著者
久保田 雅史 小久保 安朗 佐々木 伸一 嶋田 誠一郎 北出 一平 松村 真裕美 亀井 健太 北野 真弓 野々山 忠芳 鯉江 祐介 松尾 英明 成瀬 廣亮 小林 茂 馬場 久敏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.873-878, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
37

〔目的〕本研究の目的は,術後早期から股関節内外転筋力強化運動を重点的に行うことで,退院時の歩容に影響があるかを明らかにすることとした。〔方法〕対象は2005年1月から2007年12月までの期間で骨盤骨折を受傷し,当院にて骨接合術を施行した12例とした。術後2週目より骨折側の筋力強化を開始した6例を標準リハ群,術後2-3日後より筋力強化を開始した6例を早期リハ群とした。全荷重可能となった退院時に三次元動作解析装置を用いて歩行解析を行い,群間における歩行速度,歩幅,ケイデンス,股関節外転モーメントを比較した。〔結果〕歩行速度,歩幅,ケイデンスは群間に有意差は見られなかったが,早期リハ群の立脚期股関節外転モーメントは標準リハ群と比較して有意に高値を示していた。〔結語〕本研究の結果より,術後早期からの股関節内外転筋力強化運動によって退院時の歩行能力が改善される可能性が示された。
著者
上田 哲行 架谷 成美 西屋 馨 宮川 泰平 嶋田 敬介 福富 宏和 水田 陽斗 酒井 亮輝
出版者
石川県立大学
雑誌
石川県立大学研究紀要 = Bulletin of Ishikawa Prefectural University (ISSN:24347167)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-10, 2019-03

絶滅危惧種イカリモンハンミョウは、日本では九州と本州だけに分布する。本州では能登半島の1カ所の海岸にのみ生息する。能登半島では一時絶滅したと考えられていたが、1994 年に現生息地の海岸で再発見された。2012 年から2018 年に行った成虫調査では、再発見当初1800 頭近い個体数が記録されていた海岸北部で最初の3年間はほとんど発見されない状態が続き、その後、緩やかに増え始め2018 年に急増したことが確認された。海岸南部と中央部では、最初の2年間は発見当初とほぼ同じ個体数が維持されており、2014 年から急速に増えたことが確認された。このように能登半島の個体群は、ここ数年は増加傾向にあるが、2010 年前後の著しい個体数低下がボトルネックとなり、遺伝的多様性が低下していることが示唆されている。
著者
伊木 れい佳 齋藤 恵美子 和田 伸子 高田 寛仁 四宮 真利子 嶋田 雅俊 田中 雅子 吉住 智奈美 阪井 宏彰 片岡 裕貴
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.93-98, 2021 (Released:2021-03-22)
参考文献数
17

【背景と目的】国内外を通し苦痛のスクリーニングの効果を検証した研究は少ない.今回兵庫県立尼崎総合医療センターにて化学療法導入時にスクリーニングを実施し,緩和ケア介入件数が増加するかを検討した.【方法】2018年2月から2019年1月に化学療法同意書を発行された患者を対象にスクリーニングを実施した.回帰不連続デザインを用いて導入前後の緩和ケアチーム介入件数の変化を評価した.スクリーニング回収率を算出し,回収に影響した因子についてロジスティック回帰分析にて評価した.【結果】チーム介入件数の変化の推定値は3.32件/月(95%CI: −3.19〜9.82)であった.回収率は月平均35.2(±7.94)%であり,回収有に関して診療科による差がみられた.【結論】当院で導入したスクリーニングでは緩和ケア介入件数の有意な増加は得られなかった.
著者
金 外淑 嶋田 洋徳 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.317-323, 1998-06-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2

慢性疾患患者におけるソーシャルサポートを測定する尺度を作成し, 患者の外的要因であるソーシャルサポート, および内的要因である健康行動に対するセルフ・エフィカシーが心理的ストレス反応に及ぼす影響を検討した.慢性疾患患者から収集された項目に基づいて行われた因子分析の結果, 「日常生活における情動的サポート」と「疾患に対する行動的サポート」の2因子からなるソーシャルサポート尺度が作成された.また, ストレス反応を基準変数, サポートとセルフ・エフィカシーを説明変数としたパス解析を行った結果, ソーシャルサポートは直接ストレス反応を軽減するのではなく, セルフ・エフィカシーを介してストレス反応を軽減していることが示された.
著者
嶋田 義仁
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.17-36, 1990 (Released:2018-03-21)

