著者
嶋田 有紗 吉田 英樹 志田 航平 中村 洋平 前田 貴哉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.35-41, 2018 (Released:2018-04-06)
参考文献数
13

本研究では,ホットパック(HP)とストレッチングの同時施行によりHP施行時間の短縮が可能か検討した。健常者17名の左右いずれかのハムストリングスを対象とした。全対象者にHPでの大腿後面の加温開始前(基準)と加温開始5分後および20分後にHPを適用したままストレッチング(股・膝関節90°屈曲位とした仰臥位での膝最大自動伸展運動)を行う条件(同時施行条件)と,HPを適用せずに同時施行条件と同一時点でストレッチングのみ行う条件の2条件を日を改めて実施した。検討項目は,各条件の各時点におけるハムストリングスの伸張痛の程度(NRS)とストレッチング時の膝最大伸展角度とした。結果,同時施行条件でのみ基準と比較して加温開始5分後および20分後での同等のNRSの有意な軽減と膝最大伸展角度の有意な増加を認めた。以上から,HPとストレッチングの同時施行によりHP施行時間を5分まで短縮可能と考えられた。
著者
嶋田 哲郎 溝田 智俊
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.52-62, 2011 (Released:2011-05-28)
参考文献数
60
被引用文献数
3 2

マガン個体数が回復・増加した1975年から2005年の30年間における農産業の変化とそれにともなうマガンの食物資源量の変化および農作物被害の発生とについて,日本最大の越冬地である宮城県北部における経緯について論じた.1975~2005年にかけての減反政策にともない,水田面積は30%減少した.その間,圃場整備率は30%から61%に上昇し,それにともないバインダーからより落ち籾量の多いコンバインへの置換が進んだ.落ち籾現存量は,1975年から1995年にかけて2倍に増加したが,1995年以降は頭打ちとなった.1990年代後半になると,転作作物,中でも大豆の作付面積が増加した.落ち籾現存量をあわせた食物資源量全体をみると,落ち籾現存量は1995年以降頭打ちになったものの,その分を補填する形で転作作物現存量の増加にともなって食物資源量全体は増加した.こうした農地の利用形態の変化とマガンの個体数増加は,マガンが利用する採食地分布にも変化をひきおこした.2000年以降になると麦類や野菜類などへの農作物被害が顕在化した.被害はマガン個体数増加にともない落ち籾や落ち大豆などの収穫残滓を早期に食べ尽くすようになり,選択の余地のない必然的な状態で生じていた.しかしながら,捕食圧の低い場合には農作物の生産性を高める例もあり,適切な個体数管理によって農業に利益をもたらす可能性があることを示唆している.本稿は人間社会が本種に与える影響の強さを明らかにしたものであり,人間社会をモニタリングすることが本種の保全管理の上で必要不可欠であることが示された.
著者
森本 浩志 木下 奈緒子 嶋田 洋徳
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.33-39, 2011 (Released:2011-06-01)
参考文献数
14
被引用文献数
2

The aim of this study was developing the reason for selection of coping scale which measures the degree of selecting the coping for controlling/obtaining the positive things (the selection for accessing one's purpose) and for controlling/removing the negative things (the selection for avoiding negative things), and examined its reliability and validity. Six hundred sixty two workers, undergraduate students, and graduate students were asked to complete questionnaire. According to the results of analyses, the reason for selection of coping scale was consisted of two factors (the selection for accessing one's purpose and the selection for avoiding negative things) and its reliability and validity was confirmed. Finally, the importance of the reason for selection of coping scale and the limitation of this study were discussed.
著者
松嵜 久実 小熊 順子 嶋田 美津江 マツザキ ヒサミ オグマ ジュンコ シマダ ミツエ Hisami Matsuzaki Jyunko Oguma Mitsue Shimada
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.35, pp.71-105, 2005-12

Although professors try to keep classrooms quiet, some students keep on chatting with each other. Both professors and students deeply worry about a noisy circumstance. Professors in the nursing care department have already noticed that the circumstance of classes have been deteriorating year by year. Some professors fear that some students would never study even if they attend classes. Therefore the department conducted a survey concerning chat in classes, distributing questionnaire to each student during classes. The survey reveals interesting tendencies among students. Firstly, there are some hard core students that always chat and destroy circumstances of classes. Secondly, most students wish to listen to lessons quietly, however they cannot keep to be quiet against their wish. Thirdly, their interest to accomplishment of study and to other students affect their wish to be quiet. Some proposals are made upon these fact-findings.
著者
北澄 忠雄 貞包 典子 嶋田 和幸 小沢 利男
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-12, 1985
被引用文献数
1

