-バリン-t-ブチルアミドをウィスカーウォール型毛管に塗布したカラムを作り,各種アミノ酸の保持指標とその再現性,D体とL体の分離係数などを調べた.更に,両カラムを使い,両固定相の光学活性度決定及び抗生物質グラミシジンJを構成する一部アミノ酸のキラリティー決定を試みた.キラリティーの異なる2本のカラムを使用することの有効性が確かめられた.
著者
山田 正 萬矢 敦啓 安田 浩保 藤田 一郎 山田 朋人 清水 義彦 長坂 俊成
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、経験的要素を排除した数理科学的な河川計画のあり方を提示した。従来型の河川計画では、基本高水位や計画高水位は、決定論的に一つの値が決められ、それに基づいて計画が立案されてきたが、水文諸量には観測手法の違いやその精度といった不確実な要素を内包している。本研究の成果である不確実性を考慮した極値統計理論と流出解析手法より得られる水位の分布(不確実性)は、洪水時の避難情報発令タイミングを議論する素材として極めて有用であることを示した。さらに、従来は経験的に取り扱っていた流砂量や河道形状の抵抗を、不確実性として河川計画に取り込むことで、新たな社会認識に対応した数理科学的な計画手法を提示した。
著者
池永 均 向山 公人 大島 伸介 山田 正
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.628, pp.77-96, 1999
被引用文献数
1

塩淡二成層を有する汽水湖沼の長期的な界面変動予測手法の開発を目的に, 集中定数型の数値予測モデルを提案した. それを用いて, 1975年以降における網走湖の界面変動のシミュレーションを行い, モデルの適用性と塩水化の機構について検討した. 網走湖の界面変動は, 上流河川からの流入とそれに伴う湖内塩水の流出形態に依存する. 界面水位がピークを示す1987年を境に, それ以前は連行現象に起因する塩水流出成分が卓越するのに対し, それ以降では吸い上げによる流出形態が支配的となる. ここではそれぞれの流出形態を同時に考慮した塩水流出モデルを界面変動予測モデル組み立てることにより, 網走湖における過去20年間の塩淡境界の変動を実用上の精度で再現できることを明らかにした.
著者
山田 正人
出版者
星城大学
雑誌
星城大学経営学部研究紀要
巻号頁・発行日
vol.8, pp.89-96, 2009-09-30
著者
佐藤 安貴 正木 慎也 梅本 萌李 山本 浩貴 小山田 正人
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.90-102, 2021-04-01 (Released:2021-05-15)
参考文献数
35

【目的】摂食障害は,若年女子に好発する難治性の疾患で,治療の優先事項は栄養改善である。摂食障害の10~20%に自閉スペクトラム症が合併し,合併例は予後不良例が多く,治療では自閉スペクトラム症の特性に着目した対応が必要となる。摂食障害を発症し入院した自閉スペクトラム症女児2症例に,チーム医療の一環として自閉スペクトラム症の特性に着目した栄養指導を実施したので,報告する。【方法】対象は,摂食障害治療を目的に精神科病院へ入院した自閉スペクトラム症の15歳女児2名である。症例1は,体重管理の厳しい審美系スポーツの選手で,過剰な運動と食事制限から低体重となり入院した。症例2は,ストレス時に拒食反応を示す病態で,拒食による急激な体重減少で入院した。管理栄養士は,自閉スペクトラム症の特性に着目し,1)褒めて労う,2)視覚情報の利用,3)具体的説明の繰り返しを基本に栄養指導を行った。【結果】症例1は,1週間毎に増加する食事を全量摂取するとともに,活動量を減少させることにより,目標体重を達成した。症例2は,拒食が消失し目標体重を達成した。【結論】摂食障害と自閉スペクトラム症合併2症例において,自閉スペクトラム症の特性に着目した1)褒めて労う,2)視覚情報の利用,3)具体的説明の繰り返しを基本とした栄養指導の有用性が示唆された。
著者
広瀬 隆則 山田 順子 山本 洋介 佐野 暢哉 日野 明子 古本 博孝 山田 正代 佐野 壽昭
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.233-237, 1997-03-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
10
被引用文献数
4 4

子宮頸部にはまれに神経内分泌癌が発生することが知られている. 30歳, 妊娠29週の女性の子宮頸部に発生した小細胞性神経内分泌癌の1例を経験したので, 細胞所見を中心に報告した. 患者は不正性器出血を主訴として来院し, 頸部前唇にピンポン玉大の腫瘍が見出されたため, 広範子宮全摘出手術が行われた. 術後, 大量化学療法と末梢血幹細胞移植が施行されたが, 合併症のため約7ヵ月後に死亡した. 擦過細胞診では, 小型で裸核状の腫瘍細胞が壊死物質を背景に孤立散在性ないし結合性の弱い小集塊として認められ, 肺小細胞癌の細胞所見に類似していた. 組織学的に腫瘍細胞は, 胞巣状, 索状ないしリボン状に配列し, 多くの細胞でGrimelius法により好銀顆粒が証明された. 免疫組織化学的に, Chromogranin A, neuron specific enolase, synaptophysinなどの神経性マーカーが陽性を呈しており, 小細胞性神経内分泌癌と診断された. 本腫瘍は, 小細胞性扁平上皮癌や低分化腺癌との鑑別が難しいが, これらの腫瘍より進行が早く悪性度が高いので, 早期に診断し強力な治療を開始することが大切である. 診断上, 細胞診のはたす役割は大きいと考えられた.
著者
山田 正喜子
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.49-69, 1976-10-15 (Released:2009-11-06)
参考文献数
23

In U. S. A., the big business organization is the most prominent and powerful institution. In fact, big business is so strong that every American feels its influence in everyday life. Also big business itself knows quite well its behavior is observed by public. Accordingly, it has become fashionable for many business leaders to advocate “the social responsibility of business”. However, there is no agreement on a definition or concept of corporate social responsibilities. No one argues that management does not have a direct responsibility to stockholders, or that the corporation is not interested in profits. Debate arises over priorities of obligation to stockholders, workers, and consumers. Should a corporation concern itself with things such as racial porblems, unemployment, city problems (slum or urban ugliness), pollution of water and air, cultural deserts, political life and so on ?For example, Milton Freedman argues that the single task of managers is to employ the capital of their stockholders in the most profitable manner for the benefit of stockholders and not in the service of some public interest ; his main point of view is based on the classical allocation theory that price and marginal cost will tend to be roughly equal, rewards to the factors of production will relate to their respective marginal contribution to production, and resources will be used in the most efficient manner. For him, retaining the competitive market system. insisting on the importance of the profit motive, and giving the generous rein to supply and demand mean greater production.On the other hand, G. K. Galbraith points out that the assumption of classical price theory has lost most of its validity in mid-twentieth century since the modern American capitalist system depends on and revolves around the operations of a relatively few large corporations. That is to say, competition within the system of corporate concentrates produces results quite different from the balanced economy expounded by Adam Smith.However, if we look at historical movements of corporate social responsibilities in U. S. A., we will realize that there has been a great diversity of reactions from business toward them. Eventually, we recognize that any of these arguments on the above discusses only about one aspect of the corporate social responsibility and gives us no definite answer. But if we consider the corporate organization as an open system and also the society as a total open system including a production subsystem, political subsystem, and so on, we will possibly get better explanations on the debate and why American corporations have been extending their range of social responsibilities in a historical process of the growth of the American industry.In this paper, I will discuss why using the open system theory approach can be useful for analysing historical movements of the corporate social responsibility and show an applicability of the theory by analysing three cases in each different phase of the American business history.