著者
山田 雅子
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.109-120, 2015-05-01

肌の記憶色は,実際よりも高明度であるとの研究があるが(児玉, 1975),自分自身の肌の場合も同様に,より明るい色がイメージされることが報告された(山田, 2010).本研究では特に自己の肌のイメージと実際との差異における個人差に注目し,当該ずれのパタンの抽出とその背景要因の分析を試みた.日本人女子学生82名を対象として実験調査を行った結果,化粧肌,素肌の何れの場合も,色相のずれの方向性と明度のずれの大小において個人差が抽出され,また,これらのずれの特徴は自身の理想や他者としての男女の肌のイメージの傾向としてもほぼ一貫して現れることが判明した.更に,こうした個人差が生じる背景要因を探ったところ,化粧時間や肌の悩みとの関係は不明瞭であったが,予想と実測の明度差が比較的小さい対象者は,ジェンダーに対して伝統的な価値観を持つことが明らかとなり,視覚的な接触時間以上に肌という対象の中心性の影響が推察された.
著者
井上 隆信 永淵 修 山田 俊郎
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

インドネシアのカリマン島のカハヤン川流域では金採掘が活発であり、下流に位置する中央カリマンタン州の州都のパランカラヤ市では、金採掘に伴う水銀汚染が社会問題となっている。本研究では、カハヤン川と主な支川であるルンガン川について、河川水、底質、魚の水銀濃度の調査を行い、汚染レベルの調査を実施した。カハヤン川ではパランカラヤの上流約100kmのツバングミリまで、ルンガン川ではカハヤン川流入地点から約50km上流のムングクバルまでの問で、本川と支川で行った。河川水の総水銀濃度は、200ng/L以下であり、インドネシアの環境基準の1000ng/Lよりは低かった。濃度の高い場所は、金採掘の盛んな地域の支川であり、金採掘近傍の地域では高濃度になる可能性があることがわかった。河川底質の総水銀濃度は0.01〜0.1mg-Hg/kg-DWであり、他の汚染地域と比べて高くなかった。魚中の濃度は0.02〜0.5mg-Hg/kgであり、特に底生魚のナマズの一種で高かった。最高濃度は、厚生労働省が発表した「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」で2週に一度の摂食が望ましいとされる魚と同程度の濃度(注意が必要な魚の4段階のレベルで上から3番目)であった。カハヤン川沿いには部落が点在し、農業と漁業により自給自足的な生活をしている。イスラム教徒の割合が高く豚肉と牛肉は食べないため、魚は鶏肉とともに重要なタンパク源となっている。これらのことから、現時点では金採掘に伴う水銀排出による河川の水銀汚染が深刻な状況までに至っていないと考えられるが、魚を通して、人体への影響が懸念される状況であり、今後のさらなるモニタリングが必要な状況であった。
著者
山田
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
no.99, pp.326-327, 1890-05-26
著者
山田 幸子 高山 浩明
出版者
社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.893-908, 1988-09-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
76
被引用文献数
7 8

Recent advances in the chemistry of 3- sulfolene, 2, 5- dihydrothiophene 1, 1-dioxide, are reviewed from a view point of diene synthesis. Reaction of 3- sulfolene α- carbanion generated under a variety of basic conditions with various electrophiles followed by a stereoselective desulfonylation provides a new method for synthesizing (E) -, (E, Z) -, and (E, E) -conjugated dienes with extremely high stereoselectivity. The method is applied to the syntheses of various natural products having a conjugated diene structure. 3-Sulfolenes are used as masked dienes in the syntheses of cyclic compounds including natural products via inter- and intramolecular Diels-Alder reactions. Some other developments of the chemistry of 3-sulfolenes and its benzo analogs, benzo [c] -1, 3-dihydrothiophene 2, 2-dioxides, are briefly reviewed.
著者
横山 優樹 高比良 英朗 望月 信哉 山田 光穗
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.J298-J305, 2015 (Released:2015-09-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2

