著者
岩田 祐美 田島 明子
雑誌
リハビリテーション科学ジャーナル = Journal of Rehabilitation Sciences
巻号頁・発行日
vol.12, pp.135-146, 2017-03-31

背景:1993 年より促進された社会的公正の理論の作業療法への適応と,その後概念化された作業的公正について,どちらも日本で広まりつつあるが,文献は少なく,日本での作業的公正に関する概念は議論途上である. 目的:国外の作業療法士が作業的公正という概念のもと行なっている調査研究を経年的に調べ介入と規範の具体例と傾向を明らかにすること. 方法:PubMed にてOccupational Justice で検索した.検索された論文のうち調査研究を分析対象とし,作業的公正,不公正の実例を抜き出した.さらに調査研究の目的・方法・OT の介入や規範についてレビューマトリックスを用いてまとめた. 結果と考察:作業的公正,作業的不公正の実例は日本の作業療法で対象とならない事例が多かった.作業的公正についての調査研究で述べられた作業療法士の規範をまとめると,対象者個人の作業を通した社会参加の支援に加え,作業療法士の社会への関わりの必要性が示された.国外文献の調査と,それらを障害の社会モデルの視点を取り入れて慎重かつ丁寧に分析すること,そして国内での発展が望まれる.
著者
澤田 隆介 岩田 通夫 梅崎 雅人 臼井 義比古 小林 敏一 窪野 孝貴 林 周作 門脇 真 山西 芳裕
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第41回ケモインフォマティクス討論会 熊本
巻号頁・発行日
pp.2B01, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
2

漢方薬(漢方方剤と呼ばれる葛根湯など)による医療は日本の独創的かつ伝統的な治療体系である。その有用性は、欧米でも注目されている。本研究では、富山大学和漢医薬学総合研究所が長年に渡り蓄積してきた莫大な漢方医薬情報を、統合的に解析するための情報技術を開発し、漢方薬の作用機序の科学的考察や、漢方薬の新規効能予測を行うアルゴリズムやデータベースを開発した。漢方薬、その構成生薬及び成分化合物と標的タンパク質の階層的関係から、漢方薬が生体に薬理学的効果を及ぼすメカニズムの考察を可能にするだけでなく、in silico結合シミュレーションや機械学習の手法を用いて、漢方関連ビッグデータを解析することにより、漢方薬の新しい適応可能疾患の予測(漢方薬リポジショニング)も可能にした。本研究で構築したデータベース「KampoDB」は、web上で公開している(http://wakanmoview.inm.u-toyama.ac.jp/kampo/)。
著者
岩田 正隆
出版者
名古屋商科大学
雑誌
NUCB journal of economics and information science (ISSN:13466097)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.141-146, 2016-03

新制度派経済学・情報の経済学に刑事政策等の知見を取り入れ、社会的制裁の効果について行い得る研究について概観する。
著者
岩田 勝哉
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.184-192, 1998-09-30 (Released:2011-03-14)
参考文献数
57
被引用文献数
2
著者
松村 豊大 岩田 真由子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.82, pp.57-63, 2011-09

This paper was written by Mayuko IWATA as a Senior Thesis at the Faculty of Policy Sciences, TOKUSHIMA BUNRI University, and corrected by Professor Toyota MATSUMURA. Policy Sciences consists by many parts of knowledge (ex. economics, jurisprudence, politics, information technology and administration) and this paper cavers one area of study of the Policy Sciences Faculty. This paper consists of five parts. First, we insist "Manga" is culture. We point out the meaning of culture is ambiguous, the difference of Manga and picture. Second, we describe the problem when Manga is put in a library or museum. Third, we describe that the act by KYOTO Manga museum and the concept of National Museum of Media Arts, interest about Manga is rising worldwide. We insist that the Japanese public sector had better work harder to spread Manga. culture. Next, we propose that the original picture of Manga should be kept as electrical datum. In the conclusion, we hope the people's understanding about Manga will change because people are independent actors for Manga culture.
著者
大岩 幸太 宮崎 雪乃 岩田 萌実 小川 博 安藤 元一
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.200-208, 2014-12-15

厚木市の中山間地域と平地農業地域における獣害に対する住民感情を2009-2010年にアンケート調査し,1,462件の回答を得た。販売農家は中山間地域で9割以上,平地農業地域で5割が獣害被害を受けていた。いずれの地域でも農作業への関わりの高い住民は野生動物に強い「怒り」を感じるのに対し,農作業への関わりが低くなると「かわいい,うれしい」と感じる傾向が見られた。捕獲駆除については,中山間地域では農作業に関わりの高い住民の賛成率が高まる傾向があったのに対し,平地農業地域では逆の傾向がみられた。性別で見ると,男性の捕獲駆除賛成率が中山間地において高かったのに対し,女性における地域差は少なかった。行政への要望として,中山間地域では情報提供や資金・物品提供など農地を守るために直接役立つ対策への要望が強かったが多いのに対し,駆除の促進への要望順位は低かった。しかし,アンケートから判明した住民の求める要望と,行政が行っている実際の獣害対策を比較すると,住民の要望が反映されているのは駆除対策だけであった。
著者
渡辺 伸一 野田 琢嗣 小泉 拓也 依田 憲 吉田 誠 岩田 高志 西澤 秀明 奥山 隼一 青木 かがり 木村 里子 坂本 健太郎 高橋 晃周 前川 卓也 楢崎 友子 三田村 啓理 佐藤 克文
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.9-22, 2023 (Released:2023-04-21)
参考文献数
33

バイオロギング(biologging)とは、動物に様々なセンサーを取りつけて動物の行動や生態およびその周辺環境を調べる手法である。今世紀に入り、バイオロギングデータを共有するウェブ上の電子基盤システムとなるプラットフォームが世界各国で次々と構築されている。一方、日本国内で取得されたバイオロギングデータの共有は立ち後れている。本稿では、日本国内のバイオロギングデータを保存・管理・利用するために新たに開発したプラットフォーム(Biologging intelligent Platform: BiP)について紹介する。BiP の仕様を決めるにあたり、既存の12 のプラットフォームが格納するデータの種類や解析機能に関する特徴6 項目を3 段階で評価し、格納するデータ量の増大に寄与する特徴について考察し、その結果をもとにBiP の仕様、ならびに今後発展すべき方向性について検討した。既存プラットフォームを比較した結果、格納するデータ量の増加には、データ公開レベルとデータタイプの自由度が高く、データ解析ツールの充実度が高いという特徴が寄与していた。これらの特徴を踏まえてデータ公開レベルとデータタイプの自由度を高めるようにBiP を設計した。さらに次に示すBiP 独自のウェブ解析システム(Online Analytical Processing: OLAP)を搭載した。BiP のOLAP は次のような機能を持つ:1)バイオロギング機器によって得られたセンサーデータ(Level 0)をBiPウェブサイトへアップロードし、個体や装着時のメタデータを入力すると、動物の放出前や機器の回収後の不要部分を除去して、標準形式へ変換したLevel 1 データを作成する。2)GPS データをもとに、海流・風・波浪といった海洋物理情報(Level 2 データ)を抽出できる。3)登録者が公開設定したデータの場合、利用者はLevel 1, 2 データをCSV 形式およびネットワーク共通データ形式(Network Common Data Form: NetCDF)でダウンロードできる。今後は、海洋物理情報をグリッド化したLevel 3 データを生成する機能を付与し、対象種を海洋動物から陸生動物まで、対象地域も全世界へと広げて、収集するデータの質と量を増大させる計画である。
著者
打浪 文子 岩田 一成 熊野 正 後藤 功雄 田中 英輝 大塚 裕子
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.29-41, 2017-09-30 (Released:2018-02-07)
参考文献数
30
被引用文献数
1

本研究では,知的障害者に対する「わかりやすい」情報提供を実践する媒体である「ステージ」と,外国人向けの「やさしい日本語」で時事情報の配信を行うNHKの「NEWSWEB EASY」(以下NWE),およびNWE記事の書き換え元であるNHKの一般向けニュース原稿の3つのメディアのテキストを,文長や記事長,難易度や使用語彙の観点から計量的および質的に分析し,その共通点および相違点を明らかにした.分析の結果から,ステージとNWEの共通点として形態素数や和語の率が近いことや,「外来語」や「人の属性を表す語」などの名詞や動詞を中心とした難解語彙の群があることが示された.また相違点として,ステージには副詞や接辞等に「やさしい日本語」の基準に照らせば書きかえ可能なものがあること,さらにステージのみの特徴として同じ動詞をさまざまな形で重ねて使っていることが示された.条件を統制した上で上記3つのメディアの共通・相違性に関する比較研究を深めること,知的障害者向けの情報提供のさらなる分析と知見の収集を行うこと,従来の研究領域を超える「言語的な困難を有する人」すべてを対象とした「わかりやすい」日本語による情報保障の具体的な方法を提示することの3点が本研究の今後の課題である.
著者
岩田 健太郎 野口 善令 土井 朝子 西本 隆
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.289-302, 2013
被引用文献数
1

迅速診断検査(RIDT)とノイラミニダーゼ阻害薬(NI)が開発され,インフルエンザ診療の様相は激変した。しかし,RIDT の感度の低さ,副作用や薬剤耐性など NI の問題もあり,その診療は未だ最適とは言えない。そこで,インフルエンザをウイルスという「モノ」ではなく「現象」として認識し,漢方薬を治療選択に加えた診療意思決定モデルを開発した。まず患者の重症度を吟味し,重症・ハイリスク患者では RIDT に関係なく NI 点滴を基本とする。重症でもハイリスクでもない場合は,NI か漢方薬を患者に選択させ,前者の場合は検査前確率が50%未満で RIDT を用い,それ以上では事後確率への影響の低さから RIDT を行わない。漢方薬では「現象」を対象としているため,原則として RIDT は行わないものとした。本モデルでは RIDT を選択的に行うことで検査属性を活かし,かつ検査の乱用や誤解釈を回避することが可能になる。
著者
岩田 貴樹
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.61, no.Supplement, pp.133-141, 2009-07-31 (Released:2013-11-21)
参考文献数
70
被引用文献数
3

In recent years, many researchers in seismicity analysis have focused on earthquake triggering or fault interactions.To evaluate these phenomena quantitatively, models for the spatio-temporal distribution of seismic activity have been constructed. This review paper introduces two important models : the ETAS (epidemic-type aftershock sequence) model developed by Y. Ogata and a seismicity model based on rate- and state-dependent friction law by J. Dieterich. The former is a pure statistical model, while the latter includes some physical parameters in its derivation.These two models now play separate role in probabilistic earthquake forecasting. For further achievement in the probabilistic earthquake forecasting, the integration of the two contrasting models should be considered. Further development of models would give new insights into earthquake occurrence.