Le but de cet article consiste à dégager l’horizon commun à la religion et au politique plutôt que de les considérer dans un aspect d’opposition. Il s’agit de celui d’actions et pratiques dont il faut distinctivement saisir les traits en contraste avec l’horizon de connaissances : le premier est celui de valeur et subjectivité, le dernier celui de vérité et objectivité. Or, la religion correspond à la crise existentielle où les sujets comme “être-au-monde” perdent leurs capacités d’actions et pratiques à cause d’une antinomie bien particulière et essentielle à l’être humain qui se creuse entre les deux horizons. Autrement dit, cette crise correspond à l’incapacité pratique de la connaissance humaine, car la connaissance humaine se situe sur l’horizon à la fois libre et libéré des exigences de pratiques. On a trop discuté sur le sujet de l’incapacité métaphysique de la connaissance humaine, mais très peu sur son incapacité pratique. Pourtant le boundhisme primitif insista bien sur cet aspect de l’incapacité intellectuelle (cf. Histoire d’une flèche empoisonnée). Et la même question se trouve non seulement dans le paradoxe de “grandeur” et “misère” de Pascal, mais aussi dans la “morale par provision” de Descartes.
著者
嶋田 久美
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.121-132, 2012-06-30 (Released:2017-05-22)

This article explores expression activities in clinical practices focusing on two cases: La Borde Clinic and Bethel House. The former is a psychiatric clinic in France known as a Psychotherapie institutionnelle and the latter is a community in Japan for people with mental disturbances founded in 1984. Both foster unique activities in ways that challenge the dichotomies in clinical practices such as art/therapy, client/therapist and normal/abnormal. In this article, two aspects of expression and art in these unique activities are verified referring to the concept of 'dispositif' by Michel Foucault, Gilles Deleuze and Giorgio Agamben. First, expression and art may function to analyze the power relations around the clinical site. Next, they function to maintain the dynamism of powers that generate liquidity and porosity among people. However, as Deleuze implies, these functions should be examined using immanent criteria. Therefore, these two cases must not be taken as universal models but should be positioned as nodes or hubs of networks concerning clinical environments. Which is why these two cases also urge us to reconsider the perspectives of disease and disability and the roles of group and community.
著者
萬谷 直樹 後藤 博三 藤永 洋 嶋田 豊 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.275-280, 1999-09-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
19

慢性便秘は一般に弛緩性便秘と痙攣性便秘に分類される。 痙攣性便秘には刺激性下剤は不向きであり, 長期の使用は原則として禁忌とされている。しかし実際には, 服用しなければ排便が得られないという理由で, 刺激性下剤が連用されていることも多い。今回, 加味逍遥散が奏功した慢性便秘の4例を経験した。症例1~3は痙攣性便秘であり, 症例1, 3, 4は刺激性下剤を常用していた。いずれも刺激性下剤や大黄含有方剤で, 腹部不快感や頻尿などの症状が出現する患者であった。加味逍遥散を使用し,良好な排便が得られるとともに, いらいら, のぼせ感, 肩こり, 倦怠感, 月経痛, 頻尿などの全身症状も改善された。刺激性下剤を連用していた3例は, その離脱が可能となった。慢性便秘の薬物治療においては, 刺激性下剤の長期連用を回避するために,加味逍遥散などの漢方方剤が果たす役割は大きいと考えられた。
著者
野村 和孝 安部 尚子 嶋田 洋徳
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-15, 2014