われわれは電子端末の使いやすさ,見やすさについて,目のピント調節と輻輳眼球運動の追従精度から評価できないか検討を行っている.視標を奥行き方向にリニアに移動させることができる装置と組合せ,眼球の水晶体調節と輻輳眼球運動を同時に測定する実験装置を開発し,表示媒体,フォントサイズ,文字フォントといったパラメータを変化させ,奥行き方向に移動させた際の輻輳眼球運動と調節応答の分析を行った.その結果,調節変化量は奥行き移動量に近いものの,表示媒体,フォントサイズ,文字フォントによって違いがあること,輻輳の変化量は,これらのパラメータに依存する傾向はあまりみられなかった.
著者
山田 則子 田渕 三保子
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
山形県立米沢女子短期大学紀要 (ISSN:02880725)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.115-120, 2002-12-27
被引用文献数
1

ウコギの生理活性がカット野菜の栄養成分の変化に及ぼす影響を明らかにするために、カット処理によるキャベツおよびキュウリのビタミンC含量の変動を調べ、ウコギ抽出液の浸積処理が千切りキャベツのビタミンC含量に及ぼす影響を検討した。(1) 野菜のカット処理はビタミンC量を減少させたが、その減少率は野菜の種類により異なり、キャベツでは約20%、キュウリは50%以上であった。また、カット後の冷蔵保存5日目のビタミンC量の減少はキャベツでは約20%であったが、キュウリのビタミンCはほとんど残存していなかった。(2) ウコギ抽出液に30分浸積した千切りキャベツのビタミンC含量の減少はほとんど認められなかった。しかし各溶液浸積によるビタミンC含量の減少は、食塩水10%、蒸留水20%、次亜塩素酸ナトリウム溶液27%、クエン酸溶液48%、酢酸溶液69%であった。(3) 浸積処理後の千切りキャベツの冷蔵保存3日目のビタミンC含量はウコギ抽出液、食塩水、蒸留水、次亜塩素酸ナトリウム溶液処理ではいずれも未処理の場合と同様に約10%の減少を示したが、クエン酸溶液と酢酸溶液処理では約60%大きく低下した。以上の結果から、ウコギ抽出液はカット野菜のビタミンC含量の保持に有用であることが示唆された。
著者
山田 功夫
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.259-262, 2001-03-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
2
被引用文献数
1 2
著者
片岡 洋右 山田 祐理
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第38回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.26-27, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
8

固体の融解で得られる液体における分子運動を見やすくするために、面心立方格子の単位胞の融解を分子動力学法で調べた。その結果,基本セルに4個の系でも864分子系の融解同様に振動的運動に加えて拡散運動が存在するという分子運動の特徴が見えることが分かった。
著者
山田 信行
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.179-193, 2014 (Released:2015-09-30)
参考文献数
24

主として1990年代後半以降, とりわけ先進社会においては, グローバル化のもとで労働運動の再活性化が指摘されるようになり, その1つのタイプとして社会運動ユニオニズムが注目を集めている. 本稿においては, 社会運動ユニオニズムの特徴を確認したうえで, 「コーポレート・キャンペーン」にみられるように, このタイプの労働運動が私的な労使関係に「公共性」をもたせることをその戦術として採用していることに注目する. この労働運動が志向する社会制度の形成・改変にあたって, あらゆる社会勢力に利害関心をインプットする回路を開いている資本主義国家の構造的特質を利用して, 「フォーラム型」労働運動のかたちをとって, 広範かつ継続的な組織連携を戦略として採用していることを強調したい. そのうえで, 資本主義社会における国家との関連において, 「公共圏」概念を再検討し, 社会運動ユニオニズムが, 労働運動としてふたたび「公共圏」 (「労働者的公共圏」) を形成する性格を回復していることを明らかにする.
著者
千原 理沙 角野 猛 山田 幸二
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.62-68, 2002-06-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