自律神経機能検査ならびに血漿ノルエピネフリン (以下PNE), リンパ球β受容体の測定を行ない, 交感神経と副交感神経による循環調節機能に及ぼす加齢と高血圧の影響を検討した. 対象は正常血圧者 (140/80mmHg以下) 54名 (14~77歳) と本態性高血圧 (160/95mmHg以上) 36名 (40~78歳) である. 方法は Valsalva 試験, 70度起立試験, 寒冷昇圧試験, アトロピン (0.02mg/kg) 静注負荷試験を行ない, PNEと血漿レニン活性 (PRA) を測定した. 自律神経機能の評価は Valsalva 試験は第II相および第IV相における収縮期血圧に対する心拍数の回帰係数 (Baroreflex Sensitivity Index, BRSI), 起立試験は起立時心拍数, 血圧, PNEとPRAの変化, 寒冷昇圧試験とアトロピン負荷試験は心拍数と血圧の変化を観察した. β受容体はリンパ球を分離し<sup>125</sup>Iodocyanopindolol と結合させ結合容量と結合親和性を測定した.<br>結果: 1) Valsalva 試験での第II相及び第IV相のBRSIは加齢と共に低下し (p<0.01), 高血圧群 (H群) は正常血圧群 (N群) に比べ第II相で有意に低下した (p<0.05). 2) 起立時の血圧低下度は加齢の影響が少ないが, 心拍数増加度 (ΔHR) は若年群に比し中老年群で有意に低かった. 安静時PNEは加齢に伴ない上昇した (r=0.315, p<0.05). ΔHRとPNEの増加度 (ΔPNE) との間に有意の相関があり, ΔHR/ΔPNEの値は加齢に伴って低下した (r=0.498, p<0.01). H群でも同様の傾向がみられた. (p<0.05). PRAの起立時の変化は加齢と共に低下した (p<0.001) がH群では有意でなかった. 3) 寒冷昇圧試験における心拍数増加は加齢により抑制された. 4) アトロピン負荷試験では加齢に伴ない心拍数の増加が低下した. 5) リンパ球β受容体結合容量と結合親和性は共に加齢の影響がなかった. 以上加齢と高血圧の影響で交感神経と副交感神経による循環調節機能の低下が認められ, 特に心拍数に関係した副交感神経機能の障害が顕著であった. β受容体結合能の成績から受容体以後の障害や心血管系の構築変化による機能不全も大きい役割を担っているものと考えられる.
著者
小林 正美 秋山 満知子 木瀬 秀夫 高市 真一 嶋田 敬三 伊藤 繁 平石 明 渡辺 正 若尾 紀夫
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
鉱物学雜誌 (ISSN:04541146)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.117-120, 1996-05-31 (Released:2009-08-11)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

Except for metal-free chlorophylls (pheophytins) functioning as primary electron acceptors in purple bacteria and in photosystem II of higher plants, all the naturally occurring chlorophylls have been believed to be magnesium complexes. To clarify the reason for the choice of Mg as the central metal of chlorophylls, we have systematically studied the absorption, fluorescence and redox properties of metallo-substituted chlorophylls, and concluded that Zn-substituted chlorophylls may act as both antenna and primary electron donor of photosystems. Quite recently, we discovered novel photosynthesis using Zn-containing bacteriochlorophyll a in an acidophilic bacterium Acidiphilium rubrum. This finding indicates an unexpectedly wide variability of photosynthesis.
著者
嶋田 由美
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-12, 2009

<p> 本稿は, 1900年前後に作られた唱歌の基本拍内同音反復のリズムを持つ特徴, いわゆる「唱歌調」の構造的特殊性と, それを生み出すに至った教育的背景について明らかにするものである。</p><p> 1882年発刊の『新体詩抄』で提唱された七五調による詩形は, その後の唱歌歌詞の基本構造となり, この七五調を唱えることから, 次第に今日「唱歌調」と言われる同音反復のリズムを持つ楽曲構造が生み出された。この背景には, 1890年の「教育勅語」渙発以降, 教育内容が徳育に特化され, 七五調の唱歌歌詞にもさまざまな徳目が詠い込まれる必要性があったこと, そして唱歌が地理や歴史等の他教科教育の補助的手段となり, 他教科の教育内容を歌詞に持つ唱歌を教授することによって, 唱歌科としての位置づけを得ようとしたことが挙げられる。即ち, この期の「唱歌調」と言われる唱歌は, 基本拍内同音反復のリズムに七五調の教科的, 或いは教訓的な歌詞内容を入れ込んで徳育に資すことを目的としたものであった。</p>
著者
北村 憲彦 西村 紳 山本 亮平 青木 美香 田中 美有 桑村 充 嶋田 照雅 久保 喜平
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.519-522, 2015