<p>本研究の目的は,集団認知行動療法 (CBGT) に基づく形式,および薬物依存からの回復者が主導するself-helpミーティング (SHM) に基づく形式の薬物依存離脱指導に参加することが,覚せい剤使用者の再使用リスクに及ぼす影響について検討することであった。累犯刑務所に服役しており,覚せい剤使用のため薬物依存離脱指導対象となった者をCBGT群 (<i>n</i>=19),SHM群 (<i>n</i>=10),およびwaiting list群 (<i>n</i>=23) に割り振り,刑事施設における薬物依存症者用評価尺度(山本ほか,2011; C-SRRS)を用いて検討を行った。その結果,CBGT群のみ,薬物依存離脱指導の実施前後において「薬害・犯罪性の否定」因子得点が有意に減少していることが確認された。また,薬物依存離脱指導の前後におけるC-SRRSの下位因子得点の変化量とデモグラフィック項目(年齢,IQ, 施設入所回数,暴力団組織への関与の有無)の関連性を検討した結果,CBGT群において,年齢が低い者,また入所回数が少ない者ほど,「薬害・犯罪性の否定」因子が改善していることが示された。一方で,SHM群においては,IQの低い者ほど「薬害・犯罪性の否定」因子が改善していることが示された。これらのことから,「薬害・犯罪性の否定」因子の強さの結果として,覚せい剤再使用に至る可能性の高い者には,CBGTに基づく形式を実施すること,そして年齢,IQ, 施設入所回数に基づくアセスメントに応じてSHMに基づく形式を併用することが肝要であると考えられる。</p>
著者
小池 正徳 嶋田 徹 雨宮 良幹
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.101-107, 1993
被引用文献数
21

バーティシリウム萎ちょう病に対するアルファルファの細胞レベルにおける反応を明らかにするため,抵抗性3個体(V-16,E-18,K-1それぞれ品種バータス,ヨーロッパ,キタワカバ由来),感受性3個体(V-6,E-8,T-3それぞれ品種バータス,ヨーロッパ,ソア由来)より誘導したカルスからプロトプラストを調製し,Verticillium albo-atrum培養濾液および菌体細胞壁成分に対する反応を調べた。菌培養濾液を透析により4つの画分(A:分子量3500以下,B:3500以上12-14,000以下,C:12-14,000以上50,000以下,D:50,000以上)に分画し,それぞれのプロトプラストに20%の濃度で処理し,12時間後に生存率を調査した。各画分ともプロトプラストの生存率は減少したが,画分Aに対して感受性個体のプロトプラストの生存率の減少が顕著であり,画分C,Dに対しては抵抗性個体のプロトプラストの生存率の減少が顕著であった。次にプロトプラストに菌体細胞壁成分を処理し,生存率を経時的に観察した。その結果,抵抗性個体のプロトプラストの生存率減少が感受性個体のそれらに比べ顕著であった。以上の結果から,Verticillium albo-atrum培養濾液を用いて細胞選抜を行う場合は,培養濾液全画分を選抜因子として用いるよりは,低分子画分(画分A)を分画して用いた方が効果的であることが予想される。また,培養濾液高分子画分(画分C,D)および菌体細胞壁成分に対するプロトプラストの反応率は抵抗性の指標として利用できることが示唆された。
著者
嶋田 直哉
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.64-73, 2011

<p>岡田利規『三月の5日間』(初演 二〇〇四・二)はイラク戦争を背景としながら渋谷のラブホテルの一室を舞台に展開する戯曲である。が、物語は単線的に進まずイラクでの戦争と渋谷のラブホテルの一室と「セカイ系」の宇宙が強引なまでに並置され、それらが収拾しがたく拡散している。また身体と言葉は対等の関係を持ち、それぞれが個別に過剰さを増すため、身体は無化されてしまう。このような構図から導かれる「ユルさ」こそ岡田の戦略であり、また迂回しながら社会と関わろうとするアクチュアルな姿勢を認めることができる。</p>
著者
井手 淨 鈴木 弘明 古閑 仁美 嶋田 純
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.197-203, 2019-08-31 (Released:2020-03-04)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

熊本地域における地下水観測井の管頭標高値は,2016年4月に発生した熊本地震で変動している可能性が高いが,地震後の再測量に対する方針は管理行政団体毎に異なる。そこで,2017年3月に観測井管頭標高の一斉再測量を実施し,地震後の水位標高値が再測量した値を基準とするよう独自に補正値を求めた。また地震前後の管頭標高値の変動が地震による地盤標高の変動量と整合しないケースも確認された。検証の結果,地震以前の管頭標高値にエラーが考えられた。これについても熊本地震以降の一斉再測量値を基準に地震による地盤変動量を差し引くことで,地震以前の管頭標高値を再現する補正値を併せて求めた。本報告では補正値の導出過程を報告する。
著者
嶋田 英晴
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:02896400)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.17-31, 2013-03-31

Every people tries to survive, but the Jewish people in particular has struggled to survive. One characteristic of the Jewish people is that they not only try to survive, but also take account of such struggle in order to keep their Jewish identity. This was the destiny of Jewish people since they established a covenant with God to live as a chosen people and made it their mission to realize God’s will on earth. However, their behavior toward Gentiles put their own beliefs before all else and rejected compromises with the majorities into which they would assimilate, often leading to conflicts with their host societies. At the worst, they were massacred and almost exterminated. There were many crises that Jewish people faced, such as religious conflicts, economic conflicts, political conflicts, racial conflicts, cultural conflicts and environmental changes. This paper is an attempt to show Jewish survival strategies by surveying their strategies for survival that appeared in their scriptures, especially in the Hebrew Bible. Henceforth, I intend to expand into cases of failure to show the whole picture. The results of this investigation will offer tactics for survival for peoples who may possibly face conditions similar to those confronted by the Jewish people.
著者
大塚 雄一郎 藤田 昌樹 江川 広人 三條 恵介 藤本 舞 龍田 恒靖 松井 成幸 嶋田 淳 須田 直人
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.32-41, 2015-04-15 (Released:2015-04-27)
参考文献数
30
被引用文献数
4

The osteotomy line in sagittal split ramus osteotomy (SSRO) has a wide variation among surgeons. Recently, short lingual osteotomy (SL), in which the lingual split is limited up to the area near the mandibular foramen, is performed in many facilities. The reason for this is that SL can reduce the amount of interference between the proximal and distal segments, and shorten the operation time compared with Obwegeser osteotomy (Ob). However, since medial pterygoid muscles (MPM) are included in the proximal segments, SL is prone to induce backward rotation and distal positioning of the mandibular ramus due to the interference between MPM and distal segments when mandibular setback is performed.The purpose of this study was to compare the postoperative outcome of SL and Ob for mandibular prognathism. Twenty-two skeletal Class III cases without lateral deviation treated by SSRO in Meikai University Hospital, were examined. Among the 22 cases, 15 and 7 cases underwent SL and Ob, respectively. The postoperative changes of the proximal and distal segments were evaluated in lateral and postero-anterior cephalograms taken immediately before the surgery (T1), immediately after the surgery (T2), and one year after the surgery (T3). At T1, there was no significant difference in SNB, FMA, or gonial angle between the SL and Ob groups. No significant difference in the amount of mandibular setback was found between the two groups. Comparing values at T1 and T2, the proximal segments tended to rotate backward in the SL group, but there was no significant difference in the anterio-posterior position of proximal segments between the two groups. Comparing values at T2 and T3, counter-clockwise rotation of proximal segments was seen in the SL group but not in the Ob group. It is likely that this rotation of proximal segments in the SL group was caused by the muscular strength of MPM attached mainly to the proximal segments. Moreover, a significant negative correlation in the amount of rotation of proximal segments was detected between T1-T2 and T2-T3 in the Ob group, but not in the SL group.These findings indicate that special attention to the rotation in SL cases is important since a wider variation in the rotation of proximal segments may occur compared with the Obwegeser method.
著者
嶋田 智和 大倉 典子
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.403-414, 2012-11-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
62
被引用文献数
1

As the progress of aging is very rapid in Japanese society, it is more important for us to approach for elderly people to live safety, peacefully and comfortably. It is crucial to consider the usability of artificial products and environments for elderly people, such as IT devices, home electric appliances, public devices and public facilities. However, the usability evaluation for these methods have not been established because not so many researches concerning on usability for elderly people have been investigated. In this paper, we surveyed recent researches on usability of artificial products for elderly people in Japan and classified researches and evaluation of usability. As a result, we concluded that this survey revealed research direction that is necessary in the future.