ブドゥは, Stolenpkorus種の小鰯を砕いたものを塩漬けし, それにタマリンドを加え, 数ケ月間, 環境温度によって発酵させたマレーシアの魚醤油である.その諸成分と微生物について検討し, 次の知見を得た.1) Na量, K量, 食塩濃度及びNa/K比はそれぞれ, 平均13, 200mg/100g, 275mg/100g, 33.6%及び48.4で, 東南アジア各国で製造された魚の塩蔵発酵食品中最も高い食塩濃度を示す調味料であった.2) 遊離アミノ酸総量は平均5, 642mg/100であった.主な遊離アミノ酸は, グルタミン酸, ロイシン, リジン, アラニン及びアスパラギン酸であり, 遊離アミノ酸量の最も多い範疇に入る魚醤油であった.また, グルタミン酸量の割合は17.5%であった.3) 脂肪量は平均0.69%であった.主な脂肪酸は, C16:0, C18:0, C22: 6であり, 他の種類の魚醤油と類似していた.4) 一般生菌数は平均4.38 (log/g) であった.また, 腸内細菌科の細菌, 大腸菌群及び黄色ブドウ球菌は検出されず, 衛生細菌学的には不良な結果を得るものではなかった.5) 分離されたBacillus属細菌はB. lickeniformis, B. megaterium, B.pumilus, B.subtilisおよびB.cereusであった.これらの至適発育温度は30℃ -42℃, 塩化ナトリウム濃度15%以上で発育が阻止された.6) 分離された、Staphylococcus属細菌はS.xylosus及びS.cokniiでいずれも非病原性の細菌であった.
著者
三木 孝 山田 泰宏 服部 哲 速水 治夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.58, pp.1-5, 2014-03-06

Twitter は身の回りの出来事などを手軽に投稿できる Web サービスである.Twitter では投稿することをツイートと称し,利用者は様々な場面でツイートすることができる.本論文ではTV番組を視聴しながらツイートしている実況者といわれるユーザに着目する.近年,実況者によるツイートを用いた TV 番組のネタばらしが多い.大抵の実況者は特定のハッシュタグを付加したツイートをするが,中にはハッシュタグを付加せずツイートをする実況者も存在する.実況者をフォローしているユーザは自身のタイムラインが放映時間中に実況者のツイートで埋まってしまい,必要なツイートが見ることができなくなってしまう.また,リアルタイムで観ることができず,後日録画した番組を観る場合,話の筋や結末を知ってしまっているので観る楽しさが減少する.現状で特定のキーワードを含むツイートを非表示に設定できるクライアントは存在するが,それだけではネタばらしのツイートのすべてを非表示にできない.本論文では,ハッシュタグ付加ツイートをTV番組放送時間中に取得と解析を行い,頻繁にツイートされているキーワードを抜き出し,自動的に非表示する.解析した結果から共通するキーワードが含まれるツイートをタイムライン上から非表示にすることでネタばらしを防止するシステムを提案する.提案システムはネタばらしツイートの非表示を優先することとした.このため,ネタばらしでないツイートも非表示になることも多少あるがそれは致し方ないこととした.2 種類の評価実験の結果,提案システムは高評価を得た.Twitter is a Web service that can post with ease and events around us. It can be called tweets to be posted on Twitter, user Tweets in various situations. Attention is paid to the user which is said to live who tweeted while watching a TV program in the present study. In recent years, spoilers of the TV program using a live tweet by the person in many cases. Live 's most a tweet obtained by adding a hash tag of particular, who live a tweet it without adding the hash tag is also present in. Timeline of itself would be filled with tweets live person to broadcast during the time, a user who follows live person can no longer be seen is required tweet. Further, pleasure to watch is reduced if it can not be viewed in real time, and view the recorded program later, because it has known consequences or story line. Client that can be set to hide the tweet that contains specific keywords in the present circumstances exist, but it can not hide all of the tweets spoilers. In this paper, we analyze and get to a TV program broadcasting time in the hash -tagged tweet, extracting keywords that are frequently tweet, it is automatically hidden. We propose a system for preventing the spoilers by hide from timeline tweets keywords in common from the results of the analysis and the like. The proposed system was decided to give priority to the non-display of tweet spoilers. For this reason, there is also some that tweet you do not spoilers also be hidden, but it was decided can not be helped. Results of the evaluation two experiments, the proposed system is to obtain a high evaluation.
著者
山田 実
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.200-202, 1988-04-25 (Released:2010-06-22)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

One of the causes of voice disorder, especially among professional singers or voice students, is overstraining of vocal folds due to improper vocalization, especially breathing. Natural breathing, i.e. inhalation and exhalation, is caused by contraction and relaxation of the diaphragm. For speech or singing, this exhalation has to be done slowly, and in normal speech this is controlled by closing the glottis autmatically and unconsciously. The air pressure and the glottis closure should be well balanced at all times. When a person trys to increase the volume of his voice by stopping the air at the glottis by contracting the vocal folds, the disorder arises. Therefore, the decreasing of the air flow speed must be done solely by the breathing organs themselves. In singing the exhalation can be controlled by the intervention of the muscles used in inhalation, not by closure of the vocal folds alone.The best abdominal exhalation control may be achieved by using the air from the neutral position towards the exhalating direction rather than from the inhalating position to the neutral, and this practice requires special exercise.The exercises should cover three different fields, namely breathing, phonation and articulation. Each exercise should have two parts, recognition and training. The training may be further classfied as partial, co-operative and comprehensive. For example, the contractions and relaxations of both costal and abdominal muscles should first be felt individually and then be trained one after the other separately and co-operatively. Singing /a/ is already considered a comprehensive exercise involving the mustles of costal inhalation, abdominal inhalation and exhalation, laryngeal control muscles, and closing and expanding of the vocal folds.The age and the singing experience of the trained should also be considered.
著者
山田 嘉人 山口 泰
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.4, pp.1-6, 2010-09-01

モノクロマンガをカラー化するにあたっては,塗りつぶすための領域判定が必要となる.本研究では画像が持つパターンとエッジの情報を組み合わせることで,塗りつぶす領域を簡単に判定ができるような手法を提案した.パターン認識にはハールウェーブレット変換を,領域判定にはグラフカットを用いている。これらの手法を組み合わせた上で,ユーザの入力がなるべく簡単になるようパラメータの調整やUIの実装を行っている.Segmentation is crucial for colorizing old Manga which is usually monochromatic. This paper proposes a new segmentation algorithm for Manga colorization based on patterns and edges within an original image. The algorithm exploits Haar wavelet transform for pattern analysis and Canny edge detector for extracting edges from an image. Graph-cut is used for optimizing the result. The paper also explains some methods for tuning parameters and GUI implementation to improve user-friendliness.
著者
熊木 雅代 山田 誠 浜崎 健児 高村 仁知 高田 将志 和田 恵次
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-17, 2015 (Released:2015-04-08)
参考文献数
30

和歌山県における面源汚染の実態を広域的に把握するため,土地利用と河川水質の関連性について,県内の18河川を対象に定量評価した.具体的には,河川水中の主要な溶存成分を測定し,GIS (Geographical information system)データを用いて算出した流域の土地利用面積割合との相関を調べた.その結果,北部・中央部(以降,北中部と記す)の河川で面源汚染が進んでいることが明らかとなった.これは,下水道普及率の低い和歌山県においては,住宅地が多い北中部で,面源負荷が多いためと考えられる.また,特に中部河川では,果樹園に由来する面源負荷も大きく,栽培する果樹の種類による施肥量の違いや,元々の土壌生産性,降水量などの自然条件の違いが影響しているとみられる.一方,南部の河川では,流域の大部分が樹林地に覆われ,人為的な環境負荷が少ないため,面源汚染の影響はほとんど見られなかった.

1 0 0 0 SSB送受信機

著者
山田浩 著
出版者
オーム社
巻号頁・発行日
1959