1週間前より食欲絶廃を呈した6歳雌のミニブタが来院した.X線検査にて腹腔内腫瘤を認め,第7病日に開腹下で右背側の腫瘤を切除した.腫瘤は卵巣に近似した発生部位と病理組織学的所見より,顆粒膜細胞腫と診断した.術後症例はQOLが改善して身体状態良好に経過していたが,第223病日に突然神経症状を呈して死亡した.剖検では,下垂体に充実性腫瘤が脳実質を圧迫するように認められたが,腹腔内腫瘍の再発は認められなかった.下垂体腫瘤の病理組織学的所見は腹腔内腫瘍と同様であり,腹腔内腫瘍の細胞は<b>κ</b> light chain陽性であったことから,本症例の腫瘍をあらためて形質細胞腫と診断した.本症例は腹腔内腫瘍の外科的摘出により,QOLが改善して約7カ月間再発もなく良好に過ごせたことから,本症例において外科療法は有効な治療法であったと考えられた.
著者
嶋田 美和 遊間 義一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.16208, (Released:2018-02-20)
参考文献数
26
被引用文献数
3

This study examined three validity types from the Functional Aggression Scale –factorial validity, cross validity, and criterion validity– using data from 382 Japanese juvenile delinquents referred to Japanese family courts. Confirmatory factor analysis showed that the Functional Aggression Scale consisted of four factors; however, free estimations were determined to be a better fit for the data than limiting the factor loading to 1. Multiple-group confirmatory factor analysis revealed the same degree of measurement invariance for the four juvenile delinquent characteristics studied (i.e., age, sex, residential area, and level of delinquency). The Wilcoxon rank-sum test for the factor scores indicated that the violent group’s mean scores for three separate factors (influence/coercion, punishment/retaliation, and identity) were significantly higher than those of the nonviolent group. Also, the violent group’s mean avoidance/defense factor score was not significantly higher than the nonviolent group.
著者
嶋田 晋
出版者
大学図書館問題研究会
雑誌
大学図書館問題研究会誌 (ISSN:13489186)
巻号頁・発行日
no.34, pp.27-34, 2011-08

2011年2月6日(土)に奈良県中小企業会館にて開催された大学図書館問題研究会近畿4支部新春合同例会での嶋田晋氏による講演「がまじゃんぱーとちゅーりっぷさんの生態-筑波大学附属図書館でのキャラクター活用事例-」の報告である。
著者
孫 英敬 山口 由紀子 嶋田 創 高倉 弘喜
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.1163-1174, 2017-05-15

情報セキュリティへの脅威はますます増加しており,高度な技術を備えた人材を求める声が増大している.それにともない,日本では高等教育機関における情報セキュリティ教育課程を今後拡充していく方針が示されているが,情報セキュリティ教育課程は,実際の現場から要求される技術能力を満たす,現実に即した人材を育成するものでなければならない.そこで我々は,アメリカ国立標準技術研究所の下に設置されているNICE(The National Initiative for Cybersecurity Education)が定義した情報セキュリティ技術能力を情報セキュリティ人材の要求要件ととらえて情報セキュリティ教育過程の開発を目指した研究を行っている.本研究では,NICEにおいて783項目に表されている技術能力を62種類に分類・集約した.さらに,日本および,セキュリティ教育が進んでいる韓国の大学についてカリキュラムを調査し,NICE技術能力との相関分析によりカリキュラム分析を行った.
著者
町田 史門 小山 貴之 宋 洋 高田 さとみ 嶋田 茂 越前 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMM, マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.226, pp.5-10, 2012-09-27

カメラ付きモバイルデバイスの普及により,SNSへの写真投稿が容易になっているが,その写真投稿に起因したプライバシー侵害の問題が次第に増加しつつある.この問題の多くは,被写体ユーザの了解を得ることなく写真を投稿する行為にあるが,そのプライバシー侵害と感じる要因を,アンケート調査と過去のSNS記事アーカイブを用いたマイニングにより解析し類型化を行なった.更にそれを用いたプライバシー保護サービスの策定を行